「唱える」を編集中
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==定義== | ==定義== | ||
− | '''[[呪文]]を唱える'''とは、やがて[[解決]]されてその[[効果]]が発生するよう、その呪文を現在ある場所から[[スタック]]に置き、[[コスト]]を[[支払う]] | + | '''[[呪文]]を唱える'''とは、やがて[[解決]]されてその[[効果]]が発生するよう、その呪文を現在ある場所から[[スタック]]に置き、[[コスト]]を[[支払う]]ことを意味する。呪文を唱えるためには、以下の一連の手順を踏む必要がある。手順を完了できない場合、それは不正な処理として[[巻き戻し|巻き戻される]]。 |
#呪文を唱えることを宣言し、[[カード]]を元ある[[領域]]からスタックの一番上に乗せる。 | #呪文を唱えることを宣言し、[[カード]]を元ある[[領域]]からスタックの一番上に乗せる。 | ||
− | #[[モード]] | + | #*適正に唱えることができない呪文はこの手順を開始できない。ただし{{CR|601.3e}}の条件に該当する場合(後述)は、例外的に手順を開始することができる。 |
+ | #その呪文が[[モード]]を持つ場合、そのモードの選択を宣言する。[[代替コスト]]や[[追加コスト]]などを持つ場合、どれを支払うのかを宣言する。[[マナ・コスト]]に[[X]]を含んでいるなど可変のコストを持つ場合、その値を宣言する。[[混成マナ・シンボル]]や[[ファイレクシア・マナ|ファイレクシア・マナ・シンボル]]を持つ場合、どのように支払うかを宣言する。 | ||
#[[対象]]の数を宣言したのち、対象を宣言する。 | #[[対象]]の数を宣言したのち、対象を宣言する。 | ||
#対象への[[割り振る|割り振り]]がある場合は、それをどう割り振るかを宣言する。 | #対象への[[割り振る|割り振り]]がある場合は、それをどう割り振るかを宣言する。 | ||
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==解説== | ==解説== | ||
− | + | [[基本セット2010]]で制定されたキーワード処理であり、以前([[第6版]]から)は、[[土地]]の[[プレイ]]、[[起動型能力]]の[[起動]]を含めてすべて「プレイ」と呼んでいた。 | |
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+ | Castという概念は、[[リミテッド・エディション]]から存在したものの、第6版でプレイに統合されたため、長年の間[[廃語]]となっていた。なお、その時の日本語訳は「'''かける'''」であった。 | ||
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+ | ===唱える領域やタイミング=== | ||
+ | 通常、いつ、どこから呪文を唱えられるかは[[カード・タイプ]]ごとにルールによって許可されている。 | ||
*[[インスタント]]は、[[優先権]]を持っていれば手札から唱えることができる。 | *[[インスタント]]は、[[優先権]]を持っていれば手札から唱えることができる。 | ||
− | *[[ソーサリー]]、[[クリーチャー]]、[[アーティファクト]]、[[エンチャント]]、[[プレインズウォーカー]]、[[バトル]]は、優先権を持っており、自分のメイン・フェイズで、スタックが空の間に手札から唱えることができる。 | + | *[[ソーサリー]]、[[クリーチャー]]、[[アーティファクト]]、[[エンチャント (カード・タイプ)|エンチャント]]、[[プレインズウォーカー]]、[[バトル]]は、優先権を持っており、自分のメイン・フェイズで、スタックが空の間に手札から唱えることができる。 |
− | *[[土地]]は他の[[カード・タイプ]]を持っていても、呪文として唱えることはできない({{CR|300.2a}}) | + | *[[土地]]は他の[[カード・タイプ]]を持っていても、呪文として唱えることはできない({{CR|300.2a}})。例として、[[ドライアドの東屋/Dryad Arbor]]は[[マナ・コストを支払うことなく唱える]]効果でも唱えることはできない。[[生けるものの洞窟/Zoetic Cavern]]は、[[変異]]で土地でなくなるため唱えることができる。 |
− | + | *定義において列挙されている例外を除いて、適正に唱えられない呪文は唱え始めることができない。例外の部分が結果的に適正であるかどうかは[[#定義]]の手順5でチェックされる。 | |
+ | **あなたが[[虚空の選別者/Void Winnower]]をコントロールしているとき、対戦相手はマナ・コストが(X)(R)(R)でありマナ総量が2である[[とどろく雷鳴/Rolling Thunder]]を唱え始めることができるが、マナ総量が偶数になるような選択をした場合は不正な処理としてその呪文を唱えることが提示される直前の瞬間に戻る。 | ||
