ファラジ/Fallaji
提供:MTG Wiki
ファラジ/Fallaji[1]はドミナリア/Dominariaの部族。
目次 |
概要
ファラジは兄弟戦争/Brothers' Warにおけるミシュラ/Mishra軍の主力となったアラビア風の砂漠の戦士[2]だが、アンティキティーには登場せず、初出はコミックである。小説The Brothers' Warではコミックシリーズの着想を発展させたファラジが描かれており、ファラジの詳細な情報はほぼこの小説によるものである。
兄弟戦争以降のファラジの存在は初期小説Song of Timeですでに示されていたものの、その後はいくつかの小説・短編でその時代のファラジの存在が軽く触れられたのみであった。ドミナリアでは4560AR現在のファラジの国と状況がしばらくぶりに言及され、今でも健在であることが判明した。ただし兄弟戦争期を除いてファラジの情報はあまりにも少ない。
解説
ファラジはテリシア/Terisiareの遊牧民の諸部族。アルマーズ/Almaaz島のファラジア/Fallajiaを領土としている(テリシア地図)。過去のファラジは砂漠に住む遊牧民であったが、4560AR現在の領土ファラジアは砂漠でなく平原であり、そこに農地を切り拓いている。ファラジア東端部にはヤヴィマヤ/Yavimayaの「入植地/Colony」がある。海を越えて侵食してくるヤヴィマヤの森から農地を守るためにファラジの民は抵抗を続けている。
ファラジの起源は兄弟戦争よりも昔にまで遡り、兄弟戦争期にはすでにテリシアの大砂漠/Great Desertのほとんどを支配していた。ゴーゴスの酒杯/Golgothian Sylexには古代ファラジ様式に似た文様が確認できることから、相当古い起源を持つ民族と考えられる。
ファラジ社会
この項目の記述は兄弟戦争期のファラジの記述を基にしている。現在のファラジ社会については情報がなく、変化している可能性がある。
ファラジは複数の部族が集合した民族である。部族名としてSuwwardi(スワルディ族)[3]、Ghestos(ゲストス族)、Muaharin(ムアハリン族)、Thaladin(サラディン族)の名が判明している。部族は族長(chieftain)が統治する。男性優位の社会であり女性や子供の地位は低い。奴隷階級のrakiq(ラキク)が存在し、捕虜や罪人などはラキクとして使役されることがある。また、「raki(ラキ)」[4]とは魔術師を意味し、ミシュラは奴隷ラキクの地位から解放され、魔術師ラキの地位を授けられスワルディ族の長王の助言役として高い地位を得た。
スワルディ族の族長は「長王/Qadir」[5]とも呼ばれる(長王がスワルディ族独自の称号か、部族ごとの族長の呼称であるかは不明瞭)。ミシュラはスワルディ長王2代に仕え、息子の長王の死後に地位を継承し、全ファラジを治める「工匠長王(Artifice Qadir)」の称号を名乗った。
ファラジは遊牧民ではあるが領土内には街や都市も築いている。外部の者からは大都市がファラジの中心地・首都とみなされることがあるものの、ファラジ諸部族は都市住まいのファラジは余所者に近い者たちと考えている。ファラジの諸部族は大都市ではなく強力な指導者にのみ従う。
ファラジ文化
ファラジはアラビア風の文化を有しファラジ語を話す。
ファラジの伝説・伝承には英雄や王女、砂漠のジン[6]などが登場し、瓶の中に封じられた都市群やロバに変えられた不運な人の話、略奪譚などが語られる。夜になるとさ迷い出すジンやグール、偉大なるドラゴン「mak fawas(マク・ファワス)」を信じる者もいる。ミシュラのドラゴン・エンジン/Dragon Engineはマク・ファワスと名付けられ伝承のドラゴンと同一視された。スラン/Thranについてはアーティファクトで不思議な超都市を築いた半神の民と伝えられていた。
ファラジの嗜好品「nabiz(ナビズ)」はシナモンで風味がつけられた度の強い葡萄酒である。
ブルー・カーネリアン(blue carnelian)はファラジの特定の地域で産出される鉱物で、通常のカーネリアン(紅玉髄)が赤いのに対し青色である。希少で非常に高価。
ファラジ帝国
ファラジ帝国/Fallaji Empireは兄弟戦争期に存在したファラジ諸部族を統一した帝国。
スワルディ族の長王は相談役ミシュラの制御するマク・ファワスの力を頼みに全部族の統一を企図し、諸部族を併呑し、都市トマクル/Tomakulとゼゴン/Zegonの占領を成し遂げ、ファラジ帝国を成立させた。クルーグ/Kroog戦で長王が落命した後はミシュラが継承し帝国を繁栄拡大させた。サリンス/Sarinthやヨーティア/Yotia、Terisia City(テリシア市)、スミファ/Sumifaを征服あるいは破壊して、帝国の領土は大砂漠/Great Desertとその周辺地域にまでに及んだ。
