両面カード

提供:MTG Wiki

(版間での差分)
移動: 案内, 検索
(旧ルール)
(一部、変身寄りの解説を変身の項に移動)
(22人の利用者による、間の45版が非表示)
1行: 1行:
'''両面カード'''/''Double-Faced Card''とは、[[イニストラード・ブロック]]で初登場した[[カード]]群の呼称。
+
'''両面カード'''/''Double-Faced Card''とは、表裏両面に[[表面]]を持つ[[カード]]群の総称。
 +
 
 +
{{#card:Villagers of Estwald}}
 +
{{#card:Akoum Warrior}}
  
 
==解説==
 
==解説==
1枚のカードの表と裏、両方に[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]のカードの表面があるカードであり、定型のマジックのカードで初の裏が「デッキマスター」デザインになっていないカードである。
+
1枚のカードの表と裏、両方に[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]のカードの[[表面]]があるカードであり、定型のマジックのカードで初の裏が「デッキマスター」デザインになっていないカードである。[[イニストラード・ブロック]]で初登場して以降、いくつもの[[カード・セット]]で登場している[[メカニズム]]である。
  
{{#card:Gatstaf Shepherd}}
+
「裏面では区別できない」という[[トレーディングカードゲーム]]の基本原理に反する仕様である。当然、裸のままで通常のカードと混ぜて使うと不都合が生じるため、[[スリーブ]]か[[差し替えカード]]の使用が必須となる。フレイバーとしては単純明快で美しいが、ゲームにおける扱いはかなり特殊。
{{#card:Liliana, Heretical Healer}}
+
{{#card:Startled Awake}}
+
  
「夜になると[[狼男]]になる[[人間]]」、「[[コウモリ]]に化ける[[吸血鬼]]」、「[[プレインズウォーカー/Planeswalker|プレインズウォーカー]]への覚醒」といった「変身」を表すカードであり、[[キーワード処理]]の[[変身]](させる)によって表裏を入れ替え、変身した(あるいは元に戻った)ことを表す。
+
両面カードには大きく分けて2つの種類があり、それぞれ'''[[変身する両面カード]](TDFC)'''、'''[[モードを持つ両面カード]](MDFC)'''と呼ばれる。
  
「裏面では区別できない」という[[トレーディングカードゲーム]]の基本原理に反する仕様である。当然、裸のままで通常のカードと混ぜて使うと不都合が生じるため、[[スリーブ]]か[[チェックリストカード]]の使用が必須となる。フレイバーとしては単純明快で美しいが、ゲームにおける扱いはかなり特殊。
+
*さらなる変種として[[合体カード]]というカード群も存在するが、合体カードは両面カードではない。詳細は同項目を参照。
  
==ルール==
+
==共通ルール==
両面カードは、変身前の姿は[[第1面]](正面)、変身後の姿である[[第2面]](背面)であることを表す。カードの両面の左上は、そのカードの第1面/第2面を表すシンボルが描かれている。詳細は[[第1面]]、および[[第2面]]の項を参照。
+
両面カードの2つの面は対等ではなく、[[第1面]][[第2面]]として明確に区別されている。カードの両面の左上にはそのカードの第1面/第2面を表すシンボルが描かれている。このシンボルは、変身する両面カードにおいては[[カード・セット]]やカードごとに異なる。モードを持つ両面カードにおいてはカード・セットによらず共通である。詳細は[[第1面]]、および[[第2面]]の項を参照。
*基本的に[[マナ・コスト]]が印刷されている方が第1面である。第2面にマナ・コストは印刷されていない。
+
  
===[[デッキ]]に入れる場合===
+
===[[デッキ]]に入れるに際して===
両面カードが[[ライブラリー]]や[[手札]]といった[[非公開領域]]にあるとき、同じ[[領域]]にある他のカードと区別が付かないようにしなければならない。それゆえ両面カードを[[デッキ]]に入れる場合、完全に不透明な[[スリーブ]]を用いるか、[[チェックリストカード]]を使わなければならない。
+
両面カードが[[ライブラリー]]や[[手札]]といった[[非公開領域]]にあるとき、同じ[[領域]]にある他のカードと区別が付かないようにしなければならない。それゆえ両面カードを[[デッキ]]に入れる場合、完全に不透明な[[スリーブ]]を用いるか、[[差し替えカード]]を使わなければならない。
*特定の両面カードをチェックリストカードで表す場合、その特定のカードについてデッキ内のすべての両面カードをチェックリストカードで表さなければならない([http://mtg-jp.com/rules/docs/JPN_MTR.html マジックイベント規定])。
+
 
*デッキに4枚のチェックリストカードを入れて1枚しかない両面カードを使いまわすような水増しはできない。チェックリストカード1枚が両面カード1枚の代用品である。
+
*差し替えカードに関する基本的なルールは[[差し替えカード#ルール]]を参照。
*[[トーナメント]]では、スリーブが透けていて区別がつく状態になっていると、[[不正行為|故意の違反]]として[[失格]]処分となる可能性があるので注意([http://coverage.mtg-jp.com/worlds11/article/002575/ 参考])。
+
**特定の両面カードを差し替えカードで表す場合、その特定のカードについてデッキ内のすべての両面カードを差し替えカードで表さなければならない<ref>[https://mtg-jp.com/gameplay/rules/docs/0006837/ マジックイベント規定]</ref>。
 +
**デッキに4枚の差し替えカードを入れて1枚しか所持していない両面カードを使いまわすような水増しはできない。差し替えカード1枚が両面カード1枚の代用品である。
 +
**チェックリストカードのチェックや差し替えカードのカード名ははっきりと誰にでもわかる形で書かなければならない。
 +
*[[トーナメント]]では、スリーブが透けていて区別がつく状態になっていると、[[不正行為|故意の違反]]として[[失格]]処分となる可能性があるので注意<ref>[https://mtg-jp.com/coverage/worlds11/article/0000867/ Feature: ジャッジ、世界の舞台で](Event Coverage)</ref>。
  
