紙
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紙(Paper)とは植物などの繊維を薄く平らにした素材。マジックのカードは基本的に紙製であるが、紙製でないカードも存在する。カードゲームにおいては人気がない、価値が低いカードを示す俗語として使われる言葉でもある。
あるいは、Magic Onlineなどデジタルのカードと区別するために(「非デジタルのカード」という点を強調するために)使われる俗称でもある。紙のマジックのことをテーブルトップ(Tabletop)とも称する。
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紙製のカード
紙の欠点
カードに限らず紙文書や書物などの紙製品全般に言えることだが、非常に破れやすく、折れ曲がり変形しやすく、汚れやすく、熱や湿度に弱く、劣化しやすいという特徴がある。図書館では重要な書物は開架に置かれず、劣化を防ぐために一定の温度・湿度が保たれた書庫に保管されていることが多いが、紙のカードも同様に、劣化を防ごうとするならその取り扱いには気を使う必要がある。
マジックのカードは手に取って遊ぶために作られているためそう易々と破れることはないが、皮脂の付着やシャッフルによる摩耗は避けられず、カードの状態は少しずつ悪くなっていく。繰り返し遊んでいれば細かな傷が刻まれ、接着が剥がれ、インクが剥げ、光に焼けていく。うっかりコーヒーや醤油を零そうものなら、たとえ乾すことができたとしても染みを取り除くことは不可能だろう。自分のカードならまだしも、他人の高額なカードを汚してしまえばトラブルは避けられない。カードが取り返しのつかない状態にならないためにも、カードを1枚ずつ包むスリーブ、落下や飛び散りを防止するカードケースの使用が推奨される。
1993年から数十年の歴史を持つマジックにおいては、初期に生産されたカードはそれだけ長い間劣化が進む環境に晒されているため、状態の良いものは稀少である。過去のカードが再録されて新しい状態のものが生産されることはあるが、そのカードパワーはスタンダードへ与える影響を考慮されるため、強すぎる・弱すぎるためにエキスパンションで再録される望みが薄いカードも数多い。特殊セットで再録されるケースもあるが、From the Vaultなどは英語版でのみ生産されるため、特定の言語のカードは二度と手に入らないこともあり得る。さらに何度も再録されていたとしても、特定の時期に使われたイラストを持つカードが稀少というケースもある。再録禁止カードという、二度と印刷されないことが決まっているカードも多数存在する。こうした理由もあり、例えカードの状態がプレイド(使用済み)で酷く劣化していても、稀少性が担保されているために高額で取引され続けるカードが多数存在する。
日本は温暖で雨が多い風土を持つ。つまり高温多湿になりやすい環境であり、カードの保管にはあまり向いていない。たとえ室内でも、窓辺に置こうものなら日光と湿気であっという間に劣化が進んでいくだろう。従って、できるだけ温度・湿度が一定になる場所に保管するのが望ましい。
紙の利点
紙製品は原価が安く大量生産が利くという強みがある。マジックのカードもその恩恵に肖り、世界中のカードショップや量販店に概ねまんべんなく製品を送り届けることができる。需要を見誤り生産しすぎて在庫が余るという失敗はこれまでにもよくあったが(フォールン・エンパイアやアングルードなど)、安価かつ容易に十分な量を作り出せるということは有り余って優れた利点である。
とても軽く持ち運びやすいことも利点のひとつである。複数人でカードを持ち寄って遊ぶ都合上、1人につき1つずつデッキあればゲームを開始できる身軽さは嬉しいところ。バベルデッキを苦なく大会会場へ持ち込めるのも紙の軽さに依るものである。スッとポケットに入れて持ち出しやすいことは盗難に遭いやすいことも意味しているため、デメリットが無いとは言い切れないが、遊ぶことだけを考えれば軽いことの恩恵のほうが大きい。お気に入りのカードをいつでも眺められるよう、財布やスマホケースに忍ばせても何ら邪魔にならないのも利点といえるだろう。ブースターBOXのような小さな箱1つで大量のカードをまとめて購入できることも運搬性の高さを示している。
薄く小さい紙片であることは大量に保管することができ、コレクションしやすいことを意味している。切手収集のようにお気に入りのカードをファイルに綴じてずらりと並べることができるし、1000枚単位のカードを1つのコンテナに収めて保管ができる。長く遊んでいれば必然的にカード資産が蓄積されるため、カードコレクターでなくてもその恩恵を受けていることになる。
ペンで書き込みやすいため、要らないカードをプロキシにすることもできるし、拡張アートを楽しむこともできる。イベント会場でアーティストにサインを書き込んでもらいやすいのもひとつの利点だろう。カッターナイフ等で誰にでも簡単に加工ができるため、好みのカードを使った自家製のライフカウンターやシャドーアートを作成して楽しむこともできる。そのほか、絵葉書と同じ感覚で額に入れて飾ることもできる。
紙製ではないカード
デジタルデータ
Magic Onlineをはじめとするコンピューターゲーム上のカードはデジタルデータである。これと比較して現実世界で使うカードのことを「紙」と呼称する場合がある。Magic Onlineが世界で十分に普及したことや、日本におけるデジタルトレーディングカードゲームの流行に伴い、「紙のカード」と「データのカード」を比較する場面は徐々に増えている。デジタルデータは劣化せず、誤って汚したり破いたりする危険性もなく、現実に盗難に遭うこともないなど、紙よりも優れた点は多い。
デジタルデータのカードは無限に複製可能であるため「二度と生産されない」という稀少性が薄れ(あるいは無くなり)、印刷ミスから発生するエラーカードのような事案も起こりえず、コレクター向けに異常な価格で取引されることは滅多にない(ゲームによっては取引そのものが不可能なものもある)。デジタルデータは劣化しないとはいえ、予期せぬ不具合や人為的操作ミスの発生、サーバーがクラッキングを受ける、サーバーを設置してある地域が災害に見舞われるといった理由でデータが失われる可能性もあるため、現実的には永遠に不滅とは言い切れない。
俗語としての紙
「カードとして扱う価値がない、ただの紙きれである」という意味で、まったく使い道のないカード、明らかに弱いカードを「紙」と呼称することがある。強力なカードを示す同音の「神」に引っ掛けた皮肉も込められている。
主に以下のものを指す。
- まったく使い道のないカードのこと。
- リミテッドでデッキに入る可能性がまったくないカード。
- 手札で腐っているカードのこと。具体的には戦場にアーティファクトが無い状況での粉砕/Shatterなど。
- フォールン・エンパイアのこと。供給過多の状態が長く続いており、値段が暴落していた。
カスレアに近い意味を持つが、こちらはアンコモンやコモンのカードに対しても使われるほか、ゲームの展開によりあるカードが「紙」になることもある。より包括的な意味を含んだ俗語といえるだろう。利用法が見つかれば紙と呼ばれなくなるのもカスレア同様。詳しくはカスレアの記事を参照。
さらに発展して、デッキパワーが低すぎる、まともに回ることのないデッキを指して「紙束」と表現することもある。Jon Finkel&Chris Pikulaによるデッキ診断記事「こんなデッキは紙の束だ!」が有名。
- この俗語はマジック以外のカードゲームでも使われる。