リム=ドゥール/Lim-Dul
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− | + | '''リム=ドゥール'''/''Lim-Dul''はストーリー上の登場人物。[[屍術師/Necromancer]]であるが、「The Great Necromancer(大屍術師)」とも名乗った。正確にはuに曲折アクセント記号がつき、「Lim-Dûl」である。このため、「Lim-Dul」では[[Orb of Insight]]でヒットしないなどということもある。 | |
− | + | [[キイェルドー/Kjeldor]]の[[Marton Stromgald#ストーリー|Marton Stromgald(マートン・ストロームガルド)]]軍の一兵士。[[ゴブリン]]の宿営地の襲撃部隊の一員だったが、斥候の報告以上の大部隊を前に、仲間を見捨てて逃走。吹雪を避けるために入った洞窟で[[メアシル/Mairsil]]の遺骸と指輪を発見、両者の記憶・能力・人格が融合して生まれ変わる。元々メアシルは5色の魔法を操れたが、[[黒]]と[[赤]]の傾向が強いリム=ドゥールの性格が作用したため屍術師となった。 | |
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[[Citadel of the Conclave of Mages|Citadel of the Conclave of Mages(魔道士議事会の城塞)]]の跡地である[[トレッサーホーン/Tresserhorn]]を居城に定め、アンデッドの大軍団を編成して[[テリシア/Terisiare]]大陸征服を夢見る。副官は[[Chaeska|Chaeska(チェスカ)]]。 | [[Citadel of the Conclave of Mages|Citadel of the Conclave of Mages(魔道士議事会の城塞)]]の跡地である[[トレッサーホーン/Tresserhorn]]を居城に定め、アンデッドの大軍団を編成して[[テリシア/Terisiare]]大陸征服を夢見る。副官は[[Chaeska|Chaeska(チェスカ)]]。 | ||
− | + | 狐のような細面、茶色の髪に濃い顎鬚、痩せ気味だが筋肉質。暗い色のローブを着込み、右手には5色の指輪(内1つはメアシルの指輪)をはめる。執念深く陰湿な性格で、非常に手の込んだ復讐を計画する。例えばキイェルドー人リム=ドゥールとしては、無謀な襲撃任務を命令したマートン将軍をアンデッドの傀儡にして、反逆軍[[ストロームガルド騎士団/The Knights of Stromgald]]を結成する。他方、メアシルとしては、仇敵[[ジョダー/Jodah]]を[[Fyndhorn Pollen#ストーリー|ティタニアシッペガエシ]]で欺き、[[プレインズウォーカー/Planeswalker]]の殺害法を研究させる。 | |
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プレインズウォーカーの[[レシュラック/Leshrac]]を後援者としているが、絶対服従の奴隷同然の扱いを受け、freshworm(肉蛆)、toy(玩具)、beast(ケダモノ)などの蔑称で呼ばれている。密かにレシュラック殺害を企むが露見、その罰に人あらざる姿へ変貌させられる。 | プレインズウォーカーの[[レシュラック/Leshrac]]を後援者としているが、絶対服従の奴隷同然の扱いを受け、freshworm(肉蛆)、toy(玩具)、beast(ケダモノ)などの蔑称で呼ばれている。密かにレシュラック殺害を企むが露見、その罰に人あらざる姿へ変貌させられる。 | ||
