オブ・ニクシリス/Ob Nixilis

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オブ・ニクシリス/Ob Nixilisゼンディカー・ブロック基本セット2015統率者2014戦乱のゼンディカー・ブロックのキャラクター。カードとしてはゼンディカー堕ちたる者、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Fallenが初出。

目次

解説

ゼンディカー/Zendikarに囚われた元プレインズウォーカー/Planeswalkerデーモン。男性。

「征服者」としての矜持を持ち、力を「世界共通の言語」として信奉している。勝利のため、力を得るためには手段を選ばない。遥か昔にゼンディカーの地で力とプレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkを失ってしまったが(イラスト)、長年の計略の末、再び灯を点すことに成功した(イラスト)。

  • 黒マナの権化であるデーモンは通常プレインズウォーカーの灯を持つことはできず[1]、彼が如何にしてプレインズウォーカーとなったのかは長い間謎であったが、統率者2014にて、元は人間であったことが明らかにされた(イラスト)。

経歴

最初の世界、最後の難関/The First World Is the Hardest

オブ・ニクシリスにとっての最初の世界、彼が生まれた次元/Planeでは、何世紀もの長きにわたり戦争が続いていた。300年間栄えたケオシア人/The Keocianの大帝国は第七の大異変/The Seventh Cataclysmによって滅び、その後たびたび結ばれる同盟は束の間の平和しかもたらさず、まさに血で血を洗う戦国時代の最中であった。

その世界で、ニクシリス卿はあらゆる犠牲を厭わず戦勝のみを求める熟達した将軍であった。戦の騒音は交響曲、死臭は甘美な蜜。「あらゆる犠牲が払われた勝利」のみが彼にとっての「勝利」であった。

あるとき、裏切り者の部下ヴェランティ伯爵/Earl Velantiと大勢力のラクシマー卿/Lord Raximarに挟み撃ちにされ、ニクシリス卿は窮地に陥る。ラクシマー卿を闇の魔術と卓越した剣技によって討つも、部下は次々に彼を見捨て、ついには最も忠実な2人とともに廃墟に逃げ込むことになった。しかし偶然にも、そこはケオシア人の遺産、デーモン召喚の間と思しき遺跡だった。その最奥には巨大な黒曜石の鉢が2つあり――彼は躊躇いなく忠臣2人を殺し、その血で鉢を満たした。その儀式に喚ばれた古のデーモンは彼の心を探り回り、究極的な望みを探し当てた。

世界は滅んだ。炎も風もなく、目の前から遠くの大陸に至るまで、すべての生命が死滅した。

ニクシリス卿は生者なき世界を彷徨い続けた。10日目に、謎の存在がニクシリスと全く同じ姿を取って現れた。彼は、世界とは高位存在に玩具として作られ壊されるものであり、君は第八の大異変/The Eighth Cataclysmを起こすという役を立派に演じてくれたと言った。己の人生が他者の掌の上で踊っていたに過ぎなかったことを知ったニクシリスは、その馬鹿らしさに咳き込むまで笑い、咽び泣き、視界が暗闇に閉ざされ……眼を開けると、新たな世界に立っていた。オブ・ニクシリスにプレインズウォーカーの灯が点った。

忌むべき者の夢/Dreams of the Damned

オブ・ニクシリスは次元を渡り歩く征服者となった。彼はあらゆるものを手に入れ、手に入れたものの力によって次のものを更に容易く手に入れた。そんな彼にとって、噂に聞く鎖のヴェール/The Chain Veilはあまりに魅力的な褒賞に思えた――しかし、それは罠であった。彼はヴェールの呪いに侵され、デーモンとなった。

呪いを浄化する手段を求め、豊富で力強いマナを有するゼンディカーへとプレインズウォークしたニクシリスは、ゼンディカー次元の庇護者、ナヒリ/Nahiriの攻撃を受ける。ナヒリの圧倒的な力の前に彼は叫び声を上げることも叶わず、額に面晶体/Hedronを埋め込まれた。その瞬間、すべてが終わった。

呪いは消え去ったが、同時に力も消え去った。肩の骨が崩れ、翼が落ち、プレインズウォーカーの灯が――多元宇宙/Multiverseという自由が――失われた。彼はナヒリへの復讐を心に誓った。

それからニクシリスは面晶体を数世紀に渡って研究し続け、作り手のナヒリを除く他の誰よりもその魔法を知るまでになった。また、ゼンディカーを訪れたプレインズウォーカーと接触し、案内役を買って出るようになった。彼は親切な案内人を装いながら、プレインズウォーカーたちに自分の状態を教え、その情報が多元宇宙中に拡散するように仕向けた。

そして最終的に、彼の「寄せ餌」にかかる者が現れた――ゼンディカーに潜むデーモンを打ち倒し、面晶体を摘出しようと目論む、自信に満ちたプレインズウォーカーが。ニクシリスはその者に疑念を抱かせることのないよう、十分な戦闘を行った上で、偽りの敗北を演じ、沼の中に倒れ伏した。

