ボガート/Boggart
ボガート/Boggartは、ローウィン/シャドウムーア/Lorwyn-Shadowmoorの人型種族。ゴブリン/Goblinの一種。
概要
[編集]ボガートはゴブリン/Goblinの一種であり、新たな感覚や経験を追い求めたがっている。彼らはしばしば獣じみて野性的で、軽率に暴力を振るう。とはいえ許容される暴力の種類は村によって、そしてローウィン/Lorwynとシャドウムーア/Shadowmoorでも異なる。ボガートの村はしばしば「巣穴/Warren」と呼ばれる。彼らの社会階層構造は緩やかなものだが、最も崇拝されるボガートは「婆(ばば)/Auntie」、魔法を用いて不可能を可能にする年長者(多くは女性だが、男性も婆と呼ばれる)たちである。
魔法
[編集]ボガートの体内には自然に魔力が蓄えられる。年を重ねるごとにその魔力は蓄積され、最も年を経たボガートが最も強くなる。ボガートが死ぬとその遺体は沼地に埋められ、生態系に組み込まれる。そういった沼地は溢れんばかりの魔力に満ちており、そこに生息する動植物も同様だ。沼地で採取された様々なものが魔法のための焦点具となる。親族の骨、亡くなった使い魔の亀の甲羅、あるいはとても格好いい棒きれなどだ。
ローウィンにおけるボガートの魔法は、儀式的かつ体系化された形をとる。儀式は寓話や詩の朗唱を伴い、複雑で恣意的な複数の段階で構成される。有名な例としては「蜘蛛の恵み/The Boon of the Spider」がある。これは以下の手順で構成される:まず蜘蛛を一匹捕らえ、新月の下で物語を囁きかける。次にその蜘蛛の脚をもぎ取り、中をくり抜いたどんぐりにその身体と自分の血を入れる。そしてそのどんぐりを首にかけて着用すれば、悪い呪いから身を守ることができる。
シャドウムーアでは、ボガートの体内に蓄積される魔力は混沌として原始的である。魔力が増すほど、彼らはより不安定で危険になる。シャドウムーアのボガートの共同体では、死体はその魔力を求める同胞たちによって完全に食い尽くされる。シャドウムーアのボガートは呪いをかけるのを好み、そのためにはしばしば残酷な構成要素や方法を伴う。例として、呪いをかけるにはヤマアラシの針をヤギの心臓に刺したり、自分のオタマジャクシを飲み込んだヒキガエルの腸を煮たりするといった手順が必要となる。
ローウィン
[編集]ローウィンのボガートたちは混沌として遊び好きであり、婆の指導力のもとで小さな巣穴に住まう。彼らは新たな経験を求めて次元/Planeをはるばる旅し、生き延びたなら巣穴に戻ってその経験を共同体にもたらす。そしてそれが他のボガートたちの外の世界への冒険意欲をかき立てるのだ。彼らは特別用心深くはなく、冒険を追い求める中で肢を失ったり命を落としたりすることもある。
歴史(ローウィン)
[編集]ウーナの時代/The Age of Oonaが終わってファイレクシア戦争/The Phyrexian invasionが始まるまで、エルフ/Elfはしばしば娯楽としてボガートを残酷に虐殺していた。エルフはボガートを「眼腐り/Eyeblight」、醜悪で嫌悪すべき生物とみなしていたのである。ボガートの個体数は大幅に減少し、幾つかの共同体は消滅に追い込まれた。これによって残存する共同体は分裂し、奇妙な食材を中心とした豪華な祝祭「ボガートの饗宴/The boggarts' feasts」は終焉を迎えた。同じくこの大量虐殺にとって彼らの口伝も途切れ、過去のボガートとの繋がりはほぼ断ち切られてしまった。
ファイレクシア戦争は、ローウィンのボガートにとってはまたとない好機となった。エルフは正面からファイレクシア人/Phyrexianと戦い、その傲慢さから大きな損失を被った。一方でボガートたちは棲家である沼地に篭り、地の利を活かした魔法とゲリラ戦術でファイレクシア人を押し留めた。侵略が終結すると、彼らはその後の動乱に乗じて沼地に自分たちと社会を再建した。