− | 巧みな戦略でキイェルドーと[[バルデュヴィア/Balduvia]]の対立を誘導するが、[[ヤヤ・バラード/Jaya Ballard]]に救出されたジョダーによって計画は阻まれ、逆に両国は同盟を結んでしまう。だがストロームガルド騎士団を傘下に置き、戦力を増強したアンデッド軍団は[[キイェルドーの戦い/The Battle of Kjeldor]]で同盟軍と対決。その戦いの中、リム=ドゥールは自軍本陣でジョダーと対峙、劣勢になると後援者に助力を請う。リム=ドゥールの意図とは裏腹に、戦場に出現したレシュラックは"ちっぽけな"テリシアの覇権などに興味を抱かず、真の征服目標[[シャンダラー/Shandalar]] | + | 巧みな戦略でキイェルドーと[[バルデュヴィア/Balduvia]]の対立を誘導するが、[[ヤヤ・バラード/Jaya Ballard]]に救出されたジョダーによって計画は阻まれ、逆に両国は同盟を結んでしまう。だがストロームガルド騎士団を傘下に置き、戦力を増強したアンデッド軍団は[[キイェルドーの戦い/The Battle of Kjeldor]]で同盟軍と対決。その戦いの中、リム=ドゥールは自軍本陣でジョダーと対峙、劣勢になると後援者に助力を請う。リム=ドゥールの意図とは裏腹に、戦場に出現したレシュラックは"ちっぽけな"テリシアの覇権などに興味を抱かず、真の征服目標[[シャンダラー/Shandalar]]へとリム=ドゥールと軍団を引き連れて去っていった。しかし、その場には引き千切られた右手とメアシルの指輪が残された…。 |
レシュラックと[[テヴェシュ・ザット/Tevesh Szat]]の2人のプレインズウォーカーに従ってシャンダラーに攻め込むが、2人の主ともシャンダラーの守護者[[ケナン・サーマル/Kenan Sahrmal]]の手によって追放されてしまう。リム=ドゥールはその戦いの終わりの混乱に乗じて、疲弊したサーマルを襲って倒すが、すぐさまサーマルの従者達によって斬首された。 | レシュラックと[[テヴェシュ・ザット/Tevesh Szat]]の2人のプレインズウォーカーに従ってシャンダラーに攻め込むが、2人の主ともシャンダラーの守護者[[ケナン・サーマル/Kenan Sahrmal]]の手によって追放されてしまう。リム=ドゥールはその戦いの終わりの混乱に乗じて、疲弊したサーマルを襲って倒すが、すぐさまサーマルの従者達によって斬首された。 | ||
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それから12年後、魂を別の肉体に移し変えることで生き延びていたリム=ドゥールは、アンデッドの大軍を引き連れて現れ、シャンダラー支配を企む。数年間の戦乱の後、シャンダラーの主要都市は[[アーデスタン/Ardestan]]ただ1つを除いて壊滅、アンデッド軍団に包囲されたアーデスタンの陥落は目前であった。しかしこの時、サーマルの弟子の1人、[[アザー/Azar]]が立ちはだかる。 | それから12年後、魂を別の肉体に移し変えることで生き延びていたリム=ドゥールは、アンデッドの大軍を引き連れて現れ、シャンダラー支配を企む。数年間の戦乱の後、シャンダラーの主要都市は[[アーデスタン/Ardestan]]ただ1つを除いて壊滅、アンデッド軍団に包囲されたアーデスタンの陥落は目前であった。しかしこの時、サーマルの弟子の1人、[[アザー/Azar]]が立ちはだかる。 | ||
− | 防御円で攻撃を凌ぐアザーに対し、リム=ドゥールは無駄な直接攻撃を仕掛けず、その時を待つ。最後の一瞬に、前回同様の方法でアザーの肉体に魂を移し変えてしまう腹積もりであった。アザーの準備する呪文は、対象の魂を肉体に封印し、力を奪うとともに、その力を利用しシャンダラーを外界から守る[[「大障壁」/the Great Barrier]] | + | 防御円で攻撃を凌ぐアザーに対し、リム=ドゥールは無駄な直接攻撃を仕掛けず、その時を待つ。最後の一瞬に、前回同様の方法でアザーの肉体に魂を移し変えてしまう腹積もりであった。アザーの準備する呪文は、対象の魂を肉体に封印し、力を奪うとともに、その力を利用しシャンダラーを外界から守る[[「大障壁」/the Great Barrier]]を構築するものだった。不幸なことにアザーの呪文はリム=ドゥールの魂自体を対象にしており、2人の魂はアザーの肉体に囚われてしまう。1人の肉体に2人のウィザードが閉じ込められた結果、予想以上の膨大なエネルギーが放出、プレインズウォーカーを全く受け付けない「大障壁」が張り巡らされた。アーデスタンの廃墟に到着したサーマルはもはやアザーを助けられない事を悟り、その肉体を秘密の墓地に安置する。この動かぬ肉体の奥深く、その支配を争って2人のウィザードは長い戦いを続けることになった。このシャンダラー全土を荒廃させた戦争は、後に[[シャンダラー/Shandalar#limdulswar|「リム=ドゥール戦争」/Lim-Dul's War]]と名付けられる。 |
