吸血鬼/Vampire
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吸血鬼/Vampireは、吸血を行う人型種族。様々な次元/Planeに棲息する。
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解説
人間によく似た外見と、人間や他の生物の血を吸う性質は共通しているが、その他の設定は様々。伝承や創作における伝統的な吸血鬼のイメージを踏襲している部分もあれば、マジック独自の味付けがなされている部分もある。
ウルグローサ
ウルグローサ/Ulgrothaでは、センギア男爵/Baron Sengirを始祖とするセンギア/Sengir一族が存在している。
ミラディン
ミラディン/Mirrodinの吸血鬼は、この次元の他の生物同様、マイコシンス/Mycosynthの胞子の影響で肉体が部分的に金属化している。特に両手の第3指と第4指は長く伸びた管になっており、これを獲物に突き刺して血を吸う。吸われた血液は、体内の導管組織を通して身体中に行き渡る。
黒の人間種族、モリオック/Moriokが変化したものであり、屍賊/Nimになるくらいならと吸血鬼になる道を選ぶモリオックの数は増加傾向にある。ファイレクシア/Phyrexia侵攻の時代には、メムナーク/Memnarch支配の時代よりも多くの吸血鬼が見られる。
レイ=グーア/Rey-Goor(メフィドロス/Mephidrossと絡み森/The Tangleの境界地域)からやってきた吸血鬼たちは冷たき集い/Bleak Covenと呼ばれる戦士と暗殺者の傭兵集団を結成している。彼らが求める報酬は依頼人の最も強い従僕の肉体と魂であり、それをきちんと支払った者は当然身を守る術が弱くなるため、彼らに加わるか、武器の燃料となるかを選ばなくてはならない。
ラヴニカ
ラヴニカ/Ravnicaの吸血鬼は、都市次元に適応して生活している。建造物や地下通路の多いこの次元では、日光という弱点もさほど気にならないようだ。
ギルド/Guildではディミーア家/House Dimirとオルゾフ組/The Orzhov Syndicateに属しており、血液以外にそれぞれ情報と金銭を搾取している。
ゼンディカー
ゼンディカー/Zendikarの吸血鬼は、人間やマーフォーク/Merfolkの血液に含まれるエネルギー(恐怖や痛みを感じた時に高まる)を食糧とする危険な種族。血液や鉱物で肌にペイントを施し、革の衣服や巨大な昆虫の殻を身に纏う。平均寿命はおよそ200歳。
外見上の特徴として、両肩に湾曲した角が生えていることが挙げられる。これは遠い昔、エルドラージ/Eldraziの血族が吸血鬼を隷属下に置いたとき、奴隷を支配するのに便利な「取っ手」を設けるべく、肉体構造を変化させたものである。
吸血鬼の始祖である血の長/Bloodchiefが他の生物から十分な量の血液を吸い出したとき、その肉体は吸血鬼となる。吸血鬼にはそれを作り出した血の長の嗜好や情熱が反映され、同じ血の長から生まれた吸血鬼たちは一族/Familyと呼ばれる社会集団を結成する。なお、これは血の長のみが成し得る業であり、その他の吸血鬼が獲物の血を飲み干した場合、対象の肉体は虚身/Nullと呼ばれる顔のないゾンビになる。
吸血鬼はほとんどの大陸ではひっそりと暮らしているが、故郷であるグール・ドラズ/Guul Draz大陸では公然と生活している。大都市マラキール/Malakirは5人の血の長とその一族によって支配され、5つの地区にはそれぞれ一族の名前が付けられている(ニルカーナ/Nirkana、カラストリア/Kalastria、エメヴェラ/Emevera、ウルナーフ/Urnaav、ゲト/Ghet)。
後にエルドラージが解き放たれると、ある者は再び隷属に落ち、またある者は自由のために他種族と協力してエルドラージと戦った。
血の長以外の吸血鬼が同族を増やせないため、ゼンディカーの吸血鬼にとって血の長の死は取り返しのつかない事態であり、血の長が死滅すれば吸血鬼種族全体が滅びることになる。エルドラージとの戦争が終結したとき、正気のまま生き残った血の長はカラストリア一族のドラーナ/Dranaのみであった。それ以来、吸血鬼達は種族の生き残りをかけて、新たな血の長を生み出す術を探している。
