約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End
伝説のクリーチャー — エルドラージ(Eldrazi)
この呪文を唱えるためのコストは、あなたの墓地にあるカードに含まれるカード・タイプ1種類につき(1)少なくなる。
あなたがこの呪文を唱えたとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーの次のターンの間、あなたはそのプレイヤーのコントロールを得る。そのターンに続いて、そのプレイヤーは追加の1ターンを得る。
飛行、トランプル、プロテクション(インスタント)
13/13
イニストラードを覆う影ブロックのストーリーの元凶として再登場したエムラクール/Emrakul。本体は飛行・トランプル・インスタントへのプロテクションを持つ超大型エルドラージであり、加えて墓地のカード・タイプに応じたマナ・コスト減少と、1ターンだけ対戦相手1人のコントロールを奪う豪快な能力を備える。
解説
[編集]相手をコントロールするカードは効力が戦況に依存しやすく、「無駄撃ちできるスペルや自発的にリソースを失う手段がなければほとんど機能しない」という問題を抱えているが、このカードは本体が13/13のサイズと飛行・トランプルに加えて除去耐性まで持っており、フィニッシャーと抱き合わせになったことで強く使いやすくなっている。インスタントへのプロテクションを持っているため着地後即座に除去するのが難しく、インスタントでない除去手段を握っていても無駄撃ちさせることができ、クリーチャーをコントロールしていればこれに向かってチャンプアタックさせカード・アドバンテージを取れる、ということで一方的な有利を作りやすい。補填として相手に追加ターンも与えてしまうが、大抵は「手札の除去も主力のクリーチャーも失った状態で対処必須の大型クリーチャーに居座られている」という状況を強いることができ、事実上ほぼ苦にならない。除去を今引きされたりすでにライフを大きく削られていたりすると逆転される可能性があり、打ち消しで対処されると能力の不確実性と向き合うことになるが、こういった一部の状況以外では「唱えたら勝ち」に限りなく近いカードとして機能する。
問題は唱える手段。13マナはいささか重すぎるが、適当に呪文を唱えている内に自身の能力で3~4マナはコストが減るので実用的なマナ・コストに落ち着くので、ランプ戦略を用いるデッキならプレイアブル。イニストラードを覆う影ブロックで推奨されている昂揚メカニズムへの補助を用いれば、さらに軽くすることもそう難しくもない。あるいは踏み倒し手段を経由して唱えてもいいだろう。
- マナ総量が13である初のクリーチャーであり、2025年時点でも唯一。このため、モミール・ベーシックではX=13で確実に呼び出すことができる。
- イニストラードを覆う影リマスターによりMTGアリーナに実装された。他のプレイヤーをコントロールする処理をMTGアリーナに実装するコストから一度は採用が見送られたが、技術チームの努力により可能となった[1]。実装後もゲームのフリーズを含む不具合が多数確認されており、実戦で使用するには厳しい状態であったが、のちに修正され後述の通りヒストリックでも用いられるようになった。なお、具体的な不具合は以下の通り。
利用
[編集]登場時のスタンダードでは後述の禁止指定を受けることになるが、黒緑昂揚、赤緑昂揚ランプ、現出デッキと複数のデッキでの活躍を見せたほか、カラデシュで霊気池の驚異/Aetherworks Marvelという踏み倒し手段が出てからはそちらで利用された。
モダンにおいても登場直後から各種ウルザトロン系のデッキやエルドラージ・デッキで採用が見られた。ただし、重量級エルドラージとしては、特別な下準備がなくとも現実的なコストで唱えられる絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hungerなどの影に隠れ気味であった。転機となったのはモダンホライゾン3で、序盤の動きを支えつつコスト減少条件を満たせる邪悪鳴らし/Malevolent Rumble、貴重な同族カードかつ汎用性が高いためコスト減少に貢献しやすいコジレックの命令/Kozilek's Commandを入手したことで唱える難易度が大きく低下。各種エルドラージ系デッキでの採用率が増加したほか、エルドラージのタイプ的デッキの側面もある繁殖鱗コンボではコンボ以外のサブフィニッシャーとして使われるなど、影響力を大きく増した。