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− | 時は流れ、サーマルの後継者[[ガーディアン/The Guardian]] | + | 時は流れ、サーマルの後継者[[ガーディアン/The Guardian]]の庇護の下、5つのギルドの指導によりシャンダラーは復興を遂げ、再び繁栄の時を謳歌していた。その頃、遂に肉体の支配権を奪ったリム=ドゥールは墓地から抜け出し、再びシャンダラー制覇を試みる。だが今回はギルドに束ねられたシャンダラーの抵抗に遭い、この[[シャンダラー/Shandalar#「ウィザード戦争」|「ウィザード戦争」/The Wizards' War]]において、屍術師は完膚なきまで叩きのめされた。アザーの肉体から取り出されたリム=ドゥールの魂は、ある[[アーティファクト]]へ移され、秘密の場所に隠された。リム=ドゥールの魂が封印されている限り「大障壁」は健在である。シャンダラーの安全はこのアーティファクトとともに常しえのものかと思われたが、それは[[アルザコン/Arzakon]]の出現までのことであった。 |
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− | *アイスエイジのプロモ映像では、血色の悪い痩身の魔術師として登場。 | + | *アイスエイジのプロモ映像では、血色の悪い痩身の魔術師として登場。[[グスタ・エバスドッター/Gustha Ebbasdotter]]を対決で打ち負かすが、[[コールビーヨーン/Kolbjorn]]と思われる老[[ドルイド]]に横槍を入れられ、退散する。 |
− | [[グスタ・エバスドッター/Gustha Ebbasdotter]]を対決で打ち負かすが、[[コールビーヨーン/Kolbjorn]]と思われる老[[ドルイド]]に横槍を入れられ、退散する。 | + | |
==登場カード== | ==登場カード== | ||
*[[屍術師リム=ドゥール/Lim-Dul the Necromancer]] | *[[屍術師リム=ドゥール/Lim-Dul the Necromancer]] | ||
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*[[暗黒の儀式/Dark Ritual]](アイスエイジ版のイラストとフレイバー・テキスト) | *[[暗黒の儀式/Dark Ritual]](アイスエイジ版のイラストとフレイバー・テキスト) | ||
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==リム=ドゥールの変身== | ==リム=ドゥールの変身== | ||
− | アメコミ版ではレシュラックからの恩恵として肉体を強化、小男から鹿の角を持つ筋骨隆々とした巨漢になる。巻末では[[Master of the Hunt]]の呪文を直接かけたと説明され、確かに変身後はその{{ | + | アメコミ版ではレシュラックからの恩恵として肉体を強化、小男から鹿の角を持つ筋骨隆々とした巨漢になる。巻末では[[Master of the Hunt]]の呪文を直接かけたと説明され、確かに変身後はその{{Gatherer|Master of the Hunt}}に似た姿である。 |
小説版ではお仕置きとして徐々に怪物化されている。 | 小説版ではお仕置きとして徐々に怪物化されている。 | ||
− | まずは、雄羊のような角を生やされ、歯は鋭い牙のようになる。角は重く、支え続けるのはかなりの苦痛。その姿は、丁度[[アイスエイジ]]版[[暗黒の儀式/Dark Ritual]]の{{ | + | |
