アクーム/Akoum
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アクーム/Akoumはゼンディカー/Zendikarの大陸の1つ。
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概要
”危険な美しさ”は他の何よりもアクームの火山大陸を表している言葉である。結晶質の大地は太陽の下であらゆる色で輝き、しかし不注意な旅人が足を滑らせたのならありふれた石の鋭い刃がその肉と皮を切り裂くだろう。地表は信じられないほど極端な温度差があり、日中は偏在する結晶石が太陽からの熱線を反射し不備な旅人をあっという間に焼き、夜は冷えた石が同じ速さで旅人を凍てつかせる。
アクームはその大量の火山の大陸にふさわしく、主として赤マナに結び付けられているが、地表に広がる結晶質の平野と半反射する岩の尖峰は対等に白マナをこの大陸に供給する。地表の下は常識を超えた旧世界であり、地表の幾層もの地層が遥か昔の洞窟を収めている。ときどき、火山の噴火は何世紀もの間埋められていた大地とガスを地表へと持ち上げる。時にアクームの地表には美しく、まれに奇怪でもある植物相がはびこる。この大陸を巡るエルフの巡礼者たちはこの現象を”Life bloom(命の芽吹き)”と呼ぶが、しかしその事を火山の活動に巻き込まれたり、その余波に表れる肉食植物に食べられるような余所者に語る事はない。これらの地域は緑マナとの強烈なつながりを供給するが、この芽吹きは最高でも1、2年程しか保たない。
地質学的不安定性
四方に広がる大陸の中心は、休眠しているわけではないがここ一千年期の間は目立った噴火は見せていない恐ろしく巨大な火山である。代わりに、乱動/The Roilとして知られるゼンディカーの破壊的な力がこの大陸を定期的にかき乱している。タジーム/Tazeem大陸の乱動が大地に対して上から作用するのに対し、アクームの乱動は下方から作用する。溶岩流は絶えずあふれ出しトンネルを作り出し、地下奥深くからのガスが地表から噴出し、大地の活動は千の矢よりも致命的な水晶の雨を降らす。要するに、アクームは住居を探しているものにとって理想的な地所とは言えない。鉱物の溶岩は高温下では液体だが冷えると急速に結晶化する。冷えたアクームの溶岩は結晶質の毛羽立った表面を持った岩を生み出し、輝く溶岩から結晶の格子が飛び出る光景が見られる。
生態系
アクームの景色の殺風景さにもかかわらず、地割れの隙間で生命は育まれている。 逞しい銀色と青の草は火山の石に根づいて素早く生え広がり、乏しい糧をこの大陸のより大きな動物相に与える。 険しい土地を生き残ることができるクリーチャーは彼らの住み家と同じぐらい頑丈で危険な傾向がある。げっ歯類以外の哺乳類はこの大地に足がかりを作る事はできなかった。それらの代わりに多くのクリーチャーは完全に虫であるか、いくらかの虫的な特徴を持つ。甲羅や甲殻は生き残るために必修的な形質であり、鋭い火山の結晶はこのような防護を欠いた種を取り除いてきた。
Deadly Coasts
アクームの沿岸は旅人への死の罠である。地震活動と溶岩結晶の尖端が船で大地に上陸する事をほとんど不可能にしている。東沿岸は最も安全だが、それは絶対的な安全という意味ではない。クラーケンと嵐に満たされた航海に立ち向かった後に、船がアクームの岸と出会う結末はまれであり、船の外殻は見張り人の目に見えない、水中の突き立った結晶に切り刻まれる。永続的な港は存在しない。湾岸線は火山活動によって毎年著しく変化し、地震活動は湾岸の岩だなを水中へ没させる。にもかかわらず、船を見かけたと聞きつけると人々は近くの宿営地から駆けつけ、この大陸ではかき集める事が不可能な貴重な品々を積んでいる事を期待し船を引き上げるのを手伝う。
Igneous Glens
散発的な”芽吹き”以外では、植物の命はアクームの中では長くはもたない。温湿度の状況は大きな植物の生命では適応するにはあまりに素早く変化する。しばしば生命の芽吹きは近くで溶岩流が噴火したとき終わる。とりわけ早い流れは Igneous Glens(火成の峡谷)と呼ばれる跡を残していく。そこにあった生命は「瞬間的な化石化」し、動植物の石像の群を遺していく。放浪するコーと人間はそれらの石像を美しく幸運の証としているが、エルフ達はそれを見つけたときは破壊している。それがどんなに美的で魅力的だとしても、生命の破壊を表す記念碑は存在してはならないと彼らは考えている。
Waterscouts
