放浪者/The Wanderer (ストーリー)
提供:MTG Wiki
放浪者/The Wandererは灯争大戦初出のキャラクター。カードとしては灯争大戦の放浪者/The Wandererが初出。
目次 |
解説
神河/Kamigawa出身のプレインズウォーカー/Planeswalker。幅広の帽子と白い髪が特徴的な人間/Humanの女性。(イラスト)
彼女のプレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkは、試作品の現実チップ/The Reality Chipにより乱された。それゆえ、彼女はプレインズウォークしないよう努力することに悩まされている。次元/Planeを移動することに疲労を伴う通常のプレインズウォーカーと違い、彼女は瞬時に連続してプレインズウォークすることができるが、代わりに集中していなければ次元から次元へ出鱈目にプレインズウォークしてしまう。
彼女は敏腕で恐るべき戦士である。自分へ向けられた物理的エネルギーを吸収しマナに変換する魔法を持ち、そのマナをブロードソードに込めることで強大な敵も一撃で倒すことができる。さらに自身の特質を使い、連続プレインズウォークによって相手の背後へ瞬間移動することも可能である。
かつて神河の「皇/The emperor」として選ばれた彼女は、今や放浪者として多元宇宙/Multiverseを彷徨い歩く。その行く末は彼女自身にすら予測しがたい。
経歴
幼き日々/When We Were Young
彼女は幼くして香醍/Kyodaiに選ばれ、神河の皇となった。ある日、皇国/The Imperial courtに拾われた少年漆月魁渡/Kaito Shizukiはひょんなことから彼女の庭園に迷い込み、二人は秘かに友情を育んだ。後に彼女が魁渡の訓練相手に選ばれた後も、二人は暇を見つけては庭園で時間を過ごしていた。
だがある時、皇宮/The Imperial Palaceに金属の腕を持つ男――テゼレット/Tezzeretが侵入した。彼は試作品の現実チップを用いて香醍を支配しようとしたが、その目論見は外れ、皇にプレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkが点灯しいずこかへと消えていった。
奇しくもそれは、魁渡と皇国の在り方に大きな亀裂が生まれた日の夜であった。
War of the Spark: Ravnica
次元間の標/Interplanar Beaconに呼ばれラヴニカ/Ravnicaへやってきたプレインズウォーカーの1人。ゲートウォッチ/The Gatewatchと協力しニコル・ボーラス/Nicol Bolasの軍団と戦った。サルカン・ヴォル/Sarkhan Volとは知己らしい反応を見せる。
War of the Spark: Forsaken
ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzetからテゼレット抹殺の命を受けたラル・ザレック/Ral Zarekに協力し、エスパー/Esperにある彼の拠点に乗り込む。集中力をもって次元渡りを抑え込むものの、戦いの最中に隙を付かれて昏倒し、別の次元へと飛ばされていった。
神河:輝ける世界
失踪から十年後、ついに放浪者は神河へと帰還した。長年探し求めていた友との再会に安堵する魁渡であったが、事態は深刻であった。かつての下手人テゼレットは別次元の怪物ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxiasと手を組み謎の計画を進めている。さらに反体制組織「浅利の蜂起軍/The Asari Uprisers」もギタクシアスに唆され、皇の帰還の知らせが広まる前に彼女を討とうとしていた。
魁渡がジン=ギタクシアスの元から盗み出した現実チップを埋め込むことにより、放浪者の灯はかろうじて落ち着いた。彼女は民を導くため永岩城/Eiganjoに残ったが、研究所に攻め込んだ魁渡とタミヨウ/Tamiyoに危機が迫っていることを察知すると、彼らを助けに行くことを決意した。漆月英子/Eiko Shizukiの助けもあり軽脚/Light-Pawsを説得すると、香醍の助力により研究所へとプレインズウォークし、ジン=ギタクシアスを一太刀で切り裂いた。
だが、テゼレットが現実チップを操作すると、放浪者の灯は再び乱され、激しい苦痛が彼女を襲いプレインズウォークを強いた。彼女はタミヨウにチップを取り除くよう頼んだ。もはや今、彼女をこの次元に繋ぎとめるものはチップの力ではなく香醍との絆であるのだと伝えて。チップから解放された彼女はタミヨウの協力で永岩城へと帰還し、蜂起軍の長理想那/Risonaと衝突した。皇国と蜂起軍、二つの組織の長同士の激突は、魁渡が道すがら拾った石ころを投げつけたことにより、理想那が昏倒するという形で終わった。そのどこか可笑しい決着は、彼女に長年の幽閉から解き放たれたかのような軽快な笑いをもたらした。
神河に秩序が戻った。だが、放浪者の灯も再び不安定へと戻ろうとしていた。現実チップがタミヨウごとテゼレットに攫われた今、再び灯を制御させる方法も見当つかなかった。残されたわずかな時間で、神河に安定をもたらすべく軽脚を代理の統治者に指名すると、彼女は再び久遠の闇/Blind Eternitiesへと消えていった。
ファイレクシア:完全なる統一
神河の出来事の後、魁渡曰く彼女の灯は「少し予想できないが、多少制御はできる」程度になっていた。
