MicroProse版マジック:ザ・ギャザリング
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マジック:ザ・ギャザリング/Magic: The Gatheringは、MicroProse社から発売されたウィザーズ・オブ・ザ・コースト社公認のWindows用コンピューターゲーム。日本の販売元はメディアクエスト。英語版は1997年3月(日本では3月28日)、完全日本語版は1997年9月26日に発売された。原作および他の作品と区別するためにMicroProse版マジック:ザ・ギャザリングと表記する。各種エキスパンション(拡張セット)なども本項で詳述する。
2003年にMicroProse社が倒産したことで生産中止・出荷停止となっている。後述のエキスパンション、セットパックも同様である。
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概要
MicroProse版マジック:ザ・ギャザリングでは、大きく分けてコンピューターと構築戦を行う「デュエル」(後述の『スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ』でシールドにも対応)と、ロールプレイングゲーム風の「シャンダラー」の2種類をプレイすることができる。
単体ではオフラインのみに対応しているが、エキスパンションの『スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ』(日本語版は『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』)で「マナリンク」による通信対戦が可能になった。通信対戦のフォーマットには「無制限(制限・禁止なし、4枚制限ルールなし)」「ワイルド(制限・禁止なし、4枚制限ルールあり)」「制限(Type1)」「トーナメント(Type1.5)」「ハイランダー」がある。
ルールは第5版時点のものが採用されている。収録カードは、主に第4版と今作オリジナルのアストラルセットのカードで、アンリミテッドのパワー9なども収録されている。後述のエキスパンションをすべて導入することで、アンリミテッド、アラビアンナイト、アンティキティー、レジェンド、ザ・ダークの一部のカードも使用できる。
カードプールは広いとは言えないものの、各種ビートダウンやコントロール、また瞬殺コンボや無限マナのギミックも組めるようになっており、幅広い種類のデッキを使用することができる。
- カードフィルターでは、現在の到達に「ウェブ」(蜘蛛の巣/Webに由来)、現在の警戒に「フリー・アクション」、現在の速攻に「クイック・ドロー」の呼称が付けられている。また、バジリスク能力の除去条件1,2は「石化」能力と呼ばれている。
- 当時実際には日本語版が存在しないカードが、カード名ごとすべて日本語訳されている(詳しくはオンラインプラスの日本語訳を参照)。現在、このゲームでの日本語訳は非公式として扱われているが、実際に日本語版のカードが収録される際、このゲームでのカード名が充てられることが多い。
シャンダラー
シャンダラー/Shandalarは、ロールプレイング風のゲームモードである。多元宇宙/Multiverseの次元の1つシャンダラー/Shandalarを舞台に、デュエルやマップの探索でカードや金を集めつつ、5人の邪悪なギルド・ロードとプレインズウォーカー/Planeswalkerのアルザコン/Arzakonを倒し、シャンダラーの破滅を救う。
シャンダラーには、各色の魔法をつかさどる5つのギルドがあり、各地にクリーチャーを送り込んでいる。ときどき、クリーチャーは都市の攻略に送り出され、一定時間以内にそのクリーチャーを倒さなければ、その都市はギルドに支配される(マナ・タップと呼ばれる)。支配された都市(マナ・ドーム)に潜伏するクリーチャーを倒せば都市は解放されるが、そのクリーチャーは通常より強力となっている。3つの都市(「ガーディアンの指輪」があれば5つ)が支配されると、「支配の呪文」がかけられゲームオーバーとなる。
マップに徘徊するクリーチャーに触れると、デュエルをするか、金貨を支払うかの選択を要求される。クリーチャーによっては異なる条件を出す場合もある。ダンジョン内や特定の敵は、デュエルを回避することはできない。
デュエルは基本的にアンティで行われ、勝利するとアンティ含むカードを入手するか、ダンジョンのヒントを聞くかを選択できる。相手によっては、何らかのボーナスやペナルティが与えられる場合もある。
各地にあるダンジョンやギルド・ロードの城に入ると、ダンジョンマップに切り替わり、ダンジョン内を捜索する。ダンジョンの構成はランダムで生成され、通路上にクリーチャーや次のデュエルで得られるボーナス(ライフ以外は上書きされる)が配置されている。ダンジョン内にはパワー9などの強力なカードが眠っており、ギルド・ロードの城にはギルド・ロードが待ち構えている。ダンジョン内のデュエルで減ったライフはダンジョンを出るまで回復しない。また、ダンジョン内には特定のカードがゲーム開始時に場にいる特殊ルールが設けられている場合もある。
難易度は下から順にアプレンティス、マジシャン、ソーサラー、ウィザードの4種類。難易度が高いほど初期デッキの色配分が悪くなり、対戦相手のライフや特殊ルールなどが強力になる。特に最高難易度のウィザードの初期デッキは無茶苦茶な色配分で、そのデッキでデュエルに勝利するのは非常に難しい。
通常の構築戦とは異なり、デッキの最低枚数は40枚である。ただし、60枚に満たない場合、基本土地以外の同名カードは3枚までしか入れられない。ワールド・マジックの「悟りの書」があれば、同名カードの枚数制限が1枚緩和される。
主人公の初期ライフは、依頼の報酬で街や都市同士の「マナ・リンク」を手に入れることによって増加する。対戦相手のライフは、敵の種類と難易度によって決められる。いずれも、何らかの特殊ルールなどで変動する場合がある。
- 多くの相手のデッキには3枚の対策カード枠が設定されており、プレイヤーのデッキの色に応じた対策カードが相手のデッキに入る。例えば、通常は剣を鍬に/Swords to Plowsharesだが、赤相手だと赤の防御円/Circle of Protection: Redに切り替えるなど。
- エキスパンションの『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』を導入すると相手の使用するデッキが変更され、対策カード枠はなくなる(『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ導入済みの『オンライン プラス』には反映されていない)。
