ファートリ/Huatli
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帝国は続いて南方の領地を奪還する作戦に打って出たが、不穏な噂を耳にしていたアパゼクはファートリをそれに参加させず、東岸に駐留させることを選んだ。果たして彼の読み通り、一ヶ月後、[[鉄面連合/The Brazen Coalition]]の[[海賊]]船が一隻上陸してきた。ファートリは陸に降ろされた積み荷に火を放ち、恐竜の群れをけしかけて彼らを船へと退散させたが、直後、彼女を乗せた恐竜が何かに足を引っ張られて転倒した。それは焼けつく鎖だった。 | 帝国は続いて南方の領地を奪還する作戦に打って出たが、不穏な噂を耳にしていたアパゼクはファートリをそれに参加させず、東岸に駐留させることを選んだ。果たして彼の読み通り、一ヶ月後、[[鉄面連合/The Brazen Coalition]]の[[海賊]]船が一隻上陸してきた。ファートリは陸に降ろされた積み荷に火を放ち、恐竜の群れをけしかけて彼らを船へと退散させたが、直後、彼女を乗せた恐竜が何かに足を引っ張られて転倒した。それは焼けつく鎖だった。 | ||
− | そこに姿を現したのはファートリが見たこともない怪物――牛の頭部と赤熱する肉体を持ち、灼熱の鎖を自在に操る男だった。[[アングラス/Angrath]]と名乗るその男は[[不滅の太陽/The Immortal Sun (ストーリー)|不滅の太陽/The Immortal Sun]]の在り処を吐かせるべく、一方的に攻撃を開始した。彼女と従弟の[[ | + | そこに姿を現したのはファートリが見たこともない怪物――牛の頭部と赤熱する肉体を持ち、灼熱の鎖を自在に操る男だった。[[アングラス/Angrath]]と名乗るその男は[[不滅の太陽/The Immortal Sun (ストーリー)|不滅の太陽/The Immortal Sun]]の在り処を吐かせるべく、一方的に攻撃を開始した。彼女と従弟の[[インティ/Inti]]は善戦したが及ばず、やがて鎖に捕らえられた。死を悟り、それでも敵に対峙しようとしたそのとき、ファートリの[[プレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Spark]]が点った。 |
− | ファートリは自分自身が分かたれるような感覚を覚え、黄金色に輝く建造物と[[霊気/Aether|脈打つ魔力]]が流れる空の、[[カラデシュ/Kaladesh|見知らぬ美しい世界]]を目にした。だが突如としてその光景は消え、彼女は元いた場所に引き戻された。アングラスは彼女が自分と同じプレインズウォーカーであったことに驚き、協力してこの[[次元/Plane]]から脱出しようと手を差し伸べたが、彼女はアングラスを斬りつけ、インティとともに逃げた。今まで信じてきた現実のすべてが覆る中、彼女は一つの可能性に思い当たった――自分が見たものは黄金の都、[[ | + | ファートリは自分自身が分かたれるような感覚を覚え、黄金色に輝く建造物と[[霊気/Aether|脈打つ魔力]]が流れる空の、[[カラデシュ/Kaladesh|見知らぬ美しい世界]]を目にした。だが突如としてその光景は消え、彼女は元いた場所に引き戻された。アングラスは彼女が自分と同じプレインズウォーカーであったことに驚き、協力してこの[[次元/Plane]]から脱出しようと手を差し伸べたが、彼女はアングラスを斬りつけ、インティとともに逃げた。今まで信じてきた現実のすべてが覆る中、彼女は一つの可能性に思い当たった――自分が見たものは黄金の都、[[オラーズカ/Orazca]]なのだろうか? |