多元宇宙に脅威をもたらすエリシュ・ノーン/Elesh Nornの計画を阻止しようと、魁渡を始めとするプレインズウォーカー達とともに彼らの本拠地、新ファイレクシア/New Phyrexiaへと乗り込む。だがノーンは彼女らの到着を予想しており、次元に障壁を仕掛けていた。それによって仲間は離れ離れとなり、彼女が一箇所に留まろうとする力も阻害され魁渡ともはぐれてしまった。
記念ファサード/The Monumental Facadeから狩猟迷宮/The Hunter Mazeへと飛ばされた彼女はニッサ・レヴェイン/Nissa Revane・ルーカ/Lukkaと遭遇。不定期に明滅を繰り返しながらも彼らを救う。その最中にヴォリンクレックス/Vorinclexを目撃し、その討伐を提案する。しかし戦いの最中、ルーカがファイレクシア人とエルーダ/Eludhaを結んでしまっていたことにより完成化してしまう。困惑する放浪者は、ただニッサに逃げてとだけ残し、またどこかへと消えていった。
彼女が再び現れた先は、新ファイレクシアのどの球層でもなかった。それは、時の流れの彼方へ置き去りになったザルファー/Zhalfirであった。 琥珀の牢/Amber Prisonから解き放たれた彼女が一ヶ月ぶりに目にした人物は、時空錨/The Temporal Anchorの事故により飛ばされていたテフェリー/Teferiであった。放浪者は彼が棺で眠っている間にドミナリア/Dominariaで起きた出来事、そして新ファイレクシアでの絶望的な状況を語ると、その姿は揺らめき消えていった。だが、その言葉はテフェリーを奮い立たせた。
機械兵団の進軍
テゼレットに拉致されたタミヨウは完成化されており、神河への侵略に手を貸していた。彼女との戦いで窮地に陥った魁渡を救ったのは、香醍に乗った放浪者――神河を守るべく立ち上がった皇であった。本当に戦わなければならないのかと問いかける皇に対し、タミヨウは自分自身にそれを訪ねるべきだと返した。
彼女はタミヨウの放つ無数の金属片を切り裂きながら進んだ。後ずさったタミヨウは傍にいたナシ/Nashi――母を正気に戻そうと努めていた、彼女の養子――の頭に手をやると、禁じられた巻物の封を解いた。香醍の力が皇に注ぎ込まれると、彼女は剣を抜き、タミヨウを切り裂いた。
母を失い悲嘆に暮れるナシを、彼女は慰めていた。母は貴方の記憶の中に、そして貴方が語る物語の中に生き続けるでしょうと。その時、斃れたはずのタミヨウの温かい声が聞こえた。その声の主はタミヨウが解放した巻物の中身、自らの死を見越して遺していた彼女自身の物語であった。皇にはその存在が語ることが偽りでないとわかった。何故ならば彼女が放った金属片はどれも幅広く、傷を与えられるようなものではなかったからだ。タミヨウは自分にできる唯一の方法で、この結末を懇願していたのだろうと皇は語った。
機械兵団の進軍:決戦の後に
多元宇宙の変化により、他の多くのプレインズウォーカーと同様に彼女も灯を失った。しかしそれは、一つの次元に留まるという彼女の望みが叶うということでもあった。現在の彼女は軽脚に玉座を預け、故郷である神河をその目で見て回っている[1]。
登場
登場カード
- 放浪者/The Wanderer
- 放浪皇/The Wandering Emperor
- 永遠の放浪者/The Eternal Wanderer
- 放浪する救い手/The Wandering Rescuer
- Heroes of Kamigawa(Heroes of the Realm)
カード名に登場
フレイバー・テキストに登場
- イコリア:巨獣の棲処
- 刃による払拭/Blade Banish
- 神河:輝ける世界
- 執政の権限/Regent's Authority(「皇」として)、放浪者の介入/Wanderer's Intervention、幼き日々/When We Were Young(「皇」として)、現実への係留/Anchor to Reality、タミヨウの保管/Tamiyo's Safekeeping
- 神河:輝ける世界統率者デッキ
- 永久忠義の義丸/Yoshimaru, Ever Faithful
- Secret Lair Drop Series: Kamigawa: The Manga: The Cards
- 剣を鍬に/Swords to Plowshares("The Emperor"として)
- 機械兵団の進軍
- 割込み/Cut Short
イラストに登場
- 灯争大戦
- 放浪者の一撃/Wanderer's Strike
- イコリア:巨獣の棲処
- 刃による払拭/Blade Banish
- 神河:輝ける世界
- 放浪者の介入/Wanderer's Intervention、幼き日々/When We Were Young(幼少期)、現実への係留/Anchor to Reality、タミヨウの保管/Tamiyo's Safekeeping
- Secret Lair Drop Series: Kamigawa: The Manga: The Cards
- 牧歌的な教示者/Idyllic Tutor(幼少期)、剣を鍬に/Swords to Plowshares
- アルケミー:兄弟戦争
- チーム結成/Assemble the Team
- ファイレクシア:完全なる統一
- 次元の撹乱/Planar Disruption
- 機械兵団の進軍
- 割込み/Cut Short
- Secret Lair Commander Deck: Raining Cats and Dogs
- 永久忠義の義丸/Yoshimaru, Ever Faithful