降雨は冬季の間に酷い勢いでアクームに到来し、そして春はしばしば地表の変化を見せる。湖が水晶の層の頂上に一晩で形成され、水は岩の尖端を横切って流れ落ちていく。Waterscoutsと呼ばれるそれは素晴らしい眺めで、そしてアクームの他の何よりも儚い。これらの水源と川は 次の大地の震えが地表の下へ水を飲み込んでしまう前の一日から一月の間は保たれる。この大陸にまばらに住んでいるコーと人間は建築家、探検家、技術家をWaterscoutsに送り、貯水池を来年まで持たせるためにその流れを取り込めないか試行錯誤する。恒久的な供給源は少なく、水は貴重な必需品である。
文明
アーファ/Affa
それは”歯”の基幹となっている宿営地である。住民の大部分は人間だが、エルフ、コー、そして時には吸血鬼でさえもそこを我が家と呼ぶ。川はアクームの歯から流れ落ち、この大陸の中で数少ない安全で信頼できる真水の供給を街にもたらす。ここは大陸の中で主要な貿易中継点を務めており、遺跡へ向かう事を望む誉れ高き探索者たちの出発点でもある。ゴブリン、とりわけ溶岩台地の巣穴からきたものは鉱物、その他の原料、そして彼らには使い方が考え付かないガラクタを持ってくる。自分が何を求めているか理解しているものなら、アーファのバザーのゴミの中から稀に未知の宝を発見できるかもしれない。
ゴーマ・ファーダの隊商/The Goma Fada Caravan
この大陸で断然に奇妙な都市は、伝統的な意味での都市ですら無い。ゴーマ・ファーダ、文字通り”歩く都市”であるそれはアクームの中をゆるやかに移動する放浪するコー、人間、いくらかのエルフ達の巨大な隊商である。隊商を構成する幾千もの人々が実質的にアクームの中で最大の”宿営地”を作り上げている。幾百もの大きく丈夫な荷車は家屋、商店、簡易食堂、そして貨車一杯に詰められた土から育つ剪定されたイチジクの木と同様に丈夫な植物による農場さえ構成している。アクームで自明な事は、同じ場所に長く留まる者には何者であろうと死ぬこと、そして資源は瞬く間に表れては消えていくことである。ゴーマ・ファーダはそれに対し、居眠りするほどの間でも留まる事をしないという回答で挑戦した。巨大な家畜とハーダの巨人が水で一杯の水槽や食べ物でいっぱいの食糧庫を積んだ巨大な荷車を引いていく。それアクームの危険より素早く行動しなければならない危険な生き方だが、しかし都市は粘り強くここまで生き残っている。
League of Anowon
小さな探検家の宿営地を”歯”の高みで見つける事ができる。それは遺跡の賢者として知られる吸血鬼、アノワン/Anowonによって創立され率いられる小さな訓練キャンプである。League of Anowonは遺跡探検専門の魔道士、あるは彼らが好む(少しの皮肉を彼らの声にこめて)呼び方をすれば”Liberators(解放者)”を養成している。彼らは古代の遺跡を生き抜き魔法的力のアイテムを拠点に持ち帰れる最良の方法として軽業と”extractive archaeology(採取考古学)”を教えられた魔道士である。完熟されたLeague of Anowonの魔道士はフリーランス、あるいは雇われ魔道士として生計を建てる事ができる。キャンプに到達する事は小さな仕事ではなく、通常下のアーファ/Affaの街からグリフィンを調達する事が必要である。キャンプの指導者達は五体満足である事が珍しい。教師たちは大抵彼らの探検家としての経歴の終わり、四肢か目を喪失するか酷い魔法的な影響と接触するかの後にこの役割に従事するからである。キャンプはしばしば秀でた訪問者をひきつける。彼らは名声を聞いてキャンプに来たと主張するが、実際は彼らの次の作戦のために消費する学生志願者を探しにきたものである。学校が質実剛健な体面を望むにもかかわらず、この訓練キャンプはドレイクの襲撃、危険なマナ嵐、地震活動またはアーティファクトの誤用による爆発によりしばしば何ヶ月も閉鎖される。
カルニの庭、オラ・オンダー/Ora Onder, the Khalni Garden
アクームの”生命の芽吹き”、すなわち地殻変動の後に発生する突発的な成長の爆発はおおよそ1,2年の間のみ保つ。注目に値する例外はオラ・オンダー、時に不可能な庭と呼ばれているものである。この生育のオアシスは苛酷で痩せこけたアクームの環境の中でおよそ100年間保たれている。中規模、およそ人口は8000人ほどのエルフが中心の他民族の宿営地がそこで栄えており、”nourishers(養育者)”を自称するオラ・オンダーの番人が彼らの力で保全が続くためのすべてを行っている。宿営者は水晶の窪地から突出した五層の岩の割れ目に住居を建設している。住居の各層はそれぞれ違う植物相になっており、超巨大な花とシダ、とげの生えたつる、巨大なウツボカズラとハエトリグサ、そして最上層には丁寧に栽培された、魔法的な効果を持つマンゴーに似た果物を供給するコライア樹の林が茂っている。
