アヴィシュカー/Avishkar
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アヴィシュカー/Avishkarは、多元宇宙/Multiverseに存在する次元/Planeの一つ。かつてカラデシュ/Kaladeshと呼ばれていた次元が名を変えたものである。霊気走破の舞台の一つとなった。
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概要
アヴィシュカー、かつてのカラデシュ/Kaladeshは、民衆革命の旗の下に団結した民がそれを現実のものとした、今まさに勢いある次元/Planeだ。新たな次元の政府であるアヴィシュカー議会/The Avishkar Assemblyは、この次元の十一の行政区から民主的に選出された代表者たちから成る組織だ。彼らの最初の行動は象徴的なものだった――次元の名を変えたのだ。それは領事府/The Consulate設立以前の君主制時代、初期の領事府時代、霊気紛争/The Aether Revolt後の改革された領事府時代の修辞的な重荷を脱ぎ捨てるために行われた。各地区の民衆の結集に後押しされ、アヴィシュカー（現在はアヴィシュカー議会に統治されている）は、再建と多元宇宙/Multiverseでの覇権を握ることに狙いを定めている。
歴史
改革された領事府が存続できたのは、その革命から侵略戦争までの空白期間だけであった。霊気紛争では、人気はあるもののイデオロギー的には取っ散らかった集団が――改革派/Renegadeが――専制的な大領事を倒し、彼と彼の領事府を、名前はそのままに改革志向の体制へと置き換えた。この改革された領事府は、公平性を目指し、旧領事府の政策、法律、慣習の多くを見直そうとした。アヴィシュカーの住民は当初この変化を歓迎していたが、改革された領事府が現状を少ししか変えられない、あるいは変える気がないことが判明し、時間の経過とともに新政府に不満を募らせるようになった。ほとんどのアヴィシュカー人にとって、生活は改革派が約束したようには変わらなかった。保守派と進歩派の両方が新たな煽動を開始し、アヴィシュカー内の様々な分子が不満を騒ぎ立てた。しかしながら、意味のある政治的対立が表面化する前に、新ファイレクシア/New Phyrexiaがエリシュ・ノーン/Elesh Nornの指揮の下、多元宇宙への侵略を開始した。
ファイレクシアの侵略はアヴィシュカーを打ち負かすことはできなかったが、領事府に致命傷を与えた。設立当初から妥協的な政府であったこのたびの領事府は、侵略をきっかけに崩壊した。大惨事が差し迫っているという再三の警告を領事府が無視したことで、アヴィシュカーは後手に回ったのだ。領事府による防衛は、霊気紛争後の政府のあり方に注意を呼びかけた――紛争後の残務に苦しみ行き詰まった立法、司法、自治体の体制、未だ政府内に残る保守的な旧領事府の残党、霊気/Aetherの分配方針以外の次元統治に対する改革派の自由放任主義的な取り組み、これらすべてが領事府が次元の防衛を開始できなかった要因である。都市や地区レベルの相互組合、犯罪組織、より急進的な革命家たちがこの空白に踏み込み、混乱を収拾し、ファイレクシアンに反撃した。侵略が終わったとき、勝者たちは平時の状態に戻ることを受け入れなかった。彼らは一丸となって領事府に退陣を要求し、生き残った構成員はそれに応じた。
これが藍革命/The Indigo Revolution――改革後の領事府の中にいた急進的構成員、新進文化党/The New Culture Collectiveの下で組織されたギラプール/Ghirapurじゅうの革命家党員、その他様々な労働者、農民、学生団体によって指揮された、ほぼ無血の革命的な権力移譲だ。彼らの不満は多数あったが、合意は主要な二点に集約された。一つ目は、ファイレクシアの侵略に備え、対処することができなかった改革後の領事府の失敗である。これはアヴィシュカーのほぼすべての住民に関わる自明の失敗であった。二つ目はアヴィシュカー全域における霊気分配に関するもので、旧領事府の統治下で実施され、改革後の領事府によっても充分に変更されなかったシステムである。