登場作品・登場記事
- Kaito Origin Stories: A Test of Loyalty & The Path Forward/魁渡・起源の物語:「忠誠の試練」「その先へ続く道」(Magic Story 2021年12月16日 Akemi Dawn Bowman著、「皇」として言及されるのみ)
- Episode 1: A Stranger in Eiganjo/メインストーリー第1話:永岩城の異邦人(Magic Story 2022年1月24日 Akemi Dawn Bowman著、「皇」として)
- Episode 2: Lies, Promises, and Neon Flames/メインストーリー第2話:嘘と約束とネオンの輝き(Magic Story 2022年1月24日 Akemi Dawn Bowman著、「皇」として言及されるのみ)
- Episode 3: An Unexpected Alliance/メインストーリー第3話:予期せぬ協調(Magic Story 2022年1月25日 Akemi Dawn Bowman著)
- Episode 4: The Break-In/メインストーリー第4話:突入(Magic Story 2022年1月26日 Akemi Dawn Bowman著)
- Episode 5: Threads of War/メインストーリー第5話:次なる戦いへ(Magic Story 2022年1月27日 Akemi Dawn Bowman著)
- The Legends of Kamigawa: Neon Dynasty/『神河:輝ける世界』の伝説たち(Feature 2022年2月11日 Ari Zirulnik, Grace Fong, Emily Teng, and Gerritt Turner著)
- The Brothers' War | Chapter 5: Exodus/サイドストーリー第5話:出発(エクソダス)(Magic Story 2022年10月26日 Reinhardt Suarez著)
- Assault on New Phyrexia | Episode 1: Uncontrolled Descent/新ファイレクシア急襲 メインストーリー第1話:制御不能の降下(Magic Story 2023年1月13日 Seanan McGuire著)
- Assault on New Phyrexia | Episode 2: Unstable Foundations/新ファイレクシア急襲 メインストーリー第2話:ぐらつく礎(Magic Story 2023年1月13日 Seanan McGuire著、名前のみ)
- Phyrexia: All Will Be One | Hard as Anger, Bright as Joy/サイドストーリー第3話:憤怒のように激しく、歓喜のように眩しく(Magic Story 2023年1月14日 Langley Hyde著)
- Phyrexia: All Will Be One | Alone/サイドストーリー第5話:孤独(Magic Story 2023年1月17日 Miguel Lopez著)
- March of the Machine | Episode 3: Mother, Son, and Story/メインストーリー第3話 母、息子、そして物語(Magic Story 2023年3月17日 K. Arsenault Rivera著)
- March of the Machine | Episode 10: The Rhythms of Life/メインストーリー第10話 命の律動(Magic Story 2023年3月28日 K. Arsenault Rivera著、名前のみ)
その他
- 初めてプレインズウォーカー・タイプを持たないプレインズウォーカー・カードとして登場した。
- 初出時は神河関連のバックボーンが明かされておらず、上記のプレインズウォーカー・タイプを持たない仕様もあいまって様々な憶測を呼んだ。
- Mark Rosewaterは自身のブログで、「放浪者は既知の人物ですか?」という質問に対して「放浪者はあなた自身だ」と回答しているが、これはエイプリルフールのジョークである[2]。
- 神河:輝ける世界にてついにその出自が明らかになったが、本名は不明のままであり相変わらずタイプを持っていない。同セットのメインストーリー第1話で「皇は名を明かしてはならない」と語られており、本名を持たないというわけではないようだ。
脚注
- ↑ No Sparks Allowed – Aftermath Lore ft Rhystic Studies || Elder Dragon Social Club(Youtube、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト公式スポンサード動画 2023年5月11日 12:26~より該当部分)
- ↑ Blogatog(Mark Rosewaterのブログ 2019年4月1日)
参考
- War Of The Professor - Exclusive Magic: The Gathering War Of The Spark Preview / Spoiler Card(Youtube Tolarian Community College 2019年4月1日) - 放浪者のカード・プレビューと設定説明
- 背景世界/ストーリー用語