パチャチュパに帰還したファートリは直ちにアパゼクに謁見し、事の顛末を報告した。アパゼクは彼女の話を熱心に聞き、そして告げた。伝説の都を探すために帝国の全軍を駆り出すのは愚かなことだが、その姿を幻視した騎士を送り出すことが賢明でないとは思わない。旅に出よ。オラーズカを見つけ出した暁には、そなたに戦場詩人の地位を授けようと。 | パチャチュパに帰還したファートリは直ちにアパゼクに謁見し、事の顛末を報告した。アパゼクは彼女の話を熱心に聞き、そして告げた。伝説の都を探すために帝国の全軍を駆り出すのは愚かなことだが、その姿を幻視した騎士を送り出すことが賢明でないとは思わない。旅に出よ。オラーズカを見つけ出した暁には、そなたに戦場詩人の地位を授けようと。 |
2023年11月10日 (金) 14:09時点における版
ファートリ/Huatliはイクサラン・ブロック初出のキャラクター。カードとしてはイクサランの戦場の詩人、ファートリ/Huatli, Warrior Poetおよび恐竜騎士、ファートリ/Huatli, Dinosaur Knightが初出。
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解説
イクサラン/Ixalan出身の人間/Humanのプレインズウォーカー/Planeswalker。女性。恐竜の羽毛を模した鎧を身に纏い、同じく羽毛状の半円形の刃を武器とする(イラスト1、イラスト2)。
太陽帝国/The Sun Empireの恐竜騎士にして演説家であるファートリは、戦闘と詩の両方に秀でている。戦場では恐竜と心を通わせる魔法によって彼らを乗りこなし、侵略者を撃退する。式典では戦の勝利を詩へと織り上げて演説し、帝国臣民を鼓舞する。彼女は皇帝アパゼク・イントリ三世/Apatzec Intli IIIの最も信頼する戦術顧問であり、皇帝から戦場詩人/Warrior-poetの地位を授かる日は遠くないと自他ともに認めている。
経歴
問われる自信/A Question of Confidence
太陽海岸/The Sun Coastから薄暮の軍団/The Legion of Duskの吸血鬼/Vampireを追放する大規模作戦の指揮を任されたファートリは、両軍ともに一人の死者も出すことなくそれを成功させ、帝都パチャチュパ/Pachatupaに帰還した。凱旋式にて、彼女は今度こそ戦場詩人の地位を授かるかもしれないと期待していたが、勝利の詩を演説した後も、アパゼク皇帝がそれを口にすることはなかった。
帝国は続いて南方の領地を奪還する作戦に打って出たが、不穏な噂を耳にしていたアパゼクはファートリをそれに参加させず、東岸に駐留させることを選んだ。果たして彼の読み通り、一ヶ月後、鉄面連合/The Brazen Coalitionの海賊船が一隻上陸してきた。ファートリは陸に降ろされた積み荷に火を放ち、恐竜の群れをけしかけて彼らを船へと退散させたが、直後、彼女を乗せた恐竜が何かに足を引っ張られて転倒した。それは焼けつく鎖だった。
そこに姿を現したのはファートリが見たこともない怪物――牛の頭部と赤熱する肉体を持ち、灼熱の鎖を自在に操る男だった。アングラス/Angrathと名乗るその男は不滅の太陽/The Immortal Sunの在り処を吐かせるべく、一方的に攻撃を開始した。彼女と従弟のインティ/Intiは善戦したが及ばず、やがて鎖に捕らえられた。死を悟り、それでも敵に対峙しようとしたそのとき、ファートリのプレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkが点った。
ファートリは自分自身が分かたれるような感覚を覚え、黄金色に輝く建造物と脈打つ魔力が流れる空の、見知らぬ美しい世界を目にした。だが突如としてその光景は消え、彼女は元いた場所に引き戻された。アングラスは彼女が自分と同じプレインズウォーカーであったことに驚き、協力してこの次元/Planeから脱出しようと手を差し伸べたが、彼女はアングラスを斬りつけ、インティとともに逃げた。今まで信じてきた現実のすべてが覆る中、彼女は一つの可能性に思い当たった――自分が見たものは黄金の都、オラーズカ/Orazcaなのだろうか?