 
===[[特性]]===
 
===[[特性]]===
両面カードの各面はそれぞれに独立した一連の[[特性]]を持ち、[[呪文]]、[[能力]]、[[効果]]、あるいはルールが両面[[パーマネント]]の情報を必要とする場合、それは現在有効になっている面が与える情報のみを見る([[統率者戦]]の[[固有色]]の決定を除く)。[[戦場]]以外の[[領域]]にある両面カードは常に第1面の特性を持つ。両面カードを[[唱える]]場合、それは第1面で[[スタック]]に置かれる。戦場にある両面カードは、そのときに表示されている面の特性を持ち、もう一方の面の特性は無視される。また、[[戦場に出る]]場合、「変身させた状態で戦場に出す」[[効果]]でない限り、第1面で戦場に出る。
+
両面カードの各面はそれぞれに独立した一連の[[特性]]を持つ。[[呪文]]、[[能力]]、[[効果]]、あるいはルールが両面[[パーマネント]]の情報を必要とする場合、それは現在有効になっている面が与える情報のみを見る。
  
*変身した両面カードが[[墓地]]に置かれたら、それは[[第1面]]で墓地に置かれる。ただし[[誘発型能力]]によっては戦場にあった時の特性を参照する事もあるので注意([[領域変更誘発]])。
+
[[戦場]][[スタック]]を除く各[[領域]][[ゲーム外]]において、両面カードは原則として第1面の特性を持つ。[[統率者戦]]における[[固有色]]についてのみ例外で、双方の面を考慮して決定する({{CR|903.4d}})。
  
両面カードで表される[[パーマネント]]が[[変身]]した場合、それは新たに[[戦場に出る|戦場に出た]]のではなく変身後も同一の[[オブジェクト]]のままである。[[つける|ついて]]いる[[オーラ]]や[[装備品]]、[[負う|負った]][[ダメージ]]、配置されている[[カウンター (目印)|カウンター]]、受けている[[修整]]などはそのまま残り続ける。詳細は[[変身]]の項を参照。
+
第1面と第2面のカードはそれぞれ別の[[カード名]]を持つため、カード名を参照する効果はそれぞれ片一方のみに発揮される。
*第1面と第2面のカードはそれぞれ別の[[カード名]]を持つため、カード名を参照する効果はそれぞれ片一方のみに発揮される。[[ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy]]を指定した[[真髄の針/Pithing Needle]]は[[ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy|束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound]]の能力の[[起動]]を禁止できず、逆も同じである。
+
*例:[[ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy]]を指定した[[真髄の針/Pithing Needle]]は[[ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy|束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound]]の能力の[[起動]]を禁止できず、逆も同じである。
  
両面カードの第2面は[[マナ・コスト]]を持たない([[マナ・コストの無いカード]])が、第2面の[[点数で見たマナ・コスト]]を参照する場合のみ、第1面のマナ・コストに基づいた値を参照する。ただしオブジェクトが第2面の[[コピー]]となった場合は、(それが両面カードだったとしても)その点数で見たマナ・コストは0である。
+
===両面カードの[[コピー]]===
 
+
両面カードの[[コピー可能な値]]は現在有効になっている面の特性のみである。反対の面の特性は一切コピーされない。[[反転]]後の特性もコピーする[[反転カード]]との違いに注意。
===両面カードのコピー===
+
両面カードの[[コピー可能な値]]は現在有効になっている面の特性のみである。反対の面の特性は一切コピーされない。[[反転]]後の特性もコピーする[[反転カード]]との違いに注意。また上述の通り、第2面のコピーとなった場合はコピーになっているパーマネント自身が両面カードだったとしても、その点数で見たマナ・コストは0である。
+
 
+
両面カードではないカードが両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身する効果は無視される({{CR|701.25c}})。両面カードが両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身する効果は実際にそのカードを変身させるが、その特性はコピーされた特性のままである。
+
*例:[[クローン/Clone]]が戦場に出る際、コピー先として第2面である[[ガツタフの羊飼い/Gatstaf Shepherd|ガツタフの咆哮者/Gatstaf Howler]]を選んだ場合、クローンは第1面の[[ガツタフの羊飼い/Gatstaf Shepherd]]ではなく、現在表になっているガツタフの咆哮者のコピーとして戦場に出る。ガツタフの咆哮者であるクローンが[[アップキープ]]に変身することになっても、それは両面カードではないので変身することはない。
+
*例:ガツタフの羊飼いが[[無謀な浮浪者/Reckless Waif]]のコピーになった場合、その後変身しガツタフの咆哮者の面が表になってもその特性はガツタフの咆哮者でも[[無謀な浮浪者/Reckless Waif|無慈悲な捕食者/Merciless Predator]]でもなく、コピーされた無謀な浮浪者の特性のままになる。
+
 
+
オブジェクトが特定の特性を持つオブジェクトに「変身した」ときに誘発する誘発型能力は、そのオブジェクトが変身し、変身した直後にその指定された特性を持っている場合に誘発する{{CR|701.25e}}。
+
*[[高原の狩りの達人]のコピーになっている、両面カードではないカードと両面カードがある。アップキープにそれぞれの変身する能力が誘発し解決された場合、どちらも変身後の特性は高原の狩りの達人のままであることは変わりないが、両面カードではない方のコピーは実際に変身しないので自身の「このクリーチャーが《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》に変身するたび」という能力を誘発させることは無い。両面カードであるコピーは変身するので「変身するたび」の能力が誘発する。
+
  