その後、ローウィンのボガートたちは再び宴を開き物語を語り合うようになった。すると生き延びた古い寓話の多くが分岐し、進化していることに気づいたのである。彼らは共同で新たな魔法を開発し、原始的な象形文字を用いてそれらを書き記すことを始めた。元々この言語は樹皮や石に刻まれ、「危険」「安全」「資源あり」、あるいは最も一般的なものとして「冒険が待っている」といった単純なメッセージを伝えるために使われていたものである。
社会(ローウィン)
[編集]ローウィンのボガートは長く生きられるが、慎重さの欠如からそれが叶わないことも多い。長生きしたボガートは体内に膨大な魔力を蓄積する。最も魔力が多く、最年長のボガートが「婆」である。彼女たちは巣穴の長にして柱である。婆たちは絶大な権力を振るい、敬意を集め、喧嘩を止めさせることができる(ただし友好的な噛みつきは許されている)。
ローウィンのボガートは、歴史と共同体を守るための努力こそ惜しまないものの、本質的には無秩序で衝動的である。そのため、体制や法は必須のものというよりはむしろ提案に過ぎない。ボガートは依然として溜め込み屋でいたずら好きであり、早死にする傾向にある。だが彼らにとって死は恐れるべきものでも、悼まれるべきものでもない。たとえ愚かな死であっても、新たな経験を求めてのものであれば、それは祝福されてしかるべきなのだ。
重要地点(ローウィン)
[編集]- 臭汁飲みの巣穴/Stinkdrinker Warren - 盗品の貯蔵庫として知られる巣穴。この巣穴のボガートたちは巨人/Giantの間をすり抜けて獲物を盗み出す。
- チューパイ巣穴/Squeaking Pie Warren - 食への飽くなき探求心で知られる巣穴。この巣穴のボガートたちはパイにネズミなどの美味しい物を焼き込み、奇妙な新しいレシピや材料を見つけるためなら何だって行う。
- 蛙投げの巣穴/Frogtosser Warren - 非常に感情の起伏の激しいボガートが属する巣穴。住人たちは他の巣穴のボガートから狂人と思われている。
- 泥デコの巣穴/Mudbutton Warren - 最も混沌として騒々しい巣穴として知られている。この巣穴のボガートたちは楽しい時間を過ごすのが大好きだが、目覚めると片足や友達が見当たらなくなっていることも少なくない。
- 爪先濡れのぬかるみ/Toetap Mire - ここの水はボガートの薬師によるあらゆる薬作りに利用されている。このぬかるみは屍や植物を分解し、奇妙な性質を持つ液体を生み出すのだ。
シャドウムーア
[編集]かつてシャドウムーアのボガートは、飢えと暴力に突き動かされる単純な存在だった。だがウーナ/Oonaの滅亡、エルフの暴虐、そしてファイレクシア戦争によってその破壊的で無思慮な生き方は維持不可能になった。以来彼らは用心深さを学んだが、貪欲さは衰えていない。シャドウムーアのボガートの多くは放浪生活を捨て、縄張りを築くことを選んだ。彼らは強力で不安定な魔法を身につけており、それを駆使して混沌とした気まぐれを実現する。
歴史(シャドウムーア)
[編集]シャドウムーアのボガートは自分たちの行いを記録したことがない。代わりに彼らは破壊的な衝動に身を任せ、終わりのない戦いの中で自らも滅びる。ボガートの巣穴で一世代以上の期間を生き延びたものはない。この次元の他種族もボガートの歴史を記録してはおらず、できる限りこの略奪者たちを無視する方を好んでいる。
ファイレクシア戦争の間も、シャドウムーアのボガートは依然として無秩序で混沌としていた。それでもなお、彼らの戦闘力は脅威であり続けた。一部のボガートは古来の習慣に固執し、貪欲な渇望をファイレクシア人の殲滅へと向けた。そうでないボガートは生き方を変えるのではなく、完成化/Compleationへと身を委ねた。数が減少するにつれて多くのボガートは集団での避難を余儀なくされ、到達困難な場所に防御力の高い縄張りを築いた。多くは沼地だったがそうではない場所も少数あった。
