アカデミー/Academy
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アカデミー/Academyは、ウルザ/Urzaがファイレクシア/Phyrexiaの侵掠に備える研究を行い、人材を育てるために、トレイリア/Tolaria南海の孤島に作った魔法学院である。
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開校への経緯
コイロスの洞窟/Caves of Koilosにおけるファイレクシアの法務官/Praetorギックス/Gixとの戦い、ザンチャ/Xantchaとの死別の後。ザンチャとの旅で得たあらゆる情報から、いつの日かファイレクシアの侵略が起きるとして確信しているウルザは、ドミナリア/Dominaria防衛のための準備行動を本格的に開始する。3,000年以上前のかつて、ウルザ自身が起こした兄弟戦争/Brothers' Warによって招かれた、ドミナリアそのもの犠牲にした多大な過ちと反省を教訓に、ウルザは別な角度からの戦争準備を行うことにする。
ウルザはドミナリア/Dominaria中の各地から、魔法やアーティファクト作成に関する優れた才能や、秘めたる素質を持つ子供たちを多数スカウトした。ウルザが力のある大人の魔術師やアーティファクト技師ではなく、幼い子供たちをスカウトした理由は2つある。
- 1つ目の理由は、ザンチャがその身を持って教えてくれた情報、潜伏工作員/Sleeper Agent対策のためだ。ザンチャとの多元宇宙/Multiverseの最中、ウルザは幾度となくファイレクシア軍の追手に襲われた。ファイレクシアはウルザの命を狙っている。ファイレクシアの禍々しい、異形の姿をした機械の兵隊たちが相手ならば、視認次第、即撃退すればよい。だがもし、生身の人間とまったく同じ姿形、外見をしている潜伏工作員が相手となれば、その者が人の皮をかぶった悪魔のファイレクシア人だと断定出来る時まで、その者の接近を許してしまうことになる。このことを警戒したウルザは、ファイレクシア人スパイへの対策として、大人の協力者よりも子供たちを選んだ。子供たちの日々成長する肉体が機械となじまないため、ファイレクシア人には子供の姿をした潜伏工作員を作り出すことが出来ないからである。
- 2つ目の理由は、単純に、ウルザが他者、特に大人のことをあまり信用しない人間になっていたからである。兄弟戦争やザンチャとの旅、3,000年以上を生き、様々な世界で様々経験をしたウルザの人生において、裏切りや罠にあったことは数しれなかった。彼らがウルザを騙し、ウソをつき、手のひらを返した理由や動機は色々あったが、そのほとんどは彼らの都合によるケースばかりであった。権力のため、金のため、我欲のため、ウルザのことを信用出来ないためなど、様々な裏切りを経験をしたウルザは、それに加えてもともと幼少時代からの人付きあいが苦手な性格もあいまって、他者、特に大人を心の底から信用するということをあまりしなくなっていた。そのためウルザは大人の協力者よりも無邪気で、純粋で、学ぶことへの好奇心に満ちている幼い子供たちを選び、彼らを導くことにした。(※ちなみに、ウルザはこのアカデミーにおいても後に"とある大人"に裏切りにあうことになる。詳細は下記に記す。)
高度な魔法を習得し、ウルザに欠けている"他者と接する才能"に長けた魔術師バリン/Barrinを彼の右腕として、ウルザはバリンとともに、トレイリアの南海の孤島に基地となる研究施設、兼、魔法学院『トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy』を創立した。AR3,285年の出来事である。
教員関係者と学院の校風
