ダスクモーン/Duskmourn

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ダスクモーン/Duskmournは、多元宇宙/Multiverseに存在する次元/Planeの一つ。ダスクモーン:戦慄の館の舞台となった。

目次

世界観

ダスクモーンと化したもともとの次元/Planeについては、ほとんど何も分かっていない。ただ、昔からこうだったわけではないというだけだ。(やかた)/The Houseじゅうに散らばる古のアーティファクトの残骸は、この次元が魔法的にも技術的にも進歩し、次元よりも広い多元宇宙/Multiverseの存在に気づき始めたばかりであったことを示唆しているが、そのすべては失われた。次元のもともとの名前すら忘れ去られてしまった。

もともと、館は普通の住居で、ヴァルガヴォス/Valgavothの名で知られるデーモン/Demon存在を幽閉していた。拘束を解くことができなかった彼は、代わりに牢獄とされるものの境界を再定義し拡張することで、拘束に対処する方法を見つけた。やがて彼は、館の壁の内部に次元全域を飲み込むことに成功した。この時代は神格化/The Ascensionとして知られている。館は厳密には生きているわけではないが、ヴァルガヴォスの意識が至るところに浸透しているため、中にいる全員を、基礎的なレベルで知覚し認識している。

神格化以前には、少なくとも三つの異なる存在領域があった――物理的領域が一つと、デーモンとスピリット/Spiritが棲む非物質的領域が二つだ。館が大きくなるにつれて、デーモンの領域は館の中に折り込まれていき、スピリットの領域は久遠の闇/Blind Eternitiesの中のこの次元の空間が許すかぎり端の方へと追いやられてしまった。

館の起源

ヴェンドレル/Vendrell一家が新たな家に、すなわち何の変哲もない町の、古く荘厳な館に引っ越してきたときに願っていたのは、新たなスタートだった――新たな仕事、そして娘のマリーナ・ヴェンドレル/Marina Vendrellにとっては、友達を得る新たな機会だ。マリーナは内気で読書好きな、友達を作るのが苦手な少女だったが、彼女が居場所を見つけるのに必要なのは新たな環境だけだろう、そう家族は考えていた。

残念ながら、そうではなかった。地元の学校への登校初日から、マリーナは頻繁にいじめの標的になった。彼女は次第に孤立し引きこもるようになり、自由時間は家で過ごし、新たな家を隅々まで探検した。

彼女はそのような探検の中で、地下室に棲む小さく奇妙な存在を発見した。彼女は最初こそ警戒心と不信感を抱いていたものの、すぐにその存在を友と見なすようになった。その存在はいつでも同情と理解を示し、そしていじめがひどくなるにつれ、彼女はますますその存在を唯一の友として頼るようになっていった。

ある日、特にひどいいじめばかりだった日に、マリーナは取り乱して帰宅した。彼女は泣き叫びながら、地下室の友に自分の苦しみと怒りをぶちまけた。友は辛抱強く黙って話を聞き、ようやくその言葉が静まると、彼女のために問題を解決してやろうと申し出た。

「私がそいつらに仕返しをしてあげよう。君が受けたのと同じ苦しみを味わわせてあげよう。」

惨めさと怒りのその瞬間、彼女は同意した。彼女はヴァルガヴォスの指示に従い、いじめっ子たちを館に誘い込み、地下室に連れていった……。

彼が待つ場所へ。飢えて待つ場所へ。

マリーナは恐怖に慄きながら、その存在が生命を得て、いじめっ子たちを喰らうのを見た。手遅れだったが、「友」は彼女が思っていたよりもずっと悪意あるものなのだと、彼女は気づいた。彼女は地下室から逃げ出し、扉に鍵をかけ、あの存在とは二度と関わりませんと誓った。しかしながら、もうすでに手遅れだった。

マリーナの周囲の人々が、突然で説明のつかない、恐ろしい最期を遂げ始めた。近隣の家々も同様に歪み、ねじれ、奇妙で恐ろしいものになっていった。だが何よりも不穏だったのは、館そのものが歪み、成長し始めたことだった。

