Weakstone
提供:MTG Wiki
Mightstoneと対になっており、ストーリー上重要なアーティファクト。あらゆる攻撃クリーチャーを弱体化させる。
自分から攻撃しない防御的なデッキで使えば、自分のクリーチャーにも効いてしまうデメリットは気にならない。そのようなデッキでは実質オアリムの祈り/Orim's Prayerと同じ機能になる。
- 一時期、2001年8月頃のオラクル更新で「クリーチャー1体が攻撃するたび、それは戦闘終了時まで-1/-0の修整を受ける」と誘発型能力に変更されていたが、2008年7月11日のオラクル更新で元の常在型能力に戻された。
- 黎明期のアーティファクトである証として、アンティキティー版のタイプ行には「Artifact」ではなくContinuous Artifact(コンティニュアス・アーティファクト)と記されている。(→参考画像)
- 背景ストーリー上において非常に重要なアーティファクトなのだが伝説のアーティファクトではない。もっとも、伝説の~などのルールより前のカードなのだからしょうがない。
- 2004年アリーナ・リーグプロモ版のCircle of Protection: Artのイラスト左下に、このカードのイラストに描かれた犬(?)のようなクリーチャーが登場している。
ストーリー
ウィークストーン/Weakstone(イラスト)とは、対の関係にあるマイトストーン/Mightstoneと共に、元々は1つのパワーストーン/Powerstoneであった。ウィークストーンは世界に多大なる影響を与えた、ストーリー上で非常に重要なアーティファクトの1つである。
AR紀元前4,000前後のスラン/Thran帝国末期。グレイシャン/Glacianの魂を吸収したこのパワーストーンは、彼の妻レベック/Rebbecの手によって、首都ハルシオン/Halcyon市の地下に作られた、”ドミナリア/Dominariaとファイレクシア/Phyrexiaとをつなぐ(門(ポータル/Portal)”を封印するために使用された。この封印により、ファイレクシアを総べる荒廃の王、ヨーグモス/Yawgmoth,Lord of the Wastesは、彼の軍勢と共にファイレクシア内に幽閉されることになった。それ以降、このパワーストーンは数千年間に渡り、ファイレクシアとその悪魔たちの侵略からドミナリアを守り続けた。
スラン文明の時代から過ぎ去ること4,000年。かつてのハルシオン市は悠久の年月が運んだ砂漠の砂の下に埋もれ、人が立ち寄らぬ禁断の地、コイロスの洞窟/Caves of Koilosとなっていたが、パワーストーンによる門の封印は未だ健在であった。AR20年、数千年の時を経てなお稼働していたこの洞窟を、2人の兄弟ウルザ/Urzaと、ミシュラ/Mishra、そして彼らの師匠トカシア/Tocasiaの3人が訪れた。
兄弟の少年時代、トカシアはコイロスの聖窟の探検に彼らを連れて行った。そこ、タグシンの広間で、ミシュラは神秘的なウィークストーンを発見したのだ。
1つパワーストーンであったそれは2つに分裂し、ウィークストーンをミシュラが、もう片方のマイトストーンをウルザが手にした。これに伴い、門の封印は解けてしまうのだが、兄弟たちがこの事を知るのは、もっとずっと後の事である。ウィークストーンを手に入れ、洞窟から持ち帰ったその日から、ミシュラの様子は変わって行った。ミシュラは兄ウルザのマイトストーンを執拗に奪い取ろうとした。ウルザは弟の変貌ぶりが、ウィークストーンによるものだと強く感じた。弟を正気に戻すため、ウルザもまたミシュラの手からウィークストーンを取り上げようとした。そうした2人の兄弟の争いに巻き込まれ、争いを止めようとした師匠トカシアは死んでしまう。実の母に慕っていた師匠トカシアの死をキッカケとし、ウルザとミシュラの兄弟は生き別れることになった。しかし、兄ウルザからマイトストーンを奪おうとするミシュラの執念の炎は、ミシュラの心から消えはしなかった。