学院の教員たちや研究員たちを始め、学院を警備する兵たちや、島に生活物資を運ぶ船乗りたちなど、学院に関係する者たちはみな、バリン自らが慎重に面接を行った信用のおける者ばかりで固められた。言うまでもなく、ファイレクシア人スパイの侵入を防ぐためである。バリンの妻である事務局長のレイン/Rayneたちや、学院創設者の一人であるバリン自らが教鞭を取り、多くの生徒たちを指導した。学院で行われた授業の内容は、魔法やアーティファクトに関することが主で、クリーチャーの召喚実習もたびたび行われた。ただ、そうして行われる授業や学生たちの生活は、万事が万事平穏無事の順調な日々というワケではなかった。生徒たちに見せて教える授業は、たいてい生徒たちが逃げて隠れる騒ぎとなり、生徒が自分の手に余る獣を召喚してしまうも失敗あった。危うく同級生を吹き飛ばしてしまうところだった生徒もいれば、 召喚の魔術を覚えた者の中にさえ、召喚したビーブルによる「ビーブル爆弾」で新入生を歓迎する悪ふざけをする上級生もいたし、 学んだアーティファクト作成技術をくだらないオモチャ作りに使う生徒もいた。だが、そうした問題児/Disruptive Studentたちのオイタや失敗がどれだけ重なろうとも、ウルザは生徒たちのことを優しく見守った。
書物は補充できるが、優秀な生徒はかけがえがないんだ。長い目でみてやってくれ。― -ウルザからバリンへ-
バリンたちの厳しくも穏やかな教育方針と、自由奔放な校風の下、生徒たちは教師たちの教えをよく学び、学んだことを応用してよく遊んだ。しかし、普段は無邪気な生徒たちでも、流石に試験が近づけば真剣な雰囲気で勉学に励んだ。なぜなら試験の失敗、つまり魔法の失敗やアーティファクトの失敗作は、怪我や事故を招くどころか、下手をすると自身の命を失う結果に繋がるからだ。扱う魔法やアーティファクトがより高度なものであればあるほど、生徒たちは真剣に勉学に取り組んだ。ちなみに消火/Douseのフレイバー・テキストによると、学院の大切な書物庫である図書館には、流石に防火の呪文をかけているようだ。魔法やアーティファクトの作成技術を未熟な生徒たちが実習することは、常に危険と隣り合わせなのである。
銀のゴーレム、カーンの誕生
解決はいつか見つかるさ。― ウルザ(出典:調律/Attunement)
あれは何ヶ月も一人で仕事場にこもっていた。やっと出てきたとき、ニコニコ顔で興奮して喋るんだ。答えが見つかったんだとすぐわかったよ。― 練達の魔術師バリン(出典:好機/Opportunity)
ウルザはこの島でマルズラと名乗り、歴史改変を行うための"時間逆行実験"を重ねていた。時間逆行実験の目的は2つ。1つは、古代文明の担い手スラン/Thran人がファイレクシア人に変わるのを防ぎ、ファイレクシアそのものの存在を無かったことにしようというもの。そしてもう1つは、ファイレクシアと戦ったスラン人たちがどうやってファイレクシアの脅威をしりぞける事が出来たのか?その方法を知ろうというものだった。過去へ送り込まれる物質は時間移動の際、高熱と真空にさいなまれる。実験に百回も失敗したあと、ウルザは普通の銀が何の問題もなく門を通り抜けることを発見して驚いた。彼はすぐに銀製のゴーレムをデザインした。自立した思考と学習機能、感情さえも備えた銀製のゴーレムを完成させた。ゴーレムが完成した1時間あとには、最初の時間逆行実験が行われ、彼は自分が完成する瞬間を見学することになった。実験のたびに時間逆行装置は入念な点検・調整が行われ、次の機会には前回よりも1時間過去へゴーレムを送り込む。そのような慎重な形で研究は続けられていった。
200名ほどのアカデミーの生徒たちの中で、特に優秀な2名がゴーレムの友人となった。ゴーレムに最初に声をかけたのは、南方のジャムーラ/Jamuraa大陸にある軍事国家ザルファー/Zhalfir出身の少年テフェリー/Teferi。ウルザも認める才能を持ちながら、その才能の多くをイタズラに費やす問題児であった。もう1人は火山の多いシヴ/Shiv大陸の住人ギトゥ/Ghitu族出身、ゴーレムの設計を一部手伝ってくれた少女ジョイラ/Jhoiraだった。彼女は古代スラン語で『力(もしくは力強い)』という意味の『カーン/Karn』という言葉でゴーレムを呼びかけた。自立思考と感情を持ったゴーレムは、即座にそれを自分の名前として受け入れた。自分をまるで人間のように扱ってくれる心優しきジョイラは、カーンにとってすぐに1番の親友となった。