パチャチュパに帰還したファートリは直ちにアパゼクに謁見し、事の顛末を報告した。アパゼクは彼女の話を熱心に聞き、そして告げた。伝説の都を探すために帝国の全軍を駆り出すのは愚かなことだが、その姿を幻視した騎士を送り出すことが賢明でないとは思わない。旅に出よ。オラーズカを見つけ出した暁には、そなたに戦場詩人の地位を授けようと。
ずっと戦場詩人を目指してきたファートリは、このような人生が待っているとは思いもしていなかった。だが困難な何かを成し遂げるという考えは彼女を興奮させた。そして彼女自身もまた、黄金の都を見つけてみたかった。騎士であり演説家であった彼女は今、探検家となったのだ。
イクサラン・ブロック
オラーズカへの案内人を求めていたファートリは、一人の川守り/The River Heralds・ティシャーナ/Tishanaと出会う。ファートリが侵略のためにオラーズカを目指しているではないと知ると、なんと彼女はオラーズカへと同行してくれると言う。太陽帝国の敵が協力者になってくれるというのは奇妙だったが、ティシャーナはクメーナ/Kumenaの暴走を止めるためにオラーズカへと向かう必要があった。しかし川守りにさえもオラーズカの詳細な場所は秘匿されており、それを暴くには奇怪な容姿の船長が持つ魔法のコンパスが必要だった。
どうにかコンパスを奪取し目的の場所を特定した二人だったが、ヴラスカ一味の海賊達を退けるための戦闘のさなか、ティシャーナは一人オラーズカへと向かってしまう。追跡を開始しようとするファートリを、聞き覚えのある声が呼び止めた。再び出会った異形の異邦者アングラスは、今度こそ協力しようと持ちかける。渋々ながらもオラーズカへの道中を共に歩むファートリだったが、アングラスとの対話を経て、プレインズウォーカーについて、次元についての理解を深めた。そして同時に、太陽帝国の勝利と戦場詩人の地位は、必ずしも正しく至上のものだろうか、という疑問も湧き上がった。「自分が捕われてることを自覚して初めて、自由が始まるもんだ」と語る、この男の考えが正しいのではないか、とも。
そんな折、ファートリは視界の隅にティシャーナの姿を発見する。約束が反故にされていたわけではなく、彼女は仲間のマーフォーク/Merfolkを集めてファートリを待っていたのだ。邪魔者には容赦しないアングラスを同行させるのは危険と判断し、一時的に彼を拘束し、改めてティシャーナと共にオラーズカへと向かう。紆余曲折の末不滅の太陽/The Immortal Sunの元にたどり着いたが、追いかけてきたアングラスを始め、薄暮の軍団/The Legion of Duskの吸血鬼やヴラスカ一味の海賊達までもが集結しており、一触即発の状態にあった。
緊張が高まる中、突然不滅の太陽が消失してしまう。アングラスは喜び、そして罵詈雑言を残しつつ消え去った。残された者達は唖然とするばかりであったが、ほどなくしてそれぞれがオラーズカから退却していった。彼女もまた、オラーズカの発見を皇帝に報告すべく、都と共に目覚めた古の恐竜ザカマ/Zacamaへと騎乗し帰路についた。
ファートリはティシャーナやアングラスとの旅の末、オラーズカは誰のものでもなく、共有されるべきだという考えに至っていた。川守りに関しても、太陽帝国の歴史が語ってきたような冷酷な存在ではなく、剣を交えずとも交渉に応じてくれる、思慮深い者達なのだと知ることができた。ファートリは皇帝に、この旅で見知ったこと全てを語って聞かせた。オラーズカは我々のものではなく、川守りと協調し、争いではなく平和を築くべきだと。――しかし、皇帝はあくまでも戦いを望んだ。落胆したファートリの眼前には戦場詩人の地位の証である兜が置かれていたが、彼女は背を向け去った。
叔母と叔父、その家族、何十人もの従兄弟達がファートリの帰還を迎えてくれた。ファートリの予想に反し、彼らを魅了したのはオラーズカでの冒険ではなくファートリの次元渡りの力だった。実際に別の次元の岩を持ってきてみせると、彼らは大いに沸いた。叔母は歓声と共にファートリに進言した。「あなたはこんな所で、皇帝に飼われているべき存在じゃありません!ファートリ、そこへ行くんですよ!」他の家族も賛成に声を上げた。
大興奮のうちに旅支度が整えられ、戦場詩人の兜を持ち出してきた従弟すらもいた。戦場詩人としてまだ見ぬ世界の物語を集めるべく、家族に見送られながら久遠の闇/Blind Eternitiesへと足を踏み出した。
彼らの謀り/Wool Over the Eyes
ファートリがたどり着いたのはカラデシュ/Kaladesh――オラーズカだと勘違いしたあの綺羅びやかな街だった。目にする物、すれ違う人々の種族、漂ってくる香り、すべてが未知のものだった。何よりも、大きく発展した科学技術に彼女は圧倒され、見聞きした全てを質問したくてたまらなかった。
そんな時、一人の発明家に話しかけられる。彼女の名はサヒーリ・ライ/Saheeli Rai。偶然にも、ファートリと同じプレインズウォーカーであった。二人は瞬く間に打ち解けた。ファートリはサヒーリの工房に招かれ、そして故郷について大いに語るのであった。
登場
登場カード
- 戦場の詩人、ファートリ/Huatli, Warrior Poet
- 恐竜騎士、ファートリ/Huatli, Dinosaur Knight
- 光輝の勇者、ファートリ/Huatli, Radiant Champion
- 太陽の義士、ファートリ/Huatli, the Sun's Heart
- 統一の詩人、ファートリ/Huatli, Poet of Unity
カード名に登場
