パウパー

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'''Pauper'''は、[[Magic Online]]認定[[フォーマット]]の1つ。Magic Onlineで[[コモン]]として収録されたことがある[[カード]]のみを使用できる[[コモンデッキ]][[構築]]
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'''パウパー'''/''Pauper''は、公式[[フォーマット]]の1つ。元々は[[Magic Online]]上で[[コモン]]として収録されたことがある[[カード]]のみを使用できる[[コモンデッキ]][[構築]]で[[非公式フォーマット]]あったが、[[2019年]]6月28日より公式化される形で[[紙]]のカードでもプレイできるようにルール制定が行われた。
  
Pauperとは、貧困者・[[持たざる者の檻/Paupers' Cage|持たざる者]]という意味。コモンデッキ(またの名を[[貧乏デッキ]])構築であることに由来する。発音は「ポーパー」に近いが、公式記事では「パウパー」と表記された。
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Pauperとは、貧困者・[[持たざる者の檻/Paupers' Cage|持たざる者]]という意味。コモンデッキ(またの名を[[貧乏デッキ]])構築であることに由来する。発音は「パウパー」よりも「ポーパー」に近い。
  
 
==ルール==
 
==ルール==
Magic Onlineでリリースされた[[セット|カードセット]]において、コモンとして収録されたことがあるすべてのカードを使用できる。
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テーブルトップ([[]]のカード)とデジタル([[Magic Online]])のいずれかのセットでコモンとして収録されたことがあるすべてのカードを使用できる。
*ただし[[禁止カード]]も存在する([[#禁止カード]]参照)。
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*ただし[[禁止カード]]も存在する([[#禁止カード|禁止カード]]参照)。
  
 
コモンでの収録経験があるカードならば、実際のレアリティは問わない。
 
コモンでの収録経験があるカードならば、実際のレアリティは問わない。
*例:[[対抗呪文/Counterspell]]は[[第7版]]等でコモンとして収録されているため、Pauperで使用できる。[[Masters Edition]]版の対抗呪文は[[アンコモン]]であるが、それを使用してもよい。
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*例:[[対抗呪文/Counterspell]]は[[第7版]]等でコモンとして収録されているため、パウパーで使用できる。[[Masters Edition]]版の対抗呪文は[[アンコモン]]であるが、それを使用してもよい。
  
[[カードセット一覧#特殊セット|特殊セット]]や[[構築済みデッキ]]においてコモンで収録されたカードも使用できる。
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[[Mystery Booster]]の[[Mystery Booster#R&D Playtest cards|R&D Playtest cards]]を除く、各[[カードセット一覧#特殊セット|特殊セット]]や[[構築済みデッキ]]においてコモンで収録されたカードも使用できる。
 
*例:[[木立を歩むもの/Walker of the Grove]]は通常セットでコモンとして収録されたことはないが、[[Modern Masters]]でコモンであるため、使用できる。
 
*例:[[木立を歩むもの/Walker of the Grove]]は通常セットでコモンとして収録されたことはないが、[[Modern Masters]]でコモンであるため、使用できる。
 
*例:[[ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman]]は[[ブースターパック]]のあるセットにおいては[[Masters Edition 2]]と(Magic Onlineではリリースされていないが)[[アライアンス]]のみの収録で、これらのセットではいずれもアンコモンであるが、[[コールドスナップ]]の[[テーマデッキ]]である[[オーロクス暴走/Aurochs Stampede]]においてコモンとして収録されているため、使用できる。当然、オーロクス暴走版だけでなく、Masters Edition 2版を使用してもよい。
 
*例:[[ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman]]は[[ブースターパック]]のあるセットにおいては[[Masters Edition 2]]と(Magic Onlineではリリースされていないが)[[アライアンス]]のみの収録で、これらのセットではいずれもアンコモンであるが、[[コールドスナップ]]の[[テーマデッキ]]である[[オーロクス暴走/Aurochs Stampede]]においてコモンとして収録されているため、使用できる。当然、オーロクス暴走版だけでなく、Masters Edition 2版を使用してもよい。
  