恐れていた潜伏工作員の襲撃と時間災害
カーンの設計を手伝ったことも含め、様々なアーティファクトの技術と知識に富んだひるいなき才能を見せたジョイラ。彼女は後に「練達の工匠(master artificer)」の称号をもらうほど、非常に優秀な少女であった。才女で心優しき性格のジョイラだったが、そんな彼女の抜きんでた天才ぶりは、彼女を他の生徒たちから浮いた存在にしてしまった。そんなある日、ジョイラは海岸で見つけた沈みゆく船から男を助け出す。男はジョイラにケリック/Kerrickと名乗った。テフェリーとカーン以外に友人らしい友人を持てなった少女ジョイラは、隔絶された絶海の孤島の外界からやってきたこの男にあこがれを抱いた。ジョイラはそのまま海岸の洞窟にケリックをかくまい、ケリックとの密会を続けていった。だが、ジョイラは知らなかった。このケリックという男の正体こそ、ウルザがその襲来を最も危険視していた者。人の姿をよそおった邪悪のファイレクシア人、潜伏工作員だったのだ。それから1年後、時間逆行実験で46時間前のアカデミーを訪れたカーンは、秘密の通路から夜間校内に潜入したケリックが、ファイレクシアの戦闘部隊を手引きするのを目撃する。過去から現実の時間に戻ったカーンは、ウルザに襲撃の警告をするが、既に校内はケリック率いるファイレクシアの抹殺者/Phyrexian Negator」(イラスト)の大部隊が虐殺を行う、むごたらしい血の海と化していた。抹殺者に切り刻まれた者たちはみな、見るも無残な姿へと変わっていた。千切れた四肢、引き裂かれた体、離れ離れになっている上半身と下半身(もしくは体の右半分と左半分)。カーンの眼前には、心優しき彼には耐えがたい、目を背けたくなるような残酷な光景が広がっていた。子どものものか、大人のものかの区別すら付かない肉塊がいたるところに散らばっている校内の中で、カーンは彼の大切な友人であるジョイラを見つけることが出来たが、時既に遅く、彼女もまた血の海の中で息絶えていた。バリンとテフェリーたちを含む生き残った生徒・職員たちが奮戦していたようだが、彼らもまた既にヒドイ重傷とともに追い詰められていた。やがて、深手を負ったバリンとテフェリーたちが危篤状態となるにおよび、ウルザはカーンへ再び過去へ行き、ケリックの計画を止めるよう命令した。急ぎ48時間前の過去の世界へと飛んだカーンはケリックの襲撃を妨害。歴史を変えることには成功する。が、帰還時間より前に現実の世界へと呼び戻される。カーンが実験室へと戻った直後、過負荷に耐えられなくなった時間機械(タイムマシーン)のある部屋からまばゆい閃光が広がっていった。時間と空間の接点と境界がねじ切れハジけた時限震と、それに伴う大爆発が起こったのだ。(イラスト)。大爆発の影響はトレイリア島全体におよんだ。死亡者・行方不明者の総数は全生徒、全職員、全研究員の八割を超えた。虐殺という惨劇の歴史こそ変わったものの、その代償は『時間災害』というあまりにも大きなものとなった。
時の流れが中断した。河が氾濫するように、土手からあふれ出てしまった。トレイリアは瞬時に水中に沈み、時は無限に広がっていった。(出典:隔離/Sunder)
