立ち消え
立ち消え(fizzle)とは、「すべての対象が、すべての対象群において不適正になっていた場合、その呪文や能力は解決されない」というルールを指す俗称である。かつてはルール上の正式な用語だったが、第6版でのルール改訂以降は廃語となった。
- 英語「fizzle」の読みから、「フィズる」とも言われる。
概要
[編集]呪文や能力の対象の一部が不正な対象になっていた場合、その不正な対象に関する処理のみが無視される(マジックの黄金律)。しかし、対象のすべてが不正な対象になっていた場合、その呪文や能力は解決されず、呪文であればスタックから墓地に置かれ、能力であればスタックから取り除かれる。この処理が「立ち消え(fizzle)」と呼ばれる。
ルールについての詳細は、「対象」および「不正な対象」の項を参照。
かつては正式なルール用語であった(→#ルールの変遷)。その後廃語となったが、不正な対象のルールを簡潔に表せるため、現在でも広く使われている。また、かつては総合ルールの用語集にも俗語として記載されていた。Eli Shiffrinも、リリースノートなどの厳密なルール文書以外では、「立ち消え」を使うことを認めている[1]。
ルールの変遷
[編集]第5版までの総合ルールでは、対象を取る呪文や能力は、解決時にすべての対象が不正な対象になっていた場合、それは解決されることなく消滅する(なにもしない)ものとされていた。当時のルールでは、呪文や能力が連鎖に組み込まれる前にしか打ち消されるタイミングがなかったため、打ち消しではなく消滅という扱いになっていた。
第6版でルールが改訂された際に、「立ち消え」は廃語となり、ルール上の表現としては使われなくなった。また、すべての対象が不正な対象になった呪文や能力は、「ルールにより打ち消される」というルールに変更された。
ドミナリアでのルール改訂で、再び「打ち消される」のではなく、「解決されない」というルールに変更された[1]。
- これらのルール上の違いは、「打ち消されるかどうか」という点にある。影響を受けた具体例としてムルタニの存在/Multani's Presenceがあり、各ルール改訂の前後でカードを引けるかどうかが異なっている。
補足
[編集]- 第5版のルールブックでは、灰は灰に/Ashes to Ashesがこのルールの説明に引用されていた。対象となったクリーチャーについて、片方が不正な対象になった場合と、2体とも不正な対象になった場合の挙動の違いを解説していた。
- 対象を取る能力でありながら、すべての対象が不正な対象になっても立ち消えすることなく解決される例が存在する。
- これに該当するのは金粉のドレイク/Gilded DrakeのETB能力だけである。コントロールを交換するという効果の都合上、解決時にすべての対象が不正な対象になっていても、この能力が立ち消えしないようにする必要があった(詳細は金粉のドレイク/Gilded Drakeの項目を参照)。
- 樹根スリヴァー/Root Sliverもかつてはこれに該当していた。これは当時の「すべての対象が不正な対象になった呪文は打ち消される」というルールと、部族・呪文の登場によって生じたもので、本来想定された挙動ではなかった。2008年1月18日のオラクル更新により解消された。
- 第6版でのルール改訂からドミナリアでのルール改訂までは、打ち消されない能力を持つカードのうち、対象を取るものは「呪文や能力によって打ち消されない」と記述されていた。
- ドミナリアでのルール改訂以後は、これらの例に該当する場合でも単に「打ち消されない」と記述され、表記が簡素化された(過去のカードもオラクルが変更されている)。
- 前述の金粉のドレイクについては、ドミナリアでのルール改訂以前は「呪文や能力以外によっては打ち消されない」というオラクルが定められていた。
- 立ち消えを参照するカードとして、プレイテスト・カードのTrial and Errorがある。
脚注
[編集]参考
[編集]引用:総合ルール 20260807.0
- 6 呪文、能力、効果
- 608 呪文や能力の解決