 
===[[裏向き]]の両面カード===
 
===[[裏向き]]の両面カード===
 
第1面か第2面かということと、[[表向き]]か[[裏向き]]かということは別のものである。両面カードは裏向きになる事は有り得る。ただし、既に表向きになっている両面パーマネントは裏向きにする事はできない。効果やルールがそうするよう指示した場合、それを無視する。また裏向きである間は両面カードは変身する事は無い。
 
第1面か第2面かということと、[[表向き]]か[[裏向き]]かということは別のものである。両面カードは裏向きになる事は有り得る。ただし、既に表向きになっている両面パーマネントは裏向きにする事はできない。効果やルールがそうするよう指示した場合、それを無視する。また裏向きである間は両面カードは変身する事は無い。
*[[イクシドロン/Ixidron]]の[[CIP]][[能力]]は、両面の[[クリーチャー]]には何も行わず、通常のクリーチャーのみを裏向きにする。
+
*[[イクシドロン/Ixidron]]の[[ETB]][[能力]]は、両面の[[クリーチャー]]には何も行わず、通常のクリーチャーのみを裏向きにする。
*[[予示]]などで裏向きの状態で[[戦場に出す]]場合には、「第1面、裏向き」という状態で戦場に出る。それは他のカードと同じく表向きの特性は隠され、両面カードだと公開する必要は無い。クリーチャーの両面カードを予示した場合には第1面のマナ・コストを支払うことで[[位相]]を表向きにすることができる。無論第1面であることは変わらない。
+
*[[予示]]などで裏向きの状態で[[戦場に出す]]場合には、「第1面、裏向き」という状態で戦場に出る。それは他のカードと同じく表向きの特性は隠され、両面カードだと公開する必要は無い。第1面がクリーチャーである両面カードを予示した場合には第1面のマナ・コストを支払うことで[[位相]]を表向きにすることができる。無論第1面であることは変わらない。
  
 
===その他のルール===
 
===その他のルール===
 
*両面カードを[[見る]]ことができる[[プレイヤー]]は、その両方の面を見ることができる。
 
*両面カードを[[見る]]ことができる[[プレイヤー]]は、その両方の面を見ることができる。
*両面カードが[[起動型能力]]または[[誘発型能力]]でそれ自身を変身させる場合、そのパーマネントはその能力がスタックに置かれている間に変身していない場合にのみ変身する。
+
*[[統率者戦]]での[[固有色]]を決定する際、第1面と第2面の両方を考慮する。
**例:[[神出鬼没な拷問者/Elusive Tormentor]][[起動型能力]]を何度も起動しスタックに乗せた場合、最初に[[解決]]した能力はそれを変身させるが、2つ目以降については何もしない。
+
**例:[[情け知らずのガラク/Garruk Relentless]]はその第1面は[[]]だが、第2面は[[黒緑]]の[[色指標]]を持っているため、その固有色は黒緑である。
*変身させた状態で戦場に出す効果により両面カードでないカードが戦場に出ようとする場合、それは代わりに元の領域に留まる。
+
*[[第2面]][[クリーチャー]]である[[変身する両面カード]]には、[[第1面]][[文章欄]]右下に第2面の[[P/T]]が灰色の文字で印刷されている({{Gatherer|id=337484|カード画像}})。これは[[注釈文]]であり、ルールに影響しない。
**例:[[忠実な聖戦士/Loyal Cathar]]のコピーである[[クローン/Clone]][[死亡]]した場合、それは戦場に戻ることはなく、墓地に留まる。
+
*[[モードを持つ両面カード]]の両方の面の左下隅には、もう一方の面に関する情報を含むヒントバーが描かれている({{Gatherer|id=493353|カード画像}})。これは注釈文であり、ルールに影響しない。
*[[統率者戦]]での[[固有色]]を決定する際、第2面も考慮する。
+
*[[テーブルトップ]]の[[ドラフト]]において、一部の[[ルール適用度]](REL)「プロ」のイベントを除く、両面カードは[[公開情報]]となる。通常のドラフトと同じように、[[ピック]]した両面カードは次のピックまでの間、ピックしたカードの束の一番上に置いておかなければならない。なお、ピックした両面カードは、好きな面を上にして置くことができる。
**例:[[情け知らずのガラク/Garruk Relentless]]はその第1面は[[]]だが、第2面は[[黒緑]]の色指標を持っているため、その固有色は黒緑である。
+
**両面カードを含むセットのREL「プロ」のドラフトにおいて、使用した[[ブースターパック]]の両面カードの出現率によりさらなるルールが追加される。
*[[ドラフト]]において、両面カードは[[公開情報]]となる。[[ピック]]した両面カードは次のピックまでの間、ピックしたカードの束の一番上に置いておかなければならない。
+
***[[イニストラードを覆う影ブロック]]ドラフトの場合、事前にジャッジによりパックが開封され、マーキング終了後[[スリーブ]]に収めた形でプレイヤーに配布され、全カードは[[非公開情報]]となった<ref>[http://www.gatheringmagic.com/alexullman-news-041916-update-to-pro-tour-shadows-over-innistrad-draft/ Update to Pro Tour Shadows over Innistrad Draft](GatheringMagic.com)</ref><ref>[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/news/double-faced-cards-procedure-professional-rel-drafts-2016-05-25 Double-Faced Cards Procedure for Professional REL Drafts](News [[2016年]]5月25日 [[WotC]]著)</ref>。
 +
***[[イクサラン・ブロック]]、[[基本セット2019]]のドラフトの場合、プレイヤーによりパックが開封され、各自が開封したパックに入っていた両面カードをすべてのプレイヤーに公開し、その後、通常ドラフトと同じように進行した。
 
