疾風のデルヴィッシュ/Whirling Dervish
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[[ミラディン・ブロック]]に登場した[[スリス]]の元祖である。 | [[ミラディン・ブロック]]に登場した[[スリス]]の元祖である。 | ||
ただし、[[+1/+1カウンター]]を得るタイミングが違うので注意。攻撃に成功しても、[[ターン]]終了時まで強くならないことを忘れがちである。 | ただし、[[+1/+1カウンター]]を得るタイミングが違うので注意。攻撃に成功しても、[[ターン]]終了時まで強くならないことを忘れがちである。 | ||
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「whirling」は「回転している、ぐるぐる回っている」様子を表し、「dervish」は一般的に「(禁欲的な)イスラム教の修道僧、托鉢僧、踊る人」を意味する言葉。 | 「whirling」は「回転している、ぐるぐる回っている」様子を表し、「dervish」は一般的に「(禁欲的な)イスラム教の修道僧、托鉢僧、踊る人」を意味する言葉。 | ||
− | また歴史上、"Whirling Dervish"と言えばイスラム教神秘主義の一派である「メヴレヴィー教団(旋舞教団)」、またはその教団員のこと。→[[Wikipedia:メヴレヴィー教団]] | + | また歴史上、"Whirling Dervish"と言えばイスラム教神秘主義の一派である「メヴレヴィー教団(旋舞教団)」、またはその教団員のこと。→[[Wikipedia:ja:メヴレヴィー教団]] |
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上述の「whirling」を踏まえた上で改めて「whirl」について考察する。 | 上述の「whirling」を踏まえた上で改めて「whirl」について考察する。 | ||
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「whirl」には自動詞で「(人・車などが)疾走する」意味もあるので現在分詞の形容詞的用法を用い、さらに意訳して「疾風の」としたとしても、その解釈にさほど問題はない。これは[[画像:Whirling Dervish|イラスト]]とも矛盾しない(イラストの人物は回転していない)。 | 「whirl」には自動詞で「(人・車などが)疾走する」意味もあるので現在分詞の形容詞的用法を用い、さらに意訳して「疾風の」としたとしても、その解釈にさほど問題はない。これは[[画像:Whirling Dervish|イラスト]]とも矛盾しない(イラストの人物は回転していない)。 | ||
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− | + | 「デルヴィッシュ」は綴りと発音を参照したカタカナ表記と思われるが、ファンタジーを題材にしたゲームでは、職業をカタカナ表記するのは別段珍しいものではない。初期の[[ダンジョンズ&ドラゴンズ]]などの翻訳でも、「デルヴィッシュ」としている例は散見される。 | |
また、「dervish」は上記のとおり、「(イスラム教の)修道僧、托鉢僧、踊る人」などと翻訳が可能だが、”聖職者”を意味する英単語はそれこそ種類が多く、将来的に一対一の訳で対応しきれるか、という問題がある。そこで、読みをそのまま日本語化する事でそれを回避したという可能性もある。 | また、「dervish」は上記のとおり、「(イスラム教の)修道僧、托鉢僧、踊る人」などと翻訳が可能だが、”聖職者”を意味する英単語はそれこそ種類が多く、将来的に一対一の訳で対応しきれるか、という問題がある。そこで、読みをそのまま日本語化する事でそれを回避したという可能性もある。 | ||
「dervish」は日常会話で使われる類の言葉ではないが、ちょっとした辞書になら載っている単語であり、これを固有名詞と勘違いした線は薄い。 | 「dervish」は日常会話で使われる類の言葉ではないが、ちょっとした辞書になら載っている単語であり、これを固有名詞と勘違いした線は薄い。 | ||
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− | 現実のイスラム教の宗派そのものを表す「旋舞教団」という語を、架空世界であるマジックで用いるのを避けたと考えるのが妥当だろう。このカードを和訳する際、訳者の[[ | + | 現実のイスラム教の宗派そのものを表す「旋舞教団」という語を、架空世界であるマジックで用いるのを避けたと考えるのが妥当だろう。このカードを和訳する際、訳者の[[朱鷺田祐介]]氏が実在する宗教に配慮したとする記事(下記の'''注'''参照)がこれを裏付けている。だが、ただ単に専門語である「旋舞教団」を訳者が知らなかった可能性も否定はできない。 |
− | + | *'''注''':アスキー社から発行の[[テーブルトークRPG]]雑誌「LOG OUT」(現在廃刊)掲載の[[田中としひさ]]氏の漫画「おこんないでね」に、このカードの和訳に悩む朱鷺田祐介氏の姿が描かれている。それによると、「回る僧侶」は(時節柄)まずいだろ、などと書かれている。 | |