ファイレクシア戦争が終わった時、汚れのない土地はほとんど残っていなかった。かつてのように襲撃し、貪り食うことはできなくなった。以前の生活様式が廃れ、彼らは衝動を向ける別の方向を見つけなければならなくなった。沼地の中やその周辺にボガートの小さな共同体が形成されていることがある。ローウィンのそれよりも規模はずっと小さいものの、結束は強く秘密主義で、厳重に防御されている。単独の放浪者として、熱心に復讐を追い求めるボガートや単に新たな目的を探すボガートもいる。
社会(シャドウムーア)
[編集]シャドウムーアのボガートはシャドウムーアの他種族から孤立して暮らしており、交流はおおむね暴力を用いたものに限られる。彼らの巣穴は小さく簡素で、純粋に実用的な構造である。社会階層構造は存在するが限定的なもので、魔法であれ武力であれ力によって支えられている。武勲を立てたボガートの戦士は、襲撃で見つけた粗雑な鉄板を身体に貼り付け、釘を骨に直接打ち込む。ボガート同士が戦う際には、勝者は敗者の身体からこの鉄板を剥がして自身に取り付ける。
シャドウムーアのボガートの間でも最年長であり最も権力を持つ婆たちは、多くが共同体内には留まらない。その野望は巣穴の外にまで及ぶためだ。こういった婆たちは放浪の民であり、孤独を好む。そして気まぐれで風変わりで残酷だ。怒りやすく、ひとつの恨みを永遠に持ち続けることもある。他種族にとってシャドウムーアの婆との遭遇は悪夢に等しい。彼女たちは身勝手で奇妙な試練を犠牲者に課すことで知られており、しかもそれにはしばしば正解などない。犠牲者の反応が気に入らない場合は、皮肉的かつ不穏な方法で呪いをかける。だが寛大な気分の時は強力な贈り物や恩恵を与えることもある。出会った婆が有害か有益かを予測することは誰にもできないが、後者は比較的稀だ。
重要地点(シャドウムーア)
[編集]- つつき沼/Pokeprodder Bog - ほとんどの生物はこの沼地を動き回ると何らかの疫病に感染する。だがこの場所を故郷とするボガートは沼地の特性に免疫があり、それどころか毒を持っている。
- ぼんくら詰めの巣穴/Wretchgrinder Warren - 戦闘に耐えられないほど弱いと判断されたボガートは、ここで死ぬために送り込まれる。この場所での試練を生き延びたボガートは「ぼんくら/Wretch」と呼ばれ、死ぬために再び送り込まれる――ただし戦闘へと。
- 腐れ沼の巣穴/Rotbog Warren - シャドウムーアで最も平穏で安定した巣穴のひとつ。ボガートたちが原始的な手段で巨大な一本の塔を築き上げたが、頻繁にぐらつくことからそのずさんな造りが露呈している。
登場
[編集]登場作品・登場記事
[編集]- Lorwyn Lore (Internet Archive)/ローウィンの伝説 (Internet Archive)(Feature 2007年9月10日 Rei Nakazawa著)
- Bog is for Boggart (Internet Archive)(Taste the Magic 2007年10月3日 Doug Beyer著)
- Planeswalker's Guide to Lorwyn Eclipsed/プレインズウォーカーのための『ローウィンの昏明』案内(Magic Story 2025年9月26日 Neale LaPlante Johnson, DK Billins, Laurel Pratt著)
その他
[編集]- ボガート(英:boggart)は、イギリスの民間伝承に伝わる妖精の一種。人家に憑き、悪戯好きとされる。