ダスクモーン/Duskmourn

提供:MTG Wiki

2024年9月13日 (金) 01:46時点におけるAE2 (トーク | 投稿記録)による版
移動: 案内, 検索

ダスクモーン/Duskmournは、多元宇宙/Multiverseに存在する次元/Planeの一つ。ダスクモーン:戦慄の館の舞台となった。

目次

世界観

ダスクモーンと化したもともとの次元/Planeについては、ほとんど何も分かっていない。ただ、昔からこうだったわけではないというだけだ。/The Houseじゅうに散らばる古のアーティファクトの残骸は、この次元が魔法的にも技術的にも進歩し、次元よりも広い多元宇宙/Multiverseの存在に気づき始めたばかりであったことを示唆しているが、そのすべては失われた。次元のもともとの名前すら忘れ去られてしまった。

もともと、館は普通の住居で、ヴァルガヴォス/Valgavothの名で知られるデーモン/Demon存在を幽閉していた。拘束を解くことができなかった彼は、代わりに牢獄とされるものの境界を再定義し拡張することで、拘束に対処する方法を見つけた。やがて彼は、館の壁の内部に次元全域を飲み込むことに成功した。この時代は神格化/The Ascensionとして知られている。館は厳密には生きているわけではないが、ヴァルガヴォスの意識が至るところに浸透しているため、中にいる全員を、基礎的なレベルで知覚し認識している。

神格化以前には、少なくとも三つの異なる存在領域があった――物理的領域が一つと、デーモンとスピリット/Spiritが棲む非物質的領域が二つだ。館が大きくなるにつれて、デーモンの領域は館の中に折り込まれていき、スピリットの領域は久遠の闇/Blind Eternitiesの中のこの次元の空間が許すかぎり端の方へと追いやられてしまった。

館の起源

ヴェンドレル/Vendrell一家が新たな家に、すなわち何の変哲もない町の、古く荘厳な館に引っ越してきたときに願っていたのは、新たなスタートだった――新たな仕事、そして娘のマリーナ・ヴェンドレル/Marina Vendrellにとっては、友達を得る新たな機会だ。マリーナは内気で読書好きな、友達を作るのが苦手な少女だったが、彼女が居場所を見つけるのに必要なのは新たな環境だけだろう、そう家族は考えていた。

残念ながら、そうではなかった。地元の学校への登校初日から、マリーナは頻繁にいじめの標的になった。彼女は次第に孤立し引きこもるようになり、自由時間は家で過ごし、新たな家を隅々まで探検した。

彼女はそのような探検の中で、地下室に棲む小さく奇妙な存在を発見した。彼女は最初こそ警戒心と不信感を抱いていたものの、すぐにその存在を友と見なすようになった。その存在はいつでも同情と理解を示し、そしていじめがひどくなるにつれ、彼女はますますその存在を唯一の友として頼るようになっていった。

ある日、特にひどいいじめばかりだった日に、マリーナは取り乱して帰宅した。彼女は泣き叫びながら、地下室の友に自分の苦しみと怒りをぶちまけた。友は辛抱強く黙って話を聞き、ようやくその言葉が静まると、彼女のために問題を解決してやろうと申し出た。

「私がそいつらに仕返しをしてあげよう。君が受けたのと同じ苦しみを味わわせてあげよう。」

惨めさと怒りのその瞬間、彼女は同意した。彼女はヴァルガヴォスの指示に従い、いじめっ子たちを館に誘い込み、地下室に連れていった……。

彼が待つ場所へ。飢えて待つ場所へ。

マリーナは恐怖に慄きながら、その存在が生命を得て、いじめっ子たちを喰らうのを見た。手遅れだったが、「友」は彼女が思っていたよりもずっと悪意あるものなのだと、彼女は気づいた。彼女は地下室から逃げ出し、扉に鍵をかけ、あの存在とは二度と関わりませんと誓った。しかしながら、もうすでに手遅れだった。

マリーナの周囲の人々が、突然で説明のつかない、恐ろしい最期を遂げ始めた。近隣の家々も同様に歪み、ねじれ、奇妙で恐ろしいものになっていった。だが何よりも不穏だったのは、館そのものが歪み、成長し始めたことだった。

