Time Vault
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アーティファクト
Time Vaultはタップ状態で戦場に出る。
Time Vaultはあなたのアンタップ・ステップの間にアンタップしない。
Time Vaultがタップ状態である間にあなたがあなたのターンを始める場合、代わりにあなたはそのターンを飛ばしてもよい。そうした場合、Time Vaultをアンタップする。
(T):このターンに続いて追加の1ターンを行う。
マジック最初の「ターンを増減させる」カードで、要はターン貯蔵機。次のターンを失う(貯める)代わりに、後にそのターンを呼び戻せる、という感じ。 「自分だけが2ターン連続で行動」できる効果は強いが、それを行うためにまず「対戦相手だけが2ターン連続で行動」を先に実施させてしまうので、単純には使いづらい。
しかし、これの位相を恒久的に操作する方法があれば、無限のターンを容易に得ることができ、恐るべきカードパワーを発揮する。 そのため、エラッタと悪用法の考案がいたちごっこのように繰り返された。
- 市長の笏/Magistrate's Scepterが後継といえるだろうか。
Type1(現在のヴィンテージ)では1994年1月25より制限カードに指定され、1995年3月23日より禁止カードに指定される。その後1996年4月1日に後述のエラッタ(#2度目のエラッタ)が出され、同時に禁止カード指定を解除された。その後、2008年9月24日で元の機能に戻す(#4度目のエラッタ)ため、2008年9月20日より再びヴィンテージで制限カード、レガシーで禁止カードに指定された。
エラッタ
エラッタが複数回出たカードであるが、その度に悪用する方法が考えられた。以下では、それぞれのエラッタと悪用方法を述べる。
オリジナル
オリジナルのテキストは現代に直すと以下のようなもの。
旧オラクル
Time Vault (2)アーティファクト
Time Vaultはタップ状態で場に出る。
Time Vaultはあなたのアンタップ・ステップの間に通常のアンタップはせず、あなたのターンを飛ばすことでアンタップする。
(T):この後に追加のターンを得る。
- そのまま解釈すると、アンタップ・ステップ(当時はフェイズ)が始まってから、そのターンを飛ばすかどうか決めることになる。これではおかしいので、この選択は前のターンが終わってからあなたのターンが始まるまで、つまり「ターンの間」に行われると解釈された。ところが、この「ターンの間」の概念のせいでフェイズ・ゼロというコンボデッキが誕生してしまう。
1度目のエラッタ
上の問題を防ぐために以下のエラッタが出された。
旧オラクル
Time Vault (2)アーティファクト
Time Vaultはタップ状態で場に出る。
Time Vaultはあなたのアンタップ・ステップの間にアンタップしない。
あなたの次のターンを飛ばす:Time Vaultをアンタップする。
(T):この後に追加のターンを得る。
- 最後の賭け/Final Fortuneとの相性がよい。最後の賭けで増えたターンをこれで「貯める」ことで、最後の賭けの効果による「追加ターン終了時に負け」という弱点がなくなってしまう。
- 動く秘宝/Animate Artifactと賦活/Instill Energyのコンボで簡単に無限ターンが可能だった。
2度目のエラッタ
上記の抜け道を塞ぐために出されたエラッタのテキストは以下の通り。
旧オラクル
Time Vault (2)アーティファクト
Time Vaultはタップ状態で場に出る。
Time Vaultはあなたのアンタップ・ステップの間にアンタップしない。
あなたの次のターンを飛ばす:Time Vaultをアンタップし、時間カウンターをTime Vaultの上に1個置く。
(T),Time Vaultからすべての時間カウンターを取り除く:この後に追加のターンを得る。この能力は、Time Vaultの上に時間カウンターが置かれている場合にしかプレイできない。
- 炎の一斉攻撃/Flame Fusilladeと、無限ターンではない別の側面での無限コンボができる。このテキストでは「ターンを飛ばしてこれをアンタップ」という能力に使用制限がなく、これのアンタップは何度でも行えるため、何度もアンタップさせてダメージを無限に与えることができた。もちろんその分ターンを失うが、飛ぶ前に勝負がついていれば問題ない。このため、エターナル環境で高確率で1〜2ターンキルが発生することも懸念されたのか、ディセンション発売に伴い再びエラッタが出ることになり、このコンボは現在では成立しない。→Ask Wizards参照
- 煙突/Smokestackに2つ以上のカウンターが乗った状態で延々と自分のターンを飛ばしていくことにより、相手のパーマネントを消すコンボが可能であった。現在は下記の2006年7月のエラッタによりターンを飛ばし続けることができなくなったため、そのままでは成立しない。
3度目のエラッタ
旧オラクル
Time Vault (2)アーティファクト
Time Vaultはタップ状態で場に出る。
Time Vaultがアンタップ状態になる場合、代わりに以下の2つから1つを選ぶ。「Time Vaultをアンタップし、あなたの次のターンを飛ばす。」「Time Vaultをタップ状態のままにする。」
(T):このターンに続いて追加の1ターンを行う。
2006年7月にエラッタが再び出された。アンタップ状態になるときに、タップ状態にしたままにするかアンタップして次の自分のターンを飛ばすかを選ぶ置換効果になり、さらにタップするだけで追加のターンを得られるようになった。そして、カウンターも必要なくなった。
- これによりミジウムの変成体/Mizzium Transreliquatとの無限ターンコンボが出来るため、エターナルでこの2枚を中心にしたデッキが少数活躍した。
4度目のエラッタ
機能的には一番初期のものに戻った。もちろんのことながらフェイズ・ゼロ問題はルールレベルで対策されている。
- 動く秘宝/Animate Artifactと賦活/Instill Energyのコンボどころか通電式キー/Voltaic Keyやミジウムの変成体/Mizzium Transreliquat、求道者テゼレット/Tezzeret the Seekerの小プラス能力で無限ターンが成立する。
参考
- The Top 50 Artifacts of All Time第50位(WotC、文:Zvi Mowshowitz、英語)
- 再録禁止カード一覧(再録禁止カード)
- カード個別評価:アンリミテッド - レア