- イクサラン プレインズウォーカーデッキ
- ファートリの短角獣/Huatli's Snubhorn、ファートリの嗾け/Huatli's Spurring
- 灯争大戦
- ファートリの猛竜/Huatli's Raptor
フレイバー・テキストに登場
- イクサラン
- キンジャーリの陽光翼/Kinjalli's Sunwing、結集する咆哮/Rallying Roar、鉤爪の切りつけ/Slash of Talons、順風/Favorable Winds、隠れ潜むチュパカブラ/Lurking Chupacabra
- イクサラン プレインズウォーカーデッキ
- ファートリの嗾け/Huatli's Spurring、太陽恵みの乗用恐竜/Sun-Blessed Mount
- イクサランの相克
- 永暁の勇者/Everdawn Champion、帝国のケラトプス/Imperial Ceratops、壮麗なヘリオプテルス/Majestic Heliopterus、罠顎の暴君/Trapjaw Tyrant、太陽襟の猛竜/Sun-Collared Raptor、冠羽の群れ使い/Crested Herdcaller
- 灯争大戦
- ファートリの猛竜/Huatli's Raptor
- モダンホライゾン
- 確信のタリスマン/Talisman of Conviction
- ジャッジ褒賞
- 太陽の揺籃の地、イトリモク/Itlimoc, Cradle of the Sun
- ダブルマスターズ2022
- 硬化した鱗/Hardened Scales(ボーダーレス版)
- ジャンプスタート2022
- 打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon
イラストに登場
- イクサラン プレインズウォーカーデッキ
- ファートリの嗾け/Huatli's Spurring、太陽恵みの乗用恐竜/Sun-Blessed Mount
- 灯争大戦
- ファートリの猛竜/Huatli's Raptor
- Pride Across the Multiverse
- 春の鼓動/Heartbeat of Spring
登場デッキ
登場作品・登場記事
- A Question of Confidence/問われる自信(Magic Story 2017年9月13日 R&D Narrative Team著)
- The Race, Part 1/争奪戦 その1(Magic Story 2017年10月11日 R&D Narrative Team著)
- The Race, Part 2/争奪戦 その2(Magic Story 2017年10月18日 R&D Narrative Team著)
- Ten Burning Questions from the Ixalan Story/『イクサラン』ストーリー・10の気になる疑問(Feature 2017年10月25日 Chas Andres著)
- Glimpse the Far Side of the Sun/太陽の向こう側(Magic Story 2018年1月17日 R&D Narrative Team著)
- The Arbiter of Law Left Chaos in His Wake/調停者、不和を撒く(Magic Story 2018年1月24日 R&D Narrative Team著)
- Who Tells the Stories/物語を伝える者(Magic Story 2018年2月7日 R&D Narrative Team著)
- Wool Over the Eyes/彼らの謀り(Magic Story 2018年2月14日 R&D Narrative Team著)
- Rivals of Ixalan Magic Story Alternate Endings/『イクサランの相克』各勢力勝利エンディング(Magic Story 2018年2月21日 R&D Narrative Team著、名前のみ)
- War of the Spark: Ravnica(小説)
- War of the Spark: Ravnica – The Path to Opulent/ラヴニカ:灯争大戦――絢爛の聖堂へ(Magic Story 2019年5月15日 Greg Weisman著)
- War of the Spark: Ravnica – Rallying the Reluctant/ラヴニカ:灯争大戦――結束という難問(Magic Story 2019年5月22日 Greg Weisman著)
- War of the Spark: Ravnica—Desperate Operatives/ラヴニカ:灯争大戦――退路なき任務(Magic Story 2019年5月29日 Greg Weisman著)
- War of the Spark: Ravnica—Operation Desperation/ラヴニカ:灯争大戦――絶体絶命作戦(Magic Story 2019年6月5日 Greg Weisman著、名前のみ)
- Note for a Stranger/見知らぬあなたへ(Magic Story 2022年5月2日 Alison Lührs著)
- The Brothers' War | Chapter 2: Antiquities/サイドストーリー第2話:遺物(アンティキティー)(Magic Story 2022年10月24日 Reinhardt Suarez著、名前のみ)