当初、マリーナは何も起きていないふりをしようとした。影響範囲が広がり、現象が無視できないほど明白になってきても。だがその後、両親が姿を消した。もはや否定し切れなくなった彼女は、自分たちの館の歴史を徹底的に調べ上げ、地下室の存在が実はデーモンであったことを突き止めた。館の前の持ち主たちがこのデーモンを召喚したが、すぐに手に負えなくなった。彼らは自分たちが喰らわれないよう、館の物理的構造にデーモンを縛りつけて逃げたのだ。閉じ込められて餌を得られなくなったデーモンは、休眠状態に入って時を待った――マリーナがやってきて、知らず知らずのうちに枷を解くその時を。

自分のしたことの真実すべてにようやく向き合ったマリーナは、その存在に立ち向かい、やめるよう要求した。やめなければ、館全体を焼き払ってしまうと。デーモンは強大ではあったが、それでももともとの召喚者の呪いに縛られていた。館を破壊されれば彼も道連れなのだ。他に選択肢はなく、デーモンは彼女が覚えている世界を返還することに同意した。マリーナもそれを受け入れ、デーモンを打ち負かし、世界を正常な姿に戻せたことに安堵した……ともかく、彼女が知覚する範囲においては。

現実には、館は拡大し続けた。恐ろしいものたちは増え続け、館の中に住む者すべてを恐怖に陥れていった。そしてデーモンは力を増し、ついには次元全域をダスクモーンの壁の内に飲み込んでしまった。

館の目的はただ一つ――ヴァルガヴォスの恐怖や恐れへの飢えを満たすことだ。だが次元全域ぶんの恐怖をもってしても、彼の飽くなき食欲を満たすことはできない。特に、その恐怖の源である生存者/Survivorたちが死に続けているのだからなおさらだ。

かつて、ヴァルガヴォスは他の次元への扉を一時的にこじ開けることができ、それを用いて怪しむことを知らない犠牲者を誘い込んでいた。だがそのためには多大な労力を要し、数年に一度しか扉を開くことはできなかった。しかしながら、今や領界路/Omenpathが久遠の闇を縦横に走り、次元間の接続をかつてないほど容易にしており、ヴァルガヴォスも遥かに容易く他の次元へ手を伸ばせるようになった。ダスクモーンへの扉が多元宇宙じゅうでありふれた光景になるにつれ、ますます多くの人々が姿を消すようになってきている。

ヴァルガヴォス/Valgavoth

デーモンのヴァルガヴォスはダスクモーンの要である。厳密に言えば彼は今なお館の物理的構造に束縛されているが、この制限はもはやほとんど意味を成していない。彼は館との精神的な繋がりを用いて、望む者を追跡し、館の内に棲む怪物的存在たちに命令を下すことができる。ヴァルガヴォスは年を経て強大になるたびに、古い姿を脱ぎ捨て、新たな、より大きな肉体を得る。彼がそうするのは、彼を館に縛りつける呪いを今でも解こうとしているからなのだと考える者もいる。あるいは、このような脱皮は単にデーモンたちにとっての自然な成長方法なのだと考える者もいる。

ヴァルガヴォスが今までの姿から脱皮して新たな肉体になるたび、惨劇の刻/Harrowingが起こる。この再誕に伴う悪意のうねりは、館に新たな館底種/Cellarspawnの波を生み出す。またこれによって送られた精神的波紋は、ヴァルガヴォスの教団/The Cult of Valgavothの信者や剃刀族/Razorkin、その他の怪物的存在を刺激し、凶暴性、血への渇望、偏執を増大させる。惨劇の刻は通常、数日間しか続かない。

惨劇の刻を相殺するのが静穏の刻/Quiescence、ヴァルガヴォスが脱皮する直前に起こるものだ。彼が新たな成長に集中すべく全神経を内側に向けるため、館には一時的な凪が訪れ、安全に最も近い状態になる。静穏の刻は通常数週間続き、生存者たちに回復と、来る惨劇の刻への備えに必要な時間を与えてくれる。

