ジェスカイ/The Jeskai
- アブザン家/The Abzan Houses(白黒緑)
- ジェスカイ道/The Jeskai Way(青赤白)
- スゥルタイ群/The Sultai Brood(黒緑青)
- マルドゥ族/The Mardu Horde(赤白黒)
- ティムール境/The Temur Frontier(緑青赤)
ジェスカイ/The Jeskaiはタルキール/Tarkirの氏族/Clanの一つ。色は青赤白。
解説
[編集]龍/Dragonの「狡知/Cunning」の相を崇拝し、龍眼/The eye of the dragonを象徴とする氏族/Clan[1]。前身たるオジュタイ氏族/The Ojutai clanが、かつての名である「ジェスカイ/The Jeskai」を取り戻した姿である。
ジェスカイを率いるのは、思想の調和と現実の共通理解を求める「道/The Way」の修行僧たちである。ジェスカイはその正確さ、慈悲の心、そして厳格さで知られる。彼らは伝統と信念を堅持し、タルキール/Tarkirをよりよい未来に導くことを自らの義務とみなしている。また規律正しい瞑想、厳しい武術の訓練、そして巧みな手管でも名高い。彼らは次元/Planeの東部に広がる山岳地帯を領土とし、異なる「道」の哲学を専門とする三大僧院とそれを取り囲む村々で暮らしている。
ジェスカイはこの次元の出来事を装飾写本へと細やかに記録しており、また龍王/Dragonlordたちによって失われた歴史を絶えず探し求めている。「道」の理想に身を捧げるため、ジェスカイは体制と組織化を通じてタルキールの統一を目指しており、各氏族の自主性と独立性が失われる可能性はそのために必要な代償であると考えている。ジェスカイは概して外交的解決から始めることを好むものの、その考え方は頑固であり、公然とした戦いに発展することも少なくない。そしてその際は戦術的な専門知識と狡猾さを用いて勝利を収めるのだ。
ジェスカイの再興
[編集]オジュタイ/Ojutaiの治世において、龍王の教えにあえて疑問を呈した者は殺されるか、良くても群れから追放された。生き残った者たちは密かに集合し、次元の歴史の真実を交換し合ったものの、小規模かつ主として知識面での抵抗勢力であり続けた。新ファイレクシア/New Phyrexiaの侵略の間、散り散りになっていたこの追放者たちはオジュタイの元弟子であるナーセット/Narsetのもとに集まった。彼女は指導者の地位に就き、力を合わせてタルキールを守ると宣言した。
侵略戦争によってオジュタイの軍勢は弱体化し、ジェスカイの隠された文書保管庫で発見された秘密が以前よりもたやすく広まるようになった。これにより龍王の権力基盤は揺らぎ、反乱軍は勢いを増した。
だがナーセットはわかっていた――タルキールの民がどれほど強くとも、流血なしに龍王たちが権力を手放すことはないだろうと。ドラゴンの嵐/Dragonstormを鎮めるか嵐を龍王に逆らわせない限り、人と龍は過去と同じく絶え間ない戦いに巻き込まれることになる。解決策を模索する中、ナーセットは古代より伝わる嵐の絆の儀式/The Stormnexus Ritualを発見した。そして彼女は他の反乱軍指導者たちに説得されて儀式を実行に移し、龍王の最終的な打倒に至った。
文化
[編集]僧院と村
[編集]ジェスカイは、「道」の修行僧と僧院を支える民間人とで構成されている。ジェスカイの三大僧院それぞれの長たちが評議会を形成しており、この三人のうちのひとりが氏族の指導者たる道師/Waymasterとして選ばれる。道師はジェスカイ氏族全体に関連する規則や他の氏族との交流を統括し、もうふたりは僧院と周辺地域に対する責任を担う。民間人の指導者たちは評議会や地元の精神的指導者に助言を行う。彼らは共同体の日常的な必要性を管理する上で、だいたいにおいて自主性を持っている。
ジェスカイの村々と民間人は、周囲の僧院やその僧たちと相互支援の関係を形成している。共同体は僧たちへと必要な物資や資材を提供し、僧たちは見返りとして教育や魔法的な奉仕、保護、精神的な指導を与える。村々と僧院は丹念に整備された道路や橋で結ばれている。村では村長と評議会が小規模な事柄を管理し、また僧院と調整を行う。
修行僧