− | === | + | ===唱える領域やタイミングの拡張=== |
− | + | [[効果]]によって、手札以外の領域から呪文を唱えたり、優先権が無い呪文や能力の[[解決中に呪文を唱える]]ことを許可されたりする。 | |
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*[[キーワード能力]]の[[瞬速]]を持つカードは、インスタントでなくても優先権を持っていれば唱えることができる。 | *[[キーワード能力]]の[[瞬速]]を持つカードは、インスタントでなくても優先権を持っていれば唱えることができる。 | ||
*キーワード能力の[[フラッシュバック]]や[[回顧]]などは、カードを手札ではなく[[墓地]]から唱えることを許可する。 | *キーワード能力の[[フラッシュバック]]や[[回顧]]などは、カードを手札ではなく[[墓地]]から唱えることを許可する。 | ||
− | + | *キーワード能力の[[マッドネス]]や[[続唱]]他、一部の呪文や能力はその[[解決]]中に呪文を唱えるよう指示する({{CR|608.2g}})。それらの呪文は[[スタック]]で解決中の呪文や能力の上に置かれ、[[#定義]]に従って通常と同じように唱えられる。ただし、唱え終わった後にプレイヤーが優先権を得ることはない。唱え終わった後は、現在解決中の呪文や能力の解決を続ける。ここに、これと同様に他の呪文を唱えることが含まれることもありうる。通常、解決中にはそれ以外の呪文を唱えたり能力を起動したりはできない。 | |
− | + | **「唱えてもよい」と書かれた効果でも、それが[[未来予知/Future Sight]]のように[[常在型能力]]によるものであったり、「このターン」「このカードが追放されている限り」など期間が設けられているなら、それは呪文や能力の解決中に唱えることを指示しているわけではない。それらは通常のカード・タイプによる許可に従って唱える必要がある。 | |
− | * | + | |
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− | キーワード能力の[[マッドネス]]や[[続唱]]他、一部の呪文や能力はその[[解決]]中に呪文を唱えるよう指示する({{CR|608.2g}})。それらの呪文は[[スタック]]で解決中の呪文や能力の上に置かれ、[[#定義]] | + | |
===呪文を唱えることの制限=== | ===呪文を唱えることの制限=== | ||
[[マジックの黄金律]]により、「できない」は「できる」に勝つ。ルールや効果が呪文を唱えることを「できない」としているなら、呪文を唱える事を許可するルールや効果があっても唱えることは出来ない。ただし、特定の性質を持つ呪文を唱えることが効果によって禁止されている場合でも、その呪文を示している間にその性質を変える選択ができ、それにより唱えることが禁止されなくなるなら、唱え始めることができる({{CR|601.3a}})。 | [[マジックの黄金律]]により、「できない」は「できる」に勝つ。ルールや効果が呪文を唱えることを「できない」としているなら、呪文を唱える事を許可するルールや効果があっても唱えることは出来ない。ただし、特定の性質を持つ呪文を唱えることが効果によって禁止されている場合でも、その呪文を示している間にその性質を変える選択ができ、それにより唱えることが禁止されなくなるなら、唱え始めることができる({{CR|601.3a}})。 | ||
*例:[[時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler]]は「各対戦相手はそれぞれ、自分がソーサリーを唱えられるときにのみ呪文を唱えられる。」という能力を持つ。対戦相手は、カードが瞬速を持っていてもそれをソーサリーを唱えられる時にしか唱えることができない。また[[雷電支配/Electrodominance]]などによって[[解決中に呪文を唱える]]よう許可されても、それを唱えることはできない。 | *例:[[時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler]]は「各対戦相手はそれぞれ、自分がソーサリーを唱えられるときにのみ呪文を唱えられる。」という能力を持つ。対戦相手は、カードが瞬速を持っていてもそれをソーサリーを唱えられる時にしか唱えることができない。また[[雷電支配/Electrodominance]]などによって[[解決中に呪文を唱える]]よう許可されても、それを唱えることはできない。 | ||