マリーナ・ヴェンドレル/Marina Vendrell

ヴェンドレル家の最後の生き残りは、この館で暮らし続けている――ある意味で。彼女との約束の一環として、ヴァルガヴォスは館を正常な状態に戻すことを誓った。というよりはむしろ、ヴァルガヴォスは彼女の世界に対する知覚を戻し、彼女を歪んだ非現実の泡で包み込んだ。彼女がどこへ行こうとその泡が館を変質させるため、彼女には実際のおぞましい環境ではなく、普通の世界が見えているだけなのだ。マリーナがどこまで真実に気づいているのかははっきりしていない。世界が元に戻ったと本気で信じているのか、それとも自らが部分的にでも作り出した世界から目を背けるために、故意に自分を騙すことを良しとしているのか。

地理

館の地理は一言にまとめられる――「あり得ない」だ。ここは内部が常に変化し、外部が存在しない場所なのだ。階段はどこにも繋がっておらず、寝室の扉を開くと森のただ中に出され、廊下は足下で大理石から悪臭を放つ泥沼に変わる。外部ないし外部の環境に通じているように見える扉は、館の中の別の区域に通じているだけだ。

館は部屋と呼ばれる区域に分かれている。もっとも、その名前は欺瞞的だ。なぜなら一つの部屋に含まれているものは実にさまざまで、一見普通の寝室から、果てしなく続くように見える広大な荒れ地まであるからだ。唯一の決まりごとは、部屋と部屋を繋ぐ扉か窓かその他の開口部が必ず存在するということだ。部屋の繋がり方に認識できるような理屈はなく、屋内のような部屋と屋外のような部屋が交ざり合っている。

館の地理は常に変化しており、地図作りや道案内は全く不可能ではないにしても、困難な作業である。ほとんどの変化はヴァルガヴォスが直接指揮することなく自然に起こるが、彼はいつでも館に直接命じて配置を変えることができる。通常それをするのは、特定の生存者を狙っているときだ。

館は五つの領域に大まかに分類することができ、それぞれに固有の気質や特徴がある。これらの領域に厳密な境界はない。部屋同士は頻繁に繋がり、領域を越えて互いに入り組み合っている。

ミストムーア/The Mistmoors

不気味な静寂が響く空っぽの玄関ホール。奇怪な大理石の彫像が並び、感じられない微風に波打つ白い布がかけられた廊下。そびえ立つアーチ状のひさしの下にある、蜘蛛の巣のかかった屋根裏部屋。絶え間なく浸食する砂の下に沈みゆく、積み重なったテラス。

ミストムーア/The Mistmoorsには、不安を煽り怖気づかせるような、広大で反響する空間が溢れている。この領域の部屋は通常、白い石造りの建築、波打つカーテン、風に吹かれて漂う砂、太陽の見えない平坦な灰色の空を特徴とする。

フラッドピット/The Floodpits

凍りついた地底湖。先の見えない冷たい霧を吐き出す、スクリーンの並ぶ廊下。足を踏み入れることはできても降りることはできない、曲がりくねった階段。腰の高さまであるずぶ濡れの本の湖に、滝が流れ込む図書室。不安にさせる水の染みでまだらに汚れた、湿ったかび臭い寝室。

フラッドピット/The Floodpitsは、館の中で最も物理法則が否定される環境であり、現実離れした通路やあり得ない建築物の並置で溢れている。この領域の部屋は何らかの形態の水――液体、固体、気体――や、水の染み、壁一面に広がる静電気を帯びたスクリーンを特徴とする傾向がある。

ベイルマーク/The Balemurk

水の滴る不快な蜘蛛の巣で結ばれた朽ちた床板の、明かりのない玄関ホール。墓石で満たされ、掴みかかるような枯れ木が点在する沼地。視界の隅でちらりと見ると影の角が動いているような、不吉な暗がりに沈んだ地下室。

薄暗く不吉なベイルマーク/The Balemurkは、本来あるべき状態よりもなお深い影と、不安にさせる有機的な形や物質で満ちている。ギザギザの裂け目や朽ちた床板が、腐敗性の湿地や枯れた植物とともに支配的だ。

ボイラービルジ/The Boilerbilges

息苦しいほどの熱気に満ちた炉室。硫黄の炎の穴へと突如落下して終わる階段。壁が引き裂かれ、その裂け目が化膿したような鮮やかな赤に輝く廊下。黒焦げの、炎で破壊されたガラクタ置き場。