当初、マリーナは何も起きていないふりをしようとした。影響範囲が広がり、現象が無視できないほど明白になってきても。だがその後、両親が姿を消した。もはや否定し切れなくなった彼女は、自分たちの館の歴史を徹底的に調べ上げ、地下室の存在が実はデーモンであったことを突き止めた。館の前の持ち主たちがこのデーモンを召喚したが、すぐに手に負えなくなった。彼らは自分たちが喰らわれないよう、館の物理的構造にデーモンを縛りつけて逃げたのだ。閉じ込められて餌を得られなくなったデーモンは、休眠状態に入って時を待った――マリーナがやってきて、知らず知らずのうちに枷を解くその時を。

自分のしたことの真実すべてにようやく向き合ったマリーナは、その存在に立ち向かい、やめるよう要求した。やめなければ、館全体を焼き払ってしまうと。デーモンは強大ではあったが、それでももともとの召喚者の呪いに縛られていた。館を破壊されれば彼も道連れなのだ。他に選択肢はなく、デーモンは彼女が覚えている世界を返還することに同意した。マリーナもそれを受け入れ、デーモンを打ち負かし、世界を正常な姿に戻せたことに安堵した……ともかく、彼女が知覚する範囲においては。

現実には、館は拡大し続けた。恐ろしいものたちは増え続け、館の中に住む者すべてを恐怖に陥れていった。そしてデーモンは力を増し、ついには次元全域をダスクモーンの壁の内に飲み込んでしまった。

館の目的はただ一つ――ヴァルガヴォスの恐怖や恐れへの飢えを満たすことだ。だが次元全域ぶんの恐怖をもってしても、彼の飽くなき食欲を満たすことはできない。特に、その恐怖の源である生存者/Survivorたちが死に続けているのだからなおさらだ。

かつて、ヴァルガヴォスは他の次元への扉を一時的にこじ開けることができ、それを用いて怪しむことを知らない犠牲者を誘い込んでいた。だがそのためには多大な労力を要し、数年に一度しか扉を開くことはできなかった。しかしながら、今や領界路/Omenpathが久遠の闇を縦横に走り、次元間の接続をかつてないほど容易にしており、ヴァルガヴォスも遥かに容易く他の次元へ手を伸ばせるようになった。ダスクモーンへの扉が多元宇宙じゅうでありふれた光景になるにつれ、ますます多くの人々が姿を消すようになってきている。

ヴァルガヴォス/Valgavoth

デーモンのヴァルガヴォスはダスクモーンの要である。厳密に言えば彼は今なお館の物理的構造に束縛されているが、この制限はもはやほとんど意味を成していない。彼は館との精神的な繋がりを用いて、望む者を追跡し、館の内に棲む怪物的存在たちに命令を下すことができる。ヴァルガヴォスは年を経て強大になるたびに、古い姿を脱ぎ捨て、新たな、より大きな肉体を得る。彼がそうするのは、彼を館に縛りつける呪いを今でも解こうとしているからなのだと考える者もいる。あるいは、このような脱皮は単にデーモンたちにとっての自然な成長方法なのだと考える者もいる。

ヴァルガヴォスが今までの姿から脱皮して新たな肉体になるたび、惨劇の刻/Harrowingが起こる。この再誕に伴う悪意のうねりは、館に新たな館底種/Cellarspawnの波を生み出す。またこれによって送られた精神的波紋は、ヴァルガヴォスの教団/The Cult of Valgavothの信者や剃刀族/Razorkin、その他の怪物的存在を刺激し、凶暴性、血への渇望、偏執を増大させる。惨劇の刻は通常、数日間しか続かない。

惨劇の刻を相殺するのが静穏の刻/Quiescence、ヴァルガヴォスが脱皮する直前に起こるものだ。彼が新たな成長に集中すべく全神経を内側に向けるため、館には一時的な凪が訪れ、安全に最も近い状態になる。静穏の刻は通常数週間続き、生存者たちに回復と、来る惨劇の刻への備えに必要な時間を与えてくれる。

マリーナ・ヴェンドレル/Marina Vendrell

ヴェンドレル家の最後の生き残りは、この館で暮らし続けている――ある意味で。彼女との約束の一環として、ヴァルガヴォスは館を正常な状態に戻すことを誓った。というよりはむしろ、ヴァルガヴォスは彼女の世界に対する知覚を戻し、彼女を歪んだ非現実の泡で包み込んだ。彼女がどこへ行こうとその泡が館を変質させるため、彼女には実際のおぞましい環境ではなく、普通の世界が見えているだけなのだ。マリーナがどこまで真実に気づいているのかははっきりしていない。世界が元に戻ったと本気で信じているのか、それとも自らが部分的にでも作り出した世界から目を背けるために、故意に自分を騙すことを良しとしているのか。