考慮するのは、Magic Onlineにおける収録状況であるため、実際の紙のカードとは若干異なっていることがある。特に[[第6版]]までの[[基本セット]]と[[アライアンス]]までのセットはMagic Onlineではリリースされておらず、Masters Editionに統合された形で収録されているため、大幅な変更が加えられている。
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Magic Onlineにおける収録状況は実際の紙のカードとは若干異なっていることがある。特に[[第6版]]までの[[基本セット]]と[[アライアンス]]までのセットはMagic Onlineではリリースされておらず、Masters Editionに統合された形で収録されているため、大幅な変更が加えられている。
*例:[[トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach]]は[[フォールン・エンパイア]]でコモンであるが、フォールン・エンパイアはMagic Onlineでリリースされていない。Magic Online上では、Masters Edition版をはじめいずれもアンコモンであるため、使用できない。
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*例:[[長槍兵/Pikemen]]は、[[ザ・ダーク]]および[[第4版]]・[[第5版]]でコモンであるが、それらはMagic Onlineでリリースされていない。Magic Online上では一度も収録されていないため、(Pauperに限らずMagic Onlineにおけるあらゆる[[フォーマット]]で)使用できない。
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*例:[[尊大なワーム/Arrogant Wurm]]は通常セットでコモンとして収録されたことはないが、[[Vintage Masters]]でコモンであるため、使用できる。
 
*例:[[尊大なワーム/Arrogant Wurm]]は通常セットでコモンとして収録されたことはないが、[[Vintage Masters]]でコモンであるため、使用できる。
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*例:[[長槍兵/Pikemen]]は、[[ザ・ダーク]]および[[第4版]]・[[第5版]]でコモンであるが、それらはMagic Onlineでリリースされていない。紙でプレイする場合は使用可能であるが、Magic Online上では一度も収録されていないため(パウパーに限らずMagic Onlineにおけるあらゆる[[フォーマット]]で)使用できない。
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その他は通常の[[構築]]ルールに順ずる。
 
その他は通常の[[構築]]ルールに順ずる。
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==禁止カード==
 
==禁止カード==
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*[[アーカムの天測儀/Arcum's Astrolabe]]
 
*[[フェアリーの大群/Cloud of Faeries]]
 
*[[フェアリーの大群/Cloud of Faeries]]
 
*[[雲上の座/Cloudpost]]
 
*[[雲上の座/Cloudpost]]
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*[[目くらまし/Daze]]
 
*[[目くらまし/Daze]]
 
*[[巣穴からの総出/Empty the Warrens]]
 
*[[巣穴からの総出/Empty the Warrens]]
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*[[探検の地図/Expedition Map]]
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*[[失墜/Fall from Favor]]
 
*[[大あわての捜索/Frantic Search]]
 
*[[大あわての捜索/Frantic Search]]
 
*[[ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe]]
 
*[[ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe]]
 
*[[ぶどう弾/Grapeshot]]
 
*[[ぶどう弾/Grapeshot]]
 
*[[噴出/Gush]]
 
*[[噴出/Gush]]
 +
*[[High Tide]]
 +
*[[トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach]]
 
*[[激励/Invigorate]]
 
*[[激励/Invigorate]]
 +
*[[神秘の聖域/Mystic Sanctuary]]
 
*[[流浪のドレイク/Peregrine Drake]]
 
*[[流浪のドレイク/Peregrine Drake]]
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*[[陥没孔/Sinkhole]]
 
*[[時間の亀裂/Temporal Fissure]]
 
*[[時間の亀裂/Temporal Fissure]]
 
*[[宝船の巡航/Treasure Cruise]]
 
*[[宝船の巡航/Treasure Cruise]]
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*人種または文化に対し攻撃的なカード
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**[[プラデッシュの漂泊民/Pradesh Gypsies]]
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**[[Stone-Throwing Devils]]
  
[[禁止カード]]リストの変遷については、[[Magic Onlineフォーマットの変遷]]を参照。
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[[禁止カード]]リストの変遷については、[[パウパーの変遷]]を参照。
  
 
==傾向==
 
==傾向==
 
全体としてのカードバランスは、他の[[構築]][[環境]]に比べ極端に劣るわけではない。むしろ過去から現在までの数多の強力なコモンが使用できるため、本格的な[[パーミッション]]から、数[[ターン]]の決着を目指す[[ビートダウン (デッキ)|ビートダウン]]や[[コンボデッキ]]など、多彩な[[デッキ]]が構築可能であり、時には[[エターナル]]環境でも勝負に持ち込めるほどの完成度とデッキパワーに仕上げることも可能。
 