ボイラービルジ/The Boilerbilgesは、館の中で最も明白に危険な地形を特徴とし、真っ逆さまの落下仕掛け、ギザギザの建築物、噴出する炎で溢れている。ここはまた、地震や炎竜巻のような暴力的で破壊的な事象が起こりやすく、この領域で生き延びる可能性を通常よりもさらに低くしている。

ホーントウッド/The Hauntwoods

棘だらけの蔓や茨で覆い尽くされた廊下。有毒生物と肉食生物の標本で満ちた、生い茂る温室。鬱蒼とした光の差さない森の中にポツンと立つ小屋。呪いの枝編み細工が吊るされ、人の手のような形の木々に絞められている崩れかけのドーム。

すべての領域の中でも、ホーントウッド/The Hauntwoodsは屋内のような環境と屋外のような環境の境界が最も曖昧な場所であり、木々や植物やその他の植生が食堂や廊下に侵入し、樹冠のどこかに失われた梁の代わりに天井を支える役割さえ果たしている。場所によっては、植物は貪欲で無制限に成長し、館そのものの構造を衰えさせているように見える。

ビロウ/The Below

館の中心部の奥深くにあるのがビロウ/The Below、ヴァルガヴォス自身が住まう光なき地下室で、ここから彼は館の至るところへと触手を伸ばしている。ビロウの位置は、ダスクモーン全域で唯一の定点だ。そこに辿り着くには、ベイルマークの奥深くにある、館となったもともとの住居の地階を通らなければならない。ヴァルガヴォスの以前の体の抜け殻でできたトンネルが地下深くまで伸びており、脱皮のたびにより深くへと潜っていく。館からの唯一の真の出口はビロウの中にあると噂されているが、そこに足を踏み入れ、噂を確かめて戻ってきた者はこれまでに一人もいない。

具現/Manifestation

ヴァルガヴォスの影響が館じゅうに行き渡っているおかげで、思考と物質の境界は曖昧になっている。ヴァルガヴォスの真髄に浸り、その影響を浴びることで、具現/Manifestationとして知られる心霊現象が起こり始めた。思考、恐怖、夢が自発的に具現化し、生きた姿を与えらえるのだ。

ナイトメア/Nightmare

ナイトメア/Nightmareは、個人の恐怖や恐れを具現化した実体であり、生存者の精神から自発的に生み出される。すべてのナイトメアは個別的で、それが象徴する恐怖に特有である。すなわち、同じナイトメアは二つと存在しないということだ。複数の人物が同じナイトメアを生んだ場合、複数の実体が具現化するのではなく、当該のナイトメアの大きさと力がそれに比例して増大する。一人の人物が、複数の異なるナイトメアに寄与する原因となることもある。

ほとんどのナイトメアは無意識のうちに具現化するが、時にヴァルガヴォスの教団の信者が意図的に自らの恐怖を館に喰わせ、新たなナイトメアを生み出すこともある。信者たちは館が探し回れるよう、抑圧された潜在意識を喜んで開放するため、このようなナイトメアは最も恐ろしく歪んだものとなる。

ナイトメアはひたむきな存在で、自らを作り出した者だけを標的にする。それらは犠牲者を殺すことを目的としているのではない。代わりにそれらが望むのは、自らが体現している恐怖をその者に再び体験させることだ。ナイトメアに捕らえられた者は、ナイトメアの体内に引きずり込まれ、そこで終わりなき恐怖と生きることを強いられる。

ナイトメアにはそれぞれ、その核となる概念特有の弱点があり、したがって克服手段も異なる。歯が抜け落ちることを体現したナイトメアは接着剤でくっつけなければならないかもしれないし、嘲笑を体現するナイトメアは猿ぐつわで閉じる必要があるかもしれない。ナイトメアを克服することで、その支配力は弱まる。すなわち、その弱点を充分に利用することで、最終的にはそのナイトメアから完全に解放されることができるのだ。

館底種/Cellarspawn

館底種/Cellarspawnはヴァルガヴォスの白昼夢の具現であり、彼が思い描く終わりなき恐怖と恐れの世界――彼にとっては美しく、彼以外の全員にとっては恐ろしいもの――を体現した存在だ。館底種が生存者を捕らえると、精神が崩壊するかウサギのように心臓が破裂するまで、その者を純粋な恐怖で圧倒する。その結果として収穫されるのは、館底種にとっては御馳走とされる、濃厚で美味な一口の恐怖だ。このようにして収穫された人物は脊遂/Spindrellと成り果てる。それは基本的な意識レベルのみを保持し、永遠の恐怖に浸かった、最低限のものしか持たない犠牲者の精神的残骸だ。