今やオブ・ニクシリスは面晶体の束縛から解き放たれ、かつての力を取り戻しつつある。プレインズウォーカーの灯は未だ失われたままだが、それももはや手の届くところにあると彼は考えている。

ニッサの決断/Nissa's Resolve

エルドラージ/Eldraziに破壊し尽くされたバーラ・ゲド/Bala Ged大陸の地下洞窟の中で、オブ・ニクシリスは密かに計画を進めていた――ゼンディカーの魂が逃げ込んだ一輪の花、カルニの心臓/Khalni Heartを面晶体の牢獄に閉じ込め、次元そのものの力を手に入れる計画を。そこへ現れたのは、ゼンディカーの魂に起きた異変を察知したニッサ・レヴェイン/Nissa Revaneだった。

ニクシリスはニッサを止めようとしたが、彼女は面晶体の一つをで斬り付け、牢獄を壊すことに成功した。動揺するニクシリスの隙を突いてカルニの心臓を掴んだニッサの手を、ニクシリスは花ごと握り締め、激しい憎悪と憤怒をもって彼女の生命力を吸い上げ始めた。しかしニッサはニクシリスには思いも寄らないことをやった――力を奪うのではなく、自分の力をカルニの心臓に注ぎ込むということを。カルニの心臓は根を伸ばし、大地に触れた。ゼンディカーの力は大地に還り、ニクシリスの計画は失敗に終わった。

全てを賭しても/At Any Cost

計画は失敗に終わり、ニクシリスは瓦礫の中に閉じ込められた。しかし彼は笑った―あのエルフの小娘は我を生かしておいたのだ。それは即ち敗北を自省する機会を与えられたということ。瓦礫の中から這い出つつ、彼は計画を見直した。およそ一世紀を費やした「作品」を再び作り上げるには少なく見積もっても半世紀は必要―しかし、エルドラージの怪物たちがこの次元を滅ぼし尽くすにはそれほどの時間は必要ない。ニッサを追いカルニの心臓を取り戻すのも、エルドラージとむしろ手を組むというのも現実的ではない。いずれにせよ時間がない。つまり彼は悟った。あれほど憎んだこの次元は、自身の手で救わねばならないということを。

ニッサの持つ巨大な力を目指し、海門/Sea Gateへと向かうニクシリス。彼がそこで見た光景は、実に信じがたいものであった。ウラモグ/Ulamogが、エルドラージの巨人が、実に完璧な面晶体構造に囚われているではないか。これこそが自身が数十年を費やし築こうとした構築物。この幸運を逃す手はない。ニクシリスはその構造の力が集結する点に、自身の要石を置いた。強烈な力の奔流がニクシリスの身体へと流れ込んだ。彼の目の前には多元宇宙が広がっていた。オブ・ニクシリスは、プレインズウォーカーの灯を取り戻した。

眼前に次々に広がる、かつて征服した数々の次元。彼はそこへとプレインズウォークしようとしたが、思いとどまった。まだこの次元でやるべきことがある。

精密に作られた面晶体の構造物に僅かな力を加える。それは崩壊し、ウラモグは解き放たれた。勝利に沸いたゼンディカー人による軍隊は、阿鼻叫喚の地獄絵図へと叩き落とされた。

まだだ。まだもう一つだけ、やるべきことがある。

彼は地中深くに眠る力の存在へと語りかけた。正確には、それに目的を与えた。

勝利、つまりあらゆる犠牲を払っての勝利が、ニクシリスに笑みと喜びを与えた。

たった一語。それだけで、我がこのゼンディカーを絶望へと叩き落とせる。

「目覚めよ!」

登場

登場カード

カード名に登場

灯争大戦
オブ・ニクシリスの残虐/Ob Nixilis's Cruelty

フレイバー・テキストに登場

エルドラージ覚醒
悪魔の食欲/Demonic Appetite
戦乱のゼンディカー
虚空の選別者/Void Winnower祭壇の刈り取り/Altar's Reap悪魔の掌握/Demon's Grasp
ゲートウォッチの誓い
無情な処罰/Remorseless Punishment食い荒らす炎/Devour in Flames
ニッサvsオブ・ニクシリス
野望の代償/Ambition's Cost破滅の刃/Doom Blade
灯争大戦
オブ・ニクシリスの残虐/Ob Nixilis's Cruelty
モダンホライゾン
悪魔の布告/Diabolic Edict
ミスティカルアーカイブ
破滅の刃/Doom Blade

イラストに登場

戦乱のゼンディカー
祭壇の刈り取り/Altar's Reap悪魔の掌握/Demon's Grasp(腕と影のみ)、食い荒らす炎/Devour in Flames
灯争大戦
オブ・ニクシリスの残虐/Ob Nixilis's Cruelty

登場デッキ

デュエルデッキ

登場作品・登場記事

戦乱のゼンディカー・ブロック
ラヴニカのギルド灯争大戦

脚注

  1. A Voice for VorthosDoug Beyerブログ)

参考

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