オリジナルカード
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オリジナルカードは、ユーザーが考案したマジック:ザ・ギャザリングのカードを指す日本の呼称。ユーザーによる自作カード。略称オリカ。
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解説
オリジナルカードといっても、「ちょっとした思いつきなど雑談レベルで作られるもの」から「ルールの正確性やカードパワーの調整まで作り込む硬派なもの」まで程度は様々である。ファンサイトやコミュニティの中には、オリジナルカードの協同制作やコンペティションを開いているところも少なくない。ゲームぎゃざやマナバーンにおいても、テーマに沿ったオリジナルカードのコンテストのコーナーが存在した時期がある。
カードの自作は1枚のカードにとどまらず、数十枚あるいは、セットやエキスパンションを丸ごと作り上げる域に達する場合もある。(⇒The Great Designer Search本戦)
制作
オリジナルカードの制作は、製品版と同じように大きく2通りに分けられる。つまり、ルールやメカニズムから作る方向性(ボルト&ナット型)とテーマやイメージから作る方向性(トップダウン型)である。実際にはどちらか一方だけで進むのではなく、2つの視点を行きつ戻りつしながら、カードの内容は詰められてことになるだろう。
単純に、カード名やイラスト、用語を差し替えて雰囲気を出すやり方もある。仮に、即興ででっち上げたようなカードでも上記2つの方向性(特にテーマやイメージ面)に沿って制作されている。
分類
オリジナルカードは以下のように大ざっぱに分けることができる。複数に当てはまる場合もある。
- ストーリーの拡張
- ストーリーや背景設定に登場するがカード化されていないキャラクターや場所、魔法、物品を自作する。
- 並行世界や別の歴史の流れ(「もしも…だったら」など)、あるいは公式ストーリーの続編・番外編などの創作カード。
- マジック外のカード化
- 現代世界や歴史、神話、小説、映画、コミック、他のゲーム作品などをモチーフにして、マジックのカードの形に落とし込む。
- 独自の世界観
- マジックのルールを利用して、独自に設定した世界やキャラクターをカードに落とし込む。
- プレイ環境の拡張
- 既存の環境におけるバランス軸をずらしたり、一新させるカードを制作する。
- 目的や方向性は様々(例:変則フォーマットで使えるカードを自作したい。「もっと強いカードが使いたい、既存の強カードをデッキに8枚入れたい」などの欲求から異名同機能カードを作る。どんな色でも(アーティファクト以外で)なんでもできる環境にしたい。強力すぎるパワーカードを禁止して代替カードをローカル環境で導入したい。史上最弱(最強)カードを作る)。
呼び方
「オリジナルカード」という呼び方は、公式のカードに対して、一般ユーザーによる非公式の「独自の、独創的な(Original)」カードくらいの意味合い。しかし、「オリジナル」は「本家の」という意味に取られるおそれがあるため、海外ではOriginal Cardsとは言わず、Custom CardsやHomemade Cards、Virtual Cards、Fantasy Cardsなどと表現し、日本語でもこれを考慮し「自作カード」「同人カード」などと称することもある。
また、ユーザーによる自作エキスパンションやセットの場合はオリジナル・エキスパンション、オリジナル・セットなどと呼ぶ。
オリジナルカードとコミュニティ
オリジナルカードは公式製品ではないための問題を含んでいる。ルール的な正確性や、既製品と混ぜて遊ぶ際の環境への影響、カードパワーの強弱バランスなどは、必ずしも公式製品の水準には達していない。それらを発端として生じる問題は全て、自作カードを受け入れるコミュニティ内の問題である。
当然ながら、外部ではコミュニティのローカルルールが通用するとは限らないし、説明無しに了承されることばかりではないだろう。コミュニティ外にオリジナルカードを持ち出す際には、空気を読むことが肝であり、周囲と協調する配慮を心がけなければならない。例えば、正確性を追求してクォリティを高めるやり方もあるし、コミュニティの姿勢を公に掲示して理解を得る方法もある。正解はない。
傾向としては、公式マジックの枠から離れれば離れるほど、外部が示す反動は大きく、否定的になりがちのようだ。ただし、公式マジックをどれほど逸脱しようと、コミュニティ内でトラブルがなく受け入れられているならば、適正なオリジナルカードといえる。
一例を挙げると、意識的でなくともコミュニティでローカル用語が定義されていることがある。「クリーチャーに2ダメージ」ならば「クリーチャー1体を対象とし、これはそれに2点のダメージを与える」と、「クリーチャーを殺す」を「クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それはこのターン、再生できない」などと読み替える、とそのコミュニティ内でコンセンサスが得られているならば、それはローカルな用語の定義が行われていることになり、支障はない。だが、外部では混乱の元になるのは間違いない。しかし、下記の例のような、マジックのルールをわかっていないと言われてしまうようなカードを出すべきではない。文法の省略程度なら推測で読めなくはないが、マジックのルールの逸脱をしている・不可解な動きをするカードは大抵のまともなコミュニティでは嫌われるだけだろう。アン・カードとして出すのならまた事情が異なる(それでもコミュニティ内でアン・カードを作ってもいいというコンセンサスを得ているべきである)が。このような評価をされるのを防ぐには、とにかくルールを精査して仕様通りに動くのを確認するしかないだろう。
不可解なテキストの例
- 「追加コストとしてあなたのライブラリーからこれと同名のカードを1枚探し追放する。その後あなたのライブラリーを切り直す。」
- 探したが見つからなかったと宣言ができる。呪文を唱える処理は巻き戻されるわけだが、おそらくライブラリーはシャッフルされるだろう。つまり悪用すれば完全なフリーシャッフル呪文になり替わりうる。
- 「オーラ1つを対象とする。それはターン終了時まで5/5のクリーチャーになる。それはエンチャントでもオーラでもある。」
- オーラがクリーチャー化すればエンチャントできなくなり外れる。そして何もついてないオーラであるため、墓地に置かれる。
- 「このカードはデッキに1枚しか入れられない。」
- リミテッド環境においてこのカードを2枚以上手に入れてしまった場合の考慮がされていない。
- 「あなたがライフを得る場合、代わりにその点数に等しいライフを失う。あなたがライフを失う場合、代わりにその点数に等しいライフを得る。」
- ライフを得た場合、まず前者の置換効果を適用しライフを失うことにする。ライフを失うことになったので、後者の置換効果を適用しライフを得ることにする。結果として何もしていない(もっとも他の置換効果が絡めばまた違った結果になるだろうが)。ライフを失った場合の処理も同様である。
- 「このクリーチャーが戦場に出たとき、このクリーチャーのコピー・トークンを1体戦場に出す。」
- そのコピートークンも「このクリーチャーが戦場に出たとき、このクリーチャーのコピー・トークンを1体戦場に出す。」という能力を持って戦場に出るため、永久に増殖し続ける。
その他
- ときには訴えられても文句の言えないような代物もある。特に画像のキャプチャー関係や同人としてのオリジナルセットの販売では、二、三問題が沸き起こった。著作権には十分気をつけること。
- インビテーショナルで優勝すると、自分のデザインしたオリジナルカードを製品化できる(もちろん開発段階で調整される)。→インビテーショナルカード