全体としてのカードバランスは、他の[[構築]][[環境]]に比べ極端に劣るわけではない。むしろ過去から現在までの数多の強力なコモンが使用できるため、本格的な[[パーミッション]]から、数[[ターン]]の決着を目指す[[ビートダウン (デッキ)|ビートダウン]]や[[コンボデッキ]]など、多彩な[[デッキ]]が構築可能であり、時には[[エターナル]]環境でも勝負に持ち込めるほどの完成度とデッキパワーに仕上げることも可能。
  
しかし一方で[[大型クリーチャー]]、[[多色地形]]、[[全体除去]]など、コモンには基本的に収録されないカードも多く、それらは環境全体で不足している。それにより各[[アーキタイプ]]に少なからず影響が与えられる。例えば[[コントロール (デッキ)|コントロール・デッキ]]では、全体除去で防御しつつ[[アドバンテージ]]を稼いで[[フィニッシャー]]に繋ぐヘビー・コントロール戦術は(不可能ではないが)取りづらいため、[[引く|ドロー]]と[[小型クリーチャー]]に重点を置いた[[クロック・パーミッション]]の形が主流になる。
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しかし一方で[[大型クリーチャー]]、[[多色土地]]、[[全体除去]]など、コモンには基本的に収録されないカードも多く、それらは環境全体で不足している。それにより各[[アーキタイプ]]に少なからず影響が与えられる。例えば[[コントロール (デッキ)|コントロール・デッキ]]では、全体除去で防御しつつ[[アドバンテージ]]を稼いで[[フィニッシャー]]に繋ぐヘビー・コントロール戦術は(不可能ではないが)取りづらいため、[[引く|ドロー]]と[[小型クリーチャー]]に重点を置いた[[クロック・パーミッション]]の形が主流になる。
  
 
特に目立って差があるのは[[土地]]だろう。2色以上の[[色マナ]]を供給できる、使用に値するカードは[[タップイン]]であるか、もしくは[[マナフィルター]]による供給しかできないものであるため、1ターン目から土地だけで2色以上の色マナを供給することは事実上不可能である。この点は特に速攻系のデッキを組む際にネックとなっている。
 
特に目立って差があるのは[[土地]]だろう。2色以上の[[色マナ]]を供給できる、使用に値するカードは[[タップイン]]であるか、もしくは[[マナフィルター]]による供給しかできないものであるため、1ターン目から土地だけで2色以上の色マナを供給することは事実上不可能である。この点は特に速攻系のデッキを組む際にネックとなっている。
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そういった特殊な環境であることから、[[ギルドパクトの守護者/Guardian of the Guildpact]]や[[ウラモグの破壊者/Ulamog's Crusher]]など、[[ブロック構築]]でも日の目を見なかったような意外なカードの活躍が日常茶飯事となる。
 
そういった特殊な環境であることから、[[ギルドパクトの守護者/Guardian of the Guildpact]]や[[ウラモグの破壊者/Ulamog's Crusher]]など、[[ブロック構築]]でも日の目を見なかったような意外なカードの活躍が日常茶飯事となる。
  
*[[感染 (デッキ)#Pauper|感染デッキ]]や[[ソウルイーター]]や[[The Spy#Pauper|The Spy]]など、極低確率ながら[[1ターンキル]]も可能である。
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*[[感染 (デッキ)#パウパー|感染デッキ]]や[[ソウルイーター]]や[[The Spy#パウパー|The Spy]]など、極低確率ながら[[1ターンキル]]も可能である。
  
 
==解説==
 
==解説==
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;[[ビートダウン (デッキ)|ビートダウン]]
 