館底種を出し抜いたり、正面切っての戦闘で倒したりすることはほとんど不可能だ。逃げ延びる唯一の方法は、館底種がこちらへの関心を失うまで避け続けることだ。館底種は実質的に忍耐力や記憶力を持たないため、生存者が充分長い間その注意を引かずにいることができれば、やがて勝手に離れていく。

光霊/Glimmer

光霊/Glimmerは館の中で唯一善意ある具現の一つだ。それらは生存者たちの希望と根気強さの物理的な具現である。光霊は子供の頃の宝物、懐かしく思い出されるペット、あるいは友人であっても――ある人物が諦めずにいるものなら何でも、その形をとることができる。光霊はヴァルガヴォスの陰湿な悪意に対抗する魔法の加護を提供し、生存者が館の影響に屈しないようにすることを助けてくれる。

種族・組織

ヴァルガヴォスの教団/The Cult of Valgavoth

ヴァルガヴォスの教団/The Cult of Valgavothは、貪食の父/The Devouring Fatherことヴァルガヴォスの栄光を広めることに専念する、崇拝者たちの結社である。教団の信仰の核は門閾の賜物/The Gift of the Thresholdだ。教団によれば、ヴァルガヴォスが恐怖を喰らうのは呪いではなく祝福である――恐怖を喰らうことで、彼はその者からその恐怖を取り除き、その恐怖に対する加護を授けてくれるのだ。真の楽園が存在するのは、ヴァルガヴォスが現存するすべての恐怖を喰らい尽くし、全員が安全で守られている――死そのものからも守られている――世界を創造したときだけなのだと。

教団の活動の中心となるのは門閾の儀式/The Rite of the Thresholdだ。この儀式に参加する者は祭壇室の壁に生えた繭の中に身を置き、ヴァルガヴォスに自らの精神を直接喰らわせる。一部の信者はこのようにしてヴァルガヴォスに身を捧げすぎるあまり、人間的な感情から遊離し、奉仕の願望以外は何も持たない、空っぽの肉の殻とほとんど違わない存在と化してしまった。

教団は自分たちを館の執事であると見なしており、館を維持管理し、その円滑な運営を確実なものとする責任を負っている。侍者/Attendantは教団員の大部分を占めており、基本的な維持管理を任されている。彼らは壁のひび割れを埋め、厄介なグレムリンを駆除し、侵入し生い茂る植物によって損傷した建築物を修復する。解釈者/Strictorは教団の規則と、儀式への参加日程を執行する。彼らの裁量に基づき、過度の恐怖や信仰心の弱さを見せた信者に対しては、門閾の儀式への参加時間を延長することができる。コクーニア/Cocoonierは教団の儀式と信仰の管理者であり、すべての儀式の実際の運営を担当する。

イマーゴラ/The Imagoraは選りすぐりの助言者たちから成る、執事長の側近集団だ。彼らは他の教団員ですら知ることのできない密命を遂行する任務を負っており、時に他の信者を淘汰することさえある。教団を率いるのが執事長/The seneschalだ。彼は館全体で唯一、ヴァルガヴォスと直接意思の疎通ができる人物であり、ビロウにあるヴァルガヴォスの住み処へ通じる真の道を知る唯一の人物である。

強要と欺瞞は、生存者を入信させるために教団が好んで用いる手法である。外面的には、教団は歓迎に溢れ、安全であるように見える。彼らの村は静寂の谷/The Valley of Serenity、ミストムーアとベイルマークにまたがって牧草地の部屋が連なる場所に位置している。初見では、この谷は平和かつ牧歌的で、館の大部分に潜む明白な恐怖の多くとは無縁のように見える。この谷を偶然見つけた生存者の多くは、清潔なベッド、安全、友好的な表情の約束に誘惑される。生存者が満足感で安心してから初めて、教団は真の顔を現し、生存者に選択肢を提示する――自由意志で入信するか、無理やり入信させられるかだ。