**両面カードの発表当初は「公開してもよいし、適切な手段(束の一番下に置くなど)で隠してもよい」というルールであったが、[[プレイヤー]]の物理的な能力による有利不利が生じないよう、イニストラード発売を待たずしてルールが変更された。
 
**両面カードの発表当初は「公開してもよいし、適切な手段(束の一番下に置くなど)で隠してもよい」というルールであったが、[[プレイヤー]]の物理的な能力による有利不利が生じないよう、イニストラード発売を待たずしてルールが変更された。
**[[Magic Online]]におけるドラフトでは両面カードは特に公開されず、通常のカードと同じく[[非公開情報]]となる。
+
*[[コンピューターゲーム]]におけるドラフトでは、両面カードは非公開情報である。
*第2面がクリーチャーである場合、第1面の[[文章欄]]右下に第2面の[[P/T]]が灰色の文字で印刷されている({{Gatherer|id=337484|カード画像}})。これは[[注釈文]]であり、ルールに影響しない。
+
 
 +
==[[変身する両面カード]]に関するルール==
 +
両面カードのうち、[[第1面]]か[[第2面]]のどちらか、あるいは両方に、そのカードを「[[変身]]/transform」させる、あるいはそのカードを「変身した状態で~/transformed」という能力を持つものを、'''[[変身する両面カード]]'''と呼ぶ。
 +
 
 +
変身する両面カードを[[唱える]]場合、通常それは第1面で[[スタック]]に置かれる。[[戦場に出る]]場合、通常第1面で戦場に出る。
 +
 
 +
*[[降霊]]は変身した状態で唱えることを許可するため、呪文は第2面でスタックに置かれる。また[[能力]]や[[効果]]によって「変身させた状態で戦場に出す」とき、パーマネントは第2面で戦場に出る。
 +
*[[]]のときに[[日暮]]/[[夜明]]を持つパーマネント・カードが戦場に出る場合、夜明面(第2面)で戦場に出る。ただし唱える時点やスタック上では[[昼]]か夜かに関係なく常に第1面である。
 +
*変身した両面カードが[[墓地]]に置かれたら、それは[[第1面]]で墓地に置かれる。ただし[[誘発型能力]]によっては戦場にあった時の特性を参照する事もあるので注意([[領域変更誘発]])。
 +
 
 +
変身する両面カードの第2面は[[マナ・コスト]]を持たない([[マナ・コストの無いカード]])が、第2面の[[マナ総量]]を参照する場合のみ、第1面のマナ・コストに基づいた値を参照する。ただしオブジェクトが第2面の[[コピー]]となった場合は、(それが変身する両面カードだったとしても)そのマナ総量は0である。
 +
*例1:[[ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy|束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound]]のマナ総量は、第1面の[[ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy]]のものを参照するため、2である。
 +
*例2:[[賢いなりすまし/Clever Impersonator]]が束縛なきテレパス、ジェイスのコピーになった。そのマナ総量は0である。
 +
 
 +
変身する両面カードの[[コピー可能な値]]は現在有効になっている面の特性のみである。反対の面の特性は一切コピーされない。[[反転]]後の特性もコピーする[[反転カード]]との違いに注意。また上述の通り、第2面のコピーとなった場合はコピーになっているパーマネント自身が変身する両面カードだったとしても、そのマナ総量は0である。
 +
 
 +
変身する両面カードではないカードが変身する両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身させる効果は無視される({{CR|701.28c}})。変身する両面カードが変身する両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身させる効果は実際にそのカードを変身させるが、その特性はコピーされた特性のままである。[[モードを持つ両面カード]]は変身しないことに注意。
 +
*例1:[[クローン/Clone]]が戦場に出る際、コピー先として第2面である[[ガツタフの羊飼い/Gatstaf Shepherd|ガツタフの咆哮者/Gatstaf Howler]]を選んだ場合、クローンは第1面の[[ガツタフの羊飼い/Gatstaf Shepherd]]ではなく、現在表になっているガツタフの咆哮者のコピーとして戦場に出る。ガツタフの咆哮者であるクローンが[[アップキープ]]に変身することになっても、それは変身する両面カードではないので変身することはない。
 +
*例2:ガツタフの羊飼いが[[無謀な浮浪者/Reckless Waif]]のコピーになった場合、その後変身しガツタフの咆哮者の面が表になってもその特性はガツタフの咆哮者でも[[無謀な浮浪者/Reckless Waif|無慈悲な捕食者/Merciless Predator]]でもなく、コピーされた無謀な浮浪者の特性のままになる。
 +
 
 +
変身する両面カードの各面の能力は[[関連している能力]]になりうる。ただし双方の能力は元々そのカードが持っている能力でなくてはならない。
 +
*例:[[薄暮薔薇の墓所/Tomb of the Dusk Rose]]は「このパーマネントにより[[追放]]されたクリーチャー・カードを戦場に出す」能力を持っている。これは第1面の「クリーチャー1体を追放する」起動型能力と関連しており、この方法で追放されたカードを参照できる。
 +
 
 +
その他変身に関する詳細なルールは[[変身]]の項も参照のこと。
  
 
===旧ルール===
 
===旧ルール===
 
イニストラードを覆う影での両面カードの再登場に際し、いくつか重要なルールの変更が行われた。以下に変更前のルールを記す。
 
イニストラードを覆う影での両面カードの再登場に際し、いくつか重要なルールの変更が行われた。以下に変更前のルールを記す。
*両面カードの第2面は[[マナ・コスト]]を持たない([[マナ・コストの無いカード]])であるため、戦場にある第2面を向いた両面カードの[[点数で見たマナ・コスト]]は0であった。
+
*両面カードの第2面は[[マナ・コスト]]を持たない([[マナ・コストの無いカード]])であるため、戦場にある第2面を向いた両面カードの[[マナ総量]]は0であった。
 