地理

館の地理は一言にまとめられる――「あり得ない」だ。ここは内部が常に変化し、外部が存在しない場所なのだ。階段はどこにも繋がっておらず、寝室の扉を開くと森のただ中に出され、廊下は足下で大理石から悪臭を放つ泥沼に変わる。外部ないし外部の環境に通じているように見える扉は、館の中の別の区域に通じているだけだ。

館は部屋/Roomと呼ばれる区域に分かれている。もっとも、その名前は欺瞞的だ。なぜなら一つの部屋に含まれているものは実にさまざまで、一見普通の寝室から、果てしなく続くように見える広大な荒れ地まであるからだ。唯一の決まりごとは、部屋と部屋を繋ぐ扉か窓かその他の開口部が必ず存在するということだ。部屋の繋がり方に認識できるような理屈はなく、屋内のような部屋と屋外のような部屋が交ざり合っている。

館の地理は常に変化しており、地図作りや道案内は全く不可能ではないにしても、困難な作業である。ほとんどの変化はヴァルガヴォスが直接指揮することなく自然に起こるが、彼はいつでも館に直接命じて配置を変えることができる。通常それをするのは、特定の生存者を狙っているときだ。

館は五つの領域に大まかに分類することができ、それぞれに固有の気質や特徴がある。これらの領域に厳密な境界はない。部屋同士は頻繁に繋がり、領域を越えて互いに入り組み合っている。

ミストムーア/The Mistmoors

不気味な静寂が響く空っぽの玄関ホール。奇怪な大理石の彫像が並び、感じられない微風に波打つ白い布がかけられた廊下。そびえ立つアーチ状のひさしの下にある、蜘蛛の巣のかかった屋根裏部屋。絶え間なく浸食する砂の下に沈みゆく、積み重なったテラス。

ミストムーア/The Mistmoorsには、不安を煽り怖気づかせるような、広大で反響する空間が溢れている。この領域の部屋は通常、白い石造りの建築、波打つカーテン、風に吹かれて漂う砂、太陽の見えない平坦な灰色の空を特徴とする。

フラッドピット/The Floodpits

凍りついた地底湖。先の見えない冷たい霧を吐き出す、画面の並ぶ廊下。足を踏み入れることはできても降りることはできない、曲がりくねった階段。腰の高さまであるずぶ濡れの本の湖に、滝が流れ込む図書室。不安にさせる水の染みでまだらに汚れた、湿ったかび臭い寝室。

フラッドピット/The Floodpitsは、館の中で最も物理法則が否定される環境であり、現実離れした通路やあり得ない建築物の並置で溢れている。この領域の部屋は何らかの形態の水――液体、固体、気体――や、水の染み、壁一面に広がる静電気を帯びた画面を特徴とする傾向がある。

ベイルマーク/The Balemurk

水の滴る不快な蜘蛛の巣で結ばれた朽ちた床板の、明かりのない玄関ホール。墓石で満たされ、掴みかかるような枯れ木が点在する沼地。視界の隅でちらりと見ると影の角が動いているような、不吉な暗がりに沈んだ地下室。

薄暗く不吉なベイルマーク/The Balemurkは、本来あるべき状態よりもなお深い影と、不安にさせる有機的な形や物質で満ちている。ギザギザの裂け目や朽ちた床板が、腐敗性の湿地や枯れた植物とともに支配的だ。

ボイラービルジ/The Boilerbilges

息苦しいほどの熱気に満ちた炉室。硫黄の炎の穴へと突如落下して終わる階段。壁が引き裂かれ、その裂け目が化膿したような鮮やかな赤に輝く廊下。黒焦げの、炎で破壊されたガラクタ置き場。

ボイラービルジ/The Boilerbilgesは、館の中で最も明白に危険な地形を特徴とし、真っ逆さまの落下仕掛け、ギザギザの建築物、噴出する炎で溢れている。ここはまた、地震や炎竜巻のような暴力的で破壊的な事象が起こりやすく、この領域で生き延びる可能性を通常よりもさらに低くしている。