ヒストリックでも邪悪鳴らし/Malevolent Rumbleで墓地を肥やせる緑系エルドラージ・ランプのフィニッシャーを務める。楽園の拡散/Utopia Sprawl・タリスマン・嵐の目、ウギン/Ugin, Eye of the Stormsといった幅広いパーマネント・タイプを採用するうえ、同族インスタントのコジレックの命令/Kozilek's Commandも積むデッキなので、自然とプレイアブルなコストに落ち着いてくれる。エルドラージ以外のクリーチャー・タイプを持たないため残響の洞窟/Echoing Cavernでピンポイントに抽出できない点は少々物足りないが、カードプール内のエルドラージとしては最も決定力の高い1枚であり、「唱えれば勝ち」に限りなく近い性能が頼もしい。
タイムレスでは、2マナランドや中堅エルドラージの選択肢が広がることもあって緑に寄せないことも多く、ひいてはこのカードもあまり採用されない。
リミテッドでは素朴にマナを伸ばしても唱えられる状況までこぎつけるのが難しく、昂揚サポートの多い異界月環境でもかなり厳しい性能。
ルール
[編集]- 唱えたときの誘発型能力
- 対戦相手のコントロールを得る効果に関するルールは他のプレイヤーをコントロールするを参照。
- この能力を同一ターン中に複数回解決しても、対戦相手をコントロールできるのは次の1ターンのみである。なお、その対戦相手が得る追加のターンの数は累積する。
- プロテクション
- プロテクション(インスタント)は「『インスタント・呪文』および『インスタント・カードの起動型能力や誘発型能力』の対象にならず、それらから与えられるすべてのダメージを軽減する」を意味する。
- 例1:エムラクールを対象に大地力/Earthbrawnを唱えることはできない。また、エムラクールを対象に大地力の補強を起動することもできない。
- 例2:コジレックの帰還/Kozilek's Returnが唱えられた場合でも、墓地にあるコジレックの帰還の能力が誘発した場合でも、それがエムラクールに与えるダメージはすべて軽減される。
- プロテクションは戦場にいる間のみ機能する能力である。スタック上のこのカードを取り消し/Cancelなどで打ち消すことは可能。
禁止指定
[編集]2017年1月20日から、スタンダードで禁止カードに指定される[2]。プロテクション(インスタント)と誘発する能力の相乗効果であまりに対処の方法が少ない点に加え、霊気池の驚異/Aetherworks Marvelとの組み合わせが強力すぎたことが問題となった[3][4]。
- 禁止制限の告知記事では「恐ろしく強力なものとなるべく作り出された《約束された終末、エムラクール》はその約束をとてもうまく果たしていました。エムラクールが直面する抵抗はほんのわずかで、彼女はゲームをあまりにあっけなく終わらせてしまいました。彼女は物語中の世界の終末、全能の怪物であり、それはスタンダードにとってやりすぎたものでした。」とストーリーを意識した説明がされていた引用エラー: 無効な
<ref>タグです。名前に単なる整数は使用できません。説明的なものにしてください。
開発秘話
[編集]戦乱のゼンディカー・ブロックは元々3つのエキスパンションで構成されており、第1セットがウラモグ/Ulamog、第2セットがコジレック/Kozilek、第3セットがエムラクールに焦点を当てたものになる予定だった。しかし開発中に1ブロック2セット制への移行が決まったため、エムラクールの出番を別途用意する必要が生じてしまった。開発部はAdam Leeが数年前に提案していた、「異世界の勢力(最有力候補は既存のキャラクターであるエムラクール)を黒幕とする、コズミック・ホラー要素を取り入れたイニストラード/Innistrad再訪」のアイディアを採用することにした[5]。
新しいエムラクールは引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Tornと同様に魅力的なものであり、かつ初代とは違って「出せば勝ち」にはならないカードにすることが求められた。唱えたときの誘発型能力は当初パーマネントのコントロールを得るものだったが、絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hungerの除去能力と方向性が似すぎていたため、対戦相手自身のコントロールを得るものに変更された。さらに追加ターンを与えることで、対戦相手から反撃の余地を完全には奪ってしまわないようにデザインされている。
またエムラクールが単体除去1枚で簡単に対処されることは望ましくないため、除去耐性も必要とされた。候補としては「不治/Incurable(これは追放されたりオーナーの手札やライブラリーに戻されたりしない)」や「唱えたときの誘発型能力を、能力の解決時から対戦相手のコントロールを得るようにする」などが挙げられたが、最終的にはプロテクション(インスタント)になった。