*両面カードが[[起動型能力]]または[[誘発型能力]]でそれ自身を変身させる場合、そのパーマネントはその能力がスタックに置かれている間にすでに変身している場合でも再度変身できた。
 
*両面カードが[[起動型能力]]または[[誘発型能力]]でそれ自身を変身させる場合、そのパーマネントはその能力がスタックに置かれている間にすでに変身している場合でも再度変身できた。
 
**これにより起動型能力をコピーする事で[[礼儀正しい識者/Civilized Scholar]]を[[無限]]に変身させ続けるなどといった[[プレイング]]が可能であった。
 
**これにより起動型能力をコピーする事で[[礼儀正しい識者/Civilized Scholar]]を[[無限]]に変身させ続けるなどといった[[プレイング]]が可能であった。
*[[高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells]]が持つ「≪[[カード名]]≫に変身するたび」に誘発する能力は、変身する前と後で別々の名前でなければ能力が誘発しなかった。そのため両面カードがコピーしても能力を使用する事が出来なかった。
+
*[[高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells]]が持つ「《[[カード名]]》に変身するたび」に誘発する能力は、変身する前と後で別々の名前でなければ能力が誘発しなかった。そのため両面カードがコピーしても能力を使用する事ができなかった。
 +
 
 +
==[[モードを持つ両面カード]]に関するルール==
 +
両面カードのうち、そのカードを「[[変身]]」させる、またはそのカードを「変身した状態で~」という能力を持たないもの(=[[変身する両面カード]]でないもの)を、'''[[モードを持つ両面カード]]'''と呼ぶ。
 +
 
 +
モードを持つ両面カードは両面ともに土地またはマナ・コストを持つ[[呪文]]である。(通常は手札から)[[プレイ]]する際には、[[唱え]]始める時にどちらかを選んでプレイする。
 +
 
 +
モードを持つ両面カードをプレイすることが適正であるかどうかを判定するには、あなたがプレイしようとしている面の特性のみを考慮し、他の面の特性は無視する。
 +
*「あなたのライブラリーの一番上からクリーチャー呪文を唱えてもよい。」を持つ[[ガラクの大軍/Garruk's Horde]]があるとき、ライブラリーの一番上が[[星界の神、アールンド/Alrund, God of the Cosmos]]であった場合、第1面も第2面もクリーチャーであるためあなたはそれをどちらの面でも唱えることができる。だが一番上が[[戦闘の神、ハルヴァール/Halvar, God of Battle]]であった場合、クリーチャーであるハルヴァールとして唱えることはできるが、アーティファクトである[[領界の剣/Sword of the Realms]]として唱えることはできない。
 +
*[[白日の下に/Bring to Light]]など一部の効果はある条件のカードを見つけた後、それを単に唱えさせる。その場合第2面の特性が前段の条件と合致していなくても唱えられる。かつては[[続唱]]も同様の効果だったが、ルール変更により不可能になった。
 +
 
 +
何らかの効果がプレイヤーにモードを持つ両面カードをプレイさせるなら、どちらの面をプレイすることを選んだかに応じて、それを呪文として唱えても土地としてプレイしてもよい。効果がモードを持つ両面カードを(「プレイする」のではなく)唱えさせるなら、それを土地として唱えることはできない。
 +
 
 +
*第1面/第2面を選択できるのはプレイする際だけで、それ以外では両面カード共通のルールである「普段の特性は第1面」「単に戦場に出る際は第1面」に従うことに注意。
 +
**例1:[[自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath]]などの「土地カードを戦場に出す」とする効果では、第1面がクリーチャー、第2面が土地である[[スカイクレイブの僧侶/Skyclave Cleric]]/[[スカイクレイブの列柱廟/Skyclave Basilica]]は戦場に出すことはできない。また両方の面が土地である[[枝重なる小道/Branchloft Pathway]]/[[石重なる小道/Boulderloft Pathway]]も、第1面で戦場に出すことしかできず、第2面で出すことはできない。
 +
**例2:[[戦場]]に出ている第2面の[[石重なる小道/Boulderloft Pathway]]を[[一時的に追放するカード]]で[[追放]]した場合、第1面の[[枝重なる小道/Branchloft Pathway]]として戦場に戻る。戦場に出ている第2面の[[セジーリの氷河/Sejiri Glacier]]を同様に追放した場合、第1面は[[パーマネント]]でない[[セジーリの防護/Sejiri Shelter]]であるため、戦場に戻ることができず追放されたままになる({{CR|304.4}}、{{CR|307.4}})。
 +
 
 +
モードを持つ両面カードのマナ総量は、考慮している面の特性に基づいて決まる。スタックと戦場では、表向きの面を考慮する。他のすべての領域では、第1面のみを考慮する。変身する両面カードとは第2面のマナ総量の決定方法が異なるので要注意。
 +
 
 +
変身させたり変身させた状態で戦場に出したりできるのは、[[変身する両面カード]]のみである。モードを持つ両面カードを変身させたり変身させた状態で戦場に出したりするという指示は無視する。
  
 
==その他==
 
==その他==
*[[デュエル・マスターズ]]からの逆輸入システムである。もっとも、あちらは[[デッキ]]の外部の領域に用意して特別な[[カード]]で場に出すカードであるのに対し、こちらは[[メインデッキ]]に入れて使うカードであるため、かなり事情が違う。またこちらは様々なカードタイプを持つが、あちらは当初は両面ともクリーチャーかそれに類するものであった。後には特殊なものも登場した。
+
*[[デュエル・マスターズ]]からの逆輸入システムである。もっとも、あちらは[[デッキ]]の外部の領域に用意して特別な[[カード]]で場に出すカードであるのに対し、こちらは[[メインデッキ]]に入れて使うカードであるため、かなり事情が違う。
 