- 608.2 解決されるオブジェクトがインスタント・呪文やソーサリー・呪文や能力である場合、その解決はいくつかの手順に分かれる。rule 608.2a と rule 608.2b で記された手順を先に踏み、その後で rule 608.2c から rule 608.2m で記された手順を適切な順で行う。その後、最後に rule 608.2n と rule 608.2p に記された手順を行う。
- 608.2b 呪文や能力が対象を取る場合、その対象がこの時点でも適正かどうかを確認する。対象となったときにあった領域に存在しなくなっている対象は、適正ではない。たとえば、その特性が変わっていたり、効果によって呪文の文章が変わっていたりするなど、ゲームの状況の変化によって適正でなくなっていることもある。能力の発生源が元あった領域から移動していた場合、この手順において最後の情報が用いられる。すべての対象が、すべての対象群において、不適正になっていた場合、その呪文や能力は解決されない。それはスタックから取り除かれ、呪文であればオーナーの墓地に置かれる。そうでなければ、その呪文や能力は通常通り解決される。不適正な対象が存在する場合、それらはその呪文の効果のうちでその対象が不適正である部分には影響されない。効果のうち、それらの対象が不適正でない部分には影響されうる。呪文や能力がゲームのルールを変更する継続的効果を作る場合(rule 613.11 参照)、その効果は不適正な対象には適用されない。効果の一部が不正な対象についての情報を必要とする場合、その情報を決定することは失敗し、その情報を必要とする部分の効果は発生しない。
例:《ソリンの渇き》は「クリーチャー1体を対象とする。ソリンの渇きはそれに2点のダメージを与え、あなたは2点のライフを得る。」という黒のインスタントである。この対象 になったクリーチャーが《ソリンの渇き》の解決時に適正な対象でなかった場合(例えば、プロテクション(黒)を得たり、戦場を離れていたりした場合)、《ソリンの渇き》は解決されない。そのコントローラーはライフを得ることができない。
例:《疫病の胞子》は「黒でないクリーチャー1体と土地1つを対象とする。それらを破壊する。それらは再生できない。」という効果を持つ。クリーチャー・土地1つを、黒でないクリーチャーとしても土地としても対象にした場合、その後でそのクリーチャー・土地が黒になったとしても、《疫病の胞子》は「土地1つ」を対象とする部分について適正な対象をとるので、解決される。「黒でないクリーチャー1体を対象とする。それを破壊する。」という部分はそのパーマネントに影響を及ぼさないが、「土地1つを対象とする。それを破壊する。」部分がそのパーマネントを破壊することになる。また、それは再生できない。
- 608.2b 呪文や能力が対象を取る場合、その対象がこの時点でも適正かどうかを確認する。対象となったときにあった領域に存在しなくなっている対象は、適正ではない。たとえば、その特性が変わっていたり、効果によって呪文の文章が変わっていたりするなど、ゲームの状況の変化によって適正でなくなっていることもある。能力の発生源が元あった領域から移動していた場合、この手順において最後の情報が用いられる。すべての対象が、すべての対象群において、不適正になっていた場合、その呪文や能力は解決されない。それはスタックから取り除かれ、呪文であればオーナーの墓地に置かれる。そうでなければ、その呪文や能力は通常通り解決される。不適正な対象が存在する場合、それらはその呪文の効果のうちでその対象が不適正である部分には影響されない。効果のうち、それらの対象が不適正でない部分には影響されうる。呪文や能力がゲームのルールを変更する継続的効果を作る場合(rule 613.11 参照)、その効果は不適正な対象には適用されない。効果の一部が不正な対象についての情報を必要とする場合、その情報を決定することは失敗し、その情報を必要とする部分の効果は発生しない。
- 608.2 解決されるオブジェクトがインスタント・呪文やソーサリー・呪文や能力である場合、その解決はいくつかの手順に分かれる。rule 608.2a と rule 608.2b で記された手順を先に踏み、その後で rule 608.2c から rule 608.2m で記された手順を適切な順で行う。その後、最後に rule 608.2n と rule 608.2p に記された手順を行う。
- 608 呪文や能力の解決