− | *例:[[虚空の選別者/Void Winnower]]は「あなたの対戦相手はマナ総量が偶数の呪文を唱えられない。」という能力を持つ。その場合でも、対戦相手は[[マナ・コスト]]が(X)( | + | *例:[[虚空の選別者/Void Winnower]]は「あなたの対戦相手はマナ総量が偶数の呪文を唱えられない。」という能力を持つ。その場合でも、対戦相手は[[マナ・コスト]]が(X)(R)(R)であり[[マナ総量]]が2である[[とどろく雷鳴/Rolling Thunder]]を唱え始めることができる。これは[[X]]の値の選択によっては、その呪文のマナ総量が奇数に変わることがありうるからである。マナ総量が偶数になるような選択をしたなら、不正な呪文の提示として巻き戻される。 |
===「瞬速を持っているかのように」の扱い=== | ===「瞬速を持っているかのように」の扱い=== | ||
− | + | カードによっては、その呪文を提示しなければ瞬速を持っているのかのように唱える事が出来るか分からないものがある。それらは例外として唱え始めることができる。呪文を提示し終えた後に適正な選択をしなかったら、不正な呪文として巻き戻される。 | |
*特定の性質を持つ呪文を[[瞬速]]を持つかのように唱えることが効果によって認められている場合、呪文を示している間にその呪文の性質を変える選択ができ、それにより効果が適用されるようになるなら、その呪文を瞬速を持つかのように唱え始めることができる({{CR|601.3b}})。 | *特定の性質を持つ呪文を[[瞬速]]を持つかのように唱えることが効果によって認められている場合、呪文を示している間にその呪文の性質を変える選択ができ、それにより効果が適用されるようになるなら、その呪文を瞬速を持つかのように唱え始めることができる({{CR|601.3b}})。 | ||
− | + | **このルールは元々[[授与]]と[[シガルダの助け/Sigarda's Aid]]との相互作用のために制定されたが、授与のルール変更によって該当する組み合わせは存在しなくなった。総合ルールの例示は古いルールのままなので注意。 | |
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*プレイヤーが[[代替コスト]]や[[追加コスト]]を支払った場合に瞬速を持つかのように呪文を唱えることが効果によって認められている場合、瞬速を持つかのように唱え始めることができる({{CR|601.3c}})。 | *プレイヤーが[[代替コスト]]や[[追加コスト]]を支払った場合に瞬速を持つかのように呪文を唱えることが効果によって認められている場合、瞬速を持つかのように唱え始めることができる({{CR|601.3c}})。 | ||
**例:[[総くずれ/Rout]]は、瞬速を持つかのように唱え始めることができる。これは、総くずれの効果が、追加コストを支払えば瞬速を持つかのように唱えることを認めているからである。 | **例:[[総くずれ/Rout]]は、瞬速を持つかのように唱え始めることができる。これは、総くずれの効果が、追加コストを支払えば瞬速を持つかのように唱えることを認めているからである。 | ||
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===[[代替の特性]]があるカードの扱い=== | ===[[代替の特性]]があるカードの扱い=== | ||
− | + | カードの中には、それを唱える際に本来の特性とは別の特性で唱える、あるいは別の特性で唱えることを選択できるものがある。具体的には、[[分割カード]]、[[変異]]を持つカード、[[授与]]を持つカード、一部の[[変身する両面カード]]([[降霊]]や[[見た目以上のもの]]等)、[[モードを持つ両面カード]]、[[当事者カード]]、[[試作カード]]がある。 | |
− | + | それらの呪文を唱えることが適正かどうかは、その別の特性を見て判断される。そのオブジェクトがそれらの特性を持つようになった場合に適用される継続的効果も考慮される({{CR|601.3e}})。 | |
*例:[[ガラクの大軍/Garruk's Horde]]は「あなたのライブラリーの一番上からクリーチャー呪文を唱えてもよい。」という能力を持つ。あなたの[[ライブラリーの一番上]]のカードが[[変異]]を持っていてクリーチャーでないカードである場合、あなたは変異能力を用いてクリーチャーとしてそれを唱えてもよい({{CR|708.4}})。 | *例:[[ガラクの大軍/Garruk's Horde]]は「あなたのライブラリーの一番上からクリーチャー呪文を唱えてもよい。」という能力を持つ。あなたの[[ライブラリーの一番上]]のカードが[[変異]]を持っていてクリーチャーでないカードである場合、あなたは変異能力を用いてクリーチャーとしてそれを唱えてもよい({{CR|708.4}})。 | ||
