マリガン
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マリガン/Mulliganとは、最初に引いた手札が気に入らない場合、新たに手札を引き直せるルール。
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解説
ゲームを始めるときに各プレイヤーが手札を引いた後、先攻プレイヤーはマリガンを行うかを決める(まだマリガンは実行しない)。その後、ターン順に各プレイヤーがマリガンを行うかを決める。全プレイヤーが選択を終えた後、マリガンすることを選んだプレイヤーは同時にマリガンを行う。これ以上マリガンしないと決めたら、そのカードがそのプレイヤーの初期手札となり、それ以上マリガンすることはできない。この手順は、すべてのプレイヤーがマリガンしなくなるまで繰り返される。
マリガンを行うプレイヤーは、全ての手札をライブラリーの中に混ぜ入れて切り直し、初期手札枚数(通常は7枚)に等しい枚数の新しい手札を引く。その後、そのプレイヤーがマリガンした回数に等しい枚数のカードを選び、それらを望む順番で自分のライブラリーの一番下に置く。マリガンは手札が1枚以上あれば何回でも実行できるが、1回につき初期手札は1枚ずつ減少していくことになる。
マリガンを連続で行う場合、カードをライブラリーの一番下に置く手順は省略してよい。この省略はすべてのルール適用度において認められる。
- それ以上マリガンをしないことを「キープする」、マリガンする必要のない手札を「キーパー(Keeper)」と呼ぶこともある。
- 多人数戦での手順も上記と同じだが、各ゲーム最初の1回だけはいわゆる「フリー・マリガン」となり、カードをライブラリーの一番下に置く枚数やマリガンした回数を増加させずにマリガンできる。2回目からは通常のマリガンとなり、マリガンするたびに手札が1枚ずつ減っていく。
- そのほか統率者戦などのカジュアルフォーマットでは特別なマリガン・ルールが採用されている場合がある。詳細は各フォーマットのページを参照のこと。
- マリガンはゲーム開始前の手順である。認定大会においてこの作業中に時間切れとなった場合、エクストラターンは行われずにマッチが終了する。
- 血清の粉末/Serum Powder、代替案/Backup Plan(策略)はマリガン時に機能する能力を持つ。
- 現行のルールが初めて試行された[1]ミシックチャンピオンシップロンドン19の開催地にちなんで、「ロンドン・マリガン」とも呼ばれる。基本セット2020の発売に合わせて総合ルールに追加されることが決まり、基本セット2020のプレリリース・トーナメント(2019年7月5日、Magic: The Gathering Arenaでは発売日である7月2日)より正式採用となった[2]。
過去のルール
バンクーバー・マリガン
戦乱のゼンディカーでのルール改正後から、ロンドン・マリガンの採用まで用いられていた。内容は以下の通り。
マリガンを行うプレイヤーは、手札をライブラリーの中に混ぜ入れて切り直し、そして最後に引いた枚数より1枚少ない枚数の新しい手札を引く。すべてのプレイヤーがゲーム開始時の手札を決定したあと、手札の枚数が初期手札枚数よりも少ない各プレイヤーは、自分のライブラリーの一番上のカードを見る。そのプレイヤーは、その後そのカードを自分のライブラリーの一番下に置いてもよい(実質、これは占術1を行うことと同じである)。
- プロツアー「マジック・オリジン」でフロアルールとして、「マリガンしたプレイヤーはキープ後に占術1を行ってもよい」というルールが試験的に採用された[3]。このルールは、試行の結果好評だったため、戦乱のゼンディカー発売に合わせて総合ルールに追加されることが決まり、戦乱のゼンディカーのプレリリース・トーナメント(2015年9月26日)より正式採用となった。また、戦乱のゼンディカー発売前に行われる世界選手権15でも採用された[4]。
- バンクーバー・マリガンという呼称は、プロツアー「マジック・オリジン」の開催地にちなんだもの。
- ちなみに、このマリガン・ルールの発案者はPatrick Chapin[5]。
パリ・マリガン
1997年に正式採用となり、バンクーバー・マリガンの採用まで用いられていた。「マリガンは自由に行えるが、マリガンするごとに手札が1枚少なくなる」というマリガンの最初の方式となっている。
上記バンクーバー・マリガンのものから「手札の枚数が初期手札枚数よりも少なくなっている場合に、ライブラリーの一番上のカードを見て、そのカードを自分のライブラリーの一番下に置いてもよい」というルールを除いたものであった。
なお、このルールはプロツアーパリ97で採用されたことから「パリ・マリガン」と呼ばれるが、実際はプロツアーパリ97は2回目の採用で、最初に採用されたのはプロツアーロサンゼルス97である。また、正式採用される前は「オプショナル・マリガン」と呼ばれていた。
- このマリガンルールは、はじめはヘッド・ジャッジの裁量で選択できるマリガン方法として導入された。大会では「今日はオプショナル・マリガンで行きます」「今日は普通のマリガンで」などと大会開始前に告知があった。
初期
最初期のルールには、マリガン・ルールは存在しなかった[6]。
「パリ・マリガン」に変更される前は、手札が「すべて土地」か「すべて土地でない」のときしかマリガンできなかった。ただし現在のルールのように、マリガンする毎に初期手札が減るということはなかった。これらはそれぞれ「オールランド・マリガン」「ノーランド・マリガン」と呼ばれる。
- このルールでは、それを証明するためにその状態を対戦相手に公開する必要があり、また、1回しか実行できなかった。
- あくまで「土地が手札にある/ない」という基準だった。そのため現在よりも土地事故のリスクは大きかった。特にマナを出すことに関係のない土地カードを利用する場合、それだけが手札にあってもマリガンできなかったので、リスクはさらに大きくなっていた。
その他の変更
基本セット2010(当時はパリ・マリガン)でのルール改正で若干の変更が行われた。