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*なおイスラム教は和名で「回教」と呼ばれるが、上記「旋舞教団」は無関係である。中国にこの宗教を定着させた民族・回回族に由来する。 | *なおイスラム教は和名で「回教」と呼ばれるが、上記「旋舞教団」は無関係である。中国にこの宗教を定着させた民族・回回族に由来する。 | ||
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以上の事から、「疾風のデルヴィッシュ」は訳者の腐心の作であることが見て取れ、適訳かどうかは意見の分かれるところだろうが、これを”誤訳”と断じるには根拠不十分と言わざるを得ない。 | 以上の事から、「疾風のデルヴィッシュ」は訳者の腐心の作であることが見て取れ、適訳かどうかは意見の分かれるところだろうが、これを”誤訳”と断じるには根拠不十分と言わざるを得ない。 | ||
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− | *[[ | + | *[[カード個別評価:第5版]] - [[アンコモン]] |
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2008年3月16日 (日) 00:18時点における版
クリーチャー — 人間(Human) モンク(Monk)
プロテクション(黒)
各終了ステップの開始時に、このターン疾風のデルヴィッシュが対戦相手にダメージを与えていた場合、その上に+1/+1カウンターを1個置く。
解説
緑の黒対策クリーチャー。幾多の黒デッキがこの1体を止められずに敗北していった。
対戦相手に攻撃が通るたびに大きくなり、6回通ればゲームが終わる。 しかもプロテクション持ちなので、単体除去中心の黒からすれば実に頭の痛い存在。 後の世の幻影のケンタウロス/Phantom Centaurにも共通する面があるか。
ミラディン・ブロックに登場したスリスの元祖である。 ただし、+1/+1カウンターを得るタイミングが違うので注意。攻撃に成功しても、ターン終了時まで強くならないことを忘れがちである。 二段攻撃を持ったり、複数回ダメージを与えたとしても、カウンターは1個しか得られないことにも注意。
- 時のらせんでタイムシフトカードとして再録。これに伴い、クリーチャー・タイプがそれまでのデルヴィッシュ(Dervish)から人間・モンクに変更された(デルヴィッシュは絶滅)。
- さらに次の次元の混乱にて、黒の砂丘乗りの無法者/Dunerider Outlawとしてタイムシフト。
訳語
「Whirling Dervish」を「疾風のデルヴィッシュ」と訳す事に疑問を投げかける者もいる。
「whirling」は「回転している、ぐるぐる回っている」様子を表し、「dervish」は一般的に「(禁欲的な)イスラム教の修道僧、托鉢僧、踊る人」を意味する言葉。 また歴史上、"Whirling Dervish"と言えばイスラム教神秘主義の一派である「メヴレヴィー教団(旋舞教団)」、またはその教団員のこと。→Wikipedia:ja:メヴレヴィー教団
Whirling=疾風の…?
上述の「whirling」を踏まえた上で改めて「whirl」について考察する。
「whirl」には自動詞で「(人・車などが)疾走する」意味もあるので現在分詞の形容詞的用法を用い、さらに意訳して「疾風の」としたとしても、その解釈にさほど問題はない。これはイラストとも矛盾しない(イラストの人物は回転していない)。
Dervish=デルヴィッシュ?
「デルヴィッシュ」は綴りと発音を参照したカタカナ表記と思われるが、ファンタジーを題材にしたゲームでは、職業をカタカナ表記するのは別段珍しいものではない。初期のダンジョンズ&ドラゴンズなどの翻訳でも、「デルヴィッシュ」としている例は散見される。 また、「dervish」は上記のとおり、「(イスラム教の)修道僧、托鉢僧、踊る人」などと翻訳が可能だが、”聖職者”を意味する英単語はそれこそ種類が多く、将来的に一対一の訳で対応しきれるか、という問題がある。そこで、読みをそのまま日本語化する事でそれを回避したという可能性もある。 「dervish」は日常会話で使われる類の言葉ではないが、ちょっとした辞書になら載っている単語であり、これを固有名詞と勘違いした線は薄い。
旋舞教団ではダメなのか?
現実のイスラム教の宗派そのものを表す「旋舞教団」という語を、架空世界であるマジックで用いるのを避けたと考えるのが妥当だろう。このカードを和訳する際、訳者の朱鷺田祐介氏が実在する宗教に配慮したとする記事(下記の注参照)がこれを裏付けている。だが、ただ単に専門語である「旋舞教団」を訳者が知らなかった可能性も否定はできない。
- 注:アスキー社から発行のテーブルトークRPG雑誌「LOG OUT」(現在廃刊)掲載の田中としひさ氏の漫画「おこんないでね」に、このカードの和訳に悩む朱鷺田祐介氏の姿が描かれている。それによると、「回る僧侶」は(時節柄)まずいだろ、などと書かれている。
- なおイスラム教は和名で「回教」と呼ばれるが、上記「旋舞教団」は無関係である。中国にこの宗教を定着させた民族・回回族に由来する。
以上の事から、「疾風のデルヴィッシュ」は訳者の腐心の作であることが見て取れ、適訳かどうかは意見の分かれるところだろうが、これを”誤訳”と断じるには根拠不十分と言わざるを得ない。