*例:[[イゼットの模範、メーレク/Melek, Izzet Paragon]]は「あなたは、あなたのライブラリーの一番上からインスタント呪文とソーサリー呪文を唱えてもよい。」という能力を持つ。あなたのライブラリーの一番上にあるカードが[[当事者カード]]の[[巨人落とし/Giant Killer]]だった場合、あなたはそれを巨人落としとして唱えることはできないが、インスタントである[[切り落とし/Chop Down]]として唱えることはできる。 | *例:[[イゼットの模範、メーレク/Melek, Izzet Paragon]]は「あなたは、あなたのライブラリーの一番上からインスタント呪文とソーサリー呪文を唱えてもよい。」という能力を持つ。あなたのライブラリーの一番上にあるカードが[[当事者カード]]の[[巨人落とし/Giant Killer]]だった場合、あなたはそれを巨人落としとして唱えることはできないが、インスタントである[[切り落とし/Chop Down]]として唱えることはできる。 | ||
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*例:[[溺神の信奉者、リーア/Lier, Disciple of the Drowned]]は「あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるすべてのカードはフラッシュバックを持つ。そのフラッシュバック・コストは、そのカードのマナ・コストに等しい。」を持つ。あなたの[[墓地]]に巨人落としがある場合、あなたはそれを巨人落としとして唱えることはできないが、切り落としとして唱える場合はリーアの継続的効果により[[フラッシュバック]]を持つので、唱えることができる。 | *例:[[溺神の信奉者、リーア/Lier, Disciple of the Drowned]]は「あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるすべてのカードはフラッシュバックを持つ。そのフラッシュバック・コストは、そのカードのマナ・コストに等しい。」を持つ。あなたの[[墓地]]に巨人落としがある場合、あなたはそれを巨人落としとして唱えることはできないが、切り落としとして唱える場合はリーアの継続的効果により[[フラッシュバック]]を持つので、唱えることができる。 | ||
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*例:[[至高の者、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Supreme]]は「あなたの墓地にありちょうど2色でありインスタントやソーサリーであるすべてのカードは[[再活]]を持つ。」という能力を持つ。あなたの墓地に[[火+氷/Fire+Ice]]がある場合、それは唱える際に[[単色]]になるためニヴ=ミゼットの継続的効果を適用することができないため[[再活]]を持たず、唱えることはできない。墓地に[[罪+罰/Crime+Punishment]]がある場合、それは唱える際にちょうど2色になるためニヴ=ミゼットの継続的効果を適用でき、再活を持つ呪文として唱えることができる。 | *例:[[至高の者、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Supreme]]は「あなたの墓地にありちょうど2色でありインスタントやソーサリーであるすべてのカードは[[再活]]を持つ。」という能力を持つ。あなたの墓地に[[火+氷/Fire+Ice]]がある場合、それは唱える際に[[単色]]になるためニヴ=ミゼットの継続的効果を適用することができないため[[再活]]を持たず、唱えることはできない。墓地に[[罪+罰/Crime+Punishment]]がある場合、それは唱える際にちょうど2色になるためニヴ=ミゼットの継続的効果を適用でき、再活を持つ呪文として唱えることができる。 | ||
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− | ==その他のルール== | + | ===その他のルール=== |
+ | *[[追放]]領域にある[[裏向き]]のカードの中から特定の性質を持つ呪文を唱えることを許可する効果が存在する。プレイヤーは、追放領域にあるその裏向きのカードを見ることができる場合にのみ、その種の呪文を唱え始めることができる({{CR|601.3f}})。 | ||
+ | **例:[[情け無用のケイヤ/Kaya the Inexorable]]の与える[[紋章]]は、あなたが[[表面]]を見ることのできない裏向きで追放されているカードを唱えることはできない。 | ||
*必要なコストが支払える限り、1[[ターン]]に唱えることができる呪文の数に[[ルール]]上の制限はない。 | *必要なコストが支払える限り、1[[ターン]]に唱えることができる呪文の数に[[ルール]]上の制限はない。 | ||
