蘇りし者/The Returned

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蘇りし者/The Returnedテーロス/Therosゾンビ。別名ノストン/Noston

目次

解説

知性を持つ定命の者がテーロスで死んだなら、その者は死の国/The Underworldに囚われる。だが何世紀にもわたり、多くの死者が死の国から逃亡し、生者の世界に戻ってきた。彼ら蘇りし者は灰色の肌を持ち、顔に黄金の仮面をつけている(イラスト)。人間だけでなく、サテュロス/Satyrケンタウルス/Centaurセイレーンなどの蘇りし者も存在する(イラスト1イラスト2イラスト3)。

死の国を離れるためには「自己」と「顔」を捨て去らなければならない。その顔は眼窩と口だけの不気味な容貌となる。しかしながら、自己の喪失は蘇りし者が人格や記憶を全く持たないことを意味するものではない。その者の名前や過去は忘れられているが、技能と人格は保持されている。言い換えれば、生きているときの出来事や人間関係は失われているが、その出来事の結果は損なわれていない(例えば弁舌、演奏、航海、鍛冶の技など)。さらに言えば、彼らは人間関係の基盤となる長期記憶を構成する能力を失っている――言うなれば、彼らが「新たな人生を築く」ことはできない。

蘇りし者は文字通りの意味でアンデッドである。彼らは生者の世界に戻ってきたが、生を取り戻したわけではないのだ。彼らは水と空気は必要とするが食物は必要としない。蘇りし者は共同体を築き、束の間の感情を体験し、日課に従事する。だが彼らの生活は形だけの遊戯でしかない。自己を失い、長期的な関係を結ぶ能力を失った彼らの「人生」の要素には、重みも中身もないからである。

蘇りし者は単に考え、話すことのできるゾンビではない。感情を持つゾンビなのだ。自己の喪失が長期記憶の構成を妨げているとはいえ、彼らは自身の体験に基づいた感情を覚える。それはつまり、彼らの感情が闇へと――不満、苦しさ、寂しさ、憤り、怒り、憂鬱へと向かいやすいことを意味する。

黄金の仮面

ある人間がテーロスで死んだなら、その者には黒ずんだ粘土でできた葬送の仮面が被せられる慣習となっている(イラスト)。それはエイスリオス/Athreosのために、死者の自己を「額に入れる」ものである。したがって死者が自己を破壊して死の国を離れるとき、その者は代わりとなる仮面を身につけなければならない。死の国においては黄金が最もありふれた材料であるため、蘇りし者は葬送の仮面を(自己の代理を)、美しく作られた黄金の仮面と象徴的に取り換える慣習となっている。黄金の仮面は彼らの変わってしまった顔を覆い隠し、薄弱なものではあるが、自己の代理の機能を果たす。

オストラコン/Ostrakon

死の国では黄金がありふれているため、蘇りし者はそれらに価値を見出さない(自身の仮面を除く)。代わりに、彼らはオストラコン/Ostrakonと呼ばれる特別な粘土片をある種の貨幣、もしくは交易の道具として用いる。オストラコンは黒ずんだ粘土で作られた葬送の仮面の破片である。明白な理由により、この粘土片は蘇りし者にとって大きな重要性を持つ。オストラコンはアスフォデルの住人には形見として、オドゥノスの住人には戦利品として、そしてあらゆる蘇りし者に装飾品や貨幣として使用されている。

死滅都市/Necropolis

蘇りし者は自分たちの小さな二つの都市国家を死滅都市/Necropolisと呼ぶ。そこに皮肉はあまり含まれていない――結局のところ、それは死者で満ちた都市なのだから。二つの死滅都市、アスフォデル/Asphodelオドゥノス/Odunosは大体同じくらいの規模で、それぞれを覆う特質がある。アスフォデルは気落ち、オドゥノスは怒りだ。

死滅都市よりも小規模で孤立した居住地も存在している。蘇りし者の中には文明を完全に避ける者もおり、彼らは洞窟に住まう、もしくは単純に放浪する。また蘇りし者の守護神フィナックス/Phenaxは、人間の都市国家イレティス/Iretisを滅ぼして第三の死滅都市を作ろうとしている。

アスフォデル/Asphodel

不規則に広がる内陸の沼の沿岸に位置する都市国家アスフォデルは、もはや思い出せないものへの深い郷愁を抱く蘇りし者たちの住処である。この都市は防衛のための守備隊と魔道士団を置いているにもかかわらず、大体において活気のない場所である。住民たちは孤独を求めており、遁走の感情に襲われたとき、もしくは(しばしば思い出せない理由で)物資が必要となったときのみ外に出る。アスフォデルで起こる紛争の主な原因は、蘇りし者は滅ぼすべき忌まわしき存在であると指導者やに言われて信じ込んだ生者による、時たまの襲撃である。住民たちが自らの運命を受け入れていることから、アスフォデルは象徴的にエレボス/Erebosに属している。

オドゥノス/Odunos

都市国家オドゥノスはアスフォデルとは対照的である。住民たちは欲深く、暴力的で、憤りがちな傾向にある。この都市の蘇りし者は生者を羨む、もしくは蔑むようになり、彼らから生の喜びを奪ってやろうという欲求に駆られる。オドゥノスの襲撃者は近隣のあらゆる人型種族――レオニン/Leoninミノタウルス/Minotaurアクロス/Akrosと周辺地域の人間たち――に襲いかかる。彼らの襲撃は小規模だが効果的で、ほぼ必ず夜間に行われる。アスフォデルの住民が無意味に富を蓄積しているのに対し、オドゥノスの住民は生者の富を破壊しようとする(黄金のような文字通りの富と、食糧や子供や安楽といった比喩的な富の両方で)。オドゥノスの蘇りし者が自分自身のために求めるものは、水以外にはほとんどない。

重要人物

  • ティマレット/Tymaret - オドゥノスの実質的な指導者。人間には殺人王/The Murder Kingの異名で知られている。

ゲームでの特徴

ゾンビクリーチャー・タイプを持つ。いずれもを含む。

関連ページ

その他

  • ノストンの名は「家に帰ること」を意味する古代ギリシャ語νόστος(nóstos)に由来する。
  • 黄金の仮面のモチーフはアガメムノンのマスクと思われる。

参考

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