時間災害から10年後、トレイリアに戻ったウルザとバリンはアカデミーの再建/Rebuild(イラスト)を始める。トレイリア島のあちこちには、次官災害の影響によって生まれた、時間の流れが現実世界とは異なる領域、『異なる時間の流れの泡』(イラスト )が出現していた。ある「異なる時間の流れの泡」の中では時間の流れが遅く、別の「異なる時間の流れの泡」の中では逆の現象が起きていた。幾人もの者たちや学院の図書館など、時の彼方に永久に閉じ込められてしまったものもいたが、一方で、行方不明になった者たちの何割かは、「異なる時間の流れの泡」からの救助に成功した。テフェリーもジョイラによって、そうした泡の中から救助された者の一人(イラスト)だ。しかし、テフェリーが囚われていた「異なる時間の流れの泡」は、現実の時間の流れよりも早い流れの泡だったらしい。現実世界で10年ほどの時間の間、テフェリーは数十年間もの時をその泡の中で過ごしていた。一方、谷の奥底にできていた「異なる時間の流れの泡」の中には、ケリックとファイレクシアの戦闘部隊が囚われていた(イラスト)。ケリックは自分たちが囚われている領域を”帝国”と称した。ケリックたちファイレクシアの戦闘部隊は、彼らがいる”時間の流れの速い帝国”の中で、自分たちの身体に改造を重ねながら、復讐の機会を”ゆっくりと”うかがうことにした。
マナ・リグとヤヴィマヤの森
時間逆行計画をあきらめたウルザは、ドミナリア各地に点在するスラン文明の遺跡を調べることにした。時間逆行による目的の1つ、「古代スラン人がファイレクシア人に変わる歴史を変える」という歴史改変は不可能になったが、もう1つの目的である「スラン文明がどうやってファイレクシアの侵略を退けたのか、その方法のヒントやファイレクシア攻略の手がかりを見つける」という目的を、現代のドミナリア各地に点在するスラン文明の遺跡から見つけ出すためだ。ウルザはジョイラの故郷シヴ大陸に残る、マナ・リグという施設に目を付ける。ダイヤモンドよりも固いスラン鋼を生産出来るこの施設は、トカゲ人間ヴィーアシーノ族の聖地となっていた。ヴィーアシーノ族はマナ・リグをめぐってゴブリンの3つの部族、そして巨大な雌のドラゴン・ゲーリデアリガズとも争っていた。ゴブリンたちにとってもマナ・リグは聖地であり、ゲーリデアリガズはヴィーアシーノたちの勇者として迎えられていた彼女の息子、ラミデアリガズを取り戻すことを願っていた。ウルザの命令でマナ・リグの調査を行っていたテフェリーとジョイラは、最深部でアーティファクトの動力として欠かせない、スラン製マナ・クリスタルの製造施設を発見した。その施設は設計段階からゴブリンが操作することを前提として設計されていたことを知ったウルザは、ヴィーアシーノ、ゴブリン、ドラゴンたちの争いを調停し、スラン製マナ・クリスタルの大量生産に着手した。
スラン鋼とクリスタルの入手が容易になったことで、再建したアカデミーとトレイリア島全体の防衛状況もいくらか好転した。トレイリアにはファイレクシアの戦闘部隊が谷底にある時間の泡の外部に現れるようになっていたが、それを遥かに上回るアーティファクト・クリーチャーの大部隊が島中の哨戒・警備を行っていた。この頃からウルザは、ファイレクシアの本格的な侵攻に備える反攻用兵器の構想実現に着手する。音速を越えて飛行し、敵の船や司令部に大打撃を与えられる兵器。強力過ぎるエネルギーがファイレクシアに感知されることのなきよう、侵攻の日までは完成されず、監視の目をすり抜けられるような兵器。ウルザはこの発想をさらに飛躍させて行き、生きている飛行船・成長する兵器『レガシー/Legacy』というアイディアにたどり着く。ウルザはその飛行船の船体を求め、テリシア大陸南部のヤヴィマヤ/Yavimayaの森に向かう。