;[[ビートダウン (デッキ)|ビートダウン]]
:コモンにもビートダウン向けの優秀な[[クリーチャー]]が存在するため、単色であれば[[アグロ]]デッキは問題無く組むことができる。土地の関係から、[[ステロイド]]のような2色以上のビートダウンデッキは簡単には組めないが、中には[[親和 (デッキ)#Pauper|親和]]や[[アグロドメイン#Pauper|アグロドメイン]]、[[緑白呪禁#Pauper|緑白呪禁]]などといった2色以上のビートダウンデッキも存在する。
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:コモンにもビートダウン向けの優秀な[[クリーチャー]]が存在するため、単色であれば[[アグロ]]デッキは問題無く組むことができる。土地の関係から、[[ステロイド]]のような2色以上のビートダウンデッキは簡単には組めないが、中には[[親和 (デッキ)#パウパー|親和]]や[[アグロドメイン#パウパー|アグロドメイン]]、[[緑白呪禁#パウパー|緑白呪禁]]などといった2色以上のビートダウンデッキも存在する。
  
 
;[[コントロール (デッキ)|コントロール]]
 
;[[コントロール (デッキ)|コントロール]]
:[[対抗呪文/Counterspell]]を初めとする基本的かつ優秀な[[打ち消す|打ち消し]]呪文はコモンに多く、[[バウンス]]も比較的充実していることから、[[パーミッション]]も多い。なお、リセット型のクリーチャー[[全体除去]]は少ないが、[[単体除去]]は[[火力]]も含めて非常に充実しており、[[ETB]][[能力]]に強力なものを持つクリーチャーも多いことから、[[黒コントロール#Pauper|黒コントロール]]のような[[ボードコントロール]]を中心としたデッキを組むことも可能。
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:[[対抗呪文/Counterspell]]を初めとする基本的かつ優秀な[[打ち消す|打ち消し]]呪文はコモンに多く、[[バウンス]]も比較的充実していることから、[[パーミッション]]も多い。なお、リセット型のクリーチャー[[全体除去]]は少ないが、[[単体除去]]は[[火力]]も含めて非常に充実しており、[[ETB]][[能力]]に強力なものを持つクリーチャーも多いことから、[[黒コントロール#パウパー|黒コントロール]]のような[[ボードコントロール]]を中心としたデッキを組むことも可能。またパウパーでの[[ウルザトロン#パウパー|ウルザトロン]]は[[青緑]]を中心としたコントロールデッキの形を取ることが多く、大量の[[マナ]]と[[マナフィルター]]を使って[[カード・アドバンテージ]]を得るものが多い。
  
 
;[[コンボデッキ]]
 
;[[コンボデッキ]]
:コモンを[[キーカード]]とするコンボデッキは少ないがいくつか存在しており、[[無限コンボ]]を構成することも可能。ただし、あまりに強力なものについてはキーカードが禁止されてしまっている。禁止により消滅したデッキとしては、[[ストーム (デッキ)|ストームデッキ]]や、[[無限マナ]]コンボの[[Familiar Combo]]、その後継の[[ドレイク・フリッカー]]など。
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:コモンを[[キーカード]]とするコンボデッキは少ないがいくつか存在しており、[[無限コンボ]]を構成することも可能。ただし、あまりに強力なものについてはキーカードが禁止されてしまっている。禁止により消滅したデッキとしては、[[ストーム (デッキ)|ストームデッキ]]や、[[無限マナ]]コンボの[[Familiar Combo]]、その後継の[[ドレイク・フリッカー]]など。[[不屈の部族シュート]]や[[ウィー=ゼロックス#パウパー|ウィー=ゼロックス]]は禁止により弱体化した後も一部結果を残している。
  
 
;[[バーン]]
 
;[[バーン]]
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;[[部族 (俗称)|部族デッキ]]
 
;[[部族 (俗称)|部族デッキ]]
:[[ゴブリン (デッキ)#Pauper|ゴブリン]]や[[エルフ (デッキ)#Pauper|エルフ]]、[[スリヴァー (デッキ)|スリヴァー]]といった、コモンに優秀なカードを多く含む部族はいくつかあり、それらで固めたデッキが一定の活躍を見せている。
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:[[ゴブリン (デッキ)#パウパー|ゴブリン]]や[[エルフ (デッキ)#パウパー|エルフ]]、[[スリヴァー (デッキ)|スリヴァー]]といった、コモンに優秀なカードを多く含む部族はいくつかあり、それらで固めたデッキが一定の活躍を見せている。
  
 
==主なデッキ・その他==
 
==主なデッキ・その他==
*[[Pauperの変遷]]および[[:Category:Pauperデッキ|カテゴリ:Pauperデッキ]]を参照。
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*[[パウパーの変遷]]および[[:Category:パウパーデッキ|カテゴリ:パウパーデッキ]]を参照。
 