イニストラード
イニストラード/Innistradの吸血鬼は、この次元に多数存在する怪物の1種であり、人間にとっての最大の脅威。
特徴
種族としての力は不老、高い筋力、沈黙のオーラを発する能力のみ。寿命で死ぬことはないが不死ではなく、あらゆる武器で傷つけられ、死に得る。しかし多くの吸血鬼は自分の外見への認識を歪める魔法を使うことができ、黒い強膜(白目)と金や銀の虹彩、青白い肌、わずかに突き出した犬歯といった肉体的特徴を持つのにも関わらず、人間たちの中を歩いても気づかれることはない。
血を食糧とし、十分な量の血を飲まなければ飢えて死に至る(月が1周する間に人間1人分の血が必要)。生きた人間の血のみがその飢えを満たし、他の生物の血や死んだ人間の血は意味を成さない。人間に噛みついて直接血を吸う(基本的に失血死するまで飲む)こともあるし、取り出した血をブレンドし、互いに取引することもある。
- イニストラードがゴシック・ホラーの世界観を取り入れた次元であることから、一般的な吸血鬼のイメージを下敷きにした設定が多く見られる。
一般的な吸血鬼のイメージ | イニストラードの吸血鬼 |
---|---|
銀の武器以外では死なない。 | どんな武器でも死ぬが、銀の武器は特に苦手とする。 |
胸に杭を打ち込まないと死なない。 | どんな武器でも死ぬが、生木の杭は特に苦手とする。 |
十字架に弱い。 | アヴァシン/Avacynの聖印によって退けられる。 |
聖水に弱い。 | アヴァシンの触れた水は身体を酸のように焼く。 |
ニンニクに弱い。 | ニンニクやそれに相当する植物に弱いということはない。 |
鏡に映らない。 | 鏡(銀)に映るが、それは人間であった頃の定命の姿である。 |
流水を渡ることができない。 | 銀の月が映る流水を渡ることができない。 |
文化
吸血鬼たちは快楽主義的で自堕落的である。上記の食事に加えて衣服や芸術など、様々な娯楽を愛する。貴族的な社交文化も発達しており、恋愛やパーティーといったものを好むだけでなく、他の吸血鬼の恋愛関係や敵対関係のゴシップもまた楽しみの1つとなっている。
- 吸血鬼の王/女王の謁見/Court of the Vampire King/Queen
- オリヴィア・ヴォルダーレン/Olivia Voldarenが発案した催し物。吸血鬼の王/King of the Vampiresもしくは吸血鬼の女王/Queen of the Vampiresとなる一人の人間を決め、その者を誘拐して大きな地所や城に運び込む。すっかり怯えきった王/女王は最高の食べ物と飲み物を振る舞われ、芝居がかった嘆願を受ける。吸血鬼たちは王/女王のどんな命令にも従う――その「王位」から退きたいというものを除いて。3日間続くこの催しは、最後に王/女王を殺し、その血を参加者全員で飲むことで幕を閉じる。
種の発祥と存続
数千年前、錬金術師エドガー・マルコフ/Edgar Markovが行った血魔術の儀式により、血液を食糧とすることで不老の力を持つようになった人間が、この次元の最初の吸血鬼である。
その後は人間を仲間に引き入れることで数を増やしてきた。人間を吸血鬼化する方法は吸血鬼の血を対象に流し込むこと。具体的にはまず口の中に傷をつけて吸血し、対象が血の渇きを感じるようになったら自分の血を飲ませることでこれを成し遂げる。この際、選ばれるのは才能、美貌、カリスマ性など何らかの点で秀でた素質を持つ人間である。
最初に生まれた12の血統の中で、現在も続いているものは9つ。このうち4つが特に大きな血統となっている。
- マルコフ/Markov
- 始祖はエドガー・マルコフ。一族の拡大の野心に溢れる血統で、イニストラードの4州全域に存在している。古老たちは精神魔法に長ける。
- ファルケンラス/Falkenrath
- 始祖は名のある鷹匠で、故人。安全な人間社会の奥深くから犠牲者を出すことを好む。古老たちは飛行の力に長ける。
- ヴォルダーレン/Voldaren
- 始祖はオリヴィア・ヴォルダーレン/Olivia Voldaren。人里離れた辺境の地で暮らす傾向にある。古老たちは動物に変身する魔法に長ける。
- ストロムカーク/Stromkirk
