部族

提供:MTG Wiki

(版間での差分)
移動: 案内, 検索
(23人の利用者による、間の29版が非表示)
1行: 1行:
'''部族'''は、
+
{{Otheruses|[[カード・タイプ]]|俗称|部族 (俗称)}}
#[[カード・タイプ]]の1つ。[[#ルール用語|ルール用語]]を参照。
+
#特定の[[クリーチャー・タイプ]]や、それを重視したデッキやシステムのこと。[[#俗称|俗称]]を参照。
+
  
==ルール用語==
 
 
'''部族'''/''Tribal''は、[[カード・タイプ]]の1つ。[[未来予知]]が初出。
 
'''部族'''/''Tribal''は、[[カード・タイプ]]の1つ。[[未来予知]]が初出。
  
「部族」自体はそのカードが[[パーマネント]]であることを意味しない。部族である[[カード]]は他の[[カード・タイプ]]を併せ持っており、[[プレイ]]や[[解決]]に関してその[[タイプ]]のルールに従う。例えば部族エンチャントは[[エンチャント]]と同様の手順でプレイし、[[解決]]すると[[パーマネント]]として場に出る。
+
{{#card:Bitterblossom}}
 +
{{#card:All is Dust}}
  
部族としての[[サブタイプ]][[クリーチャー]]のサブタイプと共通であり、[[クリーチャー・タイプ]]と呼ばれる。
+
==解説==
 +
部族・[[カード]]は必ず他の[[カード・タイプ]]を併せ持ち、[[プレイ]]や[[解決]]に際してはそのカード・タイプのルールに従う。すなわち、部族・カードが[[パーマネント]]になるかどうかは、他方のカード・タイプが[[パーマネント・タイプ]]であるかどうかによる。例えば部族・[[エンチャント]]は、エンチャントと同様の手順で[[唱える|唱え]]、解決するとパーマネントとして[[戦場に出る]]。
  
*クリーチャーではないカードにクリーチャー・タイプを持たせるために作られた[[タイプ]]である。これにより[[未来予知]]でも登場した[[レベル]][[スリヴァー]]などのクリーチャー・タイプを参照するカードは、若干[[テキスト]]が変更されている。過去のカードの[[オラクル]]も同様の変更を受ける。
+
部族としての[[サブタイプ]][[クリーチャー]]のサブタイプと共通であり、[[クリーチャー・タイプ]]と呼ばれる。すべての部族カードは1つ以上のクリーチャー・タイプを持つ。
*印刷されたものとしては、[[未来予知]]に1枚だけ収録された[[静寂の捕縛/Bound in Silence]]が初。続く[[ローウィン・ブロック]]では、バリエーション豊かな部族カードが大量に追加された。
+
 
 +
要するに、クリーチャーではないカードにクリーチャー・タイプを持たせるために作られたカード・タイプである。例えば[[妖精の先触れ/Faerie Harbinger]][[ETB]][[能力]]は一見クリーチャー[[サーチ]]のようだが、必要ならばエンチャントである[[苦花/Bitterblossom]]や、[[インスタント]]である[[名も無き転置/Nameless Inversion]]もサーチできる。
 +
 