旧領事府の統治下にて、アヴィシュカーの労働者階級は、歯止めのかけられた霊気の割り当て量、給与体系、厳格な分配規制のシステムの下で働いていた。理論上このシステムは、霊気の限りなきフリーエネルギーによって可能となった、欠乏時代後の豊かなヨコ社会を保証してくれるはずだった。実際には、霊気の精製と分配には領事府によって人為的なボトルネックが設けられていた。領事府は霊気産業を細かく規制することで、政治的権力者の蓄財の役に立っていた。アヴィシュカーは自由で豊かなエネルギー分配ではなく、人為的な欠乏条件下で苦しんでいた。侵略戦争前のアヴィシュカーを支配していた経済システムによって、貧しい者たちは貧しくなるように仕組まれていたのだ。このシステムは霊気紛争と領事府の改革後も続いていた。失脚した大領事と旧領事府が否定されただけで、その後も官僚、役人、領事の多くは同じまま残っていた。このことが、改革を志す進歩的な領事たちの抗議と不満を煽った。その筆頭が、かつての改革派の人気ある指導者、ピア・ナラー/Pia Nalaarだった。
これらの革命家たちに関する藍色に因んで名づけられた藍革命は、ファイレクシアによる侵略後の混乱に乗じて、ギラプールとアヴィシュカーの市民防衛隊を結集して旧政府をきっぱりと一掃し、代わりにアヴィシュカーの十一の地区から選出された代表者たちから成る議会を置いた。アヴィシュカー次元の政府の全面的な刷新（およびそれに続く次元の改名）は、多元宇宙の新時代の発見成果と領事府体制の大失敗があればこそ可能だった。歴史はアヴィシュカーの民に主導権を与え、彼らはそれを受け取った。生存者たちは領事府を一掃し、アヴィシュカー議会を設立した。代表制の原則を堅持する新政権は、改革後の領事府の生き残りに、自分の地区の代表として選出されることを許しさえもした。とはいえこの留任措置があっても、アヴィシュカーの新政権はほとんど全員が新人議員で構成されている。彼らの前に立ちはだかる課題は莫大だが、当面は進歩の名の下に急進的な変化を制定することに民の信任がある。
地理
ギラプール/Ghirapur
アヴィシュカーの首都はカラデシュ時代から引き続き、都市ギラプール/Ghirapurである。
詳細はギラプール/Ghirapurを参照。
イベント
ギラプール・グランプリ/The Ghirapur Grand Prix
アヴィシュカーの主導の下、複数の次元を横断するレース大会、ギラプール・グランプリ/The Ghirapur Grand Prixが開催されている。第二回大会ではアヴィシュカー、アモンケット/Amonkhet、ムラガンダ/Muragandaを舞台とし、様々な次元から集まった十のチームが出場する。
詳細はギラプール・グランプリ/The Ghirapur Grand Prixを参照。
組織
アヴィシュカー議会/The Avishkar Assembly
アヴィシュカーの新指導部は、侵略戦争後の多元宇宙において二つの任を担っている――侵略からの復興、そしてアヴィシュカーを多元宇宙の覇権を握る強大な次元として確立させ、同盟とソフト・パワーによる防衛で多元宇宙の脅威がこの次元を襲わないよう保証することだ。旧領事府の苛烈な重荷を脱ぎ捨て、次元の新たな名をさらに確固たるものにするため、新政府は自らをアヴィシュカー議会/The Avishkar Assembly、あるいは単に議会/The Assemblyと呼ぶ。
ファイレクシアによる侵略から数年が経ち、アヴィシュカーは、政府が多元宇宙の他の次元との関係性における自分たちの構想を発展させ、その構想を次元内および次元間の政策に導入し始めた数少ない次元のうちの一つとなった。アヴィシュカーの政治や経済に関する構想がどのようなものであれ、アヴィシュカー議会の革命家たちは彼らが新たに勝ち取ったアヴィシュカーに向けられる、多元宇宙の生物や他次元による脅威を甘く見てはいない。領界路/Omenpathは、それまで悪夢に見るだけであった脅威を現実のものとしたのだ。次元を渡る道を統制し、繋がっている次元に前哨地や在外公館を設置し、故郷の境界を越えた多元宇宙についての知識を深めることで、アヴィシュカー議会はアヴィシュカーを他次元でも知られる強大な次元として確立させようとしている。