マナ総量、パワー、タフネスはイニストラードの13テーマに因んですべて13となった。しかしエルドラージ覚醒や戦乱のゼンディカー・ブロックと違い、イニストラードを覆う影ブロックは極端な高マナ域にアクセスできるように作られておらず、そのままではリミテッドで非常に使いづらいという問題があった。これを解決するため、昂揚の流れを汲むコスト減少能力が付けられた[6]。
- こうしたデベロップ・チームの配慮にもかかわらず、スタンダードにおいては対処手段が非常に少なくなってしまい、異界月の目玉カードでありながらわずか半年でのスタンダード退場となった。
- Sam Stoddardは精神隷属器/Mindslaver効果を内蔵したこのカードについて「最初の1~2回はとてもクールだが、3~4回目になると驚異的に腹立たしくなる」とし、多くの対戦で基本的なエンドカードになったことで楽しさが損なわれてしまったと後に振り返っている引用エラー: 無効な
<ref>タグです。名前に単なる整数は使用できません。説明的なものにしてください引用エラー: 無効な<ref>タグです。名前に単なる整数は使用できません。説明的なものにしてください。 - Mark Rosewaterは、フレイバー重視のストーリー・カードを意図的にトーナメントレベルにすることが楽しい環境を作るとは限らないという好例としてこのカードを挙げている[7]。
関連カード
[編集]- 引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn
- 約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End
- 再誕世界、エムラクール/Emrakul, the World Anew
- 迫り来る破滅、エムラクール/Emrakul, the Exigent Doom
ストーリー
[編集]ソリン・マルコフ/Sorin Markovへの復讐を目論むナヒリ/Nahiriによってイニストラード/Innistradに呼び寄せられたエムラクール/Emrakul。その存在によってイニストラードの生物たちは異形の姿へと変わり果ててしまう。
詳細はエムラクール/Emrakulを参照。
脚注
[編集]- ↑ Why I Decided Not to Do Emrakul, and How We Shipped It Anyway(Daily MTG 2023年3月20日)
- ↑ January 9, 2017 Banned and Restricted Announcement(Internet Archive)/2017年1月9日 禁止制限告知 引用エラー: 無効な
<ref>タグです。名前に単なる整数は使用できません。説明的なものにしてください - ↑ Kaladesh Standard Retrospective(Internet Archive)/『カラデシュ』スタンダード総括(Daily MTG、Latest Developments、2016年12月16日、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也) 引用エラー: 無効な
<ref>タグです。名前に単なる整数は使用できません。説明的なものにしてください - ↑ Standard(Internet Archive)/スタンダード(Daily MTG、Latest Developments、2017年1月13日、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也) 引用エラー: 無効な
<ref>タグです。名前に単なる整数は使用できません。説明的なものにしてください - ↑ Eldritch Perfect, Part 1/異界の完成 その1(Daily MTG、Making Magic、2016年7月11日、文:Mark Rosewater、訳:米村薫)
- ↑ M'rakul Files: Developing Emrakul(Internet Archive)/Mラクールファイル 「エムラクールのデベロップ」編(Daily MTG、Latest Developments、2016年6月24日、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也)
- ↑ Metamorphosis 2.0/変身2.0(Making Magic 2017年6月12日 Mark Rosewater著)