− | + | まずは、雄羊のような角を生やされ、歯は鋭い牙のようになる。角は重く、支え続けるのはかなりの苦痛。その姿は、丁度[[アイスエイジ]]版[[暗黒の儀式/Dark Ritual]]の{{Gatherer|id=2444}}のようだ。 | |
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+ | 次の変身は、レシュラック殺害計画の罰として、肩幅は広がり、首は太く、下顎はがっしりとしたものに変わった。角を支えられる身体をくれてやろう、というレシュラックの皮肉である。翼こそ持たないものの、[[レシュラックの伝令/Herald of Leshrac]]の{{Gatherer|Herald of Leshrac}}は小説の描写によく似ている。レシュラックの伝令はリム=ドゥールの[[アバター]]なのだろうか。 | ||
==アメコミ版と小説版== | ==アメコミ版と小説版== | ||
上記の変身の仕方も含めて、アメコミ版と小説版では色々と辻褄が合わない部分がある。 | 上記の変身の仕方も含めて、アメコミ版と小説版では色々と辻褄が合わない部分がある。 | ||
− | + | ;メアシルの指輪 | |
− | + | :アメコミ版 - 指輪なし。メアシルと関係は無い。 | |
− | + | :小説版 - 指輪あり。リム=ドゥールはメアシルと融合した人格。 | |
− | これは指輪自体が小説版での追加設定のためだろう。 | + | :これは指輪自体が小説版での追加設定のためだろう。 |
− | + | ;時系列の矛盾 | |
− | + | :アメコミ版 - [[ダリアン/Darien]]が王子であった時代、リム=ドゥールは[[Knights of Kjeldor|キイェルドー騎士たち]]に敗れて、[[Icy Prison|氷の牢]]に閉じ込められる。復活は[[Summit of the Null Moon|頂上会談]]の戦いの余波によって。つまり、ダリアンの王子時代から[[フレイアリーズの世界呪文/Freyalise's World Spell|世界呪文]]の29日前まで行動不能。 | |
− | + | :小説版 - ダリアンが王になった後にも暗躍中。特に行動不能の描写は無い。 | |
− | + | ;シャンダラーへ… | |
− | + | :アメコミ版 - 世界呪文の最中に[[テヴェシュ・ザット/Tevesh Szat]]に連れられてシャンダラーへ去る。変身後の姿のまま。 | |
− | + | :小説版 - 世界呪文直前、レシュラックに連れられて行く。このときの状態は生きた肉塊状態。 | |
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以上の通り、その差異は大きく上手く説明をつけることはできそうにない(アメコミと小説でリム=ドゥールが別人だとでもしない限りは)。 | 以上の通り、その差異は大きく上手く説明をつけることはできそうにない(アメコミと小説でリム=ドゥールが別人だとでもしない限りは)。 | ||
− | ==[[時のらせん]] | + | ==時のらせんにて== |
− | + | 時の裂け目を通り抜け、[[時のらせん]]でついにカード化。未来の大地を見て、この表面は白い塩に覆われているが、その下は赤い血で染まっている、屍術には豊穣の地と、幾多の悲劇が繰り返されてきた歴史を見抜く。{{Gatherer|id=113522}}は怪物への変身が進む前の状態のようにも見えるが、よく見ると額に角が生えている。 | |
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==訳語の変遷== | ==訳語の変遷== | ||
「Lim-Dul, the Necromancer」は、[[第5版]]の[[キイェルドーの死者/Kjeldoran Dead]]と[[レシュラックの秘儀/Leshrac's Rite]]、[[死の接触/Touch of Death]]で「'''ネクロマンサー、'''リム=ドゥール」と初めて和訳され、[[第6版]]のキイェルドーの死者とレシュラックの秘儀でも同様に翻訳された。 | 「Lim-Dul, the Necromancer」は、[[第5版]]の[[キイェルドーの死者/Kjeldoran Dead]]と[[レシュラックの秘儀/Leshrac's Rite]]、[[死の接触/Touch of Death]]で「'''ネクロマンサー、'''リム=ドゥール」と初めて和訳され、[[第6版]]のキイェルドーの死者とレシュラックの秘儀でも同様に翻訳された。 | ||