教団はあからさまな暴力を避けたがるが、生存者の逃亡を阻止するためにそれが必要なのであれば、力ずくでやることに反対はしない。教団と正面から対峙するのは、数の関係で困難な案である。個々の教団員を誘い出して打ち負かすことは可能ではあるが。

錯霊/Glitch ghost

錯霊/Glitch ghostは、ヴァルガヴォスの神格化以前に館の外で死んだ者たちの霊魂である。偶然なのか意図的なのか、館の壁は通り抜けることをほとんど許さない。館の中で死んだ者は館を出ることはできず、館の外で死んだ者は館に入ることはほぼ不可能だ。代わりに、このような霊は弱い部分から侵入しなければならない――壁のひび割れ、スクリーン、鏡、枠にしっかりはまっていない扉などだ。そうしようとする苦労は霊を損なわせ、歪んだ外見を与える。それらがもはやこの次元の一部ではなく、外部からの侵入者だと思い出させるような外見を。

錯霊はその者が死んだ際に経験した感情の瞬間に囚われている。時に、親近感を覚える、あるいは何らかの血縁を有する特定の人物に霊が取り憑くこともある。また、森の中の木々の一角や特定の部屋など、場所に取り憑くこともある。

錯霊は館の「外」の最後の名残であり、ダスクモーン次元のかつての姿の遺物である。ヴァルガヴォスがこの次元を貪り始めた際に、取り込むことも破壊することもできない場所があると彼は気づいた。彼の解決策は、ダスクモーンが久遠の闇の中で占めている空間の端に、それらの場所を単純に押し込んで圧縮することだった。しかしながら、これらの空間は圧縮されて存在しなくなってしまう代わりに、館を押し返す結果となった。この圧力は館の構造に負担をかけ、絶えず修復しなければならない割れ目や裂け目の原因となっている。館の中でも特に衰えた場所では、壁全体が崩れ落ち、錯霊そのものと同じ、歪んで損なわれた質感の、頑固で不可解なキャンバスをあらわにしているかもしれない。

錯霊を従来の武器や武力で倒すことはほとんど不可能だ。錯霊と効果的に戦える唯一の方法は、特別に設計された道具、通常は神格化以前の技術の残骸を拾い集めて組み合わせたものを用いることだ。このようにして捕らえられた霊は、充分な時間無力化され、やがて館との繋がりを失い、非物質化して外へと戻っていく――当分の間、別の入り口を見つけるまでは。

剃刀族/Razorkin

剃刀族/Razorkinはかつての生存者で、今や自らの歪んだ娯楽のために、残った生存者を狩るようになった者たちだ。彼らは痛みと苦しみを生きがいとしており、犠牲者を精巧で懲罰的な迷路の罠にかけたり、犠牲者をできるだけ長く生かして絶え間ない苦痛を与える新たな手法を編み出したりすることに、特別な喜びを感じる。拷問する生存者が見つからないときは、痛みへの渇望を満たすべく、互いに、あるいは自分自身に牙を剥く。

彼らの縄張りは、ボイラービルジ内にある精巧な死の罠の部屋と拷問部屋の連なりで、剃刀迷路/The razor mazesと総称される。ここは館の地理がさらに複雑に作り変えられており、そのために剃刀族の拷問の主役の座から逃れることは、誰にとってもほとんど不可能になっている。

剃刀族はまとまった集団としては機能しないが、そのほとんどは、最初の剃刀族であると自称する苦痛の王/The Lord of Painの指示に従う。彼はこれまで、館じゅうのスクリーンに映る姿でしか見られたことがない。ほとんどの場合、彼は他の剃刀族が仕事をするのをただ見ているだけで満足している。時折、彼は介入したり指示を出したりし、それは必然的に館全体規模の殺戮騒ぎに繋がる。彼は館じゅうのスクリーンを頻繁に行き来し、付け入る隙のある生存者に剃刀族の道に加わるよう囁き、なだめすかす。

剃刀族から逃げ延びられることは滅多にない。ひとたび剃刀族に目をつけられれば、そいつは執拗に狩り立ててくる。反撃する唯一正解の方法は、代わりに向こうを打ち負かして殺そうとする試みだけである――そしてそうしたとしても、その者が永久に死んだことを確かめなければならない。多くの剃刀族は、心臓を貫いたはずであっても、生存者が永久に逃げおおせたと思ったそのときに、再び姿を現すだけだ。

