センギア男爵/Baron Sengir
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センギア男爵/Baron Sengirは、ホームランドのキャラクター。カードとしてはホームランドのBaron Sengirが初出。
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概要
センギア男爵は、マジック最古の吸血鬼カード、センギアの吸血鬼/Sengir Vampireのロード的存在であり、ホームランドでセンギア/Sengir一族の詳細が設定された際、吸血鬼の始祖(originator)として創造されたキャラクターである。同時にカード化もされている(→Baron Sengir)。
いわばホームランドの顔であり、最も有名なカードの一つとして紹介される他、公式サイトでも度々話題に挙げられる人気キャラクター[1]。ホームランド自体がセンギア男爵の物語と説明されることすらある[2]。また、男爵のオリジナル・イラストを描き、センギア一族の設定にも深く関わったPete Ventersは雑誌やイベント、アンヒンジドなどでも繰り返しイラストを描いている[3][4]。
ホームランドと男爵のその後を求めるファンの声に応えて、センギアの再登場は幾度となく公式記事で匂わされているが、未だ実現していない。未来予知でカー=センギア/Kar-Sengirという語が登場したときも、寄せられたファンの疑問に、公式サイトは2度に渡って回答している[5][6]。
解説
センギア男爵はドミナリア/Dominaria出身の古代の邪悪な吸血鬼であり、プレインズウォーカー/Planeswalkerからも一目置かれる強力な存在。元は人間の男性で幼い頃に一度死亡し、黒魔術により吸血鬼となって復活した。
支配者・統治者である男爵はCastle Sengir(センギア城)を本拠地として、暗き男爵領/The Dark Baronyを支配下に置き、戯れ混じりに農奴を支配している。あるいは、吸血鬼である男爵は永遠の存在を自称(「…I am Vampire. And I am Forever.」コミックより)。プレインズウォーカーですらいずれ寿命が尽きる運命と達観しており、数世紀にわたる遠大なウルグローサ/Ulgrotha(および更に別の次元への)征服計画を練り、時を待ち続けている。
容姿・性格
近代ドミナリアにおける紳士のお手本のような洗練された人物。常に自信に満ち、堂々と優雅な物腰、しかし同時に尊大で傲岸不遜でもある。高い知能と広範な知識を有し哲学的命題や魔法理論を好んで議論する。口調は柔らかで表現は機知に富むが、発言に隠された真の意図は邪悪で冷徹。暴力に訴えるよりも陰謀をめぐらし相手を陥れ、精神的に屈服させるのが男爵の流儀。
豪奢な衣装に身を包み、上品に切り揃えた黒い顎鬚、側頭部は剃髪し、長い黒髪をひと房に編んで背中に垂らす。Pete Ventersのイラストでは糸目だが、Rebecca Guayのコミックではしっかりと見開いている。更にRebecca版は血の気がない青い肌。→カードのイラスト
年端の行かぬ少年時代でも知的で、洗練された小公子といった風格。整髪料で髪形をきちんと整え、礼服を着こなす。幼いながらも領主の自覚があり、領民を苦しめる父親を快く思っていない。ただ、城にこもりがちで出歩くことは少なかったので、世間知らずな面もある。
魔法
驚異的な治癒能力を持ち、様々な次元に眷属を生み落とし、不浄な生物(人狼など)を創造するといった吸血鬼の魔力があるにもかかわらず、男爵は魔術の専門家ではないと自覚している(とはいえ、元々ある程度の魔法をかけることは可能)。そのため、ホームランド支配計画の準備に当たる何世代期もの間、センギアの太母/Grandmother Sengirによる魔術の教えを受けて、魔法能力を磨いている。
一族
センギア男爵のfamily(家族・一族)に対する視点にはねじれたユーモア感覚が顔を覗かせる。
- 両親
- 父親は農村を治める男爵(baron)。
- 裏の顔は黒魔術の使い手でもあり、棺桶をベッド代わりに使い、不死者(immortal)になる研究を行っている。領内にあまり姿を見せず、息子にも棺桶を寝床にさせる、というように変わり者だが一人息子を愛している。黒魔術の決闘中、戦いに巻き込まれて亡くなった息子を吸血鬼として蘇らせるが、決闘には敗北してネズミの群れに全身を噛み千切られて絶命する。
- 母親は出産時に他界している。
- センギアの太母
- センギアの太母/Grandmother SengirことRavi(ラヴィ)は同郷の女性。吸血鬼に生まれ変わりセンギア男爵を名乗った際に、ラヴィもプレインズウォーカー能力の一端を発現させており、男爵は将来ラヴィに仕えることを誓っている。そして遥か後の時代、男爵は玄武岩の尖塔(Basalt Spire)に閉じ込められていたラヴィを救い出し、一族の太母(祖母)に迎え入れた。男爵は力と狂気、邪悪さの入り混じった太母を敬愛し、本格的な魔術の指導を受けている。