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[[コールドスナップ]]の[[テーマデッキ]]で[[アイスエイジ]]版の[[暗黒の儀式/Dark Ritual]]と[[死者の漂い/Drift of the Dead]]、キイェルドーの死者が日本語化された際に「'''屍術師'''リム=ドゥール」と改められた。 | [[コールドスナップ]]の[[テーマデッキ]]で[[アイスエイジ]]版の[[暗黒の儀式/Dark Ritual]]と[[死者の漂い/Drift of the Dead]]、キイェルドーの死者が日本語化された際に「'''屍術師'''リム=ドゥール」と改められた。 | ||
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2010年6月15日 (火) 18:50時点における版
リム=ドゥール/Lim-Dulはストーリー上の登場人物。屍術師/Necromancerであるが、「The Great Necromancer(大屍術師)」とも名乗った。正確にはuに曲折アクセント記号がつき、「Lim-Dûl」である。このため、「Lim-Dul」ではOrb of Insightでヒットしないなどということもある。
キイェルドー/KjeldorのMarton Stromgald(マートン・ストロームガルド)軍の一兵士。ゴブリンの宿営地の襲撃部隊の一員だったが、斥候の報告以上の大部隊を前に、仲間を見捨てて逃走。吹雪を避けるために入った洞窟でメアシル/Mairsilの遺骸と指輪を発見、両者の記憶・能力・人格が融合して生まれ変わる。元々メアシルは5色の魔法を操れたが、黒と赤の傾向が強いリム=ドゥールの性格が作用したため屍術師となった。
Citadel of the Conclave of Mages(魔道士議事会の城塞)の跡地であるトレッサーホーン/Tresserhornを居城に定め、アンデッドの大軍団を編成してテリシア/Terisiare大陸征服を夢見る。副官はChaeska(チェスカ)。
狐のような細面、茶色の髪に濃い顎鬚、痩せ気味だが筋肉質。暗い色のローブを着込み、右手には5色の指輪(内1つはメアシルの指輪)をはめる。執念深く陰湿な性格で、非常に手の込んだ復讐を計画する。例えばキイェルドー人リム=ドゥールとしては、無謀な襲撃任務を命令したマートン将軍をアンデッドの傀儡にして、反逆軍ストロームガルド騎士団/The Knights of Stromgaldを結成する。他方、メアシルとしては、仇敵ジョダー/Jodahをティタニアシッペガエシで欺き、プレインズウォーカー/Planeswalkerの殺害法を研究させる。
プレインズウォーカーのレシュラック/Leshracを後援者としているが、絶対服従の奴隷同然の扱いを受け、freshworm(肉蛆)、toy(玩具)、beast(ケダモノ)などの蔑称で呼ばれている。密かにレシュラック殺害を企むが露見、その罰に人あらざる姿へ変貌させられる。
巧みな戦略でキイェルドーとバルデュヴィア/Balduviaの対立を誘導するが、ヤヤ・バラード/Jaya Ballardに救出されたジョダーによって計画は阻まれ、逆に両国は同盟を結んでしまう。だがストロームガルド騎士団を傘下に置き、戦力を増強したアンデッド軍団はキイェルドーの戦い/The Battle of Kjeldorで同盟軍と対決。その戦いの中、リム=ドゥールは自軍本陣でジョダーと対峙、劣勢になると後援者に助力を請う。リム=ドゥールの意図とは裏腹に、戦場に出現したレシュラックは"ちっぽけな"テリシアの覇権などに興味を抱かず、真の征服目標シャンダラー/Shandalarへとリム=ドゥールと軍団を引き連れて去っていった。しかし、その場には引き千切られた右手とメアシルの指輪が残された…。