- 最終ボスのアルザコンは、非常に多い初期ライフを誇り、デッキ枚数も136枚と莫大である(参考:アルザコンのデッキ (Magic Factory))。
エキスパンション・セットパック
スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ/Spells of The Ancients
初のエキスパンション(拡張セット)。単体では動作しない。英語版は1997年9月(日本では10月30日)、完全日本語版は1998年2月27日に発売された。パッケージイラストはJuzam Djinn。
アンリミテッド、アラビアンナイト、アンティキティーの一部カードとプロモーショナル・カードが追加された。また、インターフェースやAIの改善、シールド戦やプレイヤーの姿を作る「フェイス・ビルダー」の実装なども行われた。
英語版では「マナリンク」と呼ばれるネット対戦機能が追加されたが、日本語版では追加されず、次のエキスパンションの『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』まで待つことになる。
デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ/Duels of the Planeswalkers
2番目のエキスパンション(拡張セット)。単体では動作しない。英語版は1998年1月(日本では4月22日)、完全日本語版は1998年8月21日に発売された。パッケージイラストは深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow。
レジェンドやザ・ダークの一部カードが追加された。しかし、追加カードは100枚を下回り、セットのテーマである伝説のクリーチャー(多色)が実装されていないことから不評を買った。
日本語版でも通信対戦機能「マナリンク」が追加され、世界中のプレイヤーと気軽に対戦ができるようになった。日本語版と英語版の接続では、一部カード(フェルドンの杖/Feldon's Caneなど)にバグがある。
- 2009年に同じ副題のXbox LIVE アーケード用コンピューターゲーム『Magic: The Gathering - Duels of the Planeswalkers』が発売しているが、今エキスパンションとの関係はない。
オンライン エディション
『MicroProse版マジック:ザ・ギャザリング』と『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』のセット。『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』と同時に、日本でのみ発売された。パッケージイラストは若返りの泉/Fountain of Youth。
オンライン プラス
『スペルズ・オブ・ジ・エンシェンツ』『デュエルズ・オブ・ザ・プレーンズウォーカーズ』があらかじめ導入されている『MicroProse版マジック:ザ・ギャザリング』の廉価版。日本でのみ発売された。パッケージイラストはセラの天使/Serra Angel。
制限・禁止カード
「制限(Type1)」における制限・禁止カードは、1996年10月1日時点のものが適用されている。「トーナメント(Type1.5)」ではこれらはすべて禁止カードである。なお、オフラインのデュエルおよびシャンダラーには適用されない。
- 制限カード
- Ancestral Recall、天秤/Balance、Berserk、Black Lotus、黒の万力/Black Vise、Braingeyser、Demonic Tutor、Fastbond、Fork、象牙の塔/Ivory Tower、Library of Alexandria、Mox Emerald、Mox Jet、Mox Pearl、Mox Ruby、Mox Sapphire、Regrowth、Sol Ring、露天鉱床/Strip Mine、Time Walk、Timetwister、Wheel of Fortune
- 禁止カード
- チャネル/Channel、精神錯乱/Mind Twist、Time Vault
OSの問題
Windows 2000およびWindows XP以降のWindows OSはサポート外であり、正常に動作しない。
マイクロソフト社のPCエミュレータ、「Virtual PC」が無償公開(URL)されているので、Windows 95またはWindows 98のインストールCDがあればこちらを使うとよい。
バグ問題
カード処理に様々なバグがある。殆どはある条件下や、他のカードと組み合わせた時のみバグが発生するが、単体で正常に機能しないカードも存在する。
- Old Man of the Seaの能力は、それのパワー未満のパワーを持つクリーチャーのみを対象に出来る。
- ミシュラの工廠/Mishra's Factoryは自分自身のマナでクリーチャー化できない(能力は起動できる)。
- Forkが特定の呪文をコピーすると正常に処理されない。
- Amnesiaをコピーするとオリジナルが打ち消される。
- Transmute Artifactをコピーした場合、追加コストの生け贄が必要になるが、「差分のマナ」は支払う必要が無い。
- Amnesiaの解決時に全く関係の無い文字列が表示される。
- 孤島の聖域/Island Sanctuaryは1ターンに1枚までしかドローを置換できない。
- Jihadによる強化に関して、特定の状況でのみバグが発生する。やや複雑なので以下に例を挙げる。
- Lichを置くとダメージに対して無敵になる(ダメージによる生け贄が発生しない)。なお、一定の条件下では正常に機能するがそうでない局面の方が多い。
- 能力などによって複数のカード・タイプを持ったパーマネントを参照できないカードが多く存在する。
- Copy Artifactやクローン/Cloneなどは、それらをコピーできない。
- アーティファクトを複製した別のCopy Artifactや、クリーチャー化したミシュラの工廠など。
- 元々アーティファクト・クリーチャーであるパーマネントはコピーできる。
- 不明の卵/Dingus Eggが場にある時、クリーチャー化したミシュラの工廠が墓地に置かれてもダメージが発生しない。
- Copy Artifactやクローン/Cloneなどは、それらをコピーできない。
参考
- Free Style MTG - 収録カードやシャンダラーの敵のデッキリストなどを掲載。
- アストラルセット
- オンラインプラスの日本語訳
- コンピューターゲーム