 +
*未来予知~[[エルドラージ覚醒]]の日本語版の部族カードは、[[タイプ行]]の表記が慣例と異なっている。「[[アーティファクト・クリーチャー]]」などと同様、本来ならば「部族・○○」となるはずが「部族○○」と部族と他のカード・タイプの間に「・」を打たず、連ねて表記されていた({{Gatherer|id=164014|カード画像}})。
 +
**[[モダンマスターズ2015]]以降に印刷されたカードでは「部族・○○」の正しい表記に修正されている({{Gatherer|id=398199|カード画像}})。
 +
**「[[基本土地]]」や「[[氷雪クリーチャー]]」など、それが[[特殊タイプ]]である場合は「・」を打たずに連ねて表記されるのが慣例である。未来予知の初出の時点で部族が特殊タイプと勘違いされてしまい、このような日本語版テンプレートになった可能性がある。
 +
*印刷されたものとしては、未来予知に1枚だけ収録された[[静寂の捕縛/Bound in Silence]]が初。続く[[ローウィン・ブロック]]では、バリエーション豊かな部族カードが大量に追加された。[[エルドラージ覚醒]]でも4種類が登場。
 +
**カード・タイプが追加されたのは、[[ミラージュ]]で[[マナ・ソース]]が追加されて以来実に11年ぶり(なおマナ・ソースはすでに廃止されている)。[[1997年]]に登場した[[ヴァンガード]]から数えても10年ぶりである。([[注釈文]]のみであるが)同時に登場した[[プレインズウォーカー (カード・タイプ)|プレインズウォーカー]]も同様。
 +
**このカード・タイプの登場により未来予知でも登場した[[レベル]]や[[スリヴァー]]などのクリーチャー・タイプを参照するカードは、若干[[ルール文章]]が変更されている。過去のカードの[[オラクル]]も同様の変更を受ける。
 +
*単に「部族カード」と言うと、「部族のカード・タイプを持つカード」なのか「クリーチャー・タイプを参照するカード(→[[部族カード]])」なのか紛らわしいので注意。
 
*[[部族の炎/Tribal Flames]]は[[カード名]]に部族とあるが、部族カードではない。[[所有地カード]]である。
 
*[[部族の炎/Tribal Flames]]は[[カード名]]に部族とあるが、部族カードではない。[[所有地カード]]である。
 +
*「部族・[[土地]]」と「部族・[[プレインズウォーカー (カード・タイプ)|プレインズウォーカー]]」はまだ登場していない。
 +
**部族・土地の案自体は[[ローウィン]]開発時にあったものの、[[ミラディン・ブロック]]の[[アーティファクト・土地]]のような影響力を持つことが懸念されたことなどから実現はしなかったという経緯がある。
 +
**部族・プレインズウォーカーが存在しないのは「[[プレインズウォーカー/Planeswalker]]として目覚めることで、元の世界とその世界を支配する法から解放され、その弱点に捕らわれることなく世界の利を学べる神話的存在になる」という背景設定の他、プレインズウォーカーの悪用を未然に防ぐためとされている。
  
==俗語==
+
==再登場の可能性==
 +
部族は[[エルドラージ覚醒]]を最後に、[[本流のセット]]では使用されなくなったカード・タイプである。
  
'''部族'''(''Tribe'')とは、[[クリーチャー・タイプ]]のこと。もしくはそれを重視したデッキやシステムのこと。後者の場合は「部族デッキ」「部族システム」と言う場合が多い。
+
[[Mark Rosewater]]は[[2011年]]の公式記事<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/scary-stories-part-1-2011-09-19 Scary Stories, Part 1]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0003998/ 恐るべき物語 その1]([[Making Magic]] [[2011年]]9月19日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>において、「部族というカード・タイプに死を宣告しよう」と述べ、部族を今後使うつもりがないことを明言した。この時点では「どうしても必要な状況があれば――まあ、封印の奥底から引っ張り出すことになるだろう」という、状況次第での復活を示唆する表現が同時に用いられていたが、[[2015年]]の公式記事<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/know-what-2015-11-16 Know What?]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0016021/ 「何」の話](Making Magic [[2015年]]11月16日 Mark Rosewater著)</ref>では「何を持ってしてもそんなことはあり得ない」と非常に強い表現になっており、再使用する可能性が極めて低いことが改めて示された。
  
部族システムを初めて各色に体系立てて採用したカードセットが[[フォールン・エンパイア]]で、その後特に[[ホームランド]][[オンスロート・ブロック]]、[[ローウィン・ブロック]]で推奨された。
+
その理由は、[[イニストラード]]で部族を使用してプレイテストした結果、うまくいかなかったからである。部族を使うなら、例えば[[ゾンビ]]のフレイバーを持つ非クリーチャー・カードにはすべて部族をつけなければならないが、クリーチャー・タイプを参照するカードのほとんどはクリーチャーにしか影響しないので、文章が増える割に[[ゲーム]]プレイの向上に繋がらず、混乱を招くだけであった。
  