テリシア/Terisiare大陸東部の砂漠地帯を1人放浪するミシュラは、ウィークストーンを肌身離さなかったが、砂漠の民ファラジ/Fallajiに捕まった際、奴隷にされ、ウィークストーンを没収されてしまう。しばらくして、ミシュラに学と博識があることを見抜いたファラジの「長王」は、ミシュラを奴隷から幼き王子(つまり「長王」の息子)の教育係に任命する。その折、ミシュラはウィークストーンをその手に取り戻す。その後、自身の企みの為にファラジの「長王」たちを殺害したミシュラは、自分を師と仰ぐ幼き王子の純粋な信頼を利用し、王子の教育係から実質的に関白・摂政に当たる立場となり、ファラジをその手中に治める。
AR27から28年頃に兄弟戦争/Brothers' Warが開戦。この戦争は当初、2人の兄弟が属するウルザ側のヨーティア/Yotia国とミシュラ側のファラジ、2つの国家間同士の戦争であった。しかし戦争が進み、兄弟がそれぞれの国の実権を握ることで、2人の兄弟同士の争いがより浮き彫りになっていった。「兄ウルザの(弟ミシュラの)持つマイトストーンを(ウィークストーンを)を奪う!」、兄弟が互いに強く意識するマイトストーンとウィークストーンの奪取。これこそが、兄弟戦争の根底となった。兄弟戦争において、ミシュラがドラゴン・エンジン/Dragon Engineなどの強力なアーティファクト・クリーチャーたちを使役出来たのは、このウィークストーンの力によるものである。
また、ウィークストーンが外れたことで封印の解かれた門の向こう側からは、ファイレクシアの法務官/Praetor、ギックス/Gixが兄弟戦争中のドミナリアにやって来てしまう。既に半ば正気を失っていたミシュラに、ギックスは機械の肉体(イラスト)を与えた。ウィークストーンは結果として、それを手に入れたミシュラの運命をおおきく狂わせていた。AR64年、数十年間におよぶ戦争の末に、ウィークストーンはミシュラの手から離れ、マイトストーンと共にプレインズウォーカー/Planeswalkerとなったウルザの両目に収まった。
ウルザは、戦争による大き過ぎた爪痕と犠牲、実の弟を救ってやれなかった後悔の念と罪の意識から、激しい罪悪感を抱いた。また、常人から遥かにかけ離れた長寿の肉体を得たウルザは、親しき人達との死別の繰り返しを余儀なくされ、痛ましい孤独感にも襲われた。精神的にひどく衰弱したウルザに対し、彼の両目のパワーストーンは悪意にも聞こえる囁きを繰り返した。その声の主こそ、パワーストーンに封じられしグレイシャンの魂だった。ウルザはその励ましの末に、狂気をも含んだ復讐心を持った。そして、ファイレクシアに対する復讐を誓った。(※人好きのする性格だったミシュラの人間性を狂わせたのも、ウィークストーンに宿るグレイシャンのこうした影響による可能性がある。)
AR4,205年のドミナリア=ファイレクシア大戦末期、ヨーグモスの眼下で行われたジェラード/Gerrardとの戦いに敗れ、ウルザは首を切断される。しかし、彼の両目に収まるウィークストーンとマイトストーン、2つのパワーストーンの力によって、首だけの姿になってもウルザは生きていた。その後、ウェザーライト号に赴いたウルザは、レガシーの兵器/Legacy Weapon(イラスト)を起動。ウルザの目に収まるウィークストーンはマイトストーンと共にレガシー/Legacyの一部として機能し、遂に魔王ヨーグモスをこの世から消し去った。
8,000年以上前のかつて、1つのパワーストーンとしてドミナリアを侵略者から守ったウィークストーンとマイトストーンは、再度ドミナリアを同じ侵略者の魔手から守るだけでなく、今度はその侵略者そのものを滅ぼしたのだ。
参考
- レガシー/Legacy(背景世界/ストーリー用語)
- 再録禁止カード一覧(再録禁止カード)
- カード個別評価:アンティキティー - アンコモン3
- カード個別評価:Masters Edition 4 - アンコモン