このような努力の中で、アヴィシュカーはラヴニカ/Ravnicaを最大のライバルとして認識するようになった。強大な勢力を擁する次元は他にもあるが――ドミナリア/Dominariaやゼンディカー/Zendikarなど――それらは次元全体を統括する体制を整えていない。アヴィシュカー議会はラヴニカとそのギルド/Guildたち、それらを率いるニヴ＝ミゼット/Niv-Mizzetを、（現時点では）敵と見なしているわけではないが、多元宇宙という舞台においてアヴィシュカーの勢力に匹敵する唯一の次元と見なしている。そのため議会は、外交的にも文化的にも策略を巡らせ、多元宇宙の他の次元がアヴィシュカーを最も魅力的な覇権次元として位置づけるようにしている。アヴィシュカーの資金、貿易品、贅沢品、文化的な輸出品が、使節団、特使、著名人、民間企業に運ばれて多元宇宙の諸次元に流れ込み、その見返りとして、貿易や外交の協力者はギラプールや、アヴィシュカー各地の経済特区に招かれている。
この現在進行形のソフト・パワー・キャンペーンに続いて、アヴィシュカー議会はこの新たな多元宇宙の権力ゲームで最初の勝利を収めた――アヴィシュカーの霊気精製および測定の標準とともに、アヴィシュカー標準の領界路分類体系が多元宇宙の諸次元でどんどんと使われるようになっているのだ。これはギラプール・グランプリ（GGP）の解説者、選手、ファンが使用する用語から人々が学んだものだ。GGPはファンや出場者にとっては権威あるスポーツイベントかもしれないが、アヴィシュカーの新政府にとってはそれ以上のものである。GGPは、誰がより優れた機体を作り、走らせられるかを見る競技というだけでなく、誰が多元宇宙の方向性を指揮できるのか、また指揮すべきなのかを見る競技なのだ。
新進文化党/The New Culture Collective
ギラプール・グランプリの前身となるギラプール・スプリント/The Ghirapur Sprintの参加者たちは、一緒になって新進文化党/The New Culture Collectiveを名乗った。かつては領事府に叛逆する反体制組織だったが、今ではアヴィシュカー議会にも相当数の議席を有する公党となった。
詳細はギラプール・グランプリ/The Ghirapur Grand Prix#歴史を参照。
キャラクター
- チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar - アヴィシュカー出身の人間のプレインズウォーカー。クラウドスパイア・レーシング/The Cloudspire Racing Teamと契約し、共同キャプテンの一人となった。
- ピア・ナラー/Pia Nalaar - アヴィシュカー出身の人間。チャンドラの母。エーテルレインジャーズ/The Aether Rangersの共同キャプテンの一人。
- ゴンティ/Gonti - アヴィシュカーの霊基体/Aetherborn。ギラプールの夜の大臣に就任した。
- カーリ・ゼヴ/Kari Zev - アヴィシュカー出身の人間の空賊。案内役および使節としてキールホーラーズ/The Keelhaulersに雇われた。
- ラガバン/Ragavan - カーリ・ゼヴの相棒の猿。
登場
登場作品・登場記事
- Planeswalker's Guide to Aetherdrift, Part 1/プレインズウォーカーのための『霊気走破』案内 その1（Daily MTG 2024年12月10日 Miguel Lopez著）
- Planeswalker's Guide to Aetherdrift, Part 2/プレインズウォーカーのための『霊気走破』案内 その2（Daily MTG 2024年12月11日 Miguel Lopez著）
その他
- 名前はヒンディー語で「発明」「発見」を意味する「आविष्कार（āviṣkār）」に由来する[1]。
脚注
- ↑ Avishkar: Why We Changed the Name of a Plane（Daily MTG 2024年12月10日 Wizards of the Coast著）