[編集]修行僧とは主に三大僧院のいずれかに居住し、次に挙げる「道」に従うことに生涯を捧げた人々である。
- 個人的な執着を捨てる:修行僧のほとんどは、自分たちはかつての家族の一員だとは考えてはおらず、あるいは何らかの形で彼らに恩義があるとも思っていない。そのため共同社会への奉仕へと完全に献身することができる。
- 物質的な所有を放棄する:同時に彼らはより禁欲的な生活様式を採用し、個人的な品物をほとんど所有せずに僧院内で共有する。
修行僧の一日には瞑想、武術の訓練、学問的追求、魔法の実践が含まれる。そしてこれら厳しい訓練の合間に、僧院やその周囲に関する多くの雑用や義務をこなす。野生の龍の攻撃で損傷した壁の修繕、共同で取る食事の調理、薬の作成、武器の鍛造、氏族の龍の世話などだ。
高位の修行僧は、若い僧の訓練にも多くの時間を費やす。それぞれの僧院内で、修行僧は一般的に戦か学問のどちらかの道を歩む。戦の僧はジェスカイの防衛に特化し、学問の僧は戦略と研究に重きをおく。
かつてのジェスカイに存在したカマキリ乗りの伝統を受け継ぐのが空乗り/Skyriderである。龍の群れによる捕食を逃れたカマキリが少数おり、氏族はそこから新たな世代の乗騎カマキリを育て始めた。カマキリ乗りの僧は空中戦闘の特別な訓練を受けている。同時に彼らは氏族の主要な龍乗りにして世話人でもあり、2種類の空飛ぶ生き物を育てるとともに共に働いている。
日常生活
[編集]比較的大規模な村の外に住む民間人は土地に根差して生きており、その多くは農耕や牧畜、漁業、その他の補助的な役割に携わっている。村々の中には大きな尊敬を受ける技師や職人たちがおり、船大工や鍛冶師、織工、石工など多岐にわたる。
氏族では民間人の生活であっても、依然として「道」の目的と原則によって形作られている。とはいえ村に生きる人々が「道」へと生涯を捧げることはできず、生活のための必要性の方に多くの関心を向けている。瞑想の儀式は一般的に行われており、実践においては教えを暗唱したり、自身の行動がジェスカイの他の人々とどのように調和しているかを熟考したりする。村には、日々を過ごす人々にとって感情的および精神的な通過地点として機能する彫像や社がしばしば置かれている。人々は食べ物の包みや縄、新品の靴といった供物を社に捧げていく。それらを必要としている別の通行人が受け取ってくれるようにという意図からだ。
- 農業と交易 - ジェスカイは主要生産物として米、小麦、蓮、茶などを栽培している。彼らは通常、山岳地帯で見つかる石や宝石や金属といった原材料を、自分たちの領土内では調達困難な資源や食料と交換している。
- 芸術と手工芸 - ジェスカイは個人的な表現よりも、その技術と規律のための芸術の実践を重視する。芸術作品のほとんどは、何らかの有用な物品であるか有用な結果をもたらすものだ――書道、タルキールの歴史を記録した装飾写本、その場所の自然な美を引き立てる印象的な石細工や彫刻、武器や衣服のための精巧な金属細工などがある。
- 運動競技と身体活動 - 心身の厳しい訓練は幼少期から始まり、生涯にわたって続けられる。そしてジェスカイにとっては、余暇的活動でさえもより大きな目的のためのものだ。村の広場や僧院の中庭で人気の球技としてオルジュボールがある。これは器用さ、正確さ、知性が試される。サッカーや蹴鞠(訳注:日本の平安時代に貴族間で行われていたものではなく、その起源となった古代中国の球技)のように少人数のチームで行われ、選手は硬い革の球を高く立てられた網へと蹴り込み、相手チームよりも多くの点数を獲得することを目指す。
道/The Way
[編集]古のジェスカイの隠された書庫がひとつ、オジュタイによる粛清を免れていた。そしてそこでシュー・ユン/Shu Yunの文書が発見された。文書の中には「平和を成し遂げるには、調和を成し遂げよ」という信条が刻まれており、以来これは新たなジェスカイの指導原理となっている。「道/The Way」の信奉者は精神的調和と共通の理解を目指して日々奮闘している。彼らは苦しみと争いを終わらせるために、ひとつとなって行動し、考え、感じる「世界精神」を追い求めている。そしてその過程で、ジェスカイは真に平和なタルキールをもたらすことを望んでいる。
精神的調和を達成するための方法として、次に挙げる三原則がある。