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==その他==
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*Magic Online上のみでなく、実際のカードで遊ばれることもある。Magic Onlineでの構築ルールをそのまま使用する例もあれば、「現実にコモンとして印刷されたことがあるカードすべて」と解釈する例も。
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**後者のルールにする場合、上記[[#ルール]]にある[[トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach]]や[[尊大なワーム/Arrogant Wurm]]をどのように扱うのかが問題となりえるので、トラブルにならないよう事前にはっきり定めておく必要があるだろう。
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**[[グランプリ]]の[[サイドイベント]]などでPauperのイベントが開催される場合、Magic Onlineのルールをそのまま使用する事が多い。なお、[[グランプリロサンゼルス19]]内の[[ミシックチャンピオンシップ予選]]はこのフォーマットが採用された。
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*[[カジュアルプレイ|カジュアルルーム]]等で、さらに[[スタンダード]][[環境]]のコモンのみに限定して遊ばれる事も少なくなかったため、後に「Standard Pauper」というフォーマットも追加された。賞品の出る大会等がなく、認定フォーマットという形ではないものの、Pauper以上に手軽にデッキが組めるため、一定の需要がある。
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** スタンダード環境のPauperは、[[Magic: The Gathering Arena]]でも期間限定イベントとしてたびたび開催されている。
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==公認フォーマットへの動き==
 
==公認フォーマットへの動き==
{{新製品}}
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長年[[Magic Online]]やカジュアルゲームでのみ扱われていたパウパーだが、[[2019年]]6月28日に正式に''公式フォーマットとして展開される''と発表された。紙とMagic Onlineにおけるコモン扱いの差異が生じていたカードについても、「デジタル版・テーブルトップ版両方を統一」することで移行する。そこで以下のように制定されている。
長年MOやカジュアルフォーマットでのみ扱われていたPauperだが、2019年6月28日の発表により、名前を「''パウパー/Pauper(コモン構築戦)''」として正式に''公式フォーマットにするよう展開される''予定。
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紙とMOにおけるコモン扱いの差異が生じていたカードについても、「デジタル版・テーブルトップ版両方を統一」することで移行する様子。そこで以下のように制定されている。
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*認定大会や店舗での催しでも扱われる。
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*認定大会や店舗での催しでも公式イベントとして扱われる。
*公式検索サイト「Gatherer」でもパウパー使用可能かの検索が可能に。
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*2019年7月9日より公式データベース「[[Gatherer]]」でパウパー使用可能かの検索が可能に。
 
*パウパーで使用可能なカードの範囲を、「テーブルトップとデジタルのいずれかのセットでコモンとして収録されたことがあるカード」に拡大。収録されたセットは問わず、「Gatherer」にコモンとして掲載されていればパウパーで使用可能に。
 
*パウパーで使用可能なカードの範囲を、「テーブルトップとデジタルのいずれかのセットでコモンとして収録されたことがあるカード」に拡大。収録されたセットは問わず、「Gatherer」にコモンとして掲載されていればパウパーで使用可能に。
  
また公認フォーマット認定の際、以下の三つを新たに禁止カードに指定する予定。
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また公認フォーマット認定の際、以下の3枚が新たに禁止カードに指定された。
  
 
*[[トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach]]
 
*[[トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach]]
 
*[[陥没孔/Sinkhole]]
 
*[[陥没孔/Sinkhole]]
 
*[[High Tide]]
 