*開発中には[[反転カード]]のシステムを使用することも検討されていたが、最終的に両面カードを用いることとなった。そのためこの2つのシステムには似ている部分が多い。
 
*開発中には[[反転カード]]のシステムを使用することも検討されていたが、最終的に両面カードを用いることとなった。そのためこの2つのシステムには似ている部分が多い。
 
**反転カードが没となった理由については、[[Mark Rosewater]]はコラム([[#参考]]参照)で、「市場調査で反転カードの評価が低く、[[R&D]]は失敗作とみなしている。そのため失敗を繰り返すよりも新規開拓を選択した」と回答している。
 
**反転カードが没となった理由については、[[Mark Rosewater]]はコラム([[#参考]]参照)で、「市場調査で反転カードの評価が低く、[[R&D]]は失敗作とみなしている。そのため失敗を繰り返すよりも新規開拓を選択した」と回答している。
*[[狼男]]はすべて同じ変身条件を持つ。文章量削減のために変身条件を[[キーワード能力|キーワード化]]することも検討されたが、既に「変身」がキーワード処理であるため、キーワード内にキーワードを含んでしまうとルール上の問題になりやすいため避けられた。
+
*非常に評価の高いメカニズムであることを何度も公式に言及されている。両面カードの[[ストーム値]]は2とされ(変身は3)、マジック史上最も愛されたメカニズムの最高位とまで言われている<ref>[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/storm-scale-innistrad-and-shadows-over-innistrad-2017-03-27 Storm Scale: Innistrad and Shadows over Innistrad]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/mm/0018619/# ストーム値:『イニストラード』『イニストラードを覆う影』](Making Magic [[2017年]]3月27日 [[Mark Rosewater]]著)
*イラストが両面にある[[トークン・カード]]もある。詳細は[[トークン・カード]]の項を参照。
+
</ref>。一方、それほどの高評価でありながら毎セットに入れない理由についても幾つか挙げられている<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/odds-ends-amonkhet-part-1-2017-05-22 Odds & Ends: Amonkhet, Part 1]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0018873/ こぼれ話:『アモンケット』 その1](Making Magic 2017年5月22日 Mark Rosewater著)</ref><ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/odds-ends-ixalan-part-2-2017-10-16 Odds & Ends: Ixalan, Part 2]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0019796/ こぼれ話:『イクサラン』 その2](Making Magic 2017年10月16日 Mark Rosewater著)</ref>。
 +
*[[異界月]]以前の[[狼男]]はすべて同じ変身条件を持つ。文章量削減のために変身条件を[[キーワード能力|キーワード化]]することも検討されたが、既に「変身」がキーワード処理であるため、キーワード内にキーワードを含んでしまうとルール上の問題になりやすいため避けられた。
 +
**結局これは[[イニストラード:真夜中の狩り]]で[[日暮]]/[[夜明]]メカニズムとして(変身条件を一部調整して)実装された。
 +
*[[絵|イラスト]]が両面にある[[トークン・カード]]もある。詳細は[[トークン・カード]]の項を参照。
 
*当然ながら、[[エラーカード]]ではない。
 
*当然ながら、[[エラーカード]]ではない。
*登場当初のルールでは裏向きになる事はできなかったが、[[予示]]の登場により[[2015年]]1月23日の総合ルール更新で裏向きの位相になれるようになった。
+
*登場当初のルールでは裏向きになる事はできなかったが、[[予示]]の登場に伴い[[2015年]]1月23日の[[総合ルール]]更新で特定の条件下でのみ裏向きの位相になれるようになった。
 
*[[イニストラード・ブロック]]では{{Gatherer|id=274531|両面カードの第1面は「太陽」、第2面は「月」で表していた}}ため、[[闇の隆盛]]発売時に第1面には「昼の面」、第2面には「夜の面」という訳語があてられていた。[[マジック・オリジン]]の両面カードは{{Gatherer|id=400104|プレインズウォーカー・シンボルが用いられている}}ため、現在の訳語に変更された。  
 
*[[イニストラード・ブロック]]では{{Gatherer|id=274531|両面カードの第1面は「太陽」、第2面は「月」で表していた}}ため、[[闇の隆盛]]発売時に第1面には「昼の面」、第2面には「夜の面」という訳語があてられていた。[[マジック・オリジン]]の両面カードは{{Gatherer|id=400104|プレインズウォーカー・シンボルが用いられている}}ため、現在の訳語に変更された。  
*[[マジック・オリジン]]の[[伝説のクリーチャー]]/[[プレインズウォーカー (カード・タイプ)|プレインズウォーカー]]・カードは、[[月霧/Moonmist]]などで変身させる場合、[[忠誠カウンター]]は置かれない。そのため、変身後には[[忠誠度]]0であるため[[状況起因処理]]で[[墓地に置く|墓地に置かれる]]。
+
*[[マジック・オリジン]]や[[基本セット2019]]の[[伝説のクリーチャー]]/[[プレインズウォーカー (カード・タイプ)|プレインズウォーカー]]・カードは、[[月霧/Moonmist]]などで変身させる場合、[[忠誠カウンター]]は置かれない。そのため、変身後には[[忠誠度]]が0であるため[[状況起因処理]]で[[墓地に置く|墓地に置かれる]]。
  