もっとも、[[アルファ]]時代からいくつかの[[ロード]][[ゴブリンの王/Goblin King]]など)を筆頭にした部族デッキはあったし、こと[[ゴブリン]]については[[ザ・ダーク]]で関連カードが多く作られている。長い歴史を持つ、由緒正しいシステムだといえる。
+
[[2021年]][[モダンホライゾン2]]において部族である[[ゴイフの祭壇/Altar of the Goyf]]が登場したが、同時に公式記事<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/horizons-part-1-2021-06-07 On the Horizons, Part 1]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0035150/ 『モダンホライゾン』にて その1](Making Magic [[2021年]]6月7日 Mark Rosewater著)</ref>にて、これはモダンホライゾン2が高い複雑さと郷愁を有するセットであるが故の特例であり、部族を今後定期的に使うわけではないと述べられている。
  
[[オンスロート・ブロック]]には[[兵士]]、[[ウィザード]]、[[ゾンビ]]、[[ゴブリン]]、[[エルフ]]などに強力な[[部族カード]]が多数収録された。<!-- 他は[[鳥]]、[[クレリック]]、[[ビースト]]、[[スリヴァー]]、[[ドラゴン]]、[[イリュージョン]]。 -->当時、開発部は多様な部族[[ウィニー]]や[[ウィザード]][[コントロール]]が大活躍すると思っていたらしいが、その予定は[[サイクリングバーン]]の誕生で大きく狂ってしまった。とはいえ完全に失敗したというわけでは無く、[[リミテッド]]ではある程度狙い通りに部族間対立を作ることに成功した。また[[構築]]でも、ほぼ全ての[[環境]]で大活躍している[[ゴブリン]]を筆頭に、[[エルフ]]、[[ゾンビ]]、[[クレリック]]などは戦果を残している。
+
==該当クリーチャー・タイプ==
 +
;[[モダンホライゾン2]]
 +
*[[ルアゴイフ]]
  
[[神河ブロック]]では、[[スピリット]](神)とそれ以外の部族との二極対立がテーマになり、スピリットを利用する、または逆に対抗するというカードが多く作られ、これによって種族がスピリットか否かということが非常に大きな意味を持つことになった。また当時の[[スタンダード]]および[[神河ブロック構築]]ではウィザードデッキである[[呪師コントロール]]が高い安定性を見せ、活躍している。
+
;[[エルドラージ覚醒]]
 +
*[[エルドラージ]]
  
[[ローウィン・ブロック]]では、[[ローウィン]]では[[キスキン]][[フェアリー]][[マーフォーク]][[ゴブリン]][[エルフ]][[巨人]][[ツリーフォーク]][[エレメンタル]]といった種族に、[[モーニングタイド]]では[[ならず者]][[シャーマン]][[兵士]][[戦士]][[ウィザード]]といった[[職業]]に、それぞれ焦点があてられた。
+
;[[ローウィン]][[モーニングタイド]]
 +
*[[キスキン]]
 +
*[[マーフォーク]]
 +
*[[フェアリー]]
 +
*[[エレメンタル]]
 +
*[[ゴブリン]]
 +
*[[エルフ]]
 +
*[[ツリーフォーク]]
 +
*[[巨人]]
 +
*[[多相の戦士]]
 +
;[[モーニングタイド]]
 +
*[[兵士]]
 +
*[[ウィザード]]
 +
*[[ならず者]]
 +
*[[戦士]]
 +
*[[シャーマン]]
  
*数こそ少ないが、スピリット以外でも特定の部族に強いカード([[ドワーフ兵士/Dwarven Soldier]]など)や、特定の部族に弱いカード([[フラーグのゴブリン/Goblins of the Flarg]]など)は存在する。
+
;[[未来予知]]
*同一の部族をコストとするカードは多々あるが、特定の部族をコストとすることで効果を強化するソーサリーやエンチャントもある。([[スラル]]と[[Tourach's Gate]]および[[Soul Exchange]])
+
*[[レベル]]
 +
 