ホーントウッド/The Hauntwoods

棘だらけの蔓や茨で覆い尽くされた廊下。有毒生物と肉食生物の標本で満ちた、生い茂る温室。鬱蒼とした光の差さない森の中にポツンと立つ小屋。呪いの枝編み細工が吊るされ、人の手のような形の木々に絞められている崩れかけのドーム。

すべての領域の中でも、ホーントウッド/The Hauntwoodsは屋内のような環境と屋外のような環境の境界が最も曖昧な場所であり、木々や植物やその他の植生が食堂や廊下に侵入し、樹冠のどこかに失われた梁の代わりに天井を支える役割さえ果たしている。場所によっては、植物は貪欲で無制限に成長し、館そのものの構造を衰えさせているように見える。

ビロウ/The Below

館の中心部の奥深くにあるのがビロウ/The Below、ヴァルガヴォス自身が住まう光なき地下室で、ここから彼は館の至るところへと触手を伸ばしている。ビロウの位置は、ダスクモーン全域で唯一の定点だ。そこに辿り着くには、ベイルマークの奥深くにある、館となったもともとの住居の地階を通らなければならない。ヴァルガヴォスの以前の体の抜け殻でできたトンネルが地下深くまで伸びており、脱皮のたびにより深くへと潜っていく。館からの唯一の真の出口はビロウの中にあると噂されているが、そこに足を踏み入れ、噂を確かめて戻ってきた者はこれまでに一人もいない。

具現/Manifestation

ヴァルガヴォスの影響が館じゅうに行き渡っているおかげで、思考と物質の境界は曖昧になっている。ヴァルガヴォスの真髄に浸り、その影響を浴びることで、具現/Manifestationとして知られる心霊現象が起こり始めた。思考、恐怖、夢が自発的に具現化し、生きた姿を与えられるのだ。

  • ナイトメア/Nightmare - 生存者の恐怖の具現。自らを生み出した者を捕らえ、その恐怖を再び味わわせる。
  • 館底種/Cellarspawn - ヴァルガヴォスが夢見る恐怖の世界の具現。捕らわれた者は純粋な恐怖で圧倒され、精神的残骸と化す。
  • 光霊/Glimmer - 生存者の希望や根気強さの具現。生存者に魔法の加護を与え、館の影響から守ってくれる。

種族

人型種族

人型種族としては人間/Humanのほか、コー/Korエルフ/Elfなどがいる。彼らは様々な集団に分かれている。

  • 生存者/Survivor - 館と怪異に脅かされながらも生き延び続ける人型種族。館の超常現象を研究する者や、怪異を積極的に狩る者もいる。
  • ヴァルガヴォスの教団/The Cult of Valgavoth - ヴァルガヴォスを崇拝する宗教団体。恐怖を喰らわれることは祝福であるとし、彼に自らの精神を捧げる。
  • 剃刀族/Razorkin - 痛みと苦しみを生きがいとし、娯楽のために生存者を狩り、拷問するようになった元生存者。

怪異

館の脅威はナイトメアや館底種だけではない。他にも様々な怪異が溢れている。

  • 錯霊/Glitch ghost - かつて館の外で死んだ者たちの霊魂。画面や鏡を通って館に侵入する過程で、歪んだ外見になってしまっている。
  • 木人/Wickerfolk - 生ける木製の構築物。肉体を木に変える儀式を経て、死ぬことも感じることもできなくなった元人間。
  • 生きた玩具/Quickened toy - 死への欲求を獲得したおもちゃ。無害だと思い込んだ者に拾われ、絶好の瞬間を待ってから襲いかかる。
  • デーモン/Demon - 悪魔。ほとんどはヴァルガヴォスに殺され、残りも力を失っているが、それでもなお危険。
  • けだもの/Beastie - 生存者の味方となってくれる毛むくじゃらの生き物。ただし、仮面の下の素顔は絶対に覗いてはならない。
  • グレムリン/Gremlin - いたずらや悪ふざけを楽しむ生き物。直接危険ではないが、そのいたずらが生死を分けることもある。
  • その他 - 普通の生物だったがグロテスクな姿に歪んでしまったものや、ナイトメアや館底種を食し汚染されたものもいる。

キャラクター

ダスクモーン:戦慄の館のメインキャラクター

登場

登場作品・登場記事

ダスクモーン:戦慄の館

メインストーリー

サイドストーリー

その他

その他

  • 英語でduskは「黄昏」「夕闇」、mournは「哀悼する」「喪に服する」の意。

参考

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