ヤヴィマヤの森は、森そのものが意志を持ち、思考する神秘の森だった。ウルザはそのヤヴィマヤの森を意志を体現する精霊ムルタニ/Multaniと出会う。森とムルタニは3,000年前の昔、ドミナリアを犠牲にし、アルゴス/Argothの森を滅ぼし、異常気象と氷河期をもたらしたウルザのことを快く思っていなかった。森とムルタニは、アルゴスが体験したウルザによる破壊を彼に霊的に体験させる。逆に、森はウルザが3,000年の間に体験したファイレクシアの脅威と、彼のファイレクシアからドミナリアを救いたいという思いに対して目を向け、それを霊的に感じ取った。ウルザと森の霊的な交流は5年間続いた。神秘なるヤヴィマヤの森との霊的な交流は、ウルザの心を心の奥底から抱擁した。ウルザのありし日の辛い思い出も罪悪感も孤独も恐怖も悲しみも・・・・ありとあらゆる全てを・・・。そのおかげで、ウルザは失った正気を取り戻すことが出来た。ウルザの深い後悔と反省を知り、彼の心からファイレクシアの恐るべき脅威を知った森とムルタニは、ウルザとの同盟を受け入れた。
ケリックの逆襲とウェザーライト号飛翔
現実世界の時間で数年間、ウルザたちがトレイリアを離れていた間、ケリックたちファイレクシアの部隊が潜む「異なる時間の泡の中」では、数百年に相当する時間が経過していた。何十世代に及ぶ進化・改良を経て、自らの肉体を強化させ続けたファイレクシアの軍勢は、時間の泡からアカデミーへの進撃を開始した。トレイリアにはバリン率いる優秀な魔道士の教員たち、そしてアカデミーを守るアーティファクト・クリーチャーの大部隊が残っていた。だが、バリンたちは次第に、自分たちがケリック率いるファイレクシアの軍勢に追い詰められていくのを感じた。アカデミーは緊急事態を告げ、帰還を促す信号をウルザに送った。しかし、その信号への応答がまったくなかったため、既にウルザは死んでいるのではないかと考えるものも出始めた。
ウルザたちが残していったアーティファクト・クリーチャーの護衛部隊は、自分たちが壊されることも顧みずにファイレクシアの軍勢と勇敢に立ち向かい、その身を挺してともに戦うバリン達を守りながら奮闘した。だが、戦闘力で勝るファイレクシアの軍勢にとの激しい攻防により、徐々に徐々にとその数を減らしていった。次々と倒れていく仲間たちの姿に、やがて誰もが全滅を覚悟した。その時、前触れもなしにトレイリア島に帰還したウルザが、次々と増援を引き連れて来た。シヴからは、スラン鋼で出来た武具を佩き、過酷な環境で鍛えられたジョイラやテフェリーを始めとするアカデミーの優秀な学生たち、カーンとヴィーアシーノ族、ゴブリンの戦士たち、そして大空を翔けるゲーリデアリガズとラミデアリガズの2頭の親子ドラゴンからなる連合軍。ヤヴィマヤの森からはムルタニを筆頭とした森のものたちが現れ、トレイリアの森に潜んでいたファイレクシア軍を借り出していった。ほどなくして、ケリック率いるファイレクシア人たちは、彼を含めてトレイリア島からほとんど駆逐された。”帝国”の中で、何百年異常にも及ぶ長い準備期間と執念の末に起こしたケリックの逆襲劇は、ここに幕を閉じたのだった。戦いに勝利した連合軍はそろって歓喜の声を上げ、ウルザは彼らの栄誉を称えた。ウルザたちの連合軍が、どうしてトレイリア島の救援に間に合ったのか?それはシヴとヤヴィマヤからの贈り物、兄弟戦争以前からヤヴィマヤに息づく樹々の種と、スラン文明の叡智が生んだスラン鋼。それらが一つに融合した船、ウルザが設計した飛翔艦ウェザーライト/Skyship Weatherlight号のおかげだった。ウェザーライト号はバリンたちや連合具軍が見上げる空の中、2頭の親子ドラゴン、ゲーリデアリガズ・ラミデアリガズらとともに、悠々とその輝かしい船体を浮かべていた。
人造兵士と血統計画
アカデミーの者たちによるウェザーライト号の儀装が進むトレイリアを、テフェリーが去ろうとしていた。彼は彼の故郷であるジャムーラ大陸が戦争に見舞われたことを知り、救援に駆けつけることにしたのだ。テフェリーは、先のアカデミー・シヴ・ムルタニの連合軍とファイレクシ軍との戦いで使われた、トレイリア島のアーティファクト・クリーチャーの残存部隊と、その戦いの後に生産された新たなの戦力の半数を借り受けると、急ぎ、ジャムーラ大陸へ戻っていった。まもなくしてアカデミーでの儀装が完成したウェザーライト号もまた、トレイリアから飛び立った。セラの世界を救うためである。