木人/Wickerfolk

木人/Wickerfolkは生ける木製の構築物で、かつては血肉を持つ人間であった。ヴァルガヴォスの神格化の初期の頃、館の拡大が次元じゅうに及んでいることが認識されていくにつれ、多くの人々が恐怖から自らを守る方法を探し求めた。一部の者たちは、自らを変質させ、ヴァルガヴォスの飢えによる悪化を受けつけない姿に、そして不変で、無敵で、永遠に恐怖に対して安全な姿にすることを約束する、とある儀式を発見した。

しかしながら、人々はすぐに気づいた。その変質は肉体を生きた木に変える――だが精神はそのままだということに。儀式を受けた誰もが、精神はそのままだが外界から遮断され、死ぬこともできず、感覚を体験することもできない存在に、自らを閉じ込めてしまったと悟った。声帯がないため、苦悩を声に出すことすらできないのだ。

木人はほとんどの時間をじっと立ったまま過ごしており、命なき枝編み細工の像、もしくは木そのものとよく間違われる。それらははぐれた者を一度に一人ずつ狙うことを好み、集団を襲うことは避ける。木人は生存者が自分に近づくのを待ってから行動を起こすことも多い。ひとたび犠牲者を捕まえたなら、それらは葉や枝の切れ端を、できるかぎりの隙間から――口から、目から、足の爪の下から――体内に送り込むことで寄生し、その者を内側と外側の両方から変質させる。

木人の中には、体内から感染性の胞子を出す者もいる。その胞子を充分に吸い込むと、人の関節は骨化し、皮膚は硬化するため、殺すことなく効果的に石化することができる。また、生存者が眠りにつくのを待ってから、根や蔓を伸ばして包み込む者もいる。

火は木人が最も恐れるものであり、木人に犠牲者を手放させる最も効果的な方法である。斧や鉈のような重い刃物も木人を破壊するのに適しているが、それらではすでに寄生された犠牲者を助けることはできない。

生きた玩具/Quickened toy

生きた玩具/Quickened toyはかつては無生物だったが、ヴァルガヴォスの歪んだ影響のおかげで、鋭敏で致命的な感覚と死への欲求を獲得した物体である。これらの生きた玩具は狡猾な存在で、その無邪気な外見を最大限に利用し、生存者を満足感と偽りの安心感に陥れてから襲いかかる。

生きた玩具は直接戦闘を避けたがる。標的に出くわすのは、それが無害だと思い込んだ誰かに拾われたときであることが多い。それは連れ回されるがままにされ、集団全員が警戒を解いた絶好の瞬間を待ってから襲いかかる。ひとたびその集団が皆殺しになれば、それは再び休眠状態に入り、怪しむことを知らない次の生存者に拾われるのを待つ。

生きた玩具を倒す唯一の方法は、完全に破壊することである。それらはどんな種類であれ実際の生理学的構造を持たないため、頭部や手足を切断するといった通常の無力化手段は止めるのに充分ではない。まだ無傷の部分があれば、それがただの人形の腕一本であっても、その部分は動き続け、狩り続ける。

デーモン/Demon

ヴァルガヴォスが神格化して最初に行ったことの一つは、ダスクモーンの他のデーモン/Demon全員を計画的に追い詰めて破り、自らの覇権に挑戦するデーモンが確実にずっと現れないようにすることだった。ほとんどの者たちは死んだ。生き残った者たちは、もともと持っていた力のほんの一部しか持たない、かつての姿の断片にまで落ちぶれてしまった。ただそれでも、彼らが危険な存在であることには変わりない。

ヴァルガヴォスに対して直接行動することができないため、生き残ったデーモンたちは些細な破壊行為や汚損行為で館そのものに憎悪をぶつけるまでに成り下がっている。今も野心を抱いている一握りの者たちは、かつてのように人間と契約を結ぶことに専念し、充分な力を取り戻していつの日かヴァルガヴォスに挑戦することを望んでいる――そして館という大建造物を己がものとするのだ。

けだもの/Beastie

館の中のすべての存在が悪意を持っているわけではない。けだもの/Beastieは生存者の味方であり、大型で毛むくじゃらでふわふわの生き物で、館の至るところで生存者を危害から守り、保護している。彼らがそうする理由はただ一つ――愛情だ。けだものは愛され、感謝されることを何よりも望んでいる。けだものを生涯の相棒とする最も手っ取り早い方法は、優しく接することだ。けだものはひどく忠実で、新たな友を脅かす者は誰であれ、躊躇なく攻撃する。