==参考==
+
==関連項目==
*[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/every-two-sides-has-story-2011-08-29 Every Two Sides Has a Story]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/001987/ 両面それぞれの物語](WotC)
+
*[[変身する両面カード]]
*[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/werewolves-gone-wild-2011-09-16 Werewolves Gone Wild]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/002180/ 狼男、猛る](WotC)
+
*[[モードを持つ両面カード]]
*[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/unanswered-questions-innistrad-2011-10-10 Unanswered Questions: Innistrad]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/002247/ 未回答問題:イニストラード](WotC)
+
*[[第1面]]
 +
*[[第2面]]
 +
*[[変身]]
 +
*[[差し替えカード]]
 +
*[[反転カード]]
 +
*[[合体カード]]
 
*[[ルーリング]]
 
*[[ルーリング]]
  
{{#cr:711}}
+
==脚注==
 +
<references/>
 +
 
 +
==参考==
 +
*[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/every-two-sides-has-story-2011-08-29 Every Two Sides Has a Story]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/0003989/ 両面それぞれの物語](Feature [[2011年]]8月29日 Mark Rosewater著)
 +
*[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/werewolves-gone-wild-2011-09-16 Werewolves Gone Wild]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/0003997/ 狼男、猛る](Latest Developments 2011年9月16日 [[Tom LaPille]]著)
 +
*[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/unanswered-questions-innistrad-2011-10-10 Unanswered Questions: Innistrad]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/0004003/ 未回答問題:イニストラード](Feature 2011年10月10日 Mark Rosewater著)
 +
*[https://mtg-jp.com/gameplay/rules/docs/0016678/ 『イニストラード』両面カード よくある質問集]
 +
*[https://wpn.wizards.com/sites/wpn/files/attachements/dfc_faq_jp_2017-09-25.pdf 両面カード よくある質問集 2017 年 9 月 25 日更新]([[WPN]]、PDF文書)
 +
*[https://magic.wizards.com/ja/node/1509097 Zendikar Rising Release Notes](
 +
*[[From the Vault:Transform]]
 +
{{#cr:712}}

2021年11月14日 (日) 12:36時点における版

両面カード/Double-Faced Cardとは、表裏両面に表面を持つカード群の総称。


Villagers of Estwald / エストワルドの村人 (2)(緑)
クリーチャー — 人間(Human) 狼男(Werewolf)

各アップキープの開始時に、直前のターンに呪文が唱えられていなかった場合、エストワルドの村人を変身させる。

2/3
Howlpack of Estwald / エストワルドの吠え群れ
〔緑〕 クリーチャー — 狼男(Werewolf)

各アップキープの開始時に、直前のターンにプレイヤー1人が2つ以上の呪文を唱えていた場合、エストワルドの吠え群れを変身させる。

4/6


Akoum Warrior / アクームの戦士 (5)(赤)
クリーチャー — ミノタウルス(Minotaur) 戦士(Warrior)

トランプル

4/5
Akoum Teeth / アクームの歯
土地

アクームの歯はタップ状態で戦場に出る。
(T):(赤)を加える。


目次

解説

1枚のカードの表と裏、両方にマジックのカードの表面があるカードであり、定型のマジックのカードで初の裏が「デッキマスター」デザインになっていないカードである。イニストラード・ブロックで初登場して以降、いくつものカード・セットで登場しているメカニズムである。

「裏面では区別できない」というトレーディングカードゲームの基本原理に反する仕様である。当然、裸のままで通常のカードと混ぜて使うと不都合が生じるため、スリーブ差し替えカードの使用が必須となる。フレイバーとしては単純明快で美しいが、ゲームにおける扱いはかなり特殊。

両面カードには大きく分けて2つの種類があり、それぞれ変身する両面カード(TDFC)モードを持つ両面カード(MDFC)と呼ばれる。

  • さらなる変種として合体カードというカード群も存在するが、合体カードは両面カードではない。詳細は同項目を参照。

共通ルール

両面カードの2つの面は対等ではなく、第1面第2面として明確に区別されている。カードの両面の左上にはそのカードの第1面/第2面を表すシンボルが描かれている。このシンボルは、変身する両面カードにおいてはカード・セットやカードごとに異なる。モードを持つ両面カードにおいてはカード・セットによらず共通である。詳細は第1面、および第2面の項を参照。

デッキに入れるに際して

両面カードがライブラリー手札といった非公開領域にあるとき、同じ領域にある他のカードと区別が付かないようにしなければならない。それゆえ両面カードをデッキに入れる場合、完全に不透明なスリーブを用いるか、差し替えカードを使わなければならない。

  • 差し替えカードに関する基本的なルールは差し替えカード#ルールを参照。
    • 特定の両面カードを差し替えカードで表す場合、その特定のカードについてデッキ内のすべての両面カードを差し替えカードで表さなければならない[1]
    • デッキに4枚の差し替えカードを入れて1枚しか所持していない両面カードを使いまわすような水増しはできない。差し替えカード1枚が両面カード1枚の代用品である。
    • チェックリストカードのチェックや差し替えカードのカード名ははっきりと誰にでもわかる形で書かなければならない。
  • トーナメントでは、スリーブが透けていて区別がつく状態になっていると、故意の違反として失格処分となる可能性があるので注意[2]

特性

両面カードの各面はそれぞれに独立した一連の特性を持つ。呪文能力効果、あるいはルールが両面パーマネントの情報を必要とする場合、それは現在有効になっている面が与える情報のみを見る。

戦場スタックを除く各領域ゲーム外において、両面カードは原則として第1面の特性を持つ。統率者戦における固有色についてのみ例外で、双方の面を考慮して決定する(CR:903.4d)。