*[[High Tide]]
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その後、7月3日に[[基本セット2020]]のリリースと同時にMagic Onlineでカードプールの更新が行なわれた。
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==その他==
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*公認フォーマット前からMagic Online上のみでなく、実際の紙のカードで遊ばれる事も多かった。過去の非公認期にはMagic Onlineでの構築ルールをそのまま使用する例もあれば、「現実にコモンとして印刷されたことがあるカードすべて」と解釈する例もあった。
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**後者のルールにする場合、[[トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach]]や[[尊大なワーム/Arrogant Wurm]]などをどのように扱うのかが問題だったため、トラブルにならないよう事前にはっきり定めておく必要があった。
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**[[グランプリ]]の[[サイドイベント]]などでパウパーのイベントが開催される場合、Magic Onlineのルールをそのまま使用する事が多かった。なお、[[グランプリロサンゼルス19]]内の[[ミシックチャンピオンシップ予選]]はこのフォーマットが採用された。
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*[[カジュアルプレイ|カジュアルルーム]]等で、さらに[[スタンダード]][[環境]]のコモンのみに限定して遊ばれる事も少なくなかったため、後に「Standard Pauper」というフォーマットも追加された。賞品の出る大会等がなく、認定フォーマットという形ではないものの、パウパー以上に手軽にデッキが組めるため、一定の需要がある。
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**[[Magic: The Gathering Arena]]でも[[スタンダード]]や[[ヒストリック]]環境で、期間限定イベントとしてたびたび開催されている。[[アンコモン]]まで範囲を広げた「'''職工'''/''Artisan''」フォーマットも存在する。
  
 
==参考==
 
==参考==
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*[[コモンデッキ]]
 
*[[コモンデッキ]]
 
*[[フォーマット]]
 
*[[フォーマット]]
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*[https://mtg-jp.com/gameplay/format/pauper.html パウパー]/[https://magic.wizards.com/en/game-info/gameplay/formats/pauper PAUPER FORMAT]
 
*[http://pdcmagic.com/ PDCMagic.com | Competitive Commons Only Magic: the Gathering]
 
*[http://pdcmagic.com/ PDCMagic.com | Competitive Commons Only Magic: the Gathering]
 
*[http://archive.mtg-jp.com/reading/decks/010036/ 第39回:赤青上陸/Pauper/コモン限定構築]([[高橋優太]]の「このデッキを使え!」から)
 
*[http://archive.mtg-jp.com/reading/decks/010036/ 第39回:赤青上陸/Pauper/コモン限定構築]([[高橋優太]]の「このデッキを使え!」から)

2021年2月19日 (金) 16:19時点における版

パウパー/Pauperは、公式フォーマットの1つ。元々はMagic Online上でコモンとして収録されたことがあるカードのみを使用できるコモンデッキ構築非公式フォーマットあったが、2019年6月28日より公式化される形でのカードでもプレイできるようにルール制定が行われた。

Pauperとは、貧困者・持たざる者という意味。コモンデッキ(またの名を貧乏デッキ)構築であることに由来する。発音は「パウパー」よりも「ポーパー」に近い。

目次

ルール

テーブルトップ(のカード)とデジタル(Magic Online)のいずれかのセットでコモンとして収録されたことがあるすべてのカードを使用できる。

コモンでの収録経験があるカードならば、実際のレアリティは問わない。

Mystery BoosterR&D Playtest cardsを除く、各特殊セット構築済みデッキにおいてコモンで収録されたカードも使用できる。

Magic Onlineにおける収録状況は実際の紙のカードとは若干異なっていることがある。特に第6版までの基本セットアライアンスまでのセットはMagic Onlineではリリースされておらず、Masters Editionに統合された形で収録されているため、大幅な変更が加えられている。

その他は通常の構築ルールに順ずる。

禁止カード

禁止カードリストの変遷については、パウパーの変遷を参照。

傾向

全体としてのカードバランスは、他の構築環境に比べ極端に劣るわけではない。むしろ過去から現在までの数多の強力なコモンが使用できるため、本格的なパーミッションから、数ターンの決着を目指すビートダウンコンボデッキなど、多彩なデッキが構築可能であり、時にはエターナル環境でも勝負に持ち込めるほどの完成度とデッキパワーに仕上げることも可能。

しかし一方で大型クリーチャー多色土地全体除去など、コモンには基本的に収録されないカードも多く、それらは環境全体で不足している。それにより各アーキタイプに少なからず影響が与えられる。例えばコントロール・デッキでは、全体除去で防御しつつアドバンテージを稼いでフィニッシャーに繋ぐヘビー・コントロール戦術は(不可能ではないが)取りづらいため、ドロー小型クリーチャーに重点を置いたクロック・パーミッションの形が主流になる。

特に目立って差があるのは土地だろう。2色以上の色マナを供給できる、使用に値するカードはタップインであるか、もしくはマナフィルターによる供給しかできないものであるため、1ターン目から土地だけで2色以上の色マナを供給することは事実上不可能である。この点は特に速攻系のデッキを組む際にネックとなっている。