現在のファラジアはかつての強大なファラジ帝国のわずかな残滓にすぎない。
地名
現在のファラジの領土であるファラジアとその周辺についてはアルマーズ/Almaaz#東部を参照。
失われた土地
- 大砂漠/Great Desert
- 兄弟戦争期にはファラジ諸部族が支配していた。
- トマクル/Tomakul
- ファラジ最古の都市。
- ゼゴン/Zegon
- ファラジの都市。
- サリンス/Sarinth
- 兄弟戦争期にファラジに占領された都市。
- Suwwardi Marches(スワルディ境界)またはSword Marches(剣の境界)
- ヨーティア/Yotiaとの境界地域。
- スミファ/Sumifa
- 兄弟戦争期の旧スミファを中心とするアルマーズ王国はファラジ帝国の支配下に置かれた。
- Ta'waril Chasm(タワリルの裂け谷)
- コミックUrza-Mishra Warに登場。
マジック URZA&MISHRAのファラジ国
日本のコミックマジック URZA&MISHRAは設定や物語に差異があり、ファラジ周りでも同様に大きく異なる。以下は原典小説The Brothers' Warと異なる点の抜粋。()内は小説での扱い。
- ファラジの領土である大砂漠はヨーティアの東方に広がる(東方に砂漠はない)。
- ファラジの暦にはカタという月がある(カタの月は登場しない)。
- ホソル奇岩にはファラジの戦神の1人ハシラハの祠がある(ホソル奇岩もハシラハも登場しない)。
- ミシュラは自らハシラハの祠に訪れ、ドラゴン・エンジンを入手して長王と側近を殺害した(ドラゴン・エンジンは夜間に宿営地に突然出現し長王は混乱の中で死亡した)。
- 長王の息子は王子と呼ばれ、代替わりした後は長王でなく単にファラジ王と名乗った。
- ファラジの騎兵は恐竜とも鳥ともつかない生物にまたがる。あるいは、象よりも大型で鈍重そうな四足獣の背に騎乗用の籠を設け運搬や移動に用いている。(こうのいった騎乗用生物の記述はない)
- ファラジとヨーティアの境界地域はスワラジ地方と呼ばれる(Suwwardi Marchesに相当するか)。
- ファラジ王はミシュラの何らかの術により操り人形となっている。自由意思を表にあらわさず、ヨーティアとの会談の場で全身を剣で貫かれるが、平然と動き出しヨーティアの王である将軍と刺し違えたのちに死亡する。(このような描写はないし、死亡した経緯も場所も異なる)
登場
登場作品・登場記事
- Antiquities War#2-4(コミック)
- Urza-Mishra War#1-2(コミック)
- Song of Time(小説。ファラジアがFallajian Territoriesとして登場)
- The Brothers' War(小説)
- Planeswalker(小説)
- Time Streams(小説。名前のみの登場)
- The Gathering Dark(小説)
- Blue Moon(The Myths of Magic収録の短編。ブルー・カーネリアンに言及)
- マジック URZA&MISHRA(コミック)
- Apocalypse(小説。名前のみの登場)
- For Want of Ink(The Secrets of Magic収録の短編。氷河期が舞台、ファラジ出身者が登場)
- The Art of Magic: the Gathering Dominaria
訳語
「Fallaji」の発音は、Urza-Mishra War#1巻末のPete Ventersのコメントによると「Fuh-lah-jee」である。コミックマジック URZA&MISHRAでは発音ガイドと同様に「ファラジ」と訳されている。Podcastでも同様に「ファラジ」に近い発音。
「Qadir」はマジック URZA&MISHRAで「長王」と訳されている。
脚注
- ↑ コミックAntiquities WarとUrza-Mishra WarではFallajiとFallaj表記が混在
- ↑ コミックUrza-Mishra War #1巻末のPete Ventersのコメント
- ↑ コミックAntiquities WarとUrza-Mishra WarではSuwwardiとSuwward表記が混在
- ↑ 小説The Brothers' Warで一度だけraqiと表記される
- ↑ コミックAntiquities WarではQuadir
- ↑ 小説The Brothers' Warではdjinnではなくgenie表記