- イリニ
- センギアのイリニ/Irini Sengirは男爵の愛する義理の娘。ドワーフの吸血鬼。
- 吸血鬼イリニは本来の性質を歪めて男爵好みに作り変えられた人格であり、その点ではテイザー/Taysir・ダリア/Daria親子と対称的である。
- Veldrane
- Veldrane(ヴェルドレイン)は最も忠実な男爵の狩人。
- イーサン
- 影の騎士イーサン/Ihsanは男爵の操り人形である。
- その他の一族
- 詳細はセンギア/Sengirを参照。
敵・味方
- セラ
- セラ/Serraは男爵とほぼ同時期にウルグローサに住み着いたプレインズウォーカー。吸血ヒル(bloodsucker)や蛆虫(maggot)、蛇(serpent)といった侮蔑の言葉を男爵に面と向かって浴びせるが、男爵はいつも余裕綽々。男爵は未亡人となったセラの過失を言葉巧みに責め、生きる気力を失わせてウルグローサから追い出した。
- フェロッズ
- フェロッズ/Ferozは、男爵より1世紀半ほど遅れて現れたホームランドの守護者。男爵の計画の障害となる。
- オータム・ウィロウ
- オータム・ウィロウ/Autumn WillowはThe Great Wood(大森林)の奥深くに潜む宿敵。“男爵の狩人”はオータム・ウィロウの住処を突き止めようと森に忍び込む。
- エロン
- エロン/Eronはセンギアの魔術で不死となった者。
- センギア一族以外の不死の者に興味のある男爵は、センギア城への招待状をエロンに送っているが、その都度丁重に断られている。
- 男爵領とKoskun Keep(コスカン砦)との境界、Koskun Falls(コスカン滝)には両陣営とも見張りを置き警戒している。ただし、エロンの配下には男爵とも契約している者が多く、男爵の方が一枚上手といえる。
- レヴェカ
- Wizards' School(魔術学院)の長レヴェカ/Revekaは政治家である。センギア男爵に限らず、各勢力と均衡を保った付き合いをしている。だが、魔術学院の学徒の中にも男爵の魔手は伸び、闇の力に堕落しかけている者がいる。
- チャンドラーとジョーヴン
- チャンドラー/Chandlerとジョーヴン/Joven、この二人組の泥棒は盗品のアーティファクトを競売にかけている。それを最高値で競り落とす謎の人物はセンギア男爵である。
- ハリナ
- ドワーフの交易商人、Halina(ハリナ)は一族の遺産や宝石を入手するためセンギア男爵と取り引きし、収集した情報を売りつけている。
- アイゼンとアン=ハヴァ
- アイゼン/Aysenとアン=ハヴァ/An-Havvaは絶え間なく男爵の脅威にさらされている。男爵の下僕にさらわれた住民は男爵領の領民とされ、辺境の村々はたびたび吸血鬼などの襲撃者に襲われ、町や村に紛れて暮らす男爵の手下も決して少なくはない。現在、アイゼンへの直接攻撃を停止した男爵は代わりに密偵を放ち、民衆を内乱へと扇動している。
経歴
遥か古代、ドミナリア/Dominariaの男爵家に生まれる。
少年時代に父親が死亡した際、吸血鬼として生まれ変わり男爵の地位を世襲した。
プレインズウォーカーたちに同伴し様々な次元を渡り歩き戦い、多くの次元に血脈を残した。
ホームランドの暦で第12世代期(3420AR頃)、New Freedom(新自由国)のドワーフが建設している城近くの沼地に召喚されるが、主人のプレインズウォーカーが決闘に敗れたため、ウルグローサに取り残されてしまう。男爵はAn-Zerrin(アン=ゼリン)と新自由国を攻め滅ぼし、住人を下僕のアンデッドとする。このとき、ドワーフの王女イリニは男爵の義理の娘に、ドワーフの城はセンギア城に変わった。その後、セラがウルグローサに現れてアイゼンをまとめる。
第17世代期(3520AR頃)、男爵はアイゼンに対し吸血鬼やその他のクリーチャーによる襲撃を開始する。目的はアイゼンの征服でなく、住人に恐怖心を植え付け、社会道徳を腐敗させることにある。この襲撃は第29世代期まで続く。
第19世代期(3560AR頃)、フェロッズの到来。プレインズウォーカーの存在を察知した男爵は、計画遂行への潜在的な危険を減らすため、フェロッズを城に招いて交渉するも懐柔に失敗する。
第20世代期(3580AR頃)、フェロッズの封印/Feroz's Banが作られる。
第22世代期(3620AR頃)、エロンがセンギア城から暗黒の呪文書(Dark Tome)を盗み出し不死者となる。男爵はその報復にエロンの雇い主Bernatheen(バーナシーン)を消滅させる。
第29世代期(3760AR頃)、聖騎士イーサンのセンギア城訪問。男爵はイーサンを騙してくぐつの影の騎士に変える。また、男爵はアイゼン攻略の方針を転換し、配下の吸血鬼による散発的な攻撃を中止する。宿敵を失ったアイゼン社会の自滅が始まる。