+ | *たとえその呪文の解決時に効果が発揮されないことになるとしても、適切な対象を取りコストを支払えるなら、呪文を唱えることはルール上適正である。 | ||
+ | **例:「クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。」という効果を持つ[[圧点/Pressure Point]]を既にタップ状態のクリーチャーに唱えてもよいし、「プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを2枚捨てる。」という効果を持つ[[精神腐敗/Mind Rot]]を手札が1枚以下の対戦相手に唱えてもよい。 | ||
*呪文を唱える一連の手順の間に[[優先権]]は発生せず、どのプレイヤーも呪文を唱えたり能力を起動したりすることはできない。ただし、マナ能力に限り[[#定義]]の手順6で唱えるプレイヤーのみが起動できる。 | *呪文を唱える一連の手順の間に[[優先権]]は発生せず、どのプレイヤーも呪文を唱えたり能力を起動したりすることはできない。ただし、マナ能力に限り[[#定義]]の手順6で唱えるプレイヤーのみが起動できる。 | ||
**例:[[爆片破/Shrapnel Blast]]を唱えることを宣言し、そのコストとして[[アーティファクト]]を[[生け贄に捧げる|生け贄に捧げた]]とする。その間、相手には(自分にも)優先権は発生しないので、「[[対応して]]そのアーティファクトを[[破壊]]し、呪文を無効化する」といった[[プレイング]]はできない。 | **例:[[爆片破/Shrapnel Blast]]を唱えることを宣言し、そのコストとして[[アーティファクト]]を[[生け贄に捧げる|生け贄に捧げた]]とする。その間、相手には(自分にも)優先権は発生しないので、「[[対応して]]そのアーティファクトを[[破壊]]し、呪文を無効化する」といった[[プレイング]]はできない。 | ||
− | * | + | *CR601.2の手順を踏まずにスタックや[[戦場]]に置かれたものは「唱えられた」とは言わない。 |
**例:[[浄火明神/Myojin of Cleansing Fire]]は、[[手札]]から唱えられることで機能する[[常在型能力]]を持つ。これを[[歯と爪/Tooth and Nail]]などの効果で手札から戦場に直接出した場合は、「唱えられた」とはみなされない。結果、能力は機能せず、[[神性カウンター]]は置かれない。 | **例:[[浄火明神/Myojin of Cleansing Fire]]は、[[手札]]から唱えられることで機能する[[常在型能力]]を持つ。これを[[歯と爪/Tooth and Nail]]などの効果で手札から戦場に直接出した場合は、「唱えられた」とはみなされない。結果、能力は機能せず、[[神性カウンター]]は置かれない。 | ||
**例:[[ミラーリ/Mirari]]のように、呪文の[[コピー]]を直接スタックに置く効果がある。この場合は、呪文を唱えられたとはみなされない。[[ストーム]]能力がこれを数えることも無い。 | **例:[[ミラーリ/Mirari]]のように、呪文の[[コピー]]を直接スタックに置く効果がある。この場合は、呪文を唱えられたとはみなされない。[[ストーム]]能力がこれを数えることも無い。 | ||
*「カードを唱える」は、そのカードを呪文として唱えることである。 | *「カードを唱える」は、そのカードを呪文として唱えることである。 | ||
+ | *{{CR|601.2b}}における選択は、そのルールの指示に従うと後で行なわれることになる他の選択によって可能になる選択肢がある場合、その呪文のコントローラーはその段階でそれらの選択がされると考えてもよい。それらの選択によって特定のモードや代替コストや追加コストが選べるようになるなら、選んでもよい。 | ||
+ | **例:[[洞察の碑文/Inscription of Insight]]は、[[キッカー]]コストを支払うかどうかを選択してからモードの選択を行う。 | ||
+ | **例:[[道具箱、ヘンジー・トーリ/Henzie "Toolbox" Torre]]の能力によって、そのクリーチャー呪文がマナ・コストにXを含みXの値によってマナ総量が4以上となるなら奇襲コストを支払って唱えてもよい。 | ||
− | ==ルールの変遷== | + | ===ルールの変遷=== |
ある呪文が唱え始めることができるかの判定について、何度かルールが変更されている。 | ある呪文が唱え始めることができるかの判定について、何度かルールが変更されている。 | ||
− | * | + | *マジック2010で制定された当時は「601.5. プレイヤーは、唱えることが禁止されている呪文を唱え始めることはできない。」によって唱え始める前(上記定義の1の前)にのみチェックしていた。[[裏向き]]の呪文のみ例外がかけられていた。 |