けだものの仮面の下の顔は、彼らが最も守りたがる秘密である。けだものは人間の相棒に本当の顔を見られるのではないかと、常に恐れて生きている。剥き出しの頭蓋骨に貼りついた、乾いた肉の顔だ。けだものは、この顔が恐ろしくおぞましい、生きた肉体の紛い物であると知っている。もし人間がけだものの本当の顔を一目でも見たなら、最高の場合、けだものは人間を見捨て、恥辱と屈辱から逃げ出してしまうだろう。最悪の場合、けだものは激怒して凶暴に襲いかかり、怒りに駆られて真の外見を知る者を殺そうとするだろう。

グレムリン/Gremlin

グレムリン/Gremlinは、いたずらや悪ふざけを楽しむ混沌とした存在である。彼らは生存者と館の他の住民の両方を、見境なく敵に回す。彼ら自身は本質的に危険な存在ではないが、生存者の装備品をいじくり回し、肝心な時に故障させることがある。一方で、彼らの悪ふざけが結果的に有益に働くこともある。グレムリンが剃刀族の上着の裾を近くの木の枝にくくりつけたり、教団信者の儀式の円の蝋燭をかじって穴を開けたりしたために、ほぼ確実だった死を免れた生存者も多い。

生存者/Survivor

この次元の住民全員が館に取り込まれたわけではない。生存者/Survivorの集団、館が故郷を飲み込む前から存在していた者たちの最後の生き残りが残存している。ほとんどの生存者は放浪の生活様式を採用しており、常に移動し、注意を引くほど一箇所に長く定住しないことで生き延びている。賢く、たくましく、機知に富むこれらの生存者たちは、ただ生き続けるためだけに常に戦っている。しかしながら、館が彼らを一人また一人と摘み取っていくため、その人数は常に減少し続けている。時折、新入りが流入することで一時的に生存者の数が増えるが、新たな環境にすぐに順応できるほど賢いか、歴戦の生存者集団に拾われるほど幸運でないかぎり、ほとんどの新入りはあっけなく終わりを迎える。

生存者たちは必要に迫られて、館のあちこちにある物品や廃品から、武器、道具、その他の装置を即席で作ることに長けるようになった。釘を打ち込んだ木の板のような単純な武器から、超自然的存在を検知するための即席装置に至るまで、それらは様々だ。その寄せ集めという性質上、このような道具は頻繁に破損や故障を起こす傾向があり、肝心な時に頼りにするのは危険である。

生存者はほとんど生存のためだけに団結した、でこぼこでまとまりのない集団に緩やかに組織化される傾向がある。とはいえ、より大規模で組織立った集団も少数存在する。

館研究所/The House Instituteは、館の超常現象を調査し、分析し、記録することに専念している。彼らの目標は、館の究極の弱点を見つけ出し、それによって館を終わらせる方法を見つけることである。彼らはフラッドピットにある使われなくなった手術室の連なりに常設基地を構えており、見つけた生き物を何であれ、そこで解剖し分析している。

後援者/The Benefactorsはたくましく立ち直りの早い放浪の集団で、館の地理に最も詳しい者たちだ。彼らは頻繁に物資や用具を隠したままにし、それを必要とするかもしれない他の生存者のために目印をつけておく。

ドアブレード/The Doorbladesは無慈悲な生存者の小集団で、立場を逆転させ、館の怪物たちを狩り殺す徹底的で戦略的な暗殺計画を実行すると決めた者たちだ。彼らは館研究所と頻繁に協力し、研究所の知識を用いて攻撃を導いている。引き換えに、彼らは研究所の実験のための怪物の死体や生きた標本を提供している。ドアブレードの死傷者数は多いが、彼らが殺した数もまた多い。

キャラクター

ダスクモーン:戦慄の館のメインキャラクター

登場

登場作品・登場記事

ダスクモーン:戦慄の館

メインストーリー

サイドストーリー

その他

その他

  • 英語でduskは「黄昏」「夕闇」、mournは「哀悼する」「喪に服する」の意。

参考

QR Code.gif