- 協調的行動/Cooperative action - 一致した取り組みにより、最良の結果が得られる。
- 対立的思考の解消/Undivided thought - 協力して働くためには、互いを理解する必要がある。
- 志同じく/Aligned heart - ひとつの結果を目指して取り組むには、理想と目標を共有する必要がある。
氏族は全体的な目標においては統一されているものの、その方法論においては分裂している。三大僧院はそれぞれ異なる原則を中心として精神的調和を目指している。僧はしばしば生涯をかけて複数の僧院を渡り歩いて修行に励み、広範なジェスカイ哲学を氏族全体で共有できるようにしている。
- コーリ山の僧院/Cori Mountain Monastery - 赤のマナに列するこの僧院は「協調的行動」の原則を重視し、精神的な調和は肉体的な調和を通じて進展すると信じている。協調して行動すれば、考えや理想の共通理解を達成できるだろう。この僧院の修行僧は孤立主義者や伝統主義者であることが多く、複雑で入り組んだ手順、瞑想、武術に従事し、結束した共同体の構築に生涯を捧げている。
- ダルガー湖の僧院/Dirgur Lake Monastery - 青のマナに列するこの僧院は「対立的思考の解消」の原則を重視し、精神的調和は最良の思考法へと人々を導き教えることで実現すると信じている。彼らは直接的な伝授と哲学的な指導を通じて理解を養う。この僧院の修行僧は策略や政治活動や説得の専門家であり、知識と魔法を用いて制度や人々を方向づけ、目標の達成を支える。
- 嵐鶴の僧院/Storm Crane Monastery - 白のマナに列するこの僧院は「志同じく」の原則を重視し、精神的調和は他者を助けるために協力することで実現すると信じている。生き延びることに精一杯の人々は、他の物事に目を向ける余裕などない。そのために修行僧が力を貸し、精神的調和と共通の理解というより大きな目標に集中するための時間とリソースを獲得できるようにするのだ。この僧院は空を飛んでタルキールを移動する。僧たちは最も必要とされていると感じる場所に赴き、脅威からの保護だけでなく食料や精神的な指導を提供する。
死と死後
[編集]他の多くの氏族とは異なり、ジェスカイはオジュタイによる龍の輪廻の教えを否定している。代わりに彼らが中心とするのは現在と、生者に対する自分たちの義務だ。ジェスカイは死や来世に関する信念と慣習を軽蔑しており、それはしばしば他の氏族との衝突に繋がる。一方で先人たちの行いを尊敬しており、特に彼らが残した知識には注意を払っている。
祝賀行事と儀式
[編集]重要な祝賀行事においては村人の大半が僧院を訪れる。より熱心な者は僧たちが主導する定期的な儀式に参加することもある。
- 学知の祭/Athenaeum Festival - シュー・ユンの遺産とタルキールの歴史保存への献身を称える日。学者たちは書庫の文書を点検し、僧や長老たちは村の聴衆にタルキールの歴史を語る。
- 団結の宴/Feast of Union - 農作物の生育期が終わると、僧たちは僧院を離れて村々へ赴き、収穫や冬季の貯蔵のための梱包を手伝う。その後、僧と村人たちは収穫物の一部を僧院まで運ぶ。そして共同社会の団結を称えるため、質素ながらも多くの人々が集まる祝宴が開かれる。
魔法
[編集]ジェスカイの魔法は肉体と精神の操作を中心としており、戦闘のための肉体強化、精神的な幻覚、治癒魔法に用いている。魔法を操る民間人はごく少数だが、ほとんどの僧は何らかの魔法に精通している。各僧院は「道」への取り組み方と同じように様々な形態と形式の魔法を教えている。
龍やドラゴンの嵐との関係
[編集]龍狩り
[編集]龍狩りにおいては、ジェスカイは僧院やタルキールの北方付近のドラゴンの嵐に集中する傾向がある。とはいえ他氏族への使者が他の地域の嵐に関する情報を持ち帰ることもある。騎乗僧と空飛ぶ修道院のおかげで、ジェスカイは龍が陸地に近づくのを待つまでもなく準備を行い、嵐から出現した瞬間に捕獲することができる。他氏族が同じ嵐に近づこうとも彼らが引き下がらないのはこのためだ。
氏族の龍