 +
==脚注==
 +
<references />
  
 
==参考==
 
==参考==
 
*[[ルーリング]]
 
*[[ルーリング]]
*[[部族カード]]
+
 
*[[部族カード一覧]]
+
{{#CR:308}}
*[http://mtg.takaratomy.co.jp/others/column/asahara/20071015/index.html トライバル・セカンドインパクト]([[タカラトミー]]、文:[[浅原晃]])
+
*[[ウィニー]]
+

2021年9月21日 (火) 22:11時点における版

部族/Tribalは、カード・タイプの1つ。未来予知が初出。


Bitterblossom / 苦花 (1)(黒)
部族 エンチャント — フェアリー(Faerie)

あなたのアップキープの開始時に、あなたは1点のライフを失い、飛行を持つ黒の1/1のフェアリー(Faerie)・ならず者(Rogue)クリーチャー・トークンを1体生成する。



All Is Dust / 全ては塵 (7)
部族 ソーサリー — エルドラージ(Eldrazi)

各プレイヤーは、自分がコントロールする1色以上の色のパーマネントをすべて生け贄に捧げる。


目次

解説

部族・カードは必ず他のカード・タイプを併せ持ち、プレイ解決に際してはそのカード・タイプのルールに従う。すなわち、部族・カードがパーマネントになるかどうかは、他方のカード・タイプがパーマネント・タイプであるかどうかによる。例えば部族・エンチャントは、エンチャントと同様の手順で唱え、解決するとパーマネントとして戦場に出る

部族としてのサブタイプクリーチャーのサブタイプと共通であり、クリーチャー・タイプと呼ばれる。すべての部族カードは1つ以上のクリーチャー・タイプを持つ。

要するに、クリーチャーではないカードにクリーチャー・タイプを持たせるために作られたカード・タイプである。例えば妖精の先触れ/Faerie HarbingerETB能力は一見クリーチャーサーチのようだが、必要ならばエンチャントである苦花/Bitterblossomや、インスタントである名も無き転置/Nameless Inversionもサーチできる。

再登場の可能性

部族はエルドラージ覚醒を最後に、本流のセットでは使用されなくなったカード・タイプである。

Mark Rosewater2011年の公式記事[1]において、「部族というカード・タイプに死を宣告しよう」と述べ、部族を今後使うつもりがないことを明言した。この時点では「どうしても必要な状況があれば――まあ、封印の奥底から引っ張り出すことになるだろう」という、状況次第での復活を示唆する表現が同時に用いられていたが、2015年の公式記事[2]では「何を持ってしてもそんなことはあり得ない」と非常に強い表現になっており、再使用する可能性が極めて低いことが改めて示された。

その理由は、イニストラードで部族を使用してプレイテストした結果、うまくいかなかったからである。部族を使うなら、例えばゾンビのフレイバーを持つ非クリーチャー・カードにはすべて部族をつけなければならないが、クリーチャー・タイプを参照するカードのほとんどはクリーチャーにしか影響しないので、文章が増える割にゲームプレイの向上に繋がらず、混乱を招くだけであった。

2021年モダンホライゾン2において部族であるゴイフの祭壇/Altar of the Goyfが登場したが、同時に公式記事[3]にて、これはモダンホライゾン2が高い複雑さと郷愁を有するセットであるが故の特例であり、部族を今後定期的に使うわけではないと述べられている。

該当クリーチャー・タイプ

モダンホライゾン2
エルドラージ覚醒
ローウィンモーニングタイド
モーニングタイド
未来予知

脚注

  1. Scary Stories, Part 1/恐るべき物語 その1Making Magic 2011年9月19日 Mark Rosewater著)
  2. Know What?/「何」の話(Making Magic 2015年11月16日 Mark Rosewater著)
  3. On the Horizons, Part 1/『モダンホライゾン』にて その1(Making Magic 2021年6月7日 Mark Rosewater著)

参考

引用:総合ルール 20231117.0

QR Code.gif