レシュラックとテヴェシュ・ザット/Tevesh Szatの2人のプレインズウォーカーに従ってシャンダラーに攻め込むが、2人の主ともシャンダラーの守護者ケナン・サーマル/Kenan Sahrmalの手によって追放されてしまう。リム=ドゥールはその戦いの終わりの混乱に乗じて、疲弊したサーマルを襲って倒すが、すぐさまサーマルの従者達によって斬首された。
それから12年後、魂を別の肉体に移し変えることで生き延びていたリム=ドゥールは、アンデッドの大軍を引き連れて現れ、シャンダラー支配を企む。数年間の戦乱の後、シャンダラーの主要都市はアーデスタン/Ardestanただ1つを除いて壊滅、アンデッド軍団に包囲されたアーデスタンの陥落は目前であった。しかしこの時、サーマルの弟子の1人、アザー/Azarが立ちはだかる。
防御円で攻撃を凌ぐアザーに対し、リム=ドゥールは無駄な直接攻撃を仕掛けず、その時を待つ。最後の一瞬に、前回同様の方法でアザーの肉体に魂を移し変えてしまう腹積もりであった。アザーの準備する呪文は、対象の魂を肉体に封印し、力を奪うとともに、その力を利用しシャンダラーを外界から守る「大障壁」/the Great Barrierを構築するものだった。不幸なことにアザーの呪文はリム=ドゥールの魂自体を対象にしており、2人の魂はアザーの肉体に囚われてしまう。1人の肉体に2人のウィザードが閉じ込められた結果、予想以上の膨大なエネルギーが放出、プレインズウォーカーを全く受け付けない「大障壁」が張り巡らされた。アーデスタンの廃墟に到着したサーマルはもはやアザーを助けられない事を悟り、その肉体を秘密の墓地に安置する。この動かぬ肉体の奥深く、その支配を争って2人のウィザードは長い戦いを続けることになった。このシャンダラー全土を荒廃させた戦争は、後に「リム=ドゥール戦争」/Lim-Dul's Warと名付けられる。
時は流れ、サーマルの後継者ガーディアン/The Guardianの庇護の下、5つのギルドの指導によりシャンダラーは復興を遂げ、再び繁栄の時を謳歌していた。その頃、遂に肉体の支配権を奪ったリム=ドゥールは墓地から抜け出し、再びシャンダラー制覇を試みる。だが今回はギルドに束ねられたシャンダラーの抵抗に遭い、この「ウィザード戦争」/The Wizards' Warにおいて、屍術師は完膚なきまで叩きのめされた。アザーの肉体から取り出されたリム=ドゥールの魂は、あるアーティファクトへ移され、秘密の場所に隠された。リム=ドゥールの魂が封印されている限り「大障壁」は健在である。シャンダラーの安全はこのアーティファクトとともに常しえのものかと思われたが、それはアルザコン/Arzakonの出現までのことであった。
- アイスエイジのプロモ映像では、血色の悪い痩身の魔術師として登場。グスタ・エバスドッター/Gustha Ebbasdotterを対決で打ち負かすが、コールビーヨーン/Kolbjornと思われる老ドルイドに横槍を入れられ、退散する。
目次 |
登場カード
- 屍術師リム=ドゥール/Lim-Dul the Necromancer
- 暗黒の儀式/Dark Ritual(アイスエイジ版のイラストとフレイバー・テキスト)
以下はフレイバー・テキストにのみ登場。
- 深淵の死霊/Abyssal Specter(アイスエイジ版)
- Burnt Offering
- Diabolic Vision
- 蠢く肉裂き/Drudge Reavers
- 畏怖/Fear(アイスエイジ版)
- Foul Familiar
- Ghostly Flame
- 彼方からの雄叫び/Howl from Beyond(アイスエイジ版)
- Icequake
- キイェルドーの死者/Kjeldoran Dead
- レシュラックの秘儀/Leshrac's Rite
- Mind Whip
- Minion of Tevesh Szat
- Moor Fiend
- Seizures
- Skeleton Ship
- Spoils of Evil
- 死の接触/Touch of Death
関連カード
- Lim-Dul's Cohort
- リム=ドゥールの軍勢/Legions of Lim-Dul