[編集]ジェスカイの僧たちは龍を世話し教えを授けるが、それは僧院内に居住する氏族の龍にほぼ限られる。知性や理解力、穏やかな気質を持つ龍をジェスカイは高く評価している。これらの龍は個々よりも共同体の結束を重視しており、儀式や式典、訓練、紛争の際には僧の集団と共に活動する。ジェスカイの龍は氷を操り、相手を一瞬で凍らせる超低温の氷のブレスで敵を吹き飛ばす。
ドラゴンの嵐
[編集]ジェスカイの僧院には、ドラゴンの嵐の接近を地元民に警告するための大きな鐘が設置されている。ジェスカイはドラゴンの嵐に対応するために機動力を向上させており、空を飛ぶ嵐鶴の僧院と龍乗りの僧を用いて村から村へと素早く移動する。地形もまた変化している――ジェスカイは橋で繋がる都市を建設し、北部地域の多くの植物相を変化させた水位と気温の上昇に対応している。
地理
[編集]ジェスカイの領土のほとんどは東部の天孫山脈/The Tiansun mountain range内に位置し、高い火山と大きな湖が点在する低地の平原がある。一年の大半は寒冷な気候だが、春の雪解け水が大河の水源となって輸送手段や食料の多くをジェスカイに供給している。ジェスカイの領土はマルドゥ/The Marduとティムール/The Temurの土地に接している。
- コーリ山の僧院/Cori Mountain Monastery - 人里離れた山岳地帯、火山の浸水カルデラの中に建てられた到達困難な僧院。火山性鉱物が豊富であるため、鮮やかな赤い植物に囲まれている。
- ダルガー湖の僧院/Dirgur Lake Monastery - 浮き島の上に座す大規模で堂々とした僧院であり、湖の浅瀬や岸辺の大きな漁村とは橋で結ばれている。ダルガー湖の僧院はジェスカイの重要地点でも塩路/The Salt Roadに最も近く、他氏族の外交官や商人が頻繁に訪れる。
- 嵐鶴の僧院/Storm Crane Monastery - この僧院は、新ファイレクシアの侵略で破壊された賢者眼の聖域/Sage-Eye sanctuaryの残骸から建造された。これは巨大な一隻の船であり、湖や川を航行でき、必要に応じて飛行船へと変形が可能となっている。
- 河水環村/Riverwheel Village - とある崖の斜面に建てられた小さな集落。住民たちはかつてのオジュタイの聖域をゆっくりと再建しており、地域一帯を覆う氷が溶け始めた今は、中心にある大きな水車の改修に取り掛かっている。
- 高峰の僧院/Highspire Monastery - 山頂にある小さな僧院であり、巨大カマキリとその世話人が住んでいる。この僧院の僧のほとんどは、三大僧院の教えを組み合わせて実践している。
- 炎の縁、カダット/Qadat, the Fire Rim - ジェスカイ領土の北の境界にある、到達困難な山脈の一地域。活発な火山活動で知られている。
- 真珠湖/Pearl Lake - 人里離れた山々の中に位置する広大で美しい湖であり、近くには僧院がひとつ座している。静謐な風景の中で瞑想するために、多くの僧がここを訪れる。
キャラクター
[編集]- ナーセット/Narset - ジェスカイの道師/Waymaster(カン/Khan)を務める人間/Human。
- シィコ/Shiko - ジェスカイの精霊龍。
- テイガム/Taigam - 人間。表向きはナーセットに従っているが、裏では龍による支配を目論んでいる。
- エルシャ/Elsha - ジン/Djinn。
- ラム/Lam - 人間。
- ショウ・カイ/Xho Cai - エイヴン/Aven。
登場
[編集]登場作品・登場記事
[編集]- Planeswalker's Guide to Tarkir: Dragonstorm, Part 1/プレインズウォーカーのための『タルキール:龍嵐録』案内 その1(Daily MTG 2025年2月21日 Lauren Bond, DK Billins著)
- Jeskai: The Unknown Way/サイドストーリー ジェスカイ:知られざる道(Magic Story 2025年3月5日 Michael Yichao著)
- The Legends of Tarkir: Dragonstorms/『タルキール:龍嵐録』の伝説たち(Daily MTG 2025年4月2日 Lauren Bond, DK Billins著)