スポイラーリスト
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スポイラーリスト(Spoiler List)とは、カード・セットの発売前に作成されたカードリストのこと。
スポイラーとは「ワクワク感を『台無しにする(spoil)』」ということで、日本語の「ネタバレ」に相当する英語の慣用句。マジックの「Spoiler List」も同様に、発売前にどんなカードが入っているかを「ネタバレ」するリストという意味。
略してスポイラーと呼ばれることが多い。単独や数枚程度のカード情報を指してスポイラーと表現することもある。またそのセットの全カード名とテキストが記載されたリストはフルスポイラーと呼ばれる。
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公式スポイラーと非公式スポイラー
情報源としては、公式サイトのカードプレビューや関連サイト等で発表された正規のものと、製造中に流出した写真や関係者からの情報による不正規のリーク情報とがある。
前者のみを情報源にしたものは「公式スポイラー」、後者も含むものは「非公式スポイラー」と区別されることもある。ただし、そもそも「スポイラー/ネタバレ」という言葉自体に「製作者でもない人間が勝手に話の核心部分を明らかにしてしまう」ことへの批判的なニュアンスが含まれていることから、公式のものをスポイラーと呼ぶのは違和感があるという意見もあり、公式のものは「事前情報」「プレビュー」などと呼称し、不正規のもののみを「スポイラー」と呼ぶという向きもある。また逆に、公式にせよ非公式にせよ事前情報でスポイル(台無し)されることに変わりはないため公式・非公式を区別せず一括してスポイラーと捉える意見も根強い。公式でも今で言うカードイメージギャラリーを「ビジュアルスポイラー」と呼称していた時期があり、少なくとも一時期は公式でも公式・非公式の区別なくスポイラーと呼んでいたことは間違いないため、いまだに混乱が続いている部分でもある。
また、マジック交流会の前日(プレリリース・トーナメントの前週の金曜日)に公式の全カードリストが発表されるのが慣例となっているが、これも公式フルスポイラーと表現される場合もある。この時期に全カードリストを公開するのは、公開せずとも全カードリストは作成されるのだから正確な情報を提供すべきだ、と考えたからである[1]。
非公式スポイラーの扱い
非公式スポイラーは公式の情報ではない物も含まれるがその精度は高く、発売前から非公式スポイラーを元に新しい環境のデッキを製作、テストするのが当然という風潮も見られていた。
しかし、あくまで非公式のリストなので、間違っていることや修正されることも多々ある。
- 例えば神河謀叛のスポイラーにモグの狂信者/Mogg Fanaticと全く同じ能力のクリーチャーが掲載され話題になったが、すぐにクリーチャーにしかダメージが飛ばないことが判明した。→凍らし/Frostling
- また面白い例として、神河救済の常在精神/Evermindのマナ・コストは0となっていた。あまりにも大きな違いである。
これ以外にも、スポイラーの情報が間違っていたことは結構多い。公式が発売前に全カードリストを公開するようになったため、あえて非公式スポイラーに頼る必要性は減ってきている。
また、不正規のリーク情報が情報源であることについて倫理面や法律面から嫌う人も少なからずいる。先述の通り信憑性も定かではないため、非公式情報を前提としたルール質問は大抵相手にしてもらえない。ただし、人によっては「〜〜といった効果を持つカードが存在すると仮定した場合、(現状のルールにおいて)〜〜はどうなりますか」という形式でなら回答してくれることもある。
リークへの対応
2006年1月19日に以前から問題とされていたスポイラーリストに関してついにウィザーズ社がその重い腰を上げ、スポイラーリストを公開していたMTG Salvationの管理者に対して訴訟を起こした。同年2月現在、各国のマジック関連サイトではスポイラーの取り扱いに関してとても慎重になっている一方、プレイヤーからは今後の楽しみが少なくなったと落胆の声も聞こえる。訴訟は、2006年6月にすべての相手に対する司法取引が成立したことで終結した[2][3]。詳しい内容は明かされていないが、同時期に複数のプレイヤーが「特権情報の公開(Dissemination Of Priviledge Information)」の条項でDCIから出場停止の処分を受けていることから、彼らが情報の発信源ではないかと言われている。
その後の2011年4月、新たなるファイレクシアのフルスポイラー流出の件でもGod Bookと呼ばれる関係者用フルスポイラーを流出させたプロプレイヤーに対し、出場停止処分が行われた[4]。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストがスポイラーリストをプロプレイヤーに直接渡しているという噂を認めたこととなり、一部の人から不満の声が上がった。日本語公式サイトでは次回作の基本セット2012からはポリシーを改定し、いっそうのフェアプレイを強化している。
意図的ではないリーク
こうして意図的なリークに関しての対応が進む一方で、ドミナリアでは中国語版公式サイトが誤って本来より大幅に早くリリース・ノートを公開してしまうという、公式によるリークも発生してしまっている(英語のleakは、悪意の有無や公式・非公式などに関係なく総ての情報の漏えいを指す)。このときは即座に全言語版のリリース・ノートを公開し他の情報公開のスケジュールを早めると発表したが、プレイヤーの反応を受けて、プレビューや全カードリストの公開は可能な限り当初予定していたスケジュールに近い形で行われた。
このような大規模な公式のリークはあまりないものの、公式Facebookやウィザーズ・プレイ・ネットワークから、先に情報が漏れてしまうことは比較的見られる。珍しいところではアンケート用の画像が流出してしまったこともある[5]。
脚注
- ↑ Say When/「いつ」の話(Making Magic 2014年12月9日 Mark Rosewater著)
- ↑ Wizards of the Coast Settles Lawsuit (Internet Archive)
- ↑ 上記の日本語訳(個人サイト「MTG Sideboard Online 日本語版スレまとめ」)
- ↑ New Phyrexia Leaks/「新たなるファイレクシア」の流出問題について(News 2011年4月28日 WotC著)
- ↑ 公式Twitter(2016年12月9日)
参考リンク
- "What Card Leak?"/「カード流出が何だって?」(Feature 2002年5月1日 Kyle Murray著)
- The Leak That Was(Making Magic 2002年9月30日 Mark Rosewater著)
- 漏洩の出来事(上記事の日本語訳)(個人サイト「東京マジックトーナメント機構:ToMaTo.org」)
- Law and Order(Making Magic 2006年6月19日 Mark Rosewater著)
- 法と秩序(上記事の日本語訳)(個人サイト「東京マジックトーナメント機構:ToMaTo.org」)
- 最新セット紹介記事の作成に関するポリシー(日本語公式サイト 2011年7月4日 文責森慶太)
- Why Leaks Hurt/なぜリークは困るのか(Feature 2015年12月16日 Trick Jarrett著)