第1面と第2面のカードはそれぞれ別のカード名を持つため、カード名を参照する効果はそれぞれ片一方のみに発揮される。

両面カードのコピー

両面カードのコピー可能な値は現在有効になっている面の特性のみである。反対の面の特性は一切コピーされない。反転後の特性もコピーする反転カードとの違いに注意。

裏向きの両面カード

第1面か第2面かということと、表向き裏向きかということは別のものである。両面カードは裏向きになる事は有り得る。ただし、既に表向きになっている両面パーマネントは裏向きにする事はできない。効果やルールがそうするよう指示した場合、それを無視する。また裏向きである間は両面カードは変身する事は無い。

  • イクシドロン/IxidronETB能力は、両面のクリーチャーには何も行わず、通常のクリーチャーのみを裏向きにする。
  • 予示などで裏向きの状態で戦場に出す場合には、「第1面、裏向き」という状態で戦場に出る。それは他のカードと同じく表向きの特性は隠され、両面カードだと公開する必要は無い。第1面がクリーチャーである両面カードを予示した場合には第1面のマナ・コストを支払うことで位相を表向きにすることができる。無論第1面であることは変わらない。

その他のルール

変身する両面カードに関するルール

両面カードのうち、第1面第2面のどちらか、あるいは両方に、そのカードを「変身/transform」させる、あるいはそのカードを「変身した状態で~/transformed」という能力を持つものを、変身する両面カードと呼ぶ。

変身する両面カードを唱える場合、通常それは第1面でスタックに置かれる。戦場に出る場合、通常第1面で戦場に出る。

  • 降霊は変身した状態で唱えることを許可するため、呪文は第2面でスタックに置かれる。また能力効果によって「変身させた状態で戦場に出す」とき、パーマネントは第2面で戦場に出る。
  • のときに日暮/夜明を持つパーマネント・カードが戦場に出る場合、夜明面(第2面)で戦場に出る。ただし唱える時点やスタック上ではか夜かに関係なく常に第1面である。
  • 変身した両面カードが墓地に置かれたら、それは第1面で墓地に置かれる。ただし誘発型能力によっては戦場にあった時の特性を参照する事もあるので注意(領域変更誘発)。

変身する両面カードの第2面はマナ・コストを持たない(マナ・コストの無いカード)が、第2面のマナ総量を参照する場合のみ、第1面のマナ・コストに基づいた値を参照する。ただしオブジェクトが第2面のコピーとなった場合は、(それが変身する両面カードだったとしても)そのマナ総量は0である。

変身する両面カードのコピー可能な値は現在有効になっている面の特性のみである。反対の面の特性は一切コピーされない。反転後の特性もコピーする反転カードとの違いに注意。また上述の通り、第2面のコピーとなった場合はコピーになっているパーマネント自身が変身する両面カードだったとしても、そのマナ総量は0である。

変身する両面カードではないカードが変身する両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身させる効果は無視される(CR:701.28c)。変身する両面カードが変身する両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身させる効果は実際にそのカードを変身させるが、その特性はコピーされた特性のままである。モードを持つ両面カードは変身しないことに注意。

変身する両面カードの各面の能力は関連している能力になりうる。ただし双方の能力は元々そのカードが持っている能力でなくてはならない。

  • 例:薄暮薔薇の墓所/Tomb of the Dusk Roseは「このパーマネントにより追放されたクリーチャー・カードを戦場に出す」能力を持っている。これは第1面の「クリーチャー1体を追放する」起動型能力と関連しており、この方法で追放されたカードを参照できる。

その他変身に関する詳細なルールは変身の項も参照のこと。

旧ルール

イニストラードを覆う影での両面カードの再登場に際し、いくつか重要なルールの変更が行われた。以下に変更前のルールを記す。

モードを持つ両面カードに関するルール

両面カードのうち、そのカードを「変身」させる、またはそのカードを「変身した状態で~」という能力を持たないもの(=変身する両面カードでないもの)を、モードを持つ両面カードと呼ぶ。

モードを持つ両面カードは両面ともに土地またはマナ・コストを持つ呪文である。(通常は手札から)プレイする際には、唱え始める時にどちらかを選んでプレイする。

モードを持つ両面カードをプレイすることが適正であるかどうかを判定するには、あなたがプレイしようとしている面の特性のみを考慮し、他の面の特性は無視する。

何らかの効果がプレイヤーにモードを持つ両面カードをプレイさせるなら、どちらの面をプレイすることを選んだかに応じて、それを呪文として唱えても土地としてプレイしてもよい。効果がモードを持つ両面カードを(「プレイする」のではなく)唱えさせるなら、それを土地として唱えることはできない。

モードを持つ両面カードのマナ総量は、考慮している面の特性に基づいて決まる。スタックと戦場では、表向きの面を考慮する。他のすべての領域では、第1面のみを考慮する。変身する両面カードとは第2面のマナ総量の決定方法が異なるので要注意。

変身させたり変身させた状態で戦場に出したりできるのは、変身する両面カードのみである。モードを持つ両面カードを変身させたり変身させた状態で戦場に出したりするという指示は無視する。

その他

関連項目

脚注

  1. マジックイベント規定
  2. Feature: ジャッジ、世界の舞台で(Event Coverage)
  3. Update to Pro Tour Shadows over Innistrad Draft(GatheringMagic.com)
  4. Double-Faced Cards Procedure for Professional REL Drafts(News 2016年5月25日 WotC著)
  5. Storm Scale: Innistrad and Shadows over Innistrad/ストーム値:『イニストラード』『イニストラードを覆う影』(Making Magic 2017年3月27日 Mark Rosewater著)
  6. Odds & Ends: Amonkhet, Part 1/こぼれ話:『アモンケット』 その1(Making Magic 2017年5月22日 Mark Rosewater著)
  7. Odds & Ends: Ixalan, Part 2/こぼれ話:『イクサラン』 その2(Making Magic 2017年10月16日 Mark Rosewater著)

参考

引用:総合ルール 20231117.0

QR Code.gif