- 始祖は流城のルノ/Runo Stromkirk。ステンシア/Stensiaの権力争いを避け、ネファリア/Nephaliaで繁栄した。古老たちは霧に変身する魔法に長ける。
- カード名やフレイバー・テキストでの日本語訳は流城となっている。誤訳/名訳#誤訳の可能性があるものも参照。
その他、「下位の」血統として以下のものが確認されている。
- マウアー/Maurer
- 始祖はストレイファン・マウアー/Strefan Maurer。ステンシアの辺境の谷に領地を持つ。
- ダムナティ/Domnathi
- 始祖はヘンリカ・ダムナティ/Henrika Domnathi。デーモン/Demonと取引することでその血を手に入れ、強力な魔法を振るう。その危険性から四大血統からは粛清の対象とされてきた。
カラデシュ
カラデシュ/Kaladeshでは霊基体の中でも極めて短い寿命を永らえることのできる者を便宜上吸血鬼としており、カラデシュの吸血鬼は霊基体との複合クリーチャー・タイプである。カラデシュの吸血鬼は全員が吸血鬼としての欲求に忠実であるわけではなく、道徳心や他者への共感からその行使をためらう者もいる。
イクサラン
イクサラン/Ixalanの吸血鬼は大半が薄暮の軍団/The Legion of Duskと呼ばれる征服軍に属しており、東方のトレゾン/Torrezon大陸を支配する王家と教会に忠誠を誓っている。
数百年前、かつて不滅の太陽/The Immortal Sunと共にあった修道女エレンダ/Elendaが種の起源。不死と繁栄をもたらしたエレンダが聖人として崇められる一方で、その吸血衝動は罪深く忌むべきものとされる。彼らは生活の中で断血/Blood Fastと呼ばれる苦行を行って罪を濯ぎ、最終的にはイクサラン大陸のどこかに眠ると言われる不滅の太陽を取り戻し、血を必要としない真の不老不死を実現しようとしている。
- 大航海時代のヨーロッパ人(特にスペインやポルトガル)の征服者がモチーフとなっており、教会への忠誠心や高度に組織された戦略が白を含むことで表現されている。
関連ページ
- ミラディン
- Everything* Dies/あらゆるもの(※)は死ぬ(Savor the Flavor 2010年12月15日 Doug Beyer著)
- Six Secrets Behind the Sets/舞台裏の六つの秘密(Savor the Flavor 2011年3月16日 Doug Beyer著)
- ゼンディカー
- The Races of Zendikar/ゼンディカーの種族(ゼンディカー・ミニサイト)
- A Planeswalker's Guide to Zendikar/ゼンディカーの次元渡り方(Savor the Flavor 2009年9月9日 Magic Creative Team著)
- A Planeswalker's Guide to Zendikar: Guul Draz(Savor the Flavor 2009年10月21日 Magic Creative Team著)
- The Eldrazi Arisen(Feature Article 2010年3月29日 Doug Beyer著)
- イニストラード
- A Planeswalker's Guide to Innistrad: Stensia and Vampires/プレインズウォーカーのためのイニストラード案内 ステンシアと吸血鬼(Savor the Flavor 2011年11月2日 Magic Creative Team著)
- Sorin's Homecoming/ソリンの帰郷(Savor the Flavor 2012年1月11日 Doug Beyer著)
- Inboxing Day: Dark Ascension/闇の隆盛 受信メールボックスの日(Savor the Flavor 2012年2月1日 Doug Beyer著)
- The Legends of Innistrad: Crimson Vow/『イニストラード:真紅の契り』の伝説たち(Feature 2021年11月12日 Doug Beyer, Ari Zirulnik, and Grace Fong著)