*[[テーロス]]で唱えている間にカード・タイプが変りうる[[授与]]が登場したことによりその扱いに問題が生じた。そのため[[2015年]]7月の総合ルール更新で旧601.5を廃止し、呪文を唱えることが適正かどうかを現在の[[#定義]]の手順5のみでチェックするように変更された<ref>[https://web.archive.org/web/20211205114312/https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/magic-origins-update-bulletin-comprehensive-rules-changes-2015-07-16 Magic Origins Update Bulletin—Comprehensive Rules Change(Internet Archive)]([[Daily MTG]] 2015年7月16日)</ref>。 | *[[テーロス]]で唱えている間にカード・タイプが変りうる[[授与]]が登場したことによりその扱いに問題が生じた。そのため[[2015年]]7月の総合ルール更新で旧601.5を廃止し、呪文を唱えることが適正かどうかを現在の[[#定義]]の手順5のみでチェックするように変更された<ref>[https://web.archive.org/web/20211205114312/https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/magic-origins-update-bulletin-comprehensive-rules-changes-2015-07-16 Magic Origins Update Bulletin—Comprehensive Rules Change(Internet Archive)]([[Daily MTG]] 2015年7月16日)</ref>。 | ||
*だがこれにより、例えば「対戦相手のライブラリーの上から4枚目を唱える宣言をしてスタックに置き内容を確認する(その後、唱えることが不可能なので巻き戻される)」といった行動も許容することになってしまった。そこで、[[2015年]]10月に、プレイヤーは適正な方法に従って呪文を唱え始めなければならないが「その呪文を示している間の情報に基づいて唱えられなくする効果」は無視できる(それは手順5の段階でのみチェックされる)というルールに変更された<ref>[https://web.archive.org/web/20220521134303/https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/battle-zendikar-update-bulletin%E2%80%94comprehensive-rules-changes-2015-10-09 Battle for Zendikar Update Bulletin—Comprehensive Rules Changes(Internet Archive)]([[Daily MTG]] 2015年10月9日)</ref>。 | *だがこれにより、例えば「対戦相手のライブラリーの上から4枚目を唱える宣言をしてスタックに置き内容を確認する(その後、唱えることが不可能なので巻き戻される)」といった行動も許容することになってしまった。そこで、[[2015年]]10月に、プレイヤーは適正な方法に従って呪文を唱え始めなければならないが「その呪文を示している間の情報に基づいて唱えられなくする効果」は無視できる(それは手順5の段階でのみチェックされる)というルールに変更された<ref>[https://web.archive.org/web/20220521134303/https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/battle-zendikar-update-bulletin%E2%80%94comprehensive-rules-changes-2015-10-09 Battle for Zendikar Update Bulletin—Comprehensive Rules Changes(Internet Archive)]([[Daily MTG]] 2015年10月9日)</ref>。 | ||
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==その他== | ==その他== | ||
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*スタックに乗る時点を勘違いしやすいため、注意が必要。 | *スタックに乗る時点を勘違いしやすいため、注意が必要。 | ||
*[[ソーサリー]]呪文または[[インスタント]]呪文を唱えることを、俗に「(呪文を)'''撃つ'''」とも表現する。 | *[[ソーサリー]]呪文または[[インスタント]]呪文を唱えることを、俗に「(呪文を)'''撃つ'''」とも表現する。 |