また強力な多色カードアンコモン以上のものが多いため、多色デッキであっても、単色カードで占められる割合が非常に大きい。

そういった特殊な環境であることから、ギルドパクトの守護者/Guardian of the Guildpactウラモグの破壊者/Ulamog's Crusherなど、ブロック構築でも日の目を見なかったような意外なカードの活躍が日常茶飯事となる。

解説

コモンのみとはいえ、様々なデッキタイプや複雑なメタゲームは、通常のフォーマットと同様に存在する。ほとんどのデッキがクリーチャーに頼らざるを得ないことから、他のフォーマットよりもクリーチャーのサイズ除去が重要になる。

ビートダウン
コモンにもビートダウン向けの優秀なクリーチャーが存在するため、単色であればアグロデッキは問題無く組むことができる。土地の関係から、ステロイドのような2色以上のビートダウンデッキは簡単には組めないが、中には親和アグロドメイン緑白呪禁などといった2色以上のビートダウンデッキも存在する。
コントロール
対抗呪文/Counterspellを初めとする基本的かつ優秀な打ち消し呪文はコモンに多く、バウンスも比較的充実していることから、パーミッションも多い。なお、リセット型のクリーチャー全体除去は少ないが、単体除去火力も含めて非常に充実しており、ETB能力に強力なものを持つクリーチャーも多いことから、黒コントロールのようなボードコントロールを中心としたデッキを組むことも可能。またパウパーでのウルザトロン青緑を中心としたコントロールデッキの形を取ることが多く、大量のマナマナフィルターを使ってカード・アドバンテージを得るものが多い。
コンボデッキ
コモンをキーカードとするコンボデッキは少ないがいくつか存在しており、無限コンボを構成することも可能。ただし、あまりに強力なものについてはキーカードが禁止されてしまっている。禁止により消滅したデッキとしては、ストームデッキや、無限マナコンボのFamiliar Combo、その後継のドレイク・フリッカーなど。不屈の部族シュートウィー=ゼロックスは禁止により弱体化した後も一部結果を残している。
バーン
大会で使われるような1マナ3点火力や優良火力である火葬/Incinerate火炎破/Fireblastケルドの匪賊/Keldon Maraudersなどが軒並みコモンであることからバーンデッキは比較的組みやすい。
部族デッキ
ゴブリンエルフスリヴァーといった、コモンに優秀なカードを多く含む部族はいくつかあり、それらで固めたデッキが一定の活躍を見せている。

主なデッキ・その他

公認フォーマットへの動き

長年Magic Onlineやカジュアルゲームでのみ扱われていたパウパーだが、2019年6月28日に正式に公式フォーマットとして展開されると発表された。紙とMagic Onlineにおけるコモン扱いの差異が生じていたカードについても、「デジタル版・テーブルトップ版両方を統一」することで移行する。そこで以下のように制定されている。

  • 認定大会や店舗での催しでも公式イベントとして扱われる。
  • 2019年7月9日より公式データベース「Gatherer」でパウパー使用可能かの検索が可能に。
  • パウパーで使用可能なカードの範囲を、「テーブルトップとデジタルのいずれかのセットでコモンとして収録されたことがあるカード」に拡大。収録されたセットは問わず、「Gatherer」にコモンとして掲載されていればパウパーで使用可能に。

また公認フォーマット認定の際、以下の3枚が新たに禁止カードに指定された。

その後、7月3日に基本セット2020のリリースと同時にMagic Onlineでカードプールの更新が行なわれた。

その他

  • 公認フォーマット前からMagic Online上のみでなく、実際の紙のカードで遊ばれる事も多かった。過去の非公認期にはMagic Onlineでの構築ルールをそのまま使用する例もあれば、「現実にコモンとして印刷されたことがあるカードすべて」と解釈する例もあった。
  • カジュアルルーム等で、さらにスタンダード環境のコモンのみに限定して遊ばれる事も少なくなかったため、後に「Standard Pauper」というフォーマットも追加された。賞品の出る大会等がなく、認定フォーマットという形ではないものの、パウパー以上に手軽にデッキが組めるため、一定の需要がある。

参考

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