マスティコア/Masticore
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ウルザ・ブロック当時のスタンダードで大暴れしたアーティファクト・クリーチャー。同環境の変異種/Morphlingと並び「最強のクリーチャー」などと謳われた。
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解説
アップキープに手札を1枚捨てるというデメリットはあるものの、結果的に4マナのアーティファクト・クリーチャーとは思えないコスト・パフォーマンスになっている。毎ターンカードを捨てるというディスアドバンテージは決して小さくは無く、実際これを場に出してしまうと手札の数が増えなくなるので、土地や呪文のプレイが大きく制限されてしまう。そのため、これを場に出した後はこのカードを中心に戦わざるを得なくなるのだが、除去能力によりその分アドバンテージを取り返せることや、戦闘や火力に強い再生能力、フィニッシャーとしての運用にも耐えうるサイズなどから、他のカードが必要ない程に強力であった。
無色のダメージソースであると言う点も強さを後押しする。当時はプロテクション(アーティファクト)を持つクリーチャーは数える程しかいなかった(そして、それらのいずれもトーナメントレベルのカードではなかった)。またクリーチャー・タイプに対するプロテクションも登場する前だったため(そもそも当時はマスティコアはクリーチャー・タイプを持っていなかったが)、プロテクションに阻害されないダメージとしての信頼性が高かった。
ストンピィから青茶単まであらゆるほとんどのデッキに投入され猛威を振るったが、これ自身の強さに加え周りのカードに恵まれたという点もある。ストンピィのような超高速ビートダウンにおいては普通4マナ+αスタートのカードは遅すぎる。しかし、同ブロックにはガイアの揺籃の地/Gaea's Cradleという強烈なマナ加速があったため、これにつぎ込むマナを容易にひねり出す事ができた。青茶単のようなパーミッションデッキは手札枚数の保持は重要であるため、手札を捨てるデメリットはことさら重いのだが、これまた同ブロックに天才のひらめき/Stroke of Geniusという優秀なドローカードがあったため、手札の問題を解決する事が可能だった。
このように「最強」の名を欲しいままにしたマスティコアであるが、手放しで4枚積み出来ると言う訳ではなかった。場に出すタイミングを間違えると、そのデメリットに自分が飲み込まれてしまい、勝機を逃してしまうという事も多かったのだ。ダメージを与える能力は対クリーチャー限定のものであるため、相手がノンクリーチャーデッキであった場合はその能力は役立たずとなる。その場合、単なる4マナ4/4再生では「アップキープ毎に手札1枚」のデメリットは流石に重過ぎる。腐っても4/4なのでそのまま殴りきる事も可能だが、流石にそう言う状況が頻発するような環境であるならば、最初から他のクリーチャーを使ったほうがマシと言える。その為、環境によってはサイドボードからの投入に留まっている場合もある。
現在ではエターナルでしか使えないが、全盛期ほどの活躍は見せていない。当時と比べてクリーチャーの質が上昇していることもあり、デメリットがある分、睨み合いになると不利になる事が多くなったためである。また、速度に特化したデッキに対しては、マナが多く必要なこれでは追いつかない事も多く、それ程の支配力を持っているわけではない。それでも、中盤を乗り切った後、マナに余裕が出てからの制圧能力は健在で、サイドボードからの投入はそれなりにあるようだ。ただし、茶単等のビートダウンでは、1マナ重い代わりにマナを食わない亜種である剃刀毛のマスティコア/Razormane Masticoreが採用される事も多い。
- 本来これは開発チームがこの種のデメリットが、どの程度クリーチャーのコスト・パフォーマンスに影響を与えるのか知るための実験的なカードであった。実験結果は見ての通りである。
利用
- ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabobを使えば維持コストを帳消しにできる。この2枚は同環境に存在していた事もあり、特に使いやすかった。
- 手札が増やしづらくなること、維持に手札が必要な事から、手札破壊に弱い。黒はアーティファクト・クリーチャーへの対処が苦手であったが、手札を攻める事で間接的に対処が出来た。
ルール
- 前述の通り、カードを捨てるのはアップキープ・ステップであり、ドロー・ステップより前である。ドロー・ステップで引いたカードを、維持コストに充てるといった使い方はできない。
- 2007年9月サブタイプ変更によりマスティコアのクリーチャー・タイプを獲得。
その他
- 「manticore(マンティコア)」と「masticate(噛み砕く)」の合成語。
- 間違っても、マジック最悪のカードではない(→参照)。この記事はマスティコアがスタンダードを去った数年後に書かれたジョーク。恐らくこれは、発売当初は一見厳しく見えるデメリットを嫌われてかカスレア扱いされていたためであろう。
- 綿密な分析/Deep AnalysisやRemodelのイラストにも登場している。綿密な分析/Deep Analysisに描かれた時は、似たようなカードが次に出るのではないかと期待された(再録禁止カードであったため、直接の復活はありえなかった)。
- イラストでは口にくわえているミサイルが途中で折れているが、デュエリスト・ジャパンVol.11では完全につながっている絵を見ることができる。Mark RosewaterとJamie Wakefieldによるこのカードに対するコラム(時のらせん/Time Spiral、変異種/Morphlingとともに、予想以上に環境を支配した事による失敗)も載っているので、興味のある人は探してみよう。
- デュエル・マスターズでは超凶獣クリーチャーと呼ばれ、来月号への引きに使われたり主人公を圧倒したりした。一方デュエルファイター刃では手札のない状態で召喚してしまうお笑い登場となった。
参考
- 18,000 Words: The 100 Worst Magic Cards of All Time (ニセ)第1位(Braingeyser)
- The Top 50 Artifacts of All Time 第9位(WotC、文:Zvi Mowshowitz、英語)
- カード個別評価:ウルザズ・デスティニー - レア