自然のマナ抽出器とであるコライアの樹の実を食べることはリスクを伴う誘いである。多くの場合、コライアの実を食べることは単純に楽しい料理の経験でしかない。実の果肉は甘く匂いが強い。希少な事例として、実は食したものに変化をもたらす。幸運な場合は素晴らしい力や智慧をもたらすが、そうでない場合は奇怪な肉体的な特徴の原因となる。血が燐光を発する事で闇の中でその者の血管が浮かび上がり、目の色が劇的に変化する。
エルフの教団はコライアの樹は神からの贈り物と信じており、宗教的にその実を食べている。これらの支持者は実を食べ続けることは彼らに智慧と幻視を与えれくれると主張するが、通常何年か続ければ致命的名変異が発現する。エルフのドルイド、Sef Amaranは教団の現代の指導者であり、実は彼に多くの贈り物を与えるとともに彼の外見を損じた。盲目と多くの時間で理性を欠いた状態で、彼の支持者は責任を持って彼の熱情にかられたうわ言を啓示として蒐集している。
オラ・オンダーはエルフ達の保全の努力の賜物と考えられているが、実際は古代のアーティファクト、カルニの石/The Khalni Stoneの力によって維持されている。多くの探索者がこれをアクームの森の何処かにあると仮定しているが、それがオラ・オンダーの源であるとは知らない。もし何者かが真実にたどり着こうとするならば、エルフと他の住人達は彼らのアクームの中で最も神聖で生命の維持を助けている場所を脅かそうとする者を追い出すためにあらゆる事を行うだろう。
地理
アクームの歯/Teeth of Akorm
アクームを北に進むと、より山がちになっていく。アクームの歯は翼を持つか非常に経験豊かで賢い案内人がいなければ立ち行けない一連の山脈である。文明は粘り強く、時にそれを振り落とそうと震えるアクームの歯にしがみついている。”歯”の居住者はゼンディカーの人型種族に、スフィンクス、そして謎めいた理由から本来の目的である遺跡の防衛からはぐれたゴーレムである。
ウギンの目/Eye of Ugin
"歯"に人知れず存在する遺跡。アノワンの目下の目的はこの遺跡の謎を解き明かすことである。
タル・テリグ/Tal Terig
アクームの盆地から数百フィート突き出しているのは、タル・テリグ、もしくは”パズルの塔”と呼ばれている遺跡である。この大陸の中でもっとも有名な場所の1つで、遺跡の外観は表面が20フィート程横に伸びた四面体の表面から連なった小さな装飾的な立方体が突き出し構築物の意味ありげな部分を形作っている、あらゆる大きさの幾何学的図形が無作為に組み合わされた柱である。塔の角度と輪郭は論理の境界に逆らうように見え、幾人かは短時間その表面を視認した後に頭痛と鼻血を報告している。
タル・テリグの地表に出ている部分はこの巨大な塔の一部に過ぎない。空の下に飛び出ているのは20に少し足した階層で、他に200層が水晶と石の地層の下に埋まっている。
予想されるように、この地所は貴重であるのと同じぐらいに致命的である。幽霊は広間を徘徊し、同じように多くの構築物と罠が遺跡荒らしから防衛するために設置されている。魔法的な罠は各広間すべてに並んでおり、そして宝物庫の魔法は驚くべきもので尖塔の広間は循環し回転し、探検者たちが同じように攻略できる罠が無い事を保障する。研磨する石の音は1マイル先まで届き、そしてそれはガイドを務めるにたる勇気を持つ数少ないクリーチャーへ、彼らが苦労して手に入れた遺跡の見取り図が無用の長物になった事を伝える音でもある。
硝子池/Glasspool
これは大陸の中で有名な一定の規模を持つ固定された水域の1つで、2マイルに及ぶ不可思議に鋭く六角形に切り取られた湖である。水は常に冷たく、どんな知能を持つ生物でもこれほど透明にできないほどに透明で清浄である。その名前は完全にほぼ常に静止している水面に由来する。地震活動はそれに影響を及ぼすことができない。地震によって揺るがされ大地が鳴動するときでも、湖は魔法的に静止状態を維持する。アクームの山脈の中で唯一の信頼できる青マナの供給源におそらくひきつけられ、水陸両生のドレイクがこの地を棲みかとしている。
アイオー/Ior
探検家達は切り立った山頂に近い高所から硝子池の底に遺跡を発見した。その起源については殆ど知られていないが、幾人かの研究者はそれは往年の文明の魔法的知識の宝庫である古代の研究所であったと仮定している。