第30世代期(3780AR頃)、フェロッズが事故死。同時にフェロッズの封印の弱体化が始まり、悲しみに沈むセラはウルグローサを去る。
第31世代期(3800AR頃)、男爵の代理人は各国で暗躍し戦争の火種をまいている。
4500AR、センギア城上空にニコル・ボーラス/Nicol Bolasを追跡するレシュラック/Leshracが出現する(男爵は登場しないが居城と一族は健在)。
登場
登場カード
フレイバー・テキストに登場
- ホームランド
- An-Zerrin Ruins、アイゼンの官吏/Aysen Bureaucrats、一角獣の饗宴/Feast of the Unicorn、Grandmother Sengir、Rashka the Slayer、浅瀬の海賊/Reef Pirates
- 第5版
- 死の掌握/Deathgrip、堕天使/Fallen Angel、一角獣の饗宴/Feast of the Unicorn、生の躍動/Lifeforce、センギアの従臣/Sengir Autocrat
- 第6版
- 堕天使/Fallen Angel、一角獣の饗宴/Feast of the Unicorn
- 基本セット2011、基本セット2012、基本セット2013、基本セット2014
- 不死の霊薬/Elixir of Immortality
イラストに登場
登場作品・登場記事
- Homelands:The Making of a Magic Expansion(Duelist7号の記事)
- Eron the Relentless(Duelist8号の記事)
- From the Library of Leng
- Autumn Willow, Caretaker of the Wood(Duelist9号の記事)
- Baron Sengir, Immortal Gentleman and Politician(Duelist10号の記事)
- Homelands on the World of MAGIC:the Gathering(コミック版ホームランド)
- Song for the Plague Rats(The Secrets of Magicの短編)
- The Royal Bloodline(公式サイトの記事)
- The Known Mutliverse(公式サイトの記事)
- Legends of Dominaria/ドミナリアの伝説たち(センギアの純血、カザロフ/Kazarov, Sengir Purebloodの設定で言及)
- The Art of Magic: the Gathering Dominaria(カザロフとセンギア一族の設定に関連して言及)
- Magic: the Gathering Dominaria Concepts & Legends(ドミナリア起源と記載された)
- The Legendary Characters of Commander Legends, Part 1/『統率者レジェンズ』の伝説たち その1(Card Preview 2020年10月30日 Ari Zirulnik and Ethan Fleischer著)
訳語
「Baron Sengir」は第5版の死の掌握/Deathgrip、堕天使/Fallen Angel、生の躍動/Lifeforce、センギアの従臣/Sengir Autocrat、および基本セット2011の不死の霊薬/Elixir of Immortalityのフレイバー・テキストで「センギア男爵」と訳されている。また、「the baron」の形では一角獣の饗宴/Feast of the Unicornで「男爵」と訳されている。第6版の堕天使と一角獣の饗宴でも同じ。
脚注
- ↑ Interview With Some Vampires(Making Magic 2006年2月13日 Mark Rosewater著)
- ↑ Fortune Favors the Bold(Feature 2007年12月3日 Michael G. Ryan著)
- ↑ Uncon 2003 Prize Sketches/同Internet Archive(画像あり)(Arcana 2003年9月18日 WotC著)
- ↑ Unhinged Loves Pete Venters/同Internet Archive(画像あり)(Arcana 2004年11月16日 WotC著)
- ↑ Vorthos Visits a Travel Agent(Feature 2007年5月3日 Matt Cavotta著)
- ↑ A Tasty Buffet of -1/-1 Counters(Feature 2008年5月14日 Doug Beyer著)