それまでは、まず先攻がマリガンしないことを決めるまでマリガンを行い、先攻の初期手札が決定した後、ターン順に1人ずつマリガンしないことを決めるまでマリガンを行うというルールであった。しかし、トーナメント以外でこの正式な手順が守られることは少なく、同時にマリガンが行われることが多かった。このカジュアル事情を踏まえ、基本セット2010発売に伴うルール改正で「同時にマリガンを行う」ように変更された。この変更によって、トーナメントでのシャッフル時間の短縮も期待される[7]。
その他
- 元々はゴルフ用語であり、接待ゴルフなどでよく行われる「最初の一打が不満なら罰則なしで打ち直しできる」というルールのことである。ここからさらに語源を辿ると、人名である。
- かつて多くの初心者がお世話になった田中としひさ氏の入門漫画に登場する、「マリちゃん」と「ガンちゃん」の命名由来でもある。
脚注
- ↑ Mythic Championship II Format and the London Test/ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019のフォーマットおよび「ロンドン・マリガン」の試験運用についてのお知らせ(Competitive Gaming 2019年2月21日 Blake Rasmussen著)
- ↑ The London Mulligan/ロンドン・マリガン(News 2019年6月3日 Ian Duke著)
- ↑ Changes Starting with Pro Tour Magic Origins/プロツアー『マジック・オリジン』からの変更点(News 2015年6月29日 Helene Bergeot著)
- ↑ New Mulligan Rule Starting with Battle for Zendikar Prereleases/『戦乱のゼンディカー』プレリリースからの新マリガン・ルール(News 2015年8月20日 Aaron Forsythe著)
- ↑ Mulligans/マリガン(Latest Developments 2015年8月7日 Sam Stoddard著)
- ↑ Gimme a Hand/お手を拝借!(2010年8月16日 Mark Rosewater著)
- ↑ Magic 2010 Rules Changes(2009年6月10日 Aaron Forsythe著)
参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 1 ゲームの考え方
- 103 ゲームの始め方
- 103.5 各プレイヤーは自分の初期手札枚数に等しい枚数のカードを引く。初期手札枚数は通常7枚である(ただし効果によって初期手札枚数が変わることがある)。最初の手札が満足できるものでなかったプレイヤーは、マリガンを行うことができる。まず、開始プレイヤーがマリガンを行うかどうかを決め、その後、ターン順に各プレイヤーが同様の選択を行う。全プレイヤーが選択を終えた後、マリガンすることを選んだプレイヤーは同時にマリガンを行う。マリガンとは、自分の手札のカードを自分のライブラリーの中に混ぜて切り直し、初期手札枚数に等しい枚数の新しい手札を引き、そしてそのカードのうちそのプレイヤーがマリガンした回数に等しい枚数を好きな順番で自分のライブラリーの一番下に置くことである。これ以上マリガンをしないと決めたら、そのカードがそのプレイヤーの開始時の手札となり、それ以降マリガンをすることはできない。この手順は、すべてのプレイヤーがマリガンしなくなるまで繰り返される。プレイヤーは、最初の手札が0枚になるまではマリガンをすることができ、それ以降はそれ以上のマリガンはできない。
- 103.5a ヴァンガード戦では、各プレイヤーの初期手札枚数は7枚に自分のヴァンガード・カードによる手札補正子を加えたものである。
- 103.5b 「[[[プレイヤー]]]がマリガンを行えるときならいつでも/any time [that player] could mulligan,」そのプレイヤーが何か処理をしてもよいという効果がある場合、そのプレイヤーはその処理を、マリガンするかしないかを決定する時に行なってもよい。これは1回目のマリガンである必要はなく、他のプレイヤーがマリガンするかどうか決めた後でそのプレイヤーはこの処理をするかどうかの選択をすることができる。その処理をした場合、そのプレイヤーは改めてマリガンするかどうかの選択を行う。
- 103.5c 多人数戦やブロール戦では、そのプレイヤーがライブラリーの一番下に置く枚数やマリガンできる回数を決める上で、1回目のマリガンは計算に入れない。以降のマリガンは、通常通り数える。
- 103.5d 「共有チーム・ターン」選択ルールを用いる多人数戦において、まず開始チームの各プレイヤーがマリガン行うかどうかを選択し、その後他のチームそれぞれのプレイヤーがターン順に同様の選択を行う。チームメイトはマリガンを行うかどうか相談してもよい。その後、全てのマリガンが同時に行われる。チームメイトがマリガンをしないことを選んだ後でも、もう一方のプレイヤーはマリガンすることができる。
- 103.5 各プレイヤーは自分の初期手札枚数に等しい枚数のカードを引く。初期手札枚数は通常7枚である(ただし効果によって初期手札枚数が変わることがある)。最初の手札が満足できるものでなかったプレイヤーは、マリガンを行うことができる。まず、開始プレイヤーがマリガンを行うかどうかを決め、その後、ターン順に各プレイヤーが同様の選択を行う。全プレイヤーが選択を終えた後、マリガンすることを選んだプレイヤーは同時にマリガンを行う。マリガンとは、自分の手札のカードを自分のライブラリーの中に混ぜて切り直し、初期手札枚数に等しい枚数の新しい手札を引き、そしてそのカードのうちそのプレイヤーがマリガンした回数に等しい枚数を好きな順番で自分のライブラリーの一番下に置くことである。これ以上マリガンをしないと決めたら、そのカードがそのプレイヤーの開始時の手札となり、それ以降マリガンをすることはできない。この手順は、すべてのプレイヤーがマリガンしなくなるまで繰り返される。プレイヤーは、最初の手札が0枚になるまではマリガンをすることができ、それ以降はそれ以上のマリガンはできない。
- 103 ゲームの始め方