- Lim-Dul's Hex
- Lim-Dul's High Guard
- Lim-Dul's Paladin
- Lim-Dul's Vault
- Oath of Lim-Dul
リム=ドゥールの変身
アメコミ版ではレシュラックからの恩恵として肉体を強化、小男から鹿の角を持つ筋骨隆々とした巨漢になる。巻末ではMaster of the Huntの呪文を直接かけたと説明され、確かに変身後はそのイラストに似た姿である。
小説版ではお仕置きとして徐々に怪物化されている。
まずは、雄羊のような角を生やされ、歯は鋭い牙のようになる。角は重く、支え続けるのはかなりの苦痛。その姿は、丁度アイスエイジ版暗黒の儀式/Dark Ritualのイラストのようだ。
次の変身は、レシュラック殺害計画の罰として、肩幅は広がり、首は太く、下顎はがっしりとしたものに変わった。角を支えられる身体をくれてやろう、というレシュラックの皮肉である。翼こそ持たないものの、レシュラックの伝令/Herald of Leshracのイラストは小説の描写によく似ている。レシュラックの伝令はリム=ドゥールのアバターなのだろうか。
アメコミ版と小説版
上記の変身の仕方も含めて、アメコミ版と小説版では色々と辻褄が合わない部分がある。
- メアシルの指輪
- アメコミ版 - 指輪なし。メアシルと関係は無い。
- 小説版 - 指輪あり。リム=ドゥールはメアシルと融合した人格。
- これは指輪自体が小説版での追加設定のためだろう。
- 時系列の矛盾
- アメコミ版 - ダリアン/Darienが王子であった時代、リム=ドゥールはキイェルドー騎士たちに敗れて、氷の牢に閉じ込められる。復活は頂上会談の戦いの余波によって。つまり、ダリアンの王子時代から世界呪文の29日前まで行動不能。
- 小説版 - ダリアンが王になった後にも暗躍中。特に行動不能の描写は無い。
- シャンダラーへ…
- アメコミ版 - 世界呪文の最中にテヴェシュ・ザット/Tevesh Szatに連れられてシャンダラーへ去る。変身後の姿のまま。
- 小説版 - 世界呪文直前、レシュラックに連れられて行く。このときの状態は生きた肉塊状態。
以上の通り、その差異は大きく上手く説明をつけることはできそうにない(アメコミと小説でリム=ドゥールが別人だとでもしない限りは)。
時のらせんにて
時の裂け目を通り抜け、時のらせんでついにカード化。未来の大地を見て、この表面は白い塩に覆われているが、その下は赤い血で染まっている、屍術には豊穣の地と、幾多の悲劇が繰り返されてきた歴史を見抜く。イラストは怪物への変身が進む前の状態のようにも見えるが、よく見ると額に角が生えている。
訳語の変遷
「Lim-Dul, the Necromancer」は、第5版のキイェルドーの死者/Kjeldoran Deadとレシュラックの秘儀/Leshrac's Rite、死の接触/Touch of Deathで「ネクロマンサー、リム=ドゥール」と初めて和訳され、第6版のキイェルドーの死者とレシュラックの秘儀でも同様に翻訳された。
コールドスナップのテーマデッキでアイスエイジ版の暗黒の儀式/Dark Ritualと死者の漂い/Drift of the Dead、キイェルドーの死者が日本語化された際に「屍術師リム=ドゥール」と改められた。
時のらせんでの訳語に変更はない。
参考
- メアシル/Mairsil
- レシュラック/Leshrac
- トレッサーホーン/Tresserhorn
- Chaeska(チェスカ)
- Marton Stromgald(マートン・ストロームガルド)
- ジョダー/Jodah
- シャンダラー/Shandalar
- 屍術師/Necromancer
- アイスエイジ
- アライアンス
- 時のらせん
- The Frozen Dead(アメコミ版アイスエイジvol.2)
- The Shard(アメコミ版アイスエイジvol.3)
- Forever Silent The World(アメコミ版アイスエイジvol.4)
- The Eternal Ice(小説)
- The Shattered